漫才でセンターマイク(2人の真ん中に立てる1本のマイク)を使うときは、マイクの高さを2人の口の高さの中ほどに合わせます。口からマイクまではこぶし2〜3個分(20〜30センチほど)を目安にし、2人とも体を少し内側に向けて立つのが基本です。声はマイクに向けるのではなく、客席のいちばん後ろに届けるつもりで出しましょう。
この記事では、マイクの高さと距離、2人の立ち位置の決め方をまとめました。動くときやハンドマイクを使うときの注意、会場ごとに気をつけることも紹介します。漫才だけでなく、2人で話すスピーチや余興にも使えます。
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センターマイクの高さ・距離・向き
センターマイクは、2人の声を1本で拾うためのマイクです。近すぎても遠すぎても声が聞き取りにくくなるので、まずは次の目安に合わせてみましょう。
| 項目 | 目安 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 高さ | 2人の口の高さの中ほど | 並んで立ち、マイクの頭が口元より少し下に来るか |
| 口との距離 | こぶし2〜3個分(20〜30センチほど) | 立ち位置に立ち、こぶしを縦に並べて測る |
| 向き | マイクの頭を、2人の顔のあいだに向ける | どちらか1人の顔だけを向いていないか |
| 2人の間隔 | 肩と肩のあいだに、こぶし1〜2個分 | ツッコミの手が無理なく相方に届くか |
マイクに近づきすぎると、息の音や「パ」「ブ」などの破裂する音が大きく入ってしまいます。反対に離れすぎると、声が拾われず、後ろの席まで届きません。2人の口とマイクの距離をそろえることが、いちばん大事です。会場の音響の担当の人から指示があれば、そちらに合わせましょう。
背の高さに差があるときは、中ほどに合わせたうえで、背の高い人が少しだけ顔を下げるか、背の低い人が半歩近づいて調整します。声の大きさに差があるときは、声の大きい人がマイクから少し離れると、2人の声の大きさがそろいます。
マイクの高さを直すとき
スタンドの高さは、継ぎ目のねじをゆるめて上下させます。直すときは、マイクの頭ではなくスタンドの棒を持ちましょう。登場してから直すと時間がかかるので、本番前に済ませておくか、会場の担当の人に高さを伝えておきます。
マイクが入っているかを確かめるために、マイクの頭をたたくのはやめましょう。大きな音が出て、機材を傷めることがあります。確かめるときは、ふつうの声で一言話せば十分です。
2人の立ち位置と体の向き
舞台の左右は、客席から見て右を上手(かみて)、左を下手(しもて)と呼びます。2人のどちらが上手に立つかに、決まりはありません。ツッコミのしぐさで手を出す向きや、登場する方向から決めるとよいでしょう。
体は、客席に向けたまま、少しだけ相方のほうに向けます。上から見ると、2人で「ハの字」を作るような形です。正面を向いたままだと掛け合いに見えず、向かい合いすぎると、客席から横顔しか見えなくなります。
| 場面 | 体の向き | 目線 |
|---|---|---|
| 登場・あいさつ | 客席に正面 | 客席の後ろのほう |
| 掛け合い | 少し内側(ハの字) | 相方と客席を行き来する |
| 大事なボケ・オチ | 客席に向ける | 客席 |
| 相方の話を聞くとき | 相方に向ける | 相方 |
立ち位置は、練習のときから毎回同じ場所に立てるよう、床に目印をつけておきます。舞台では、立ち位置を示すために床に貼る小さなテープを「バミリ」と呼びます。練習場所でも、はがしやすいテープで印をつけておくと、本番でも同じ距離で立てます。
動くときのマイクの扱い方
途中で役になりきって動くネタでは、マイクから離れてしまいがちです。マイクから離れている間は声が届きにくいので、次の4つを決めておきましょう。
- マイクから離れるのは、1〜2歩までにする
- 離れている間は、大事なセリフやボケを言わない
- 離れながら話すときは、声を一段大きくする
- オチや決めのセリフは、マイクの前に戻ってから言う
台本の動きは、マイクの前でできる形に置きかえると、声を落とさずに演じられます。
| 台本の動き | マイクの前でのやり方 |
|---|---|
| 遠くから歩いてくる | その場で足踏みをして、声を小さくから大きくする |
| ドアを開けて入る | 体は立ち位置に残し、手の動きだけで見せる |
| 相手から逃げる | 1歩だけ下がり、セリフはマイクの前に戻ってから言う |
| しゃがむ・寝転ぶ | 腰を少し落とすだけにする |
| 電話をかける | 手を耳に当て、顔はマイクに向けたまま話す |
下は、動きのある場面の台本に、マイクとの距離のト書きを入れた例です。ト書きとは、動きや場面を説明する部分のことです。
台本銭湯の番台(動きのある部分・約30秒)
A銭湯の番台に、一回座ってみたいんだよね。
Bじゃあ、僕がお客さんをやるよ。
(Bは1歩だけ下がり、のれんをくぐるしぐさをして、元の立ち位置に戻る)
B(戻ってから)大人1人、お願いします。
Aいらっしゃい。タオルは持ってきた?
