いじられたときは、まず相手の言葉を一度受け止めてから、少しずらして返すのが基本です。「認めて上乗せする」「開き直る」など、返しの型をいくつか持っておくと、とっさでも言葉が出やすくなります。
ただし、嫌だと感じたら、笑って流す必要はありません。この記事では、いじりを笑いに変える返しの型と例文に加えて、嫌なときに関係を壊さずに伝える言い方も紹介します。
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最初に見分けたい「笑えるいじり」と「嫌ないじり」
いじりとは、相手の失敗やくせを話題にして、からかうように笑いを取ることです。同じ言葉でも、内容や言われ方によって、笑える場合と傷つく場合があります。返し方を考える前に、そのいじりがどちらなのかを見分けましょう。
| くらべること | 笑えるいじり | 嫌ないじり |
|---|---|---|
| 内容 | 自分で選んだ行動や、小さな失敗 | 見た目、年齢、家族、出身、隠したいこと |
| 回数 | その場の1回で終わる | 会うたびに、何度もくり返される |
| 立場 | 言い返しても大丈夫な関係 | 立場の差があって言い返せない |
| 言われたあと | 一緒に笑って終われる | あとまで、もやもやが残る |
嫌かどうかを決めるのは、言われた自分です。 周りが笑っていても、相手に悪気がなくても、嫌なら嫌でかまいません。見た目や年齢、名前などをいじられたときの対応は、「見た目や年齢をいじられたときの返し方」でくわしく紹介しています。
いじりを笑いに変える返しの5つの型
笑えるいじりなら、返し方しだいで、その場の笑いを大きくできます。いじりは、相手から投げられた「話のボール」のようなものです。上手に受けて返すと、いじった人も、いじられた自分も、一緒に笑って終われます。
| 型 | やること | 言い方のひな形 |
|---|---|---|
| 1. 認めて上乗せ | いじりを認めて、さらに話を足す | 「そうなんです。しかも〜」 |
| 2. 開き直る | 堂々と言い切って、胸を張る | 「任せてください。〜」 |
| 3. 大げさを直す | 言いすぎたところだけ訂正する | 「〜じゃないです。〜くらいです」 |
| 4. 助けを求める | 相手を味方に引きこむ | 「じゃあ、〜してもらえませんか」 |
| 5. 軽くお返し | 相手にもやわらかく返す | 「〇〇さんこそ、〜ですよね」 |
1. 認めて上乗せ
いじりを否定せずに「そうなんです」と認め、さらに一言足す型です。否定しないので、いじった側も気まずくなりません。足す一言は、相手の予想より少しだけ大げさにすると笑いになります。
台本待ち合わせに、いつも最後に着くとき
先輩また最後に登場だね。主役は遅れて来るってやつ?
自分そうなんです。しかも今日は、登場の音楽まで考えてきました。
2. 開き直る
苦手なことを言われたときに、あえて自信満々に言い切る型です。言っている内容と、堂々とした態度のずれが笑いを生みます。
台本方向音痴をいじられたとき
友人〇〇に道案内させたら、今日中に着かないよ。
自分任せて。どこかには、ちゃんと着くから。
3. 大げさを直す
いじりの中の大げさな部分だけを直し、残りは少し認める型です。全部を否定しないのがコツです。
台本字のくせをいじられたとき
同僚この字、暗号?
自分暗号じゃないです。読める人が、まだ3人しかいないだけです。
4. 助けを求める
いじってきた相手に、そのまま助けを頼む型です。いじりが「手伝ってもらうきっかけ」に変わるので、職場で特に使いやすい返しです。
台本機械の操作が苦手なとき
先輩またコピー機と戦ってるの? 嫌われてるね。
自分はい、片思いなんです。仲を取り持ってもらえませんか。
先輩しょうがないなあ。ここを押すんだよ。
5. 軽くお返し
相手にも、同じくらいの軽さで返す型です。お返しの内容は、相手の行動や好みにしましょう。仲のよい相手が、笑って受けてくれる関係のときだけ使います。
台本毎日同じお昼ごはんをいじられたとき
同僚またおにぎり2個?
