面白い話し方のコツは、話の中身を変えるより、伝え方を整えることです。具体的に言う、笑いどころを最後に置く、その直前に少しだけ間をあける。この3つを意識するだけで、同じ出来事でもぐっと面白く伝わります。
この記事では、話が面白い人がやっている7つのことを、直す前と後の例文で比べながら紹介します。どれも才能ではなく、まねできる「型」です。後半には、7つをまとめて使った1分の話と、悩み別に読む記事の一覧もあります。
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面白い話し方の7つのコツ(一覧)
先に全体を見ておきましょう。1〜3は話の組み立て、4〜7は話すときの伝え方のコツです。表の「オチ」は、話の最後で笑いが起きる一言のことです。
| コツ | ひとことで言うと | 今日からできること |
|---|---|---|
| 1. 具体的に言う | 数字・色・セリフを入れる | 「すごく」を数字に置きかえる |
| 2. 話す順番を決める | 笑いどころは最後に置く | 話す前に最後の一言を決める |
| 3. オチの前に間をあける | 1拍だまってから言う | 心の中で「いち」と数える |
| 4. 表情と声に変化をつける | セリフの声を少し変える | 驚いた場面で眉を上げる |
| 5. 1文を短くする | 「〜で、〜で」とつなげない | 「。」を増やして話す |
| 6. 聞き手を巻き込む | 相手が答えられる問いを入れる | 「〜ってありません?」と聞く |
| 7. 笑いを説明しない | 言い終えたら次へ進む | オチのあとに解説を足さない |
迷ったら、まずこの2つ
7つ全部を一度に使う必要はありません。最初は「1. 具体的に言う」と「2. 話す順番を決める」だけで十分です。この2つが整うと、ほかのコツも自然に使いやすくなります。
コツ1〜3:話の中身と順番を整える
1. 具体的に言う
話が面白い人は、「すごく」「めっちゃ」の代わりに、数字や色、目に浮かぶ様子を使います。聞く人の頭に場面が浮かぶと、それだけで笑いが起きやすくなるからです。
今朝はバタバタしていて、ちょっと変な格好のまま出かけてしまいました。
今朝、駅のホームで足元を見たら、右は紺、左は水玉の靴下でした。
しかも水玉のほうは、娘の靴下です。
かかとが、土踏まずのあたりにあります。
直した後は、色と柄、誰の靴下かまで言っています。最後の一文は、聞く人が自分の足で想像できる言い方です。数字や見た目を1つ足すだけで、同じ出来事が笑える話に変わります。
2. 話す順番を決める
笑いどころは、話の最後に置きます。結果を先に言ってしまうと、聞く人は続きを楽しみにできません。話す前に「最後の一言」を決めておくと、順番は自然に決まります。
新しい目覚まし時計、まだ一度も鳴ったのを聞いていないんです。音がすごく大きいのを買ったんですけど、鳴る前に起きちゃうんですよ。
朝が苦手なので、音がとても大きい目覚まし時計を買いました。
お店で試しに鳴らしたら、店員さんが2人振り返るくらいの音です。
これなら起きられる、と思った次の朝。
鳴る5分前に、自分で目が覚めました。
あの音を聞くのが怖くて、体が先に起きるんです。
直した後は、「とても大きな音」というフリを先に聞かせています。フリとは、あとで笑いにつながる前置きのことです。話の組み立て方は「エピソードトークの作り方」で詳しく紹介しています。
3. オチの前に間をあける
間(ま)とは、言葉と言葉のあいだの短い沈黙です。オチの直前に1拍だまると、聞く人が「何が来るんだろう」と待つ時間ができます。その分、オチが耳に残りやすくなります。
部長が「質問がある人はいますか」と言ったので、勢いよく手を挙げたんです。
会議室の全員が、こっちを見ました。
……質問は、考えていませんでした。
1拍の長さは、心の中で「いち」と数えるくらいで十分です。長すぎると、聞く人が話の流れを見失います。間の取り方をもっと練習したい人は「漫才の間とテンポの取り方」も参考にしてください。
コツ4〜7:伝え方を整える
4. 表情と声に変化をつける
同じ文でも、表情と声が変わると伝わり方が変わります。話の中で誰かのセリフを言うときは、声の高さを少しだけ変えましょう。ものまねのように似せる必要はありません。
| 話の場面 | 表情 | 声 |
