例えツッコミのコツは、相手の様子から「いちばん目立つ特徴」を1つ選び、同じ特徴を持つ身近なものに置きかえることです。「特徴を決める、似たものを探す、短く言う」の3つの手順で考えると、センスに頼らなくても例えが作れます。
この記事では、上手な例えを作る手順と、伝わる例え・伝わらない例えの違いを紹介します。後半には、場面別のオリジナルの例を30個まとめました。
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例えツッコミとは? ふつうのツッコミとの違い
例えツッコミとは、おかしなところを、別のものに例えて指摘するツッコミです。ふつうのツッコミが「おかしい」と言うのに対して、例えツッコミは「何に似ているか」を言います。
| 場面 | ふつうのツッコミ | 例えツッコミ |
|---|---|---|
| 会議が予定より1時間のびた | 「長すぎない?」 | 「もう映画1本分だよ」 |
| 玄関に家族の靴がずらりと並んでいる | 「靴、多すぎない?」 | 「玄関が、靴屋さんの棚みたい」 |
| 友人の前置きが長く、本題に入らない | 「早く本題に入って」 | 「予告編が長いね。本編はいつ?」 |
例えツッコミで笑いが起きるのは、聞いた人の頭に2つの絵が同時に浮かぶからです。「長い会議」と「映画」が重なったとき、「確かに似てる」という発見が生まれます。正しく指摘するより、「確かに」と思わせることが、例えツッコミの目的です。
ほかのツッコミの型もあわせて知りたい人は、「ツッコミが上手くなる方法」から読むと、全体がつかめます。
上手な例えを作る3つの手順
例えは、ひらめきで出てくるものに見えます。けれども、手順に分けて考えれば、誰でも作れるようになります。
手順1:特徴を1つにしぼる
最初に、目の前の様子の「どこがふつうと違うのか」を見つけます。特徴をいくつも詰めこむと、例えがぼやけてしまいます。次の6つの視点から、いちばん目立つものを1つ選びましょう。
| 視点 | 自分に聞くこと | 特徴の例 |
|---|---|---|
| 量 | 多すぎる? 少なすぎる? | 書類が山のように積んである |
| 時間 | 長すぎる? 短すぎる? | 会議が予定よりのびた |
| 速さ | 速すぎる? 遅すぎる? | パソコンの起動が遅い |
| くり返し | 何度も起きている? | 同じ議題が何度も出てくる |
| 形・色 | 何かの形や色に見える? | お弁当のおかずが茶色い |
| 動き | 行ったり来たりしている? | コーヒーを何度も温め直す |
手順2:同じ特徴を持つものを探す
特徴を言葉にしたら、「ほかに〇〇なものは?」と自分に聞きます。乗り物、食べ物、季節の行事、お店、家電、自然など、身近なものの中から3つ以上挙げてみましょう。候補を並べてから、いちばん伝わりそうなものを選びます。
特徴:本題の前の話が、長く続く
似たもの:映画の予告編、長いトンネル、遠回りのバス
選んだもの:映画の予告編(誰でも知っていて、「本編の前」がそのまま伝わる)
言い方:「予告編が長いね。本編はいつ?」
手順3:短く言い切る
最後に、例えを短い一言にします。よく使う言い方の形は、次の4つです。
| 言い方の形 | 例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 「〜みたい」 | 「靴屋さんの棚みたい」 | どんな相手にも使いやすい |
| 「もう〜だよ」 | 「もう映画1本分だよ」 | 大げさにして笑いたいとき |
| 「〜の〇〇」 | 「トッピングの福袋だね」 | ものに名前をつけて短く決めたいとき |
| 「〜か」 | 「各駅停車か」 | 仲のよい相手と、テンポよく話すとき |
例えを言ったあとに、「だって〜だから」と理由を足すのはやめましょう。説明すると、相手が自分で気づく楽しさがなくなってしまいます。
伝わる例えと、伝わらない例えの違い
