滑舌の練習文|ボケやツッコミが聞き取りやすくなる毎日5分のオリジナル例文

譜面台の原稿を前に、お腹に手を当てて声を出す男性

滑舌をよくする練習は、苦手な音が続く短い文を、速さより正確さを大事にして読むことから始めます。人を笑わせたいときも滑舌は大切で、ボケやツッコミの言葉が聞き取れないと、面白いセリフでも笑いは起きません。口の準備運動、母音読み、練習文、自分のセリフの順に進めれば、1日5分で続けられます。

この記事では、あ行〜わ行のオリジナルの練習文と、ボケとツッコミのセリフで練習する文を紹介します。スピーチや発表でかみやすい言葉の練習もあるので、本番の前にも使えます。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 聞き取れないと笑いが起きない理由
  2. 滑舌が悪く聞こえる4つの原因
  3. 毎日5分の練習の流れ
  4. あ行〜わ行のオリジナル練習文
  5. ボケとツッコミのセリフで練習する文
  6. スピーチや発表でかみやすい言葉の練習
  7. よくある質問
  8. まとめ

聞き取れないと笑いが起きない理由

笑いは、聞いた人が「そういうことか」とわかった瞬間に起きます。言葉が聞き取れないと、その瞬間が来ません。聞き返されたり、考えこませたりした時点で、笑うタイミングも過ぎてしまいます。

ボケは、わざとおかしなことを言う役、ツッコミは、そのおかしさを指さして正す役のことです。どちらの言葉も、次のようなところで聞き取りにくくなりがちです。

聞き取りにくいところ笑いはどうなるか練習で気をつけること
オチの言葉の語尾が消える何がおかしいのか伝わらない最後の音まで言い切る
ツッコミが速い、こもるボケのどこが変だったのか届かないツッコミの最初の言葉を強めに言う
聞き間違いのボケの音があいまい間違いだと気づいてもらえない似た音をはっきり言い分ける
大事なところでかむ聞く人が心配して、笑う気持ちが止まる区切る場所を前もって決める

オチとは、話の最後に笑いが起きるところのことです。滑舌の練習は、用意した笑いを最後まで届けるための準備だと考えましょう。

滑舌が悪く聞こえる4つの原因

滑舌とは、言葉を一つ一つはっきり発音できているかどうかのことです。滑舌が悪く聞こえるときは、主に次の4つが関係しています。

原因起きやすいことこの記事での練習
口の開きが小さい音がこもる、「あ」と「お」が似て聞こえる口の準備運動、母音読み
舌の動きがあいまいさ行・ら行がにごる、かむ行ごとの練習文
早口になっている語尾が消える、音が抜ける1音ずつ区切って読む
息が足りない文の終わりが弱くなる練習文を一息で読む

まず見直したいのは、口の開きと話す速さです。どちらも、ゆっくり大きく口を動かす練習で変わっていきます。息の使い方や声の通し方は「お笑いの発声練習」でも紹介しています。

毎日5分の練習の流れ

練習は、次の4つを順番に行います。全部で5分ほどなので、朝の身じたくの前や、お風呂の中でもできます。

毎日の滑舌練習

時間
5分
人数
1人
準備物
この記事の練習文、スマホ(録音用)
難しさ
★

1分目:口の準備運動

  1. 口を大きく開けて、「あ・え・い・お・う」をゆっくり3回言う
  2. 口を閉じたまま、舌の先で歯ぐきの外側をなぞるように、右回りと左回りに3周ずつ回す
  3. 唇を軽く閉じて息を吐き、唇を「ぷるる」と10秒ほど震わせる

2分目:母音だけで読む

母音読みとは、文を「あいうえお」の母音だけに置きかえて読む練習です。口の形を正しく作れるようになると、元の文に戻したときに音がはっきりします。

例文母音読みの例

元の文:赤い傘の兄が
母音だけ:あ・あ・い・あ・あ・お・あ・い・あ

3〜4分目:練習文を2段階で読む

その日の練習文を、まず1音ずつ区切ってゆっくり読みます(「あ・か・い・か・さ」)。次に、ふつうの速さで文として読みます。速く読めることより、最後の音まではっきり言えることを大事にしましょう。

