余興でする手品は、タネの簡単さより「見せ方」で盛り上がりが決まります。身近な道具でできる手品を2〜4つ選び、間に短いセリフをはさんで、最後はお祝いの言葉で締めましょう。わざと1回失敗してから成功させると、拍手がいっそう大きくなります。
この記事では、練習1週間で仕上がる簡単な手品を4つと、手品の間に入れるセリフの台本を紹介します。本番で本当に失敗したときの立て直し方もまとめました。
余興の手品は「身近な道具・大きな動き」で選ぶ
手品の本や動画には、指先の技が必要なものもたくさんあります。余興で見せるなら、次の4つを満たす手品を選ぶと、1週間の練習で間に合います。
- 道具が家や文房具店で手に入る
- 指先の細かい技がいらず、手順を覚えればできる
- 会場の後ろの席からでも、何が起きたか分かる
- 横の席から見られても、タネが見えにくい
小さなコインや輪ゴムを使う手品は、近くで見るには楽しいのですが、披露宴の会場では後ろの席まで見えません。テーブルを回って見せる場合や、少人数の会に取っておきましょう。
余興の手品で使わないもの
- 火、刃物、生き物(会場で禁止されていることが多い)
- 本物の指輪や財布など、借りた大切なもの
- 水や粉など、ドレスや床を汚すおそれのあるもの
- お酒(飲む演出をするなら、お茶やジュースで)
練習1週間でできる簡単な手品4つ
どれも、特別な道具は使いません。難しさは★の数で表しています(★1つがいちばん簡単です)。4つすべてを使う必要はなく、持ち時間に合わせて2〜3つ選んでもかまいません。
1. 消えるジュース(わざと見え見えの手品)
コップのジュースを「消す」と言って、ハンカチで隠したまま飲んでしまう、笑いのための手品です。タネが見え見えなのが面白さなので、練習はほとんどいりません。最初に見せると、会場の緊張がほぐれます。
- 時間
- 30秒
- 人数
- 1〜2人
- 準備物
- 透明のコップ、ジュースかお茶、ハンカチ
- 難しさ
- ★
1人で出る場合は、飲み終えたあとに自分で「……飲んだだけですね」と言うと、ツッコミの代わりになります。ツッコミとは、おかしな言動を指摘して笑いに変える一言のことです。
2. ぐにゃぐにゃになるものさし
かたいものさしが、やわらかく曲がって見える目の錯覚を使った手品です。タネは持ち方だけで、30秒あれば見せられます。
- 時間
- 30秒〜1分
- 人数
- 1〜2人
- 準備物
- 30cmの木か竹のものさし
- 難しさ
- ★
- ものさしの端から3分の1くらいのところを、親指と人さし指で軽くつまむ
- 手首を数cmの幅で、小さく速く上下に動かす
- ものさしが自由に揺れるように、指の力はぬいておく
- 止めるときは、ぱっと握ってまっすぐに立てる
速く動かすほど、曲がって見えます。正面から見るのがいちばん分かりやすいので、会場に向けてまっすぐ振りましょう。
3. 新郎が選ぶカードを予言する
前もって予言を書いた封筒を新婦に預け、新郎が選んだカードと同じだった、と見せる手品です。新郎は自分で好きな場所を選んだつもりでも、実は決まったカードを取る仕組みです。
- 時間
- 2分
- 人数
- 1〜2人(新郎新婦に手伝ってもらう)
- 準備物
- トランプ1組、封筒、「ハートのA」と大きく書いた紙、小さなお盆
- 難しさ
- ★★
- トランプのいちばん上に、ハートのエースを置いておく
- 予言の紙を封筒に入れ、本番の最初に新婦に預ける
- 新郎に、トランプの上半分をお盆に置いてもらう
- 残りの下半分を、その上に十字に置いてもらう
- 会場に向けて少し話をし、間を置く
- 上の束を持ち上げ、下の束のいちばん上のカードを取ってもらう
6で取るカードは、最初にいちばん上に置いたハートのエースです。5で話をはさむと、どちらが上の束だったかを会場が忘れてくれます。トランプは小さいので、予言は四つ切りの画用紙に大きく書き、折りたたんで封筒に入れておきましょう。広げたときに、会場全体から見えます。
