結婚式の余興で歌うなら、歌そのものはまじめに歌い、笑いは歌の前後と間奏に足すのがいちばん失敗しにくい方法です。笑いの場所を、歌う前の寸劇や間奏の合いの手など2〜3か所に決めておけば、歌が得意でなくても会場が沸きます。
曲は、お祝いに合う歌詞で、2〜3分に縮められ、会場の多くが知っているものを選びます。この記事では、歌に笑いを足す演出のアイデアと、そのまま使える寸劇の台本を紹介します。選曲のコツと、替え歌や音響で気をつけることもまとめました。
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歌の余興は「笑いの場所」を先に決める
歌の余興は、歌い始めると、会場はただ聞くだけになりがちです。かといって歌の途中でずっとふざけると、歌も笑いも中途半端になります。先に「どこで笑わせて、どこでまじめに歌うか」を決めておきましょう。
| 場所 | 笑いの入れ方 | ねらい |
|---|---|---|
| 歌う前 | 30秒〜1分の寸劇、ひと言のつかみ | 会場の緊張をほぐし、歌を聞く空気を作る |
| 歌の途中(間奏・サビ) | 合いの手、フリップ、衣装の早替え | 聞くだけの時間に、見て笑う場面を足す |
| 歌のあと | 寸劇のオチ、全員でのひと言 | 笑いで締めてから、まじめにお祝いを言う |
寸劇は、短いお芝居のことです。つかみは最初に会場の心をつかむ笑い、オチは最後の笑いを指します。
笑いは、この中の2〜3か所にしぼります。歌そのものは、まじめに、楽しそうに歌うのがコツです。歌声がまっすぐなほど、前後の笑いとの差が大きくなり、会場の印象に残ります。
わざと下手に歌う笑いは避ける
音程をわざと外す、ふざけた声で歌う、といった笑いは、会場によってはふざけすぎに見えます。新郎新婦の親族や上司も聞いているので、歌はまっすぐに歌い、笑いは演出のほうで取りましょう。
歌に笑いを足す演出アイデア6つ
どれも、大がかりな準備は要りません。難しさは★の数で表しています(★1つがいちばん簡単です)。
1. 歌う前の「記者会見」
代表が記者会見のような口調で、これから歌う歌について大まじめに発表してから歌に入ります。歌が苦手なメンバーがいることを、先に笑いに変えてしまう形です。台本は下で紹介しています。
- 時間
- 寸劇1分+歌2〜3分
- 人数
- 3人以上
- 準備物
- 代表が持つメモ、記者役のメモ帳とペン
- 難しさ
- ★★
2. 会場に合いの手をお願いする
合いの手は、歌の合間に入れる短いかけ声のことです。歌う前に、代表が「〇〇くん!」と呼んだら会場が「おめでとう!」と返す、という形を一度だけ練習してもらいます。間奏やサビの終わりで2〜3回くり返し、3回目だけは、前もって頼んでおいた新郎が「ありがとう!」と返すと笑いが起きます。
- 時間
- 練習30秒+歌の中で2〜3回
- 人数
- 何人でも(会場の全員が参加)
- 準備物
- 合いの手の言葉を書いたフリップ(あれば)
- 難しさ
- ★
合いの手は、歌詞とは別の、自分たちの言葉にします。名前と「おめでとう」なら、初めて聞く人でもすぐに言えます。
3. 1人だけ本気の指揮者
歌わないメンバーが1人、指揮者として横に立ちます。最初は上品に指揮をしているのに、サビに向かってだんだん動きが大きくなり、最後は全身で指揮をします。1人だけ温度が違うおかしさで笑わせる形で、歌が苦手な人の役にぴったりです。
- 時間
- 歌の長さと同じ
- 人数
- 歌う人2人以上+指揮者1人
- 準備物
- 指揮棒の代わりになる物(菜箸に色紙を巻くなど)
- 難しさ
- ★★
4. 間奏の「なれそめ早送り劇」
20秒ほどの間奏のあいだに、2人が新郎新婦の役で、出会いからプロポーズまでを早送りのような動きで演じます。セリフはなしで、場面の名前を書いたフリップを横で出すと伝わります。間奏が明けたら、何ごともなかったように全員で歌い始めます。
- 時間
- 間奏の長さ(20秒前後)
- 人数
- 演じる2人+歌う人
- 準備物
- 場面の名前を書いたフリップ3枚
- 難しさ
- ★★
本人がよくやるしぐさを1つ入れると、会場から「似てる」と笑いが起きます。本人たちが恥ずかしがりそうな場面は入れません。
5. サビで衣装が変わる
歌い出しはスーツやドレスのまま、まじめな顔で歌います。サビに入る瞬間、全員が背中に隠していたたすきや帽子を一斉に身につけると、会場から笑いと拍手が起きます。
