プレゼンで笑いを取るなら、ねらうのは大笑いではなく、聞き手の表情がふっとゆるむ小さな笑いです。笑いを入れる場所は、最初の30秒の「つかみ」と、難しい説明のあとの2か所が基本です。本題とつながる笑いにすると、仕事の場でも浮きません。
この記事では、プレゼンで使えるつかみの型と例文、笑いを入れる場所、仕事の場で気をつけたいことを紹介します。そのまま使える1分の冒頭の台本もあります。
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プレゼンの笑いは、本題を聞いてもらうために入れる
プレゼンの目的は、内容を理解してもらい、動いてもらうことです。笑いはそのための道具で、笑いを取ること自体が目的ではありません。
笑いが1つ起きると、会場の空気が少しやわらぎます。聞き手の緊張がほぐれ、話し手も落ち着いて話せるようになります。説明が続いて集中が切れかけたときにも、小さな笑いが気持ちを本題に引き戻してくれます。
だからこそ、本題と関係のある笑いを選ぶことが大切です。本題と関係のない小話は、笑いが起きても「今の話は何だったのか」と思われてしまいます。
笑いを入れる場所は5つ
プレゼンの中で、笑いが効きやすい場所は決まっています。10分ほどのプレゼンなら、このうち2〜3か所で十分です。
| 場所 | ねらい | 入れ方の例 |
|---|---|---|
| 最初の30秒(つかみ) | 会場の緊張をほぐす | 手を挙げてもらう質問、その場の出来事 |
| 難しい説明のあと | 集中を戻す | 「いちばん難しいところは終わりました」 |
| 数字を見せるとき | 印象に残す | 身近なものに置きかえて言う |
| 苦労や失敗の話 | 親しみを持ってもらう | 自分の小さな失敗を一言だけ |
| 質疑応答の前 | 質問しやすくする | 「質問がなければ、私から皆さんに質問します」 |
つかみとは、話の最初に聞き手の心をつかむ一言のことです。反対に、締めには笑いを入れず、いちばん伝えたいことを言って終えましょう。最後が冗談だと、大事な結論の印象が薄れてしまいます。
結婚式や送別会のスピーチで笑いを入れるときの考え方は「スピーチで笑いを取るコツ」で紹介しています。
つかみの5つの型と例文
型1:手を挙げてもらう
誰もが「ある」と思える質問をして、手を挙げてもらう型です。聞き手が体を動かすと、会場の空気が動きます。笑いが起きなくてもそのまま本題に入れるので、いちばん失敗しにくい型です。
「始める前に、1つだけ質問させてください。今週、資料を探して、フォルダを3つ以上開いた方はいますか。……ありがとうございます。私も今朝、4つ開きました。今日は、その時間を減らすためのご提案です」
型2:期待を少し下げる
最初に話す量や、自分へのハードルを少し下げておくと、聞き手は気楽に聞き始められます。言い終えたら、すぐ本題に入りましょう。
「今日お話しすることは、3つだけです。途中で4つ目を思いついても、言わないように気をつけます」
型3:前の発表やその場の出来事に触れる
その場でしか言えない話は、準備してきた冗談より自然に伝わります。前の発表者の話に触れるときは、相手を立てる言い方にしましょう。
「さきほどの発表のスライド、とても見やすくて感心しました。私のスライドはあそこまできれいではないので、中身で勝負させてください」
型4:自分の小さな失敗から入る
本題につながる小さな失敗は、親しみやすさと話のきっかけを同時に作れます。失敗は一言で終え、長く話しすぎないのがコツです。
「先月、同じ内容の打ち合わせに、2回出てしまいました。1回目の議事録が、どこにあるか分からなかったんです。今日は、議事録の置き場所を1つにまとめるご提案です」
型5:1枚目のスライドに一言足す
タイトルの下に、かっこ書きで本音を一言添える型です。話し始める前から聞き手の目に入るので、緊張しやすい人にも向いています。
経費精算を5分で終わらせる方法
(この発表で、いちばん救われるのは私です)
場面別・つかみの一言
| 場面 | つかみの一言の例 |
|---|---|
| 社内の定例報告 | 「今月の報告は、いい知らせが2つと、まあまあの知らせが1つです」 |
| 新しい企画の提案 | 「この企画書は3回書き直しました。今日お見せするのは4代目です」 |
| 研修の講師 | 「お昼のあとなので、眠くなったら遠慮なく立って聞いてください。私もずっと立っています」 |
| 新人の発表 | 「入社して3か月、まだ社内で迷子になります。今日は迷子にならないよう、話す順番を決めてきました」 |
| お客さまへの説明 | 「今日は専門用語を使わないとお約束します。もし使ったら、手を挙げて止めてください」 |
