結婚式の余興で漫才をするなら、「新郎新婦の紹介」を骨組みにするのがいちばんです。2人の掛け合いで紹介を進める形なら作りやすく、会場の誰にでも伝わります。テレビで見た漫才をそのまま演じるのではなく、新郎新婦のエピソードを入れたオリジナルの台本にしましょう。
この記事では、結婚式向けの漫才の型と3分の時間配分、そのまま使える2人用の台本を紹介します。台本を自分たち用に直す手順と、芸人さんの漫才をそのまま使わないほうがよい理由もまとめました。
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結婚式の漫才は、ふつうの漫才と何が違うのか
漫才では、わざとずれたことを言う人を「ボケ」、それを正して笑いに変える人を「ツッコミ」と呼びます。形は同じでも、結婚式の漫才は、ふつうの漫才とは次の点が違います。
| 項目 | ふつうの漫才 | 結婚式の漫才 |
|---|---|---|
| 主役 | 演じる2人 | 新郎新婦 |
| 見ている人 | お笑いが好きな人が多い | 子どもから祖父母まで、年齢がばらばら |
| 話の題材 | 何でもよい | 新郎新婦のエピソードが中心 |
| 笑いの取り方 | 毒のある笑いも使う | ほめながら笑わせる |
| 終わり方 | オチ(最後の笑い)で終わる | 笑いのあとに、お祝いの言葉で締める |
結婚式では、ボケが新郎新婦の良いところを大げさに言い、ツッコミが本当の姿を伝える分担にすると作りやすくなります。新郎新婦をけなして笑いを取るのではなく、ほめすぎて笑いを取ると考えると、ネタの方向で迷いません。
新郎新婦の紹介を漫才にする型
結婚式の漫才は、次の6つの部分を順に並べると形になります。
- お祝いとツカミ:まずお祝いを言い、自己紹介で小さく笑わせる(ツカミとは、最初に会場の心をつかむ笑いのことです)
- 本題に入る:「今日は新郎を紹介したい」と宣言する
- 新郎の紹介:良いところを大げさにするボケを、いくつか続ける
- 新婦の紹介:新郎の話から、新婦の話へつなぐ
- 天丼の回収:同じ言葉のボケを3回くり返し、3回目で大きく笑わせる(天丼とは、同じボケをくり返す技のことです)
- 締め:まじめにお祝いを言う
3分の台本なら、時間はおおよそ次のように割り振ります。
| 部分 | 時間の目安 | セリフの行数の目安 |
|---|---|---|
| お祝いとツカミ | 0:00〜0:20 | 4〜6行 |
| 本題に入る | 0:20〜0:30 | 2行 |
| 新郎の紹介 | 0:30〜1:40 | 15〜18行 |
| 新婦の紹介 | 1:40〜2:25 | 10〜12行 |
| 天丼の回収 | 2:25〜2:40 | 3〜4行 |
| 締め | 2:40〜3:00 | 5〜6行 |
台本の文字数で長さをつかみたいときは、「2分の漫才は何文字?」の目安も参考になります。
ボケは「良いところ」を3段階で大きくする
ボケの材料は、新郎新婦の本当の良いところです。1つの良いところを、少しずつ大げさにしていくと、ボケが自然に3つできます。
| 本当の良いところ | 少し大げさ | もっと大げさ | いちばん大げさ |
|---|---|---|---|
| 料理が上手 | 毎朝お弁当を作る | 同僚の分も作る | 取引先からも注文が来る |
| 時間に正確 | 待ち合わせの10分前に着く | 30分前に着く | 相手より先に、相手の家に着く |
| 聞き上手 | どんな話もうなずいて聞く | メモを取って聞く | 話した本人より、話の中身にくわしい |
そのまま使える2人用の台本「新郎、親戚が増えがち」
ここからは、上の型どおりに作った3分の台本です。Aがボケ、Bがツッコミです。「親戚」という言葉を3回くり返す天丼が、いちばんの笑いどころになっています。
- 時間
- 3分
- 人数
- 2人
- 準備物
- マイク(会場にあるもの。スタンドがあればセンターマイクにする)
- 難しさ
- ★★
台本新郎、親戚が増えがち(約3分)
(2人でセンターマイクの前に小走りで出て、そろって一礼)
A〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます!
Bおめでとうございます!
A新郎の高校の同級生、Aです。
BBです。
A2人合わせて、新郎の「友人代表」の、次の次くらいの友人です。
B微妙な位置だな。ちゃんと仲いいでしょ。
A今日は僕たちから、新郎の〇〇くんを紹介したいと思います。
Bいいね。高校からずっと一緒だからね。
A〇〇くんは、とにかく優しい。
Bそうそう。
A道を聞かれたら、目的地まで一緒に行く。
B優しいね。
Aそのまま、相手の家に上がってお茶を飲む。
Bそれはもう知り合いだよ。
A次の年から、その家から年賀状が届く。
B親戚になってる。
Aそれから、〇〇くんは、とにかくまじめ。
Bうん、まじめ。
A授業が始まる前に、教科書を開いて待っている。
Bいい生徒だ。
A先生が来る前に、黒板もきれいにしておく。
Bいい生徒だ。
A先生が来る前に、授業を始めている。
Bそれは先生の仕事!
