ネタ中にセリフが飛んだときの立て直し方|その場でつなぐ一言と相方のフォロー

セリフが飛んだ相方に、ヒントを出して立て直す2人

ネタ中にセリフが飛んだら、まず黙りこまないことを優先し、直前のセリフをくり返すか、次の場面の頭まで飛ばして進みましょう。お客さんは台本を知らないので、言葉が少し変わっても、まず気づかれません。相方と「飛んだときの合図」を決めておけば、数秒の間で立て直せます。

この記事では、その場でつなぐ5つの型と一言の例、相方がフォローするときのセリフ、前もって決めておく対策をまとめました。「飛ぶ」とは、緊張などで頭が真っ白になり、次のセリフが出てこなくなることです。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. セリフが飛んだ瞬間にやること
  2. その場でつなぐ5つの型
  3. 相方がフォローするときの一言
  4. 飛んでも立て直せるように前もって決めておくこと
  5. 終わったあとに台本を見直す
  6. よくある質問
  7. まとめ

セリフが飛んだ瞬間にやること

セリフが飛ぶと、あわてて言葉を探そうとして、沈黙が長くなりがちです。次の順番を体に覚えさせておくと、落ち着いて立て直せます。

  1. ひと呼吸だけ置く(あわてて言葉を探さない)
  2. 相方の顔を見て、飛んだことを目で伝える
  3. 「戻る」か「進む」かを決める
  4. 立て直したら、元のテンポで続ける

3で迷ったら、「進む」を選ぶのが基本です。前に戻って言い直すより、次の場面から話し始めるほうが、お客さんにはずっと自然に見えます。

お客さんは台本を知らない

セリフが1つ抜けても、ボケの言い方が少し変わっても、お客さんには分かりません。分かってしまうのは、演じている側があわてた顔をしたときです。表情を変えずに続ければ、飛んだことに気づかれずに済むこともよくあります。

その場でつなぐ5つの型

立て直し方は、次の5つの型に分けられます。どの型を使うかは、飛んだ場所と、残りの時間で選びます。

型やり方つなぎの一言の例
1. くり返す直前のセリフを、少し言葉を変えてもう一度言う「だから、さっきも言ったけど」
2. 聞き返す相方に質問して、次のセリフを引き出してもらう「で、どうなったんだっけ?」
3. 次の場面に飛ばす思い出せない所は捨てて、次の場面の頭から話す「それより、〜の話なんだけど」
4. 笑いに変える飛んだことを、軽く言ってしまう「すみません、今セリフが家出しました」
5. 締めに向かう戻れないときは、締めのあいさつに進む「とにかく、そういうことです」

1. くり返す

直前のセリフを、少し言葉を変えてくり返します。声に出しているうちに、次のセリフを思い出せることがよくあります。ボケ役なら話の設定を言い直す、ツッコミ役なら直前のツッコミをもう一度言う形です。

2. 聞き返す

相方に質問して、次のセリフのきっかけを出してもらいます。「で、どうなったんだっけ?」は、ボケ役が飛んだときにも、ツッコミ役が飛んだときにも使えます。質問の形なので、お客さんには会話の続きにしか見えません。

3. 次の場面に飛ばす

思い出せないセリフは捨てて、次の場面の入り口のセリフから話し始めます。ボケが1つ減っても、ネタは続けられます。ただし、相方と同じ「場面の区切り」を覚えていることが条件です。

4. 笑いに変える

飛んだことを、軽く言ってしまう方法です。結婚式の余興や文化祭など、温かい雰囲気の場では、会場がなごんで笑いが起きることもあります。何度も使うと準備不足に見えるので、1回までにしましょう。冗談がウケなかったときに使う一言は、「滑ったときの返し方」でも紹介しています。

5. 締めに向かう

どうしても戻れないときや、持ち時間が残り少ないときは、締めのあいさつに向かいます。「とにかく、そういうことです」とまとめ、相方が「もういいよ」で締めましょう。途中を抜かしても、締めのあいさつをきちんと言えば、ネタは形になります。

1人で演じているときは

漫談や一人コントのように1人で演じているときは、相方に助けてもらえません。「くり返す」と「次の場面に飛ばす」の2つを中心に使いましょう。客席に「ここまで、ついてきてくれてますか?」と問いかけると、自然な形で、ひと呼吸ぶんの時間が作れます。

相方がフォローするときの一言

相方が飛んだときは、フォローする側の一言で、立て直しの早さが変わります。相方の顔を見て「飛んだな」と分かったら、次のような一言で助けましょう。

相方の様子フォローの一言の例ねらい
黙ってしまった「で、その店でどうしたの?」次のセリフのヒントを、質問で出す
ボケを言い忘れた「まさか、〇〇なんて言わないよね」ボケの中身を先に言って、引き出す
場面を飛ばしたそのまま乗って、次の場面を続ける抜けた所は、なかったことにする
頭が真っ白で動けない「一回、深呼吸しようか」間を作り、会場の空気をやわらげる
違うセリフを言ったそのセリフに合わせて返す台本に戻すのは、次の場面からにする