| オンラインの発表 | 「画面の向こうでうなずいていただけると、とても助かります。見えていると信じて進めます」 |
そのまま使える1分の冒頭の台本
社内で「会議を短くする」提案をするときの冒頭の例です。〇〇の部分と、質問の中身を自分の本題に合わせて書きかえて使ってください。
台本社内提案の冒頭(約1分)
(スライド1枚目「会議を30分にする提案」を映す)
発表者皆さん、お疲れさまです。営業企画の〇〇です。
発表者始める前に、1つだけ質問させてください。
発表者先週、1時間の会議で「これ、メールでよかったな」と思ったことがある方。
(会場を見て、手が挙がるのを少し待つ)
発表者……ありがとうございます。思ったより多くて、少し安心しました。
発表者今日は、その「メールでよかった時間」を減らすご提案です。
発表者お話しすることは3つだけです。この発表も、30分を超えないように気をつけます。
(スライドを1枚進める)
発表者まず、今の会議の時間を数えてみました。
手を挙げてもらう質問は、誰でも「ある」と思えて、本題につながるものにしています。挙がった手に「少し安心しました」と一言返すと、会場とのやり取りが生まれます。「この発表も30分を超えないように」は、提案の中身と結びついた笑いです。つかみのあとは、すぐに本題に入っています。
難しい説明のあとに入れる「一息の笑い」
数字や仕組みの説明が続くと、聞き手は少しずつ疲れてきます。話の区切りで一言入れると、聞き手の気持ちが戻ってきます。
「ここが、今日いちばん難しいところでした。ここから先は下り坂です」
「この表は、作った私も3回迷子になりました。見ていただきたいのは、この1行だけです」
「数字が続いたので、ここで一度、深呼吸をどうぞ。私もします」
数字を見せるときは、身近なものに置きかえると、印象に残りやすくなります。計算のもとにした条件は、スライドの隅に小さく書いておきましょう。
「毎日の会議を10分短くすると、1年で40時間ほどになります。映画なら、20本分です」
(1年の出勤日を240日、映画1本を2時間として計算)
仕事の場で笑いを入れるときの注意
入れないほうがいい笑い
仕事のプレゼンで避けたい笑い
- お客さまや上司、ほかの部署をいじる冗談
- 他社やほかの商品を笑いものにする話
- 見た目・年齢・性別・出身にふれる冗談
- 部署の中だけで通じる内輪の話
悪い知らせや謝罪、トラブルの報告では、笑いを入れません。聞き手が真剣に受け止めたい話で冗談を言うと、問題を軽く扱っているように見えてしまいます。
笑いが起きなくても止まらない
つかみで笑いが起きなくても、気にせず本題に進みましょう。笑いを待ってだまってしまうと、会場の空気が重くなります。どうしても間が気になるときは、「では、本題で取り返します」と一言だけ添えて進めます。ほかの立て直しの一言は「滑ったときの返し方」にもあります。
オンラインのプレゼンでは
オンラインでは、聞き手がマイクを切っていることが多く、笑いが起きても聞こえません。笑いを待たずに、ふだんより短い間で次へ進みましょう。「チャットに一言で答えてください」のように、文字で反応してもらう問いかけも使えます。
本番の前に確かめること
- つかみは30秒以内に収まっているか
- 笑いの部分が、本題とつながっているか
- 誰かをいじる言葉や、内輪の話が入っていないか
- 笑いが起きなかったときの一言を決めてあるか
- 締めは、笑いではなく大事な結論で終わるか
よくある質問
人を笑わせるのが苦手です。笑いは入れなくてもいいですか?
入れなくても、プレゼンは成り立ちます。入れるなら、型1の「手を挙げてもらう」から試してみてください。笑いが起きなくても、聞き手が参加した時点で、会場の空気は動いています。
役員や大事なお客さまの前でも、笑いを入れていいですか?
入れるなら、冒頭のつかみ1つにしぼるのが安心です。自分のことを少し下げる型2や型4のように、誰も傷つかない笑いを選びましょう。大事な数字や結論の部分は、まじめに話します。
緊張して、つかみを言う余裕がありません。
つかみをスライドの1枚目に書いてしまう型5がおすすめです。言葉にしなくても、聞き手の目に入った時点で笑いのきっかけになります。緊張そのものを和らげたい人は「あがり症を克服したい人へ」も読んでみてください。
まとめ
- プレゼンの笑いは、本題を聞いてもらうための道具として入れる
- 笑いを入れる場所は、最初の30秒と、難しい説明のあとが基本
- つかみは、手を挙げてもらう、期待を下げる、その場に触れる、などの型から選ぶ
- 誰かをいじる笑いや内輪の話は避け、締めは大事な結論で終える
- 笑いが起きなくても、待たずに本題へ進む