5分目:自分が話す文を読む

最後に、本番で自分が実際に言う一文を読みます。笑いを取りたい人は、スピーチの笑いの一言や、ネタのオチ、ツッコミのセリフを選びましょう。練習文で整えた口を、本番の言葉につなげるための1分です。

1週間の割り振り

10の行を1日2行ずつ回すと、1週間で全部を練習できます。週に1回は録音して、1日目の録音と聞き比べてみましょう。

曜日練習する行意識すること
月あ行・か行口を縦に大きく開ける
火さ行・た行息の出し方と舌の先
水な行・は行こもらせない、息を切らさない
木ま行・や行唇をしっかり閉じる
金ら行・わ行舌を軽く、短くはじく
土苦手だった行録音を聞いて選ぶ
日全部の行と、ボケとツッコミの文通して読み、録音する

あ行〜わ行のオリジナル練習文

どれも、その行の音が多く入るように作った文です。1つの行につき3文あり、3文目は最後に小さなオチがつく文です。最後の言葉がはっきり聞こえないとオチが伝わらないので、語尾まで言い切る練習になります。

あ行

例文あ行の練習文

赤い傘の兄が、雨上がりの朝、青いアイスを買いに行く。
家の奥の大きな桶に、おいしいお芋を入れておく。
兄は、居間の青い椅子で「いいアイデアを思いつく」と言い、いびきをかいた。

母音だけの音が続くと、口の形があいまいになりがちです。「あ」は縦に大きく、「い」は横に引く、と1音ごとに口の形をはっきり変えましょう。

か行

例文か行の練習文

北口の喫茶店で、九個のクッキーと、濃いココアを頼んだ。
工事の看板の角を曲がると、気がきく係の人がいた。
金庫の鍵を、きっちりかけたか確かめたら、鍵は金庫の中だった。

のどの奥で作る音です。「き」と「く」が続くところでは、舌の奥を上あごにしっかり当てるつもりで読みます。

さ行

例文さ行の練習文

誘われて、さっそく静かな寿司屋さんで、白身の刺身を少しずつ食べた。
先生が、せっかくの洗濯物を、そっと外に干した。
先週の資料を、すみずみまでしっかり調べたら、先々週の資料だった。

「し」と「す」がこもりやすい行です。上下の歯を軽く合わせ、すき間から息を前に細く出すつもりで読みます。

た行

例文た行の練習文

立ち止まって、遠くの塔の時計を、ちょっとだけ確かめた。
机の上のチラシを手に取って、ていねいにたたんだ。
月に一度、友達と、つつじの通りを通って釣りに出かけ、つつじだけ見て帰る。

舌の先を上の前歯の裏のあたりに当てて、はじくように出す音です。「つつじの通りを通って」は、つい速くなるところなので、1音ずつ確かめましょう。

な行

例文な行の練習文

七つの鍋に、なすと菜の花を並べて煮る。
猫が布の上で、のんびり眠っている。
何年も、ぬるい水をあげ続けた庭の苗は、隣の家の苗だった。

鼻に響かせる音なので、こもりやすい行です。母音の口の形をはっきり作ると、聞き取りやすくなります。

は行

例文は行の練習文

春の日、ひばりが広い畑の上をふわふわ飛んだ。
古い本棚の左の箱に、ほこりをかぶった笛がある。
へとへとだったので、ひとまず早めに布団に入り、ほっとして、昼過ぎに起きた。

