漫才の立ち位置とマイクの使い方|声が届く距離と動き方

センターマイクの高さを合わせて、立ち位置を決める2人

漫才でセンターマイク(2人の真ん中に立てる1本のマイク)を使うときは、マイクの高さを2人の口の高さの中ほどに合わせます。口からマイクまではこぶし2〜3個分(20〜30センチほど)を目安にし、2人とも体を少し内側に向けて立つのが基本です。声はマイクに向けるのではなく、客席のいちばん後ろに届けるつもりで出しましょう。

この記事では、マイクの高さと距離、2人の立ち位置の決め方をまとめました。動くときやハンドマイクを使うときの注意、会場ごとに気をつけることも紹介します。漫才だけでなく、2人で話すスピーチや余興にも使えます。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. センターマイクの高さ・距離・向き
  2. 2人の立ち位置と体の向き
  3. 動くときのマイクの扱い方
  4. ハンドマイクを使うときの持ち方と本数
  5. 会場別の注意点
  6. 本番前に舞台で確かめること
  7. よくある質問
  8. まとめ

センターマイクの高さ・距離・向き

センターマイクは、2人の声を1本で拾うためのマイクです。近すぎても遠すぎても声が聞き取りにくくなるので、まずは次の目安に合わせてみましょう。

項目目安確かめ方
高さ2人の口の高さの中ほど並んで立ち、マイクの頭が口元より少し下に来るか
口との距離こぶし2〜3個分(20〜30センチほど)立ち位置に立ち、こぶしを縦に並べて測る
向きマイクの頭を、2人の顔のあいだに向けるどちらか1人の顔だけを向いていないか
2人の間隔肩と肩のあいだに、こぶし1〜2個分ツッコミの手が無理なく相方に届くか

マイクに近づきすぎると、息の音や「パ」「ブ」などの破裂する音が大きく入ってしまいます。反対に離れすぎると、声が拾われず、後ろの席まで届きません。2人の口とマイクの距離をそろえることが、いちばん大事です。会場の音響の担当の人から指示があれば、そちらに合わせましょう。

背の高さに差があるときは、中ほどに合わせたうえで、背の高い人が少しだけ顔を下げるか、背の低い人が半歩近づいて調整します。声の大きさに差があるときは、声の大きい人がマイクから少し離れると、2人の声の大きさがそろいます。

マイクの高さを直すとき

スタンドの高さは、継ぎ目のねじをゆるめて上下させます。直すときは、マイクの頭ではなくスタンドの棒を持ちましょう。登場してから直すと時間がかかるので、本番前に済ませておくか、会場の担当の人に高さを伝えておきます。

マイクが入っているかを確かめるために、マイクの頭をたたくのはやめましょう。大きな音が出て、機材を傷めることがあります。確かめるときは、ふつうの声で一言話せば十分です。

2人の立ち位置と体の向き

舞台の左右は、客席から見て右を上手(かみて)、左を下手(しもて)と呼びます。2人のどちらが上手に立つかに、決まりはありません。ツッコミのしぐさで手を出す向きや、登場する方向から決めるとよいでしょう。

体は、客席に向けたまま、少しだけ相方のほうに向けます。上から見ると、2人で「ハの字」を作るような形です。正面を向いたままだと掛け合いに見えず、向かい合いすぎると、客席から横顔しか見えなくなります。

場面体の向き目線
登場・あいさつ客席に正面客席の後ろのほう
掛け合い少し内側(ハの字)相方と客席を行き来する
大事なボケ・オチ客席に向ける客席
相方の話を聞くとき相方に向ける相方

立ち位置は、練習のときから毎回同じ場所に立てるよう、床に目印をつけておきます。舞台では、立ち位置を示すために床に貼る小さなテープを「バミリ」と呼びます。練習場所でも、はがしやすいテープで印をつけておくと、本番でも同じ距離で立てます。

動くときのマイクの扱い方

途中で役になりきって動くネタでは、マイクから離れてしまいがちです。マイクから離れている間は声が届きにくいので、次の4つを決めておきましょう。

  1. マイクから離れるのは、1〜2歩までにする
  2. 離れている間は、大事なセリフやボケを言わない
  3. 離れながら話すときは、声を一段大きくする
  4. オチや決めのセリフは、マイクの前に戻ってから言う

台本の動きは、マイクの前でできる形に置きかえると、声を落とさずに演じられます。

台本の動きマイクの前でのやり方
遠くから歩いてくるその場で足踏みをして、声を小さくから大きくする
ドアを開けて入る体は立ち位置に残し、手の動きだけで見せる
相手から逃げる1歩だけ下がり、セリフはマイクの前に戻ってから言う
しゃがむ・寝転ぶ腰を少し落とすだけにする
電話をかける手を耳に当て、顔はマイクに向けたまま話す

下は、動きのある場面の台本に、マイクとの距離のト書きを入れた例です。ト書きとは、動きや場面を説明する部分のことです。

台本銭湯の番台(動きのある部分・約30秒)

A銭湯の番台に、一回座ってみたいんだよね。

Bじゃあ、僕がお客さんをやるよ。

(Bは1歩だけ下がり、のれんをくぐるしぐさをして、元の立ち位置に戻る)

B(戻ってから)大人1人、お願いします。

Aいらっしゃい。タオルは持ってきた?