自分はい、具で毎日勝負してます。〇〇さんこそ、毎日カレーパンですよね。
同僚……それは言わないで。
お返しは「同じ重さ」まで
いじられた仕返しに、相手の見た目や失敗を強く言い返すと、言い合いになってしまいます。お返しは、言われたことと同じくらいの軽い話題にとどめましょう。
場面別・いじられたときの返し例
よくある場面で、いじりと返しの例をまとめました。どれも、自分で選んだ行動や小さなくせへのいじりです。自分の場面に近いものを、言いやすい言葉に直して使ってください。
| 場面 | 言われたこと | 返しの例 | 型 |
|---|---|---|---|
| 職場 | 「〇〇さんの机、何がどこにあるか分かるの?」 | 「分かります。ただ、分かるのは私だけです」 | 認めて上乗せ |
| 職場 | 「早口すぎて、半分しか聞き取れなかったよ」 | 「すみません、倍速でした。もう一度、等速でお話しします」 | 認めて上乗せ |
| 職場 | 「その質問、もう会議の名物だね」 | 「はい、毎回新鮮な気持ちで聞いています」 | 開き直る |
| 友人 | 「〇〇が来ると、だいたい雨だよね」 | 「今日も傘は3本持ってきた。配るね」 | 開き直る |
| 友人 | 「カラオケ、またその曲?」 | 「うん。あと3年は歌う予定」 | 開き直る |
| 友人 | 「集合時間、また1時間早く来てたの?」 | 「1時間じゃないよ、50分。場所取りしといた」 | 大げさを直す |
| 家族 | 「今日の煮物、また新しい味だね」 | 「毎回、一期一会でお届けしています」 | 開き直る |
| 食事の席 | 「また最後までメニューで迷ってるね」 | 「全部のメニューに失礼のないよう、読んでるところです」 | 開き直る |
返しのあとは、自分から話題を次に進めると、いじりが長引きません。「それより、〇〇さんの週末はどうでした?」のように、相手に話を渡すと自然です。とっさの返しをもっと増やしたい人は、「返しが上手い人になるには?」も参考にしてください。
返すときの表情と間の取り方
同じ返しでも、言い方しだいで伝わり方が変わります。言葉の上手さより、落ち着いて見えることのほうが大切です。型ごとに、合う表情と声の出し方をまとめました。
| 型 | 表情 | 声と間 |
|---|---|---|
| 認めて上乗せ | にこやかに | 「そうなんです」のあとに1拍おき、上乗せを言う |
| 開き直る | 真顔で、胸を張る | 少しゆっくり、低めの声で言い切る |
| 大げさを直す | 少し困ったような笑顔 | 訂正は短く、最後の一言をはっきり言う |
| 助けを求める | 相手を頼る表情 | 語尾を上げて、問いかけにする |
| 軽くお返し | いたずらっぽい笑顔 | 軽く言って、すぐ自分も笑う |
いじられた直後に、すぐ返そうとしなくて大丈夫です。1拍おいてから返すと、焦っていない印象になります。大勢の前でいじられたときも、返す相手は、いじってきた1人だけで十分です。
返しが思いつかないときの「つなぎの一言」
型を覚えていても、言葉が出てこないときはあります。そんなときは、どんないじりにも使える「つなぎの一言」で受けて、話を進めましょう。
- 「そこ、拾います?」
- 「今それ言います?」(笑顔で)
- 「ちょっと持ち帰って、検討させてください」
- 「よく見てますね。……では、本題に戻りましょう」
つなぎの一言は、笑いを取るためというより、その場を軽く終わらせるための言葉です。言えなかった返しは、あとでメモに残しておくと、次に似たいじりが来たときに使えます。
嫌なときは、はっきり伝えていい
いじりが嫌だと感じたら、笑いで返す必要はありません。愛想笑いをすると、相手は「このいじりは大丈夫」と受け取り、同じことをくり返しがちです。最初は笑えたいじりでも、何度も続くと嫌になることがあります。
伝えるときは、次の順番で考えると、関係を壊しにくくなります。
- 愛想笑いをやめて、表情で「笑っていない」ことを見せる
- その場で短く止める(「その話は、ここまでにしましょう」)
- 続くなら、二人きりのときに、何が嫌なのかを具体的に伝える
- それでも続くなら、信頼できる人や相談窓口に相談する
| 段階 | 言い方の例 |
|---|---|
| 軽く止める | 「その話は、ここまでにしておきましょう」 |
| 気持ちを伝える | 「それを言われるのは、正直ちょっと苦手なんです」 |
| はっきり断る | 「前にもお伝えしましたが、その話はやめてください」 |
〇〇さん、少しよろしいですか。
会議のときに、私の字のことを言われるのが、みんなの前だと正直つらいんです。
冗談なのは分かっているのですが、これからは控えていただけるとうれしいです。
「冗談だよ」と言われたら、「冗談なのは分かっています。それでも、私は嫌なんです」と、もう一度伝えて大丈夫です。気持ちを伝えるのは、わがままではありません。
職場でいじりが続くとき
内容や回数によっては、職場のいじりがハラスメントにあたることもあります。一人で抱えこまず、社内の相談窓口や信頼できる上司に相談しましょう。言われた日時と言葉をメモしておくと、相談するときに役立ちます。
よくある質問
いじられキャラから抜け出したいです。
「開き直る」返しばかりだと、いじってもよい人だと思われやすくなります。「大げさを直す」型を増やし、嫌ないじりには段階を追って伝えましょう。自分から話題を出す側に回ることも、印象を変える助けになります。
自分がいじる側になるとき、気をつけることは?
相手が変えられないことや、隠したいことは話題にしないことです。言うのは1回だけにして、相手の表情が本当に笑っているかを確かめましょう。人をいじるより、自分の小さな失敗を話すほうが安心です。そのコツは「自虐ネタの例と使い方」で紹介しています。
上司からのいじりにも、返していいですか?
笑えるいじりなら、敬語のまま「認めて上乗せ」や「助けを求める」型で返すと、失礼になりにくくなります。「軽くお返し」の型は、目上の人には使わないほうが安心です。
まとめ
- いじりは、まず受け止めてから、少しずらして返す
- 「認めて上乗せ」「開き直る」「大げさを直す」「助けを求める」「軽くお返し」の5つの型を持っておく
- 返しが思いつかないときは、つなぎの一言で次の話へ進める
- 嫌なときは愛想笑いをせず、短く、はっきり伝えてよい