フォローで大事なのは、相方を責めるような言い方をしないことです。「セリフ忘れたでしょ」と言ってしまうと、お客さんが心配して笑えなくなります。話を進める役のツッコミ側が、立て直しを引き受けると決めておくと迷いません。

立て直しの台本の例

下は、Bのセリフが飛んだ所から、Aが質問で立て直す例です。

台本美容院の予約(飛んだ所からの立て直し・約40秒)

A髪を切りたいから、美容院に予約の電話をしたいんだよね。

Bじゃあ、僕が美容院の人をやるよ。はい、お電話ありがとうございます。

Aあの、明日の午後に、カットをお願いしたいんですけど。

B……。

(Bのセリフが飛ぶ。Aは待たずに質問をはさむ)

A明日の午後、空いてますかね?

Bあ、はい、明日の午後ですね。空いているのは、夜中の3時です。

A午後って言ってるんですよ。

(ここから台本どおりに戻る)

Bでは、担当の希望はありますか。

Aいえ、特には。

Bでは、店長の母がうかがいます。

Aお母さんが切るの?

Aは、Bが言うはずだった「空いている時間」の話を、質問の形で先に出しています。Bはそれをきっかけに、次のボケに戻れました。お客さんには、ふつうの会話にしか見えません。

飛んでも立て直せるように前もって決めておくこと

セリフが飛ぶことを、完全になくすのは難しいものです。それより、飛んでも立て直せる準備をしておくほうが、本番は安心です。

本番前に2人で決めておくこと

  • 飛んだときの合図(相方の顔を見る、決まった一言を言う など)
  • 場面ごとの「入り口」になるセリフ
  • 立て直しを主に引き受ける人(ふつうはツッコミ役)
  • どうしても戻れないときに言う、締めの一言
  • 余興などで紙を持てる場合は、流れを書いたメモの置き場所

場面の入り口のセリフを決めるには、ネタを場面の流れで覚えておくことが大切です。流れ・キーワード・相手のセリフの順に覚える方法は、「ネタの覚え方」で紹介しています。

わざと黙る練習をする

通し稽古に慣れてきたら、どちらかが相方に知らせずに、1か所だけわざとセリフを言わずに黙ってみましょう。相方は、フォローの一言で立て直します。役を交代して両方を経験しておくと、本番で飛んだときにも、頭が真っ白になりにくくなります。通し稽古の進め方は「漫才の練習方法」にまとめています。

終わったあとに台本を見直す

本番でセリフが飛んでも、相方を責めたり、自分を責めたりするのはやめましょう。それより、どこで、なぜ飛んだのかを2人で確かめ、次に生かします。飛びやすい所には共通点があるので、台本の段階で直しておくと、次の本番で飛ぶ回数を減らせます。

飛びやすい所直し方
似たセリフが2回出てくる所2回目の言い方を変えて、区別をつける
1人で長く話すセリフ途中に相方の相づちを入れて、2つに分ける
言いにくい言葉が入ったセリフふだん使う言葉に言いかえる
場面の順番に理由がない所話の流れで順番が決まるように並べかえる
本番の直前に直した所前日以降は、台本を大きく変えない

緊張で頭が真っ白になったことが原因なら、人に見てもらう通し稽古を増やすのがいちばんの対策です。本番前の緊張をやわらげる方法は、「余興の本番で緊張しないためには?」も参考にしてください。

よくある質問

台本を見ながらやってもいいですか?

結婚式の余興や職場の出し物なら、流れを書いた小さなメモを持っていてもかまいません。お笑いライブや大会では、台本を持たずに演じるのがふつうです。持たない場合こそ、場面の入り口のセリフを2人で決めておきましょう。

飛んだことを、お客さんに謝ったほうがいいですか?

謝らなくて大丈夫です。謝ると、お客さんが「失敗した」と受け取り、そのあとのボケで笑いにくくなります。何事もなかったように続けるか、「笑いに変える」型で軽くふれる程度にしましょう。

相方が飛ぶと、自分まで頭が真っ白になります。

フォローする側が使う一言を、1つだけ決めておきましょう。「で、どうしたの?」のように、どの場面でも使える質問が1つあれば、考えずに口から出せます。あとは、相方が答えたことに合わせて返すだけです。

まとめ

  • セリフが飛んだら、ひと呼吸おいて、迷ったら次の場面へ「進む」
  • その場でつなぐ型は、くり返す・聞き返す・飛ばす・笑いに変える・締めに向かうの5つ
  • 相方は責めずに、質問の形でヒントを出してフォローする
  • 飛んだときの合図、場面の入り口、締めの一言を前もって2人で決めておく
  • 似たセリフや長いセリフなど、飛びやすい所は台本の段階で直す
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