B忘れました。
Aじゃあ、貸してあげる。(マイクの前から動かず、タオルを手渡すしぐさ)
Bありがとうございます。
A使い終わったら、そこのおじいちゃんに返してね。
Bおじいちゃんのタオルなの?
のれんをくぐる動きは1歩だけにして、セリフは立ち位置に戻ってから言っています。動きを大きく見せたい所ほど、声とセリフはマイクの前に残す、と考えると迷いません。このように役に入って場面を演じる漫才の作り方は、「コント漫才の書き方」で紹介しています。
ハンドマイクを使うときの持ち方と本数
結婚式の会場や宴会場では、手で持つハンドマイクを使うことがよくあります。持ち方は、マイクの網の部分(頭)を握らず、柄の真ん中あたりを持つのが基本です。頭を握ると声がこもり、ハウリング(スピーカーの音をマイクが拾って「キーン」と鳴ること)も起きやすくなります。
口との距離は、こぶし1個分(5〜10センチほど)が目安です。マイクの先を口に向け、話している間は距離を変えないようにします。
| マイク | おすすめの形 | 気をつけること |
|---|---|---|
| センターマイク1本 | 2人でマイクをはさんで立つ | 口との距離を2人でそろえる |
| ハンドマイク1本 | 1人が持ち、2人の口のあいだに向ける | 持つ人を決め、話すたびに渡し合わない |
| ハンドマイク2本 | 1人1本ずつ持つ | 話していない人は、マイクを胸の高さに下げる |
| マイクなし | 客席に少し近づき、後ろの席に向けて話す | 小さい会場だけにする。いつもよりゆっくり話す |
ハンドマイクが1本しかないのに、2人が交互に話す台本にすると、何度も手渡すことになり、話の流れが止まります。2人で話す出し物なら、2本用意してもらえるかを早めに相談しましょう。2人で話すスピーチの分担のしかたは、「友人代表スピーチを2人でするなら?」でも紹介しています。
会場別の注意点
同じネタでも、会場によってマイクの形や声の響き方が変わります。出る会場がどれに近いかを見て、準備しておきましょう。
| 会場 | マイクの形 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 劇場・ライブハウス | センターマイクが多い | 音響の担当の人がいることが多い。高さを聞かれたら答えられるようにする |
| 結婚式場・宴会場 | ハンドマイクか、借りたスタンド | スピーカーの前に立たない。新郎新婦の席から顔が見える向きにする |
| 体育館 | スタンドマイク1本が多い | 声が響いて聞き取りにくい。いつもよりゆっくり、間を長めにとる |
| 教室・会議室 | マイクなしが多い | 前に出すぎず、いちばん後ろの席に向けて話す |
| 屋外のステージ | センターマイクかハンドマイク | 風の音が入りやすい。マイクに近づきすぎず、はっきり話す |
結婚式の余興でマイクを使う場合は、本数やスタンドを借りられるかを、会場に前もって聞いておきます。聞いておくことの一覧は、「余興の前に会場と確かめること」にまとめています。
本番前に舞台で確かめること
本番の舞台で、立ち位置や出入りを確かめることを「場当たり」といいます。時間がとれるなら、本番前に一度、実際の舞台に立っておきましょう。
本番前に舞台で確かめること
- マイクの高さと、2人の立ち位置(床の目印)
- いちばん後ろの席まで声が聞こえるか(誰かに座ってもらう)
- 出てくる方向と、はける(舞台から下がる)方向
- 照明が当たる範囲(暗い所に立っていないか)
- ハウリングが起きない立ち位置
- 小道具を置く場所と、置く人
場当たりの時間がない会場では、前の出番の人の立ち方を、袖(舞台の横の、客席から見えない所)などから見ておきます。マイクとの距離が近いか遠いかが分かれば、自分たちの立ち位置も決めやすくなります。
よくある質問
マイクの高さは、登場してから直してもいいですか?
直してもかまいません。ただ、時間がかかるとお客さんを待たせてしまうので、手早く済ませましょう。前の出番の人と背の高さが近ければ、そのまま使えることもあります。
練習する場所にマイクがありません。
ほうきやモップを椅子の背もたれにくくりつけて立てるなど、2人の真ん中に目印を作りましょう。大事なのは、「声を向ける場所」と「2人が立つ距離」を決めることです。目印との距離を毎回同じにして練習すると、本番でマイクの前に立っても迷いません。
マイクがあるなら、小さな声でも大丈夫ですか?
マイクは声を大きくしてくれますが、聞き取りにくい声は、大きくなっても聞き取りにくいままです。語尾まではっきり言うことと、息をしっかり使うことは、マイクがあってもなくても変わりません。通る声の出し方は「お笑いの発声練習」で紹介しています。
まとめ
- センターマイクは2人の口の高さの中ほどに合わせ、口からこぶし2〜3個分の距離をそろえる
- 体は客席に向けたまま、少し内側に向けて「ハの字」に立つ
- 動くときは1〜2歩まで。大事なセリフはマイクの前に戻ってから言う
- ハンドマイクは頭を握らず、口からこぶし1個分。2人で話すなら2本あると楽
- 会場ごとの響き方を知り、本番前に舞台で立ち位置と声を確かめる