B忘れました。

Aじゃあ、貸してあげる。(マイクの前から動かず、タオルを手渡すしぐさ)

Bありがとうございます。

A使い終わったら、そこのおじいちゃんに返してね。

Bおじいちゃんのタオルなの?

のれんをくぐる動きは1歩だけにして、セリフは立ち位置に戻ってから言っています。動きを大きく見せたい所ほど、声とセリフはマイクの前に残す、と考えると迷いません。このように役に入って場面を演じる漫才の作り方は、「コント漫才の書き方」で紹介しています。

ハンドマイクを使うときの持ち方と本数

結婚式の会場や宴会場では、手で持つハンドマイクを使うことがよくあります。持ち方は、マイクの網の部分(頭)を握らず、柄の真ん中あたりを持つのが基本です。頭を握ると声がこもり、ハウリング(スピーカーの音をマイクが拾って「キーン」と鳴ること)も起きやすくなります。

口との距離は、こぶし1個分(5〜10センチほど)が目安です。マイクの先を口に向け、話している間は距離を変えないようにします。

マイクおすすめの形気をつけること
センターマイク1本2人でマイクをはさんで立つ口との距離を2人でそろえる
ハンドマイク1本1人が持ち、2人の口のあいだに向ける持つ人を決め、話すたびに渡し合わない
ハンドマイク2本1人1本ずつ持つ話していない人は、マイクを胸の高さに下げる
マイクなし客席に少し近づき、後ろの席に向けて話す小さい会場だけにする。いつもよりゆっくり話す

ハンドマイクが1本しかないのに、2人が交互に話す台本にすると、何度も手渡すことになり、話の流れが止まります。2人で話す出し物なら、2本用意してもらえるかを早めに相談しましょう。2人で話すスピーチの分担のしかたは、「友人代表スピーチを2人でするなら?」でも紹介しています。

会場別の注意点

同じネタでも、会場によってマイクの形や声の響き方が変わります。出る会場がどれに近いかを見て、準備しておきましょう。

会場マイクの形気をつけること
劇場・ライブハウスセンターマイクが多い音響の担当の人がいることが多い。高さを聞かれたら答えられるようにする
結婚式場・宴会場ハンドマイクか、借りたスタンドスピーカーの前に立たない。新郎新婦の席から顔が見える向きにする
体育館スタンドマイク1本が多い声が響いて聞き取りにくい。いつもよりゆっくり、間を長めにとる
教室・会議室マイクなしが多い前に出すぎず、いちばん後ろの席に向けて話す
屋外のステージセンターマイクかハンドマイク風の音が入りやすい。マイクに近づきすぎず、はっきり話す

結婚式の余興でマイクを使う場合は、本数やスタンドを借りられるかを、会場に前もって聞いておきます。聞いておくことの一覧は、「余興の前に会場と確かめること」にまとめています。

本番前に舞台で確かめること

本番の舞台で、立ち位置や出入りを確かめることを「場当たり」といいます。時間がとれるなら、本番前に一度、実際の舞台に立っておきましょう。

本番前に舞台で確かめること

  • マイクの高さと、2人の立ち位置(床の目印)
  • いちばん後ろの席まで声が聞こえるか(誰かに座ってもらう)
  • 出てくる方向と、はける(舞台から下がる)方向
  • 照明が当たる範囲(暗い所に立っていないか)
  • ハウリングが起きない立ち位置
  • 小道具を置く場所と、置く人

場当たりの時間がない会場では、前の出番の人の立ち方を、袖(舞台の横の、客席から見えない所)などから見ておきます。マイクとの距離が近いか遠いかが分かれば、自分たちの立ち位置も決めやすくなります。

よくある質問

マイクの高さは、登場してから直してもいいですか?

直してもかまいません。ただ、時間がかかるとお客さんを待たせてしまうので、手早く済ませましょう。前の出番の人と背の高さが近ければ、そのまま使えることもあります。

練習する場所にマイクがありません。

ほうきやモップを椅子の背もたれにくくりつけて立てるなど、2人の真ん中に目印を作りましょう。大事なのは、「声を向ける場所」と「2人が立つ距離」を決めることです。目印との距離を毎回同じにして練習すると、本番でマイクの前に立っても迷いません。

マイクがあるなら、小さな声でも大丈夫ですか?

マイクは声を大きくしてくれますが、聞き取りにくい声は、大きくなっても聞き取りにくいままです。語尾まではっきり言うことと、息をしっかり使うことは、マイクがあってもなくても変わりません。通る声の出し方は「お笑いの発声練習」で紹介しています。

まとめ

  • センターマイクは2人の口の高さの中ほどに合わせ、口からこぶし2〜3個分の距離をそろえる
  • 体は客席に向けたまま、少し内側に向けて「ハの字」に立つ
  • 動くときは1〜2歩まで。大事なセリフはマイクの前に戻ってから言う
  • ハンドマイクは頭を握らず、口からこぶし1個分。2人で話すなら2本あると楽
  • 会場ごとの響き方を知り、本番前に舞台で立ち位置と声を確かめる
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