滑ったとき(冗談がウケなかったとき)は、ごまかさずに、滑ったことを自分で短く認めるのがいちばん立て直しやすい返しです。「今のは、なかったことにしてください」のような一言で、気まずい空気が小さな笑いに変わることがあります。
この記事では、滑ったときに自分でツッコむ一言の型と、雑談・スピーチ・プレゼンなど場面別の例を紹介します。周りの人が滑ったときの助け方もまとめました。
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滑ったときにやりがちな、逆効果の対応
滑った直後は、誰でも焦ります。焦ってとっさにやってしまう対応の中には、気まずさを長引かせるものがあります。まずは、避けたい対応を知っておきましょう。
| やりがちなこと | なぜ逆効果か | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 冗談の意味を説明する | 笑いどころを解説すると、さらに冷える | 説明せずに、一言で認める |
| 同じ冗談をもう一度言う | 聞こえなかったのではなく、伝わらなかったことが多い | 次の話に進む |
| 聞き手のせいにする | 聞き手が責められた気持ちになる | 自分の側で引き取る |
| 黙って固まる | 気まずい時間が長く続く | 用意した一言を言って、次へ進む |
滑ったときに大事なのは、笑いを取り返すことではありません。気まずい時間を短くすることです。そのために、あらかじめ「滑ったときに言う一言」を決めておきましょう。
立て直しの一言:自分でツッコむ5つの型
自分でツッコむとは、滑ったことを自分で認めて、軽く指摘することです。聞き手は「笑わなくてもよかったんだ」とほっとして、そこで小さな笑いが起きることもあります。使いやすい一言を、5つの型に分けました。
| 型 | 一言の例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 1. 認める | 「……はい、今のは練習です」 | 雑談、少人数の集まり |
| 2. 取り消す | 「今のは、なかったことにしてください」 | どの場面でも |
| 3. 実況する | 「静かですね。今、皆さんの優しさを感じています」 | 大勢の前 |
| 4. 持ち帰る | 「今の冗談は、いったん持ち帰って検討します」 | 職場、会議 |
| 5. 本題に戻る | 「気を取り直して、本題に戻ります」 | スピーチ、プレゼン |
型ごとに、言い方をいくつか持っておく
同じ一言ばかり使うと、だんだん効き目が弱くなります。型ごとに言い方をいくつか持っておき、場面や相手で使い分けましょう。
| 型 | ほかの言い方 |
|---|---|
| 認める | 「今の、心の中で言うつもりでした」/「思ったより静かでしたね」 |
| 取り消す | 「さっきの一言は、記憶から消しておいてください」/「今のは、聞かなかったことに」 |
| 実況する | 「今、時間が少し止まりましたね」/「こういう静けさも、きらいじゃないです」 |
| 持ち帰る | 「改善して、次の会議で再提出します」/「この冗談は、もう少し寝かせておきます」 |
| 本題に戻る | 「では、ここからはまじめにいきます」/「笑いはここまでにして、大事なお話をします」 |
言うタイミングは「一拍おいてから」
滑ったと分かった瞬間に言うと、焦っているように見えます。一拍おいて、笑いが起きないと分かってから、落ち着いて言いましょう。声は少し小さめ、表情は少し照れたくらいがちょうどよい加減です。
一言は1回だけにして、すぐ次へ
立て直しの一言は、1回で十分です。「また滑った」「今日はだめだ」とくり返すと、かえって場が重くなります。言い終えたら、すぐに次の話へ進みましょう。
場面別・滑ったときの一言の例
同じ「立て直しの一言」でも、場面によって合う型は変わります。よくある5つの場面で、滑った冗談と立て直しの流れを紹介します。
自己紹介で
新しい職場や集まりの自己紹介では、「認める」型で軽く受けてから、名前をもう一度言い直しましょう。滑ったことがきっかけで、かえって名前を覚えてもらえることもあります。
「〇〇です。名前だけでも覚えて帰ってください。……あ、ここが職場でした」
(反応がない)
「……今のは、緊張をほぐす練習でした。改めまして、〇〇です。よろしくお願いします」
雑談・飲み会で
雑談では、「取り消す」型が使いやすい一言です。取り消したら、すぐに話の続きに戻ります。
「最近、毎朝5時に起きてるんです。……目覚ましが」
(反応がない)
「……はい、今のはなかったことにしてください。で、本題なんですけど」
スピーチ・挨拶で