- 時間
- 早替え3秒ほど
- 人数
- 3人以上
- 準備物
- 名前入りのたすき、おそろいの帽子など、すぐ身につけられる小物
- 難しさ
- ★★
早替えは、全員がそろうほど笑いが大きくなります。「サビの1拍前に代表がうなずく」など、合図を決めて練習しましょう。たすきの作り方は「余興の衣装の選び方」で紹介しています。
6. 間奏でツッコミのフリップ
間奏のあいだに、2人の思い出を書いたフリップを順にめくります。1枚目で大げさに言い、2枚目で本当のことを言う「ツッコミ」を入れると笑いになります。
- 時間
- 間奏の長さ(20秒前後)
- 人数
- 2人以上
- 準備物
- 画用紙のフリップ6枚、太いペン
- 難しさ
- ★
1枚目:2人の出会いは、運命の日
2枚目:……と、新郎は言っています
3枚目:新婦の記憶では、ふつうの月曜日
4枚目:初デートは、おしゃれなお店
5枚目:……の、となりの定食屋
6枚目:末永く、お幸せに
1枚に書くのは10〜15文字ほどまでにします。めくり方のコツは「余興のフリップ芸のやり方」が参考になります。
そのまま使える台本「歌う前の記者会見」
アイデア1の台本です。代表、記者役、歌が少し不安な役(C)の3人が話し、ほかのメンバーは横に並びます。〇〇は新郎新婦の名前に、セリフの中の「C」はその人の名前に置きかえ、話の中身も自分たちに合わせて書きかえてください。
台本歌う前の記者会見(約1分)
(メンバーが横一列に並ぶ。代表が一歩前に出て、メモを手に深く一礼する)
代表本日はお集まりいただき、ありがとうございます。新郎の会社の同期です。
代表これより、〇〇くんと〇〇さんに贈る歌について、記者会見を開きます。
記者(列の端から手を挙げて)質問です。練習は十分にされましたか。
代表はい。全員で2回集まり、それぞれ毎日、通勤の電車で心の中で歌ってまいりました。
記者一部のメンバーの音程が心配だという声もありますが。
代表……その点につきましては、本人から説明させていただきます。
C(一歩前に出て、深く頭を下げる)わたくしの音程は、少しだけ自由です。
代表自由ですが、気持ちは誰よりもこもっております。
記者会場の皆さんへのお願いはありますか。
代表サビでは、ぜひ手拍子をお願いします。Cの声が、手拍子にうまく溶けこむ予定です。
Cよろしくお願いいたします。
代表それでは、聞いてください。
(伴奏が始まり、全員で歌う)
(歌い終えたら、全員で一礼。代表が一歩前へ)
代表ありがとうございました。おかげさまで、Cの音程も無事に溶けこみました。
C皆さんの手拍子のおかげです。
代表〇〇くん、〇〇さん。これからも2人で声を合わせて、楽しい毎日を歌っていってください。
全員ご結婚、おめでとうございます。
(全員で一礼して、席に向かう)
笑いどころは、Cの「少しだけ自由です」と、歌のあとの「無事に溶けこみました」です。歌の前に言ったことを歌のあとでもう一度使うと、歌の前後がひとつながりの笑いになります。結びの2行だけは、ふざけずにまっすぐお祝いを言いましょう。
Cの役は、本当に歌が苦手な人でなくてもかまいません。本人が笑って引き受けられる人に頼み、嫌がる人に無理に押しつけないようにします。
曲の選び方と、替え歌にしたいときの注意
歌の余興は、歌のうまさより曲選びで印象が決まります。候補が2〜3曲にしぼれたら、次の点で比べてみてください。
歌詞と、会場の何人が知っているかで選ぶ
明るい曲でも、歌詞をよく読むと別れや失恋の歌だった、ということがあります。候補の曲は、歌詞を最初から最後まで読み、結婚式で避けられる言葉が目立たないかも確かめましょう。避けたい言葉は「結婚式のスピーチの忌み言葉と言い換え」で確かめられます。
会場には、友人のほかに親族や上司もいます。曲のタイプごとに、合う笑いの演出も違います。
| 曲のタイプ | よいところ | 合う笑いの演出 |
|---|---|---|
| 2人の思い出の曲 | 新郎新婦がいちばん喜ぶ | 記者会見で「選んだ理由」を話す |
| 幅広い世代が知るお祝いの定番曲 | 手拍子や口ずさむ人が出やすい | 会場の合いの手 |
| テンポのよい流行の曲 | 若い友人が盛り上がる | サビの早替え、本気の指揮者 |
| 学校で習う合唱曲 | 年配の人も聞きなじみがある | まじめな合唱に、本気の指揮者 |
迷ったら、「新郎新婦の親が知っていそうか」で考えると、会場全体で楽しめる曲になりやすいです。