|---|---|---|
| 驚いたところ | 眉を上げ、目を少し大きく | 最初の一音を高く |
| 困ったところ | 眉を下げる | 少し低く、ゆっくり |
| 人のセリフ | その人の表情を少しまねる | 高さか速さを少し変える |
| オチ | 真顔に戻す | ふだんの声で短く |
オチは、真顔で淡々と言うほうが伝わりやすくなります。話の中の大げさな場面との差が、笑いを生むからです。表情と声の練習は「リアクションが上手くなる方法」でも紹介しています。
5. 1文を短くする
「〜で、〜して、〜なんだけど」と文がつながると、聞く人はどこが大事なのか分からなくなります。1文を短く切ると、テンポ(話の速さとリズム)がよくなり、オチも目立ちます。
駅に着いたら電車が出たところで、次まで15分あったからコンビニに行こうと思ったんだけど、財布を忘れてて、結局ホームでぼーっとしてたんだよね。
駅に着いたら、電車が出たところでした。
次は15分後。コンビニで待とうとしたら、財布がない。
結局、ホームのベンチで時刻表を読んでいました。
2回読みました。
「。」を増やすだけで、話にリズムが生まれます。最後の「2回読みました」のように短い一言を足すと、笑いがもう1つ増えます。話が長くなりがちな人は「オチのない話をしてしまう人へ」で、結論から話す型も試してみてください。
6. 聞き手を巻き込む
話が面白い人は、ひとりで話し続けません。途中で「〜ってありません?」と聞いて、相手を話の中に入れます。聞く人が「分かる」と思えた瞬間に、笑いは起きやすくなります。
エレベーターで、行きたい階のボタンを押したのに、念のためもう1回押すことってありません?
(相手がうなずいたら)
今日それをやったら、隣の人も同じボタンを押したんです。
2人で交互に、3回ずつ押していました。
問いかけは、相手が「ある」「ない」ですぐ答えられるものにすると気軽です。反対に、自分が聞き役のときの返し方は「相づちで笑いを生むには?」で紹介しています。
7. 笑いを説明しない
オチのあとに「……っていう、靴下が娘のだったって話なんだけどね」と説明を足すと、笑いはしぼんでしまいます。言い終えたら少し待ち、次の話に進みましょう。
笑いが起きなかったときも、説明で取り返そうとしないことが大切です。「……という、それだけの話です」と軽く締めれば、場は自然に次へ進みます。ウケなかったときの立て直し方は「滑ったときの返し方」にまとめています。
笑いの材料に使わないもの
人の見た目や年齢、出身などをからかう話は、身内では笑いが起きても、聞いている誰かを傷つけます。面白い話し方の材料は、自分の小さな失敗や、身の回りの出来事で十分です。
7つのコツを使った1分の話(直す前と後)
7つのコツを1つの話に当てはめると、どう変わるかを見てみましょう。話の材料は、どちらもまったく同じです。
この前、家の近くのパン屋さんに行ったらけっこう並んでて、メロンパンが目当てだったんだけど、順番が来たら予約で売り切れてたみたいで、仕方ないから別のパンを買ったら、それがおいしかったから、まあよかったかなっていう話なんだけどね。
土曜の朝、近所のパン屋さんの行列に並びました。目当ては、1日20個だけのメロンパンです。
並びながら、前の人を数えました。8人。1人2個までだから、多くても16個。合ってますよね。
私の分は、残るはずなんです。
いよいよ私の番。店員さんが、申し訳なさそうに言いました。
(1拍)
「残りの4個は、お電話のご予約分でして」
……計算に、電話は入っていませんでした。
しかたなく、隣のあんパンを買いました。これが、すごくおいしかったんです。
来週も並びます。今度は、あんパンのために。
直した後のほうが少し長いのに、聞く人は退屈しません。1文が短く、先が気になる順番になっているからです。どこにどのコツを使っているかは、次の表のとおりです。
| コツ | 直した後で使っているところ |
|---|---|
| 1. 具体的に言う | 「20個」「8人」「16個」と数字で言う |
| 2. 話す順番を決める | 予約の話を、最後のほうまで出さない |
| 3. オチの前に間をあける | 店員さんのセリフの前で1拍だまる |
| 4. 表情と声に変化をつける | 店員さんのセリフだけ、声を少し丁寧にする |