スピーチでは、「本題に戻る」型を使い、話の流れを止めないようにします。結婚式や送別会では、滑ったことより、そのあとのまじめな言葉のほうが印象に残ります。
「本日は緊張で、昨夜は3時間も眠れませんでした。……残りの5時間は、ぐっすりでした」
(会場が静か)
「……私の緊張がほぐれたところで、お祝いの言葉に移ります」
スピーチに笑いを入れる場所や、滑りにくい冗談の選び方は「スピーチで笑いを取るコツ」で紹介しています。余興で滑ったときは「結婚式の余興の失敗例と防ぎ方」も参考にしてください。
プレゼン・会議で
仕事の場では、「持ち帰る」型が自然です。会議でよく使う言葉を使うので、それ自体が小さな笑いになります。
「この新しい手順で、作業時間は半分になります。浮いた時間で、昼寝もできます」
(反応がない)
「……昼寝の件は、いったん持ち帰ります。では、具体的な手順です」
プレゼンで笑いを入れる場所は「プレゼンで笑いを取るには?」にまとめています。
メッセージやチャットで
文字のやりとりでは、反応がないのが滑ったしるしです。続けて冗談を送って取り返そうとせず、短く流して本題に戻りましょう。
「さっきのは流してください。本題ですが、明日の集合は9時で大丈夫ですか?」
周りの人が滑ったときの助け方
誰かが滑ったときは、周りの人の一言で、気まずさが笑いに変わることがあります。いちばんの助けは、滑った冗談を拾ってツッコむことです。ツッコミとは、話の中のおかしなところを指摘して、笑いに変える一言のことです。
先ほどの「目覚ましが」の冗談を、周りの人が拾った場合の例です。
台本同僚の冗談が滑ったとき(約20秒)
同僚最近、毎朝5時に起きてるんです。……目覚ましが。
(少し静かになる)
自分目覚ましだけ早起きして、本人は寝てるんですね。
同僚そうなんです。目覚ましに申し訳なくて。
(周りが笑う)
拾い方は、ツッコミのほかにもあります。
- 意味を補う:「〇〇さん、それって〜ってことですよね」
- 話を引き取る:「そういえば、〇〇の件って」
- あとで一言かける:「さっきの、私は好きでした」
滑った本人は、あとまで気にしていることが多いものです。「好きでした」の一言があるだけで、次も安心して話せるようになります。
スピーチや余興など、大勢の前で誰かが滑ったときは、近くの人が小さく笑ったり、うなずいたりするだけでも助けになります。話の区切りで拍手をすると、話す人は落ち着いて続けられます。
反対に、「寒っ」「滑ったね」と大きな声で言うのは、追い打ちになるので避けましょう。会話でのツッコミの入れ方は「ツッコミが上手くなる方法」で紹介しています。
滑ったあとの気持ちの切り替え
滑るのは、人前で話す人なら誰にでもあることです。1回滑っただけで、あなたへの評価が決まるわけではありません。周りの人は、滑ったことより、そのあとの落ち着いた対応のほうをよく覚えています。
振り返りは、原因を1つ見つけるだけで十分です。次のどれかに当てはまっていないか、確かめてみましょう。
滑ったあとに1つだけ振り返ること
- 内輪の話で、知らない人がいなかったか
- 前置きが足りず、何の話か伝わっていなかったか
- 相手の話にかぶせて言っていなかったか
- 真剣な話の最中など、冗談を言う空気ではなかったか
原因が分かったら、次はそこだけ直せば大丈夫です。全部を反省しようとすると、話すこと自体が怖くなってしまいます。
よくある質問
滑るのが怖くて、冗談が言えません。
滑ったときの一言を、先に1つ決めておきましょう。「なかったことにしてください」で戻れると分かっていれば、気軽に冗談を言えるようになります。最初は、仲のよい人との会話で試すと安心です。
同じ人の前で、何度も滑ってしまいます。
その人の好みに、冗談の種類が合っていないのかもしれません。しばらくは自分から冗談を言うより、相手の話を拾って広げる側に回ってみましょう。相手が何で笑うのかが見えてきます。
スピーチの途中で滑って、頭が真っ白になりました。
「失礼しました」と一言だけ言って、原稿やメモの次の一文を読みましょう。立て直しの一言が出なくても、話を先に進めれば、聞き手はすぐに次の話に集中します。原稿やメモを手元に置いておくと、こうしたときの支えになります。
目上の人が滑ったときは、どうすればいいですか?
笑顔で受け止めて、「それで、どうなったんですか?」と話の続きを聞くのがいちばんの助けです。ツッコむなら、敬語でやわらかく言いましょう。
まとめ
- 滑ったときは説明せず、自分で短く認めて次へ進む
- 一言の型は「認める」「取り消す」「実況する」「持ち帰る」「本題に戻る」の5つ
- 一拍おいてから、落ち着いた声で1回だけ言う
- 周りが滑ったら、拾ってツッコむか、話を補って助ける
- 振り返りは原因を1つだけにして、引きずらない