息の音が中心の行です。息が弱いと、文の途中で音が消えてしまいます。「ふ」は、ろうそくの火を吹き消すように唇をすぼめます。

ま行

例文ま行の練習文

毎朝、窓の前でみかんをむいて、目を覚ます。
昔の村の門の前で、もみじを見ながら餅を食べた。
目の前の店で、ミニトマトを、まとめて三つも買った。

唇を一度しっかり閉じてから出す音です。早口になると唇が閉じきらず、音がぼやけてしまいます。

や行

例文や行の練習文

夕焼けの夜道を、ゆっくりと四人で歩いた。
山の宿で柚子湯に入って、夜までゆっくり休む。
夜の屋台で、焼きそばを「やや少なめ」と頼んだら、山盛りで出てきた。

「い」の口の形から、すばやく次の音に移る行です。急ぐと「あ」「う」「お」に近く聞こえるので、最初の「い」の口を意識しましょう。

ら行

例文ら行の練習文

留守番のリスが、廊下でくるくる回る。
理科の連絡を、列の後ろの六人に回した。
料理の練習を「来週から」と言い続けて、六回目の来週が来た。

舌の先で上あごを軽くはじく音です。舌に力が入りすぎると「だ」に近くなり、弱すぎると音が消えます。軽く、短くはじくのがコツです。

わ行・ん

例文わ行・んの練習文

渡り廊下で、忘れ物の輪ゴムを見つけた。
わずかな時間で、わかりやすい話にまとめた。
天気の良い日曜日、新聞を三枚、玄関で順番に重ねて満足し、一枚も読まなかった。

「わ」は、唇を少し丸めてから開きます。「ん」が続くところは次の音につられて流れやすいので、1つ1つの「ん」で小さく止まるつもりで読みましょう。

ボケとツッコミのセリフで練習する文

あ行〜わ行の練習文に慣れたら、ボケとツッコミの掛け合い(2人のやり取り)で練習します。ここにあるのは、聞き間違いや、ら行の多いツッコミで笑いが起きるオリジナルのセリフです。聞き間違いのボケは、元の言葉と間違えた言葉の両方が聞き取れて、初めて笑いになります。1人で練習するときは、AとBの両方を読み、録音して言い分けられているか確かめましょう。

「ん」を最後まで言う

台本転勤と天気(約15秒)

A来月から、転勤なんだ。

B天気? 来月の天気が、もうわかるの?

A転勤! 大阪の支店に行くの!

Bそうか。大阪の天気、晴れるといいね。

A天気から離れて!

笑いが起きるのは、Bの聞き間違いと、Aの最後のツッコミです。Aが「てんきん」の最後の「ん」を飲みこむと、聞いている人にも「天気」と聞こえます。そうなると、Bは正しく聞き取ったことになり、笑いが起きません。

小さい「っ」で止まる

台本根っこと猫(約15秒)

A庭に、大きな根っこがあってさ。

B猫? かわいいね。名前は?

A根っこ! 木の根っこ! 名前はない!

Bじゃあ、つけてあげようよ。

Aつけなくていい!

笑いが起きるのは、Bが猫だと思って名前を聞くところと、Aの「名前はない!」です。小さい「っ」は、ほんの一瞬、音を止めるしるしです。「ね・っ・こ」と止まらずに言うと、聞いている人にも「ねこ」と聞こえてしまいます。「っ」のところで、息を軽く止めるつもりで言いましょう。

「じゆう」と「じゅう」を言い分ける

台本自由と十(約15秒)

Aお菓子、自由に取っていいよ。

B十? じゃあ、十個もらうね。

A自由! 好きなだけ、っていう意味!

B好きなだけなら、十個でもいいでしょ。

A……それは、そうだけど!

笑いが起きるのは、Bの「十個もらうね」と、言い返せなくなったAの最後のセリフです。「じゆう」は「じ・ゆ・う」の3つ、「じゅう」は「じゅ・う」の2つの音で、「じ」と「ゆ」がくっつくと「十」に聞こえます。や行の練習文で、「い」の口から次の音に移る練習をしておくと、言い分けやすくなります。

ら行のツッコミをはっきり言う

台本運動会のリレー(約15秒)

A運動会のリレー、最後まで歩いたよ。

Bなんで歩くの。

A「廊下は走らない」っていうルールだから。

Bここは校庭! リレーで、そのルールはいらない!