Aしかも、分かりやすい。
B先生の立場がないよ。
Aそんな〇〇くんが選んだのが、新婦の〇〇さんです。
B〇〇さんのことも紹介してよ。
A実は〇〇さんとちゃんとお話ししたのは、今日で2回目なんです。
Bじゃあ紹介できないでしょ。
Aでも大丈夫。〇〇くんから、毎日〇〇さんの話を聞いてるから。
B毎日?
A毎日。「〇〇さんのごはんがおいしかった」「〇〇さんが笑ってくれた」「〇〇さんが……」
Bのろけを全部聞かされてる。
Aおかげで、〇〇さんのことは、もう親戚くらい知ってる。
B親戚、増えすぎだよ。
A〇〇さんは、〇〇くんのまじめな話を、いつも笑って聞いてくれる人だそうです。
B〇〇くんが優しくいられるのは、〇〇さんがいるからなんだね。
Aというわけで、今日から僕も、〇〇家の親戚ということで。
Bなれません!
A……では、友人として。
B〇〇くん、〇〇さん。
A優しくてまじめな〇〇くんと、
Bその〇〇くんを毎日笑顔にしてくれる〇〇さん。
A2人なら、笑い声でいっぱいの家になると思います。
Bこれからも、2人で仲よく。
A・Bご結婚、おめでとうございます!
(2人で一礼して下がる)
台本を自分たち用に直す手順
上の台本は、新郎の良いところを入れかえるだけで、ほかの人向けにも使えます。次の順番で直していきましょう。
- 新郎新婦の良いところを、友人や家族に聞いて3つ集める
- 1つの良いところにつき、ボケを3段階で大きくする(上の表を参考に)
- ツッコミのセリフは、10文字くらいまでの短い言葉にする
- 天丼にする言葉を1つ決め、3回目を締めの直前に置く
- 声に出して読み、3分を超えたら、ボケの2段目から削る
ツカミや締めのセリフも、自分たちの関係に合わせて書きかえると、ぐっと伝わりやすくなります。台本の書き方をさらに詳しく知りたいときは、「漫才の台本の書き方」を読んでみてください。
芸人さんの漫才をそのまま使わないほうがいい理由
好きな芸人さんの漫才を、セリフごとまねしたくなるかもしれません。でも、結婚式の余興では、そのまま使うのはおすすめしません。理由は大きく4つあります。
- 漫才の台本も、作った人の著作物として守られることがある
- 新郎新婦の話が入らないので、お祝いの出し物にならない
- 元のネタを知っている人には、本物と比べられてしまう
- プロの間(ま)やテンポがあってこそのネタは、まねしても笑いが起きにくい
特に気をつけたいのが著作権です。会場で演じた様子は、動画に撮られてSNSや動画サイトにのることもあります。セリフをそのまま写したネタが広まると、作った人の権利を傷つけるおそれがあるので、避けておくと安心です。詳しい考え方は「漫才のネタに著作権はある?」で紹介しています。
一方で、「ボケを3回くり返す」「自己紹介で笑わせてから本題に入る」といった漫才の形そのものは、誰でも使えます。好きな漫才から学ぶなら、形だけを借りて、中身は新郎新婦の話で作りましょう。
本番で笑いを取るための練習
漫才は、セリフを覚えることと同じくらい、「間」をそろえることが大切です。間とは、セリフとセリフのあいだにあける時間のことです。次の順番で練習しましょう。
- 2人で向かい合って、ゆっくり読み合わせる
- 立って、マイクをはさんで通してみる
- 笑いが起きそうな場所に印をつけ、そこで1〜2秒待つ練習をする
- スマホで撮って、声の大きさと速さを確かめる
センターマイク(2人の真ん中に立てる1本のマイク)を使うときは、2人とも少しだけ内側を向いて立つと、掛け合いの感じが出ます。立ち位置とマイクの使い方は、「漫才の立ち位置とマイクの使い方」にまとめています。
台本作りに自信がないときは
エピソードは集まったのに、どうしても漫才の形にならない、という場合もあります。準備の時間が限られているなら、台本だけをプロに頼み、練習に時間を回すのも1つの方法です。
よくある質問
関西弁じゃないとだめですか。
いいえ、ふだん話している言葉で大丈夫です。慣れない方言で話すと、セリフがぎこちなくなり、かえって笑いが起きにくくなります。
どちらがボケをやればいいですか。
人前で思い切り大げさにできる人がボケ、声が通って落ち着いている人がツッコミに向いています。迷ったら、役を入れかえて台本を読んでみて、言いやすいほうに決めましょう。
本番でセリフが飛んだらどうしますか。
ツッコミ役が「緊張してるね」と一言はさむと、会場の空気がやわらぎ、立て直す時間ができます。その場でつなぐ言葉の例は、「ネタ中にセリフが飛んだときの立て直し方」でも紹介しています。
まとめ
- 結婚式の漫才は、新郎新婦の紹介を骨組みにする
- ボケで良いところを大げさにし、ツッコミで本当の姿を伝える
- お祝いとツカミ、紹介、天丼の回収、締めの順に並べると3分にまとまる
- 芸人さんの漫才は写さず、形だけ借りて中身はオリジナルにする
- 笑いのあとは、まじめなお祝いの言葉で締める