4. 白いカードがお祝いの言葉に変わる
何も書いていない白いカードを封筒に入れ、取り出すと、お祝いの言葉が書かれたカードに変わっている手品です。最後に見せると、そのまま締めの言葉になります。
- 時間
- 1分
- 人数
- 1〜2人
- 準備物
- A4が入る同じ封筒2枚、A4の白い厚紙2枚、太いペン、のり
- 難しさ
- ★
- 封筒2枚のふたを切り落とし、口の向きをそろえて、裏どうしをのりで貼り合わせる
- 厚紙の1枚に「〇〇くん 〇〇さん おめでとう」と大きく書く
- 文字を書いた厚紙を、片方の封筒に入れておく
- 本番では、白い厚紙を空いているほうの封筒に入れる
- 封筒を軽く振ってから、文字の厚紙が入っているほうから取り出す
封筒の口はいつも上に向け、会場には片方の面だけを見せます。文字は1字10cmほどの大きさで書くと、後ろの席からも読めます。
手品の間に入れるセリフの台本
4つの手品を、2人でつないで見せる台本です。マジシャン役が手品をし、助手役がツッコミを入れます。〇〇は名前に書きかえてください。
台本幸せのマジックショー(約4分)
(マジシャンと助手が前に出る。助手はお盆と封筒を持っている)
助手〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。新郎の会社の同期の〇〇と、
マジシャン世界をまたにかける奇術師、ミスター〇〇です。
助手またにかけてません。電車で来ました。
マジシャン今日はお二人のために、とっておきの手品をお見せします。まずはこのジュースを、一瞬で空っぽにしてみせます。
(コップにハンカチをかぶせ、ハンカチの下でジュースを飲み干す)
マジシャン(ハンカチを取って)空っぽになりました。
助手飲んだだけです。
マジシャンおいしかったです。
助手感想はいいから。……皆さん、ここからが本番です。
マジシャン続いて、新郎の〇〇くんの決意を、このものさしで表します。
(ものさしを軽く持ち、小さく振る。ぐにゃぐにゃに見える)
助手ぐにゃぐにゃじゃないですか。
マジシャンこれは、どんな意見も受け止める、やわらかい心です。
(ものさしをぱっと握り、まっすぐ立てる)
マジシャンでも、新婦を大切にする気持ちだけは、このとおり、まっすぐです。
助手……今のは、ちょっといい話でした。
マジシャン次は、未来を当てる手品です。新婦の〇〇さん、この封筒を預かってください。中には私の予言が入っています。
(助手が新婦に封筒を渡す。マジシャンは新郎にトランプを渡し、助手がお盆を新郎の前に差し出す)
マジシャン〇〇くん、トランプの上半分をお盆に置いて、残りをその上に十字に置いてください。
マジシャン(会場に向かって)今、新郎は、誰にも決められていない、自分だけの場所でトランプを分けました。
マジシャンでは、分けたところのカードを1枚取ってください。
(マジシャンが上の束を持ち上げ、新郎が下の束のいちばん上のカードを取って、会場に見せる)
助手ハートのエースです。
マジシャン私の予言は……スペードの7。
助手全然違います。
マジシャン(あわてて)……あれ、おかしいな。
助手皆さん、すみません。いつもこうなんです。
マジシャンあっ、予言は封筒の中でした。〇〇さん、開けてもらえますか。
(新婦が封筒を開け、「ハートのA」の紙を広げて見せる)
助手……当たってる。
マジシャンハートのエース。お二人の愛は、いつでも1番という予言です。
マジシャンとっておきを、もう1つだけ。ここに、何も書いていない白いカードがあります。
(白い厚紙の表と裏を見せ、封筒に入れる)
マジシャン会場の皆さん、私が「せーの」と言ったら、お二人の名前を一緒に呼んでください。せーの。
(会場の声に合わせて封筒を振り、文字の厚紙を取り出して広げる)
助手白いカードが、お祝いの言葉に変わりました。
マジシャン・助手〇〇くん、〇〇さん、末永くお幸せに。
(2人で一礼して下がる)