伝わる例えには、「誰でも知っている」「すぐ絵が浮かぶ」「一言で言える」「誰も傷つけない」という4つの条件があります。どれかが欠けると、上手な例えでも笑いにつながりません。よくある失敗と、直し方を表にまとめました。
| 伝わらない理由 | 伝わりにくい例え | 直した例え |
|---|---|---|
| 一部の地域の人しか知らない | 「この渋滞、地元の〇〇橋みたい」 | 「この渋滞、初もうでの行列みたい」 |
| 一部の世代しか知らない | 子どものころに流行った遊びや番組 | 季節の行事や食べ物など、世代を問わないもの |
| 長くて、絵が浮かぶ前に終わる | 「この机、引っ越し前日の押し入れの奥の段ボールみたい」 | 「この机、押し入れみたい」 |
| 専門的すぎる | 趣味や仕事の専門用語を使った例え | 家の中や街で見かけるものの例え |
人の見た目に例えない
人の見た目や体型、年齢を何かに例えるのは、ツッコミではなく、からかいになりやすい言い方です。実在の人に例えるのも、その人を笑いものにしかねません。例えるのは、出来事や物、その場の状況にしましょう。
場面別・オリジナルの例えツッコミ30
ここからは、場面別の例を30個紹介します。「使った特徴」の列を見ると、手順1で何を選んだのかが分かります。自分で例えを作るときの手本にしてください。
家・生活の例え10
| 場面 | 例えツッコミ | 使った特徴 |
|---|---|---|
| 洗濯物を何日もソファに積んだまま | 「ソファが、ワゴンセールの売り場になってるよ」 | 山積みから選んで取る |
| 冷蔵庫に調味料しか入っていない | 「冷蔵庫が、調味料の博物館になってる」 | 並んでいるのに食べられない |
| スマホの充電が、いつも残りわずか | 「その充電、給料日前のお財布みたいだね」 | いつもぎりぎり |
| 目覚まし時計を5個かけている | 「目覚まし5個は、もう朝の合唱団だよ」 | たくさん鳴る |
| リモコンが毎回ソファのすき間から出てくる | 「ソファのすき間が、リモコンの実家になってる」 | いつも同じ場所に帰る |
| お風呂に1時間半入っていた | 「1時間半は、もう日帰り温泉だよ」 | 長い滞在 |
| 毎朝、家の鍵が見つからない | 「その鍵、毎朝かくれんぼしてるね」 | 隠れて見つからない |
| 引き出しに割りばしが何十本もある | 「その引き出し、割りばしの貯金箱だね」 | 少しずつたまる |
| コーヒーを何度も温め直している | 「そのコーヒー、レンジと机を通勤してるね」 | 行ったり来たり |
| 家じゅうの電気がついている | 「家が、夜の遊園地みたいに光ってるよ」 | 全部が明るい |
職場・学校の例え10
| 場面 | 例えツッコミ | 使った特徴 |
|---|---|---|
| 会議で同じ議題が何度も出る | 「この議題、回転ずしみたいに回ってくるね」 | 同じものが何度も来る |
| メールの返事が何日も来ない | 「そのメール、宇宙に送った?」 | 遠くて返事が来ない |
| 机の上に書類が積み重なっている | 「机の上、地層みたいになってるよ」 | 古いものが下に重なる |
| 資料に付せんがびっしり貼ってある | 「付せんだらけで、資料がクジャクになってる」 | 色とりどりに広がる |
| パソコンの起動がとても遅い | 「このパソコン、朝に弱い人みたいだね」 | なかなか動き出さない |
| やることを片づけても、次々に増える | 「その仕事、わんこそばみたいに次が来るね」 | 終わるとすぐ足される |
| エレベーターが全部の階に止まる | 「このエレベーター、各駅停車だね」 | 全部に止まる |
| 全員の予定が合う日が見つからない | 「日程調整が、パズルの最後の1ピースだね」 | あと少しで決まらない |
| 会議室の冷房が効きすぎている | 「この会議室、冷蔵庫の中みたいだね」 | とても寒い |