| 5. 1文を短くする | 「8人。」「私の番。」と短く切る |
| 6. 聞き手を巻き込む | 「合ってますよね」と相手に確かめる |
| 7. 笑いを説明しない | 「あんパンのために」で終えて、解説しない |
今日からできる練習の順番
7つを一度に使おうとすると、話すことに集中できなくなります。1週間に1つずつ、ふだんの会話で試していくのがおすすめです。
- 1週目:「すごく」「めっちゃ」を、数字か見た目の言葉に言いかえる
- 2週目:話す前に、最後の一言を決めてから話し始める
- 3週目:最後の一言の前で、心の中で「いち」と数える
- 4週目:人のセリフを言うときだけ、声の高さを変える
- 5週目から:1文を短くする、相手に1回問いかける、オチのあとは黙る、を順に足す
家族や友人との会話で話したあとは、次のことを振り返ってみてください。スマホで録音して聞き返すと、自分の口ぐせにも気づけます。
話したあとに振り返ること
- 「すごく」「なんか」を何回言ったか
- 最後の一言の前に、1拍あいていたか
- オチのあとに、説明を足していないか
- 相手が話す時間もあったか
毎日の練習メニューは「笑いのセンスを磨くには?」で、身近な面白い人から学ぶ方法は「話が面白い人の特徴」で紹介しています。
悩み別に読む記事
「話し方」のカテゴリには、悩みや場面ごとの記事があります。今の悩みに近いものから読んでみてください。
話そのものを面白くしたいとき
| こんなときは | 読む記事 |
|---|---|
| 話が長い、オチがないと言われる | オチのない話をしてしまう人へ |
| 自分の出来事を笑える話にしたい | エピソードトークの作り方 |
| 雑談で何を話せばいいか分からない | 雑談の面白いネタ |
| 反応が薄いと言われる | リアクションが上手くなる方法 |
| 聞き役のときに場を明るくしたい | 相づちで笑いを生むには? |
ツッコミや返しを覚えたいとき
| こんなときは | 読む記事 |
|---|---|
| 会話でツッコミを入れてみたい | ツッコミが上手くなる方法 |
| 上手な例えが出てこない | 例えツッコミのコツ |
| とっさの返しが出てこない | 返しが上手い人になるには? |
| いじられたときにうまく返せない | いじられたときの返し方 |
| ウケなくて気まずくなった | 滑ったときの返し方 |
場面や緊張で困っているとき
| こんなときは | 読む記事 |
|---|---|
| 飲み会で話を盛り上げたい | 飲み会で話を盛り上げるには? |
| プレゼンで少し笑いを取りたい | プレゼンで笑いを取るには? |
| LINEで面白く返したい | LINEの面白い返し方 |
| 早口や滑舌が気になる | 滑舌の練習文 |
| 人前に立つと緊張して話せない | あがり症で人前が怖い人へ |
よくある質問
面白い話し方は、生まれつきの性格で決まりますか?
決まりません。この記事のコツは、どれも話し方の「型」なので、練習すれば誰でも使えます。おとなしい人は、にぎやかに話そうとするより、具体的に言うことと間を大事にすると、その人らしい面白さが出ます。
面白い話をしようとすると、緊張して早口になります。
最初から笑いを取ろうとしなくて大丈夫です。まずは「具体的に言う」だけを意識して、仲のよい人との会話で試してみましょう。早口になる人は、「。」のところで一度息を吸うと、自然に間も生まれます。
話すネタがないときは、どうすればいいですか?
大きな出来事は要りません。靴下の色や目覚まし時計のような、小さな出来事で十分です。その日に「あれ?」と思ったことをスマホのメモに1行だけ書くようにすると、話の材料が少しずつたまっていきます。
人をいじって笑いを取るのは、やめたほうがいいですか?
相手が笑っていても、内心では嫌な思いをしていることがあります。見た目や年齢、出身などをネタにするのは避けましょう。自分の小さな失敗や身の回りの出来事を材料にするほうが、その場の全員が安心して笑えます。
まとめ
- 面白い話し方のコツは、話の中身より伝え方を整えること
- 具体的に言い、笑いどころを最後に置き、オチの前に1拍あける
- 表情と声を少し変え、1文を短くし、聞き手を巻き込む
- オチのあとは説明しないで、次の話へ進む
- 7つは1週間に1つずつ足していけば、無理なく身につく