この掛け合いで笑いが起きるのは、Bのツッコミです。ツッコミには、ボケのどこがおかしいのかを、聞いている人に伝える役目もあります。「リレー」「ルール」「いらない」とら行が続くので、舌を軽くはじいて言いましょう。ほかのツッコミの言い回しも「ツッコミのワード一覧」から選んで、同じように声に出して練習できます。

スピーチや発表でかみやすい言葉の練習

本番でよく使う言葉も、前もって練習しておきます。結婚式のスピーチや会議の発表で使う言葉は、区切り方を決めておくと安心です。笑いの一言の直前でかむと、聞く人の気持ちが笑いから離れてしまいます。

言葉つまずきやすいところ練習のしかた
新郎新婦(しんろうしんぷ)「ん」のすぐあとに「ろ」が来る「しんろう・しんぷ」と2つに分ける
僭越(せんえつ)「ん」と「え」がつながり、「せねつ」になりやすい「せん・えつ」と区切ってからつなげる
ご列席(ごれっせき)ら行と小さい「っ」が続く「ご・れっ・せき」と3つに分ける
出張所(しゅっちょうじょ)「しゅ」「ちょ」「じょ」が続く「しゅっ・ちょう・じょ」と3つに分ける
生産性(せいさんせい)「せ」と「さ」が交互に来る母音読み「えいあんえい」で口を作る
取締役(とりしまりやく)「り」が2回ある「とり・しまり・やく」と分ける

「させていただきます」のような長い言い回しも、かみやすい言葉の1つです。「いたします」に言いかえると、短くなって言いやすくなります。スピーチの原稿を読み上げる時間は、「スピーチ時間の計算」で目安を確かめられます。

録音を聞くときに確かめること

  • 文の最後の音まで聞こえるか
  • 「し」と「す」、「ら」と「だ」が言い分けられているか
  • 「ん」や小さい「っ」が抜けていないか
  • オチやツッコミの言葉が、1回で聞き取れるか
  • 句読点のところで、息を吸えているか

よくある質問

有名な練習文も使ったほうがいいですか?

「外郎売(ういろううり)」は、歌舞伎のせりふが元になった長い練習文です。演劇やアナウンスの発声練習によく使われています。北原白秋の詩「五十音」も、行ごとに音を練習できる文として知られています。どちらも長く、昔の言葉が多いので、この記事の短い文に慣れてから挑戦すると続けやすくなります。

漫才のテンポを上げたいときも、ゆっくり練習するのですか?

はい。テンポのよさは、早口のことではありません。セリフはふつうの速さで言い、セリフとセリフのあいだのむだな間(ま)を詰めると、テンポよく聞こえます。間の取り方は「漫才の間とテンポの取り方」で紹介しています。

人前に出ると、緊張して早口になってしまいます。

緊張すると、息が浅くなって早口になりやすくなります。句読点のところで一度息を吸うと決めておくと、話す速さが落ち着きます。緊張しながら笑いを取る方法は「あがり症でも人を笑わせられる?」で紹介しています。

練習を続けても、話しにくさが変わりません。

話しにくさが長く続いて生活に困っている、急に話しにくくなった、という場合は、練習だけで何とかしようとしないでください。耳鼻咽喉科などの医療機関に相談すると、原因に合った方法を教えてもらえます。

まとめ

  • 笑いは聞き取れて初めて起きるので、オチやツッコミの言葉ほど最後の音まで言い切る
  • 毎日5分を、口の準備運動、母音読み、練習文、自分のセリフの順で行う
  • あ行〜わ行の練習文は1日2行ずつ回し、3文目のオチまではっきり言う
  • ボケとツッコミのセリフで、「ん」「っ」や似た音の言い分けを練習する
  • かみやすい言葉は区切り方を決め、話しにくさが続くときは医療機関に相談する
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