長さは2〜3分に縮め、間奏を残す
1曲をまるごと歌うと、4〜5分かかる曲が多いものです。寸劇を入れると、持ち時間を超えてしまいます。歌の部分は2〜3分を目安に、次のように縮めましょう。
- 前奏が長い曲は、歌い出しの少し前から始める
- 1番を歌ったら、2番を飛ばして最後のサビにつなぐ
- サビをくり返す部分は、1回にする
間奏に演出を入れるときは、縮めたあとも間奏が残るようにします。間奏が短い曲なら、笑いは歌う前と歌のあとに移しましょう。
替え歌は、歌詞の権利に気をつける
替え歌は、元の歌詞を変えて歌うので、曲を作った人の権利にかかわります。会場が済ませている曲の手続きは、歌詞を変えずに歌うことを前提にしていることが多いです。歌詞を変えるには作った人の許可が要ることが多いので、自分たちだけで判断しないようにしましょう。
2人の話を入れたいときは、歌詞は変えずに歌い、話は寸劇やフリップ、合いの手で伝えるのが安心です。歌う様子を撮ってムービーに入れる場合の考え方は、「余興ムービーの曲の選び方と著作権」を見てください。
練習と音響で、笑いの場所を外さない
練習は「歌い出し」と「笑いの合図」をそろえる
歌の練習は、全員がそろわなくても進められます。次の順番なら、集まって練習するのは2回ほどで済みます。
- 曲と歌う部分を決め、伴奏の音源を全員に送る
- 各自で伴奏に合わせて歌い、声が出しにくい高さの部分がないか確かめる
- 1回目に集まったら、歌い出しのそろえ方と、寸劇・合いの手・早替えの合図を決める
- それぞれ1日1回、伴奏に合わせて歌い、寸劇のセリフも声に出す
- 2回目に集まったら、寸劇から結びのひと言まで通し、スマホで撮って見直す
男女で一緒に歌うときに高さが合わない人は、同じメロディーを1オクターブ下(または上)で歌いましょう。歌い出しがばらばらになるときは、前奏の最後の4拍を代表が小さく指で数えて合図します。
音響は、会場の人と前もって確かめる
歌の余興で多いトラブルは、音が出ない、寸劇から歌に入るきっかけがずれる、といった音響のことです。持ち込む音源と流し方は、遅くとも2週間前までに会場の担当者に確かめましょう。会場と確かめることの全体は「余興の打ち合わせで確かめること」にまとめています。
会場に確かめること
- 音源を何で渡すか(CD、USBメモリー、スマホなど)と、渡す期限
- 伴奏を始めるきっかけのセリフ(例:「それでは、聞いてください」)
- 曲を止める場所の伝え方(2分40秒で音を小さくする、など)
- マイクの本数と、寸劇で使うマイクを手渡しするか
- 当日、歌う前に音の大きさを試せる時間があるか
伴奏が流れなかったときのひと言
当日に備えて、伴奏なしで歌う練習も1回しておきましょう。「ここからは、会場の皆さんの手拍子が伴奏です」と言って手拍子をお願いすれば、それも笑いと一体感のある場面に変わります。
歌のうしろでムービーを流したいときは
歌に合わせて2人の写真をスクリーンに流すと、歌が苦手でも会場の目が写真に向き、気持ちが楽になります。写真の合間に、寸劇の練習風景など笑える1枚を入れると、映像でも笑いが取れます。ただ、写真を集めて曲の長さに合わせて並べる作業は、思った以上に時間がかかります。
よくある質問
歌が上手ではありません。それでも歌の余興にしていいですか?
大丈夫です。会場の人が見ているのは、うまさより、2人のために練習してきた気持ちです。記者会見の台本のように、自信のなさを先に笑いに変えてしまえば、歌う側の気持ちも楽になります。
歌詞を見ながら歌ってもいいですか?
見ながら歌ってもかまいません。手に持つなら、歌詞を書いた紙より、小さなカードのほうが顔が隠れません。歌い出しとサビだけでも覚えておくと、顔を上げる時間が増え、早替えや合いの手の合図も見やすくなります。
1人で歌ってもいいですか?
1人で歌う場合は、歌う前のひと言で笑いを取り、合いの手で会場に参加してもらうと、1人でも場がもちます。1人だと歌の時間が長く感じられやすいので、歌の部分は2分ほどに縮めましょう。
まとめ
- 歌はまじめに歌い、笑いは歌の前後と間奏の2〜3か所に足す
- 寸劇・合いの手・早替え・フリップなど、歌詞を変えずに笑いを取る
- 曲は「歌詞がお祝いに合う・2〜3分に収まる・会場の多くが知っている」で選ぶ
- 替え歌は歌詞の権利にかかわるので、自分たちだけで判断しない
- 伴奏のきっかけと音源の渡し方は、会場と前もって確かめる