1人で演じる場合は、助手のセリフを自分で言うか、なくしてもかまいません。予言の手品では、封筒を新婦に渡す役とお盆を差し出す役を、司会の人に頼む方法もあります。
失敗も笑いにする演出
手品の余興では、失敗はつきものです。わざと失敗する場面と、本当に失敗したときの言葉を、両方用意しておきましょう。
わざと失敗するのは1か所だけ
台本の「スペードの7」のように、わざと外してから成功させると、会場は一度がっかりした分だけ大きく驚きます。ただし、わざとの失敗は1回までにしておきます。何度も失敗すると、会場は手品ではなく失敗を待つようになり、最後のお祝いまで気持ちがつながりません。
本当に失敗したときの一言を決めておく
本番では、カードを取り違えたり、道具を落としたりすることもあります。そんなときは、あわてて謝るより、短い一言で笑いに変えて次へ進むほうが、会場も安心して見ていられます。
| 起きたこと | その場で言う一言の例 |
|---|---|
| 予言と違うカードが出た | 「お二人の幸せの力が強すぎて、私の力が負けました」 |
| 道具を落とした | 「今のは練習です。本番はここからです」 |
| タネが見えてしまった | 「……今のは、見なかったことにしてください」 |
| 何も起きなかった | 「起きませんでした。でも、お二人の結婚という奇跡は、もう起きています」 |
予言の封筒には、「ハートのA」の紙とは別に、「〇〇くん、〇〇さん、おめでとう」と書いた紙をもう1枚入れておくと安心です。カードが外れても、その紙を広げてお祝いで締められます。スベったときの立て直し方は「結婚式の余興の失敗例と防ぎ方」も参考にしてください。
1週間の練習の進め方
簡単な手品でも、人前で見せると手順を忘れやすくなります。次の順番で練習すれば、1週間で台本どおりに通せるようになります。
- 1日目:道具をそろえ、4つの手品の手順を1人で覚える
- 2〜3日目:スマホで正面から撮り、タネが見えていないか確かめる
- 4日目:台本を読みながら、手品とセリフをつなげてみる
- 5日目:2人で通し練習。お盆や封筒の受け渡しを決める
- 6日目:家族や友人に見てもらい、本当に失敗したときの一言も試す
- 7日目:本番と同じ服で通し練習。時間を測る
撮った動画は、横の角度からも1回撮っておきましょう。会場の横の席から見えてしまう動きが分かります。
前日までに確かめること
- 新郎新婦に前に出てもらうか、席で手伝ってもらうかを、司会の人に伝えたか
- マイクの本数(手品をする人は両手を使うので、スタンドがあると楽)
- トランプのいちばん上がハートのエースになっているか
- 封筒の中に、文字の厚紙とお祝いの紙が入っているか
- ジュースとコップを、出番の前に用意してもらえるか
よくある質問
1人でもできますか?
できます。消えるジュースとものさしの手品は、1人でも自分でツッコミを入れれば成り立ちます。予言の手品は、お盆を新郎のテーブルに置いて進めましょう。1人でできるほかのネタは「結婚式の余興を1人でやるなら」にあります。
手品師らしい衣装は必要ですか?
なくても大丈夫です。用意するなら、蝶ネクタイや黒いマントのような小物を1つ足すだけで、手品師らしく見えます。小物の選び方は「余興の衣装の選び方」で紹介しています。
新郎新婦に手伝ってもらうときの注意は?
手伝ってもらうのは、カードを取る、封筒を開けるなど、失敗のない役にしましょう。新郎新婦が恥ずかしい思いをする役は避けます。衣装によっては立ち上がるのも大変なので、席に座ったままできる役にすると安心です。
まとめ
- 余興の手品は「身近な道具・大きな動き・角度に強い」もので選ぶ
- ジュースやものさしの手品で笑いを取り、予言とお祝いのカードで締める
- わざとの失敗は1回だけ。本当の失敗に備えて、一言と予備の紙を用意する
- 練習は1週間。スマホで正面と横から撮って、タネが見えないか確かめる