| ホワイトボードが書き込みで埋まっている | 「ホワイトボードが、テスト前日のノートみたい」 | すき間なく書いてある |
食事・おでかけ・会話の例え10
| 場面 | 例えツッコミ | 使った特徴 |
|---|---|---|
| ラーメンのトッピングを全部のせた | 「それ、トッピングの福袋だね」 | 全部入り |
| 2泊の旅行に大きなスーツケース | 「2泊でその荷物? もう引っ越しだよ」 | 量が多い |
| 財布がポイントカードでふくらんでいる | 「財布が、カードの図書館になってるね」 | たくさん並んで入っている |
| 旅行の計画表が分きざみで書いてある | 「その計画表、新幹線の時刻表みたいだね」 | 分単位で細かい |
| 料理の写真を撮るのに5分かけている | 「その撮影、雑誌の表紙を撮ってるみたい」 | こだわって何枚も撮る |
| お弁当のおかずが全部茶色 | 「お弁当、秋の山みたいな色だね」 | 茶色が多い |
| 「ちょっと寄り道」が2時間になった | 「その寄り道、もう遠足だよ」 | 長くて楽しい外出 |
| 「あと5分」と言ってから30分たった | 「その5分、時差があるね」 | 時間がずれている |
| 話がどんどん別の話題に移っていく | 「話が、乗りかえを3回してるよ」 | 次々に移る |
| メニュー選びがなかなか終わらない | 「メニュー選び、延長戦に入ったね」 | 決着がつかず長引く |
例えを使うのは1回の会話で1〜2回まで
上手な例えも、続けて言うと「狙っている」感じが出てしまいます。ここぞという場面で1回使うほうが、印象に残ります。
例えが浮かぶようになる練習
例えを作る力は、「特徴を見つける」と「似たものを思い出す」の練習で育ちます。身の回りの物を1つ選んで、連想を書き出す「連想メモ」がおすすめです。連想とは、1つのことから別のことを思い浮かべることです。
- 時間
- 10分
- 人数
- 1人
- 準備物
- 紙とペン(スマホのメモでも可)
- 難しさ
- ★
- 身の回りの物を1つ選ぶ(洗濯ばさみ、傘、電子レンジなど)
- その物の特徴を3つ書く(形、動き、使われ方など)
- 特徴ごとに、同じ特徴を持つものを3つずつ書く
- いちばん伝わりそうなものに丸をつけ、「〜みたい」の形で言ってみる
特徴1:口を開けたり閉じたりする → ワニ、カスタネット、トング
特徴2:はさんだら、なかなか離さない → カニのはさみ、クリップ、だだをこねる子ども
特徴3:ずらりと並んでぶら下がる → 干し柿、風鈴の売り場、つり革
丸をつけたもの:ワニ(形も動きも、すぐ絵が浮かぶ)
1日1つ、「〇〇みたい」と思ったことをメモに残すだけでも、例えの引き出しは増えていきます。毎日続けられる練習メニューは、「笑いのセンスを磨くには?」でも紹介しています。
よくある質問
例えが長くなってしまいます。
特徴を2つ以上入れていないか見直しましょう。「古くて、多くて、散らかっている」のように特徴が重なると、例えも長くなります。いちばん目立つ特徴を1つだけ残すと、短く言えるようになります。
思いつくまでに時間がかかって、会話に間に合いません。
会話の中で、その場で作る必要はありません。「長い」「多い」「何度も」など、よく出会う特徴に合わせた例えを、ふだんから2〜3個ずつ用意しておきましょう。用意した例えでも、場面に合っていれば十分に笑いになります。
例えがすべったときは、どうすればいいですか?
説明はしないで、「今のは、ちょっと遠かったね」と自分で軽く認めましょう。気まずさを引きずらずに、次の話へ進めます。立て直しの一言は「滑ったときの返し方」にまとめています。
まとめ
- 例えツッコミは、いちばん目立つ特徴を1つ選び、同じ特徴を持つ身近なものに置きかえる
- 手順は「特徴を決める、似たものを探す、短く言う」の3つ
- 誰でも知っていて、すぐ絵が浮かぶものに例え、理由の説明は足さない
- 人の見た目や年齢には例えず、出来事や物に例える
- 連想メモを続けると、例えの引き出しが増える






