余興ムービーで笑いを取るなら、曲は映像に合わせるより「わざとずらす」使い方が効きます。壮大な曲に小さな出来事を合わせ、いちばん盛り上がる瞬間に曲を止めると、それだけで会場に笑いが起きます。市販の曲をムービーに入れるときは、会場で流すだけのときとは別の手続きが要ることが多いです。作り始める前に、会場に確かめましょう。
この記事では、曲と映像のずれで笑わせる組み合わせと、曲を切りかえるタイミング、場面ごとの曲の選び方を紹介します。後半では、著作権の考え方と会場への確認の手順を、聞き方の文例つきでまとめました。
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笑いを生むBGMは「わざとずらす」
曲を聞くと、見ている人は「これから何が起きるか」を自然に想像します。壮大な曲なら大事件を、緊張感のある曲なら怖い場面を待ちます。その想像と違う映像が出てくると、ずれが笑いになります。
ムービーで使いやすい組み合わせを5つ並べました。どの曲も、雰囲気が近い著作権フリーの曲で作れます。
| 曲の雰囲気 | 合わせる映像 | 笑いが起きる理由 |
|---|---|---|
| 映画の予告編のような壮大な曲 | 新郎が初めてアイロンをかける | 小さな出来事が、大事件のように見える |
| サスペンスドラマのような緊張感のある曲 | 新婦が新郎の背後にそっと近づく。手には新郎の好物のおにぎり | 怖い場面かと思わせて、優しい場面になる |
| 感動の名場面のような静かな曲 | 新郎が、残り1個の唐揚げを新婦にゆずる | 小さな優しさが、歴史に残る名場面に見える |
| 運動会のような速い曲 | 休日の朝、ゆっくり起きてくる新郎 | 曲の速さと、動きの遅さが合わない |
| 時代劇のような和風の曲 | 2人が新居のカーテンの色を決める話し合い | 今の暮らしが、大げさな歴史の一場面になる |
笑いの場面の曲は、歌のないものを選ぶ
笑いの場面では、字幕を読んでもらうことが多くなります。歌が入っていると、言葉と字幕がぶつかって、どちらも頭に入りません。曲の雰囲気だけで想像させるほうが、ずれがはっきり伝わります。
曲のずれは「出来事」に向ける
笑わせる相手は、出来事の大げささや小ささです。新郎が映るたびに間の抜けた曲を流すような使い方は、本人をからかうことになります。新郎新婦が見て「自分たちらしい」と笑える出来事を選びましょう。
壮大な曲で小さな出来事を見せる場面の作り方
いちばん使いやすいのが、壮大な曲で小さな出来事を見せる場面です。30秒ほどの短い場面でも、ムービーの中に1つ入れると、会場の空気が一気にやわらぎます。
- 時間
- 30〜40秒
- 人数
- 作る人1人(写真は新郎新婦や友人から集める)
- 準備物
- 写真か短い動画5〜6つ、歌のない著作権フリーの曲2つ
- 難しさ
- ★★
- 新郎新婦に聞いて、2人の小さな出来事を1つ選ぶ(初めての手料理、家具選びなど)
- 出来事の流れが分かる写真か動画を、5〜6つ集める
- 映画の予告編のような字幕を3〜4枚考える
- 曲がいちばん盛り上がる瞬間に、オチの写真を合わせる
- オチの写真で曲を止め、1〜2秒の無音を入れる
- 種明かしの字幕を出し、明るい曲に切りかえる
次の表は、「新郎、はじめてのカレー」という場面の例です。秒数と字幕を、2人の出来事に合わせて書きかえて使ってください。
| 秒数 | 映像 | 曲 | 字幕 |
|---|---|---|---|
| 0〜5秒 | 黒い画面 | 壮大な曲が静かに始まる | 〇年前、秋 |
| 5〜10秒 | 台所に立つ新郎の後ろ姿 | 少しずつ大きくなる | その日、新郎は決意した |
| 10〜16秒 | にんじんを手に、真剣な顔の新郎 | さらに大きくなる | 目的は、ただ1つ |
| 16〜22秒 | 鍋をのぞきこむ新郎 | 盛り上がる直前 | 新婦に、カレーを作る |
| 22〜26秒 | 完成したカレー(具がとても大きい) | いちばん盛り上がる | 完成 |
| 26〜28秒 | 同じ写真のまま | ぴたりと止める(無音) | なし |
| 28〜34秒 | カレーを食べて笑う新婦 | 明るい曲に切りかえる | 味は、とてもおいしかったそうです |
笑いが起きるのは、具の大きなカレーが映る瞬間と、曲が止まった無音のところです。同じ写真を明るい曲で並べただけでは、「仲がいいね」と思われて次の場面に進みます。曲で大事件のように見せておくから、写真のずれが笑いになります。
曲を切りかえるタイミング
笑いの大きさは、曲をどこで、どう切りかえるかで変わります。切りかえ方は、次の4つを使い分けます。
| 切りかえ方 | 使うところ | 長さの目安 |
|---|---|---|
| ぴたりと止める | オチの写真が出た瞬間 | 一瞬 |
| 無音の間を空ける | 止めたあと、種明かしの字幕の前 | 1〜2秒 |
| 別の曲に急に変える | 雰囲気をがらりと変えたいとき | 一瞬 |
| だんだん小さくする | 笑いから、お祝いの場面へ移るとき | 2〜3秒 |
オチは曲のいちばん盛り上がる瞬間に合わせる
曲には、音がいちばん大きく、にぎやかになる瞬間があります。そこにオチの写真を合わせると、ずれがいちばん大きくなります。編集アプリで音の波の形を表示できるなら、山が大きくなる所を探すと見つけやすくなります。
オチが1秒遅れるだけで、笑いは小さくなります。 合わせたら、何度か通して見て、写真が出る瞬間と曲の山がそろっているか確かめましょう。
会場の笑い声のぶん、無音を長めに取る
会場で笑いが起きると、その声で次の字幕や音が聞こえにくくなります。オチのあとの無音は、家で見て「少し長いかな」と感じる1〜2秒がちょうどよい長さです。笑いが起きてすぐ次の曲が始まると、笑い声がしぼんでしまいます。
笑いからお祝いへは、ゆっくり切りかえる
ムービーの後半は、温かい曲でお祝いを伝える場面になります。笑いの曲から移るときは、音をだんだん小さくし、黒い画面を1秒はさんでから温かい曲を始めます。空気が変わったことが伝わり、笑いのあとのお祝いの言葉が、会場によく届きます。
場面のつなぎ方や音量の下げ方など、編集の手順は「余興ムービーの作り方」で紹介しています。短い音で笑いを足したいときは、「効果音の使い方」のタイミングの考え方も使えます。
場面ごとの曲の選び方と、曲の数
ムービー全体では、場面ごとに曲の役目が変わります。笑いの場面以外は、映像に合う曲を選ぶのが基本です。
| 場面 | 合う曲の雰囲気 | 選ぶときのポイント |
|---|---|---|
| オープニング | 明るく元気な曲か、予告編風の壮大な曲 | 前奏が長すぎず、最初の15秒で雰囲気が伝わる |
| 笑いの場面 | 映像とずれる曲(壮大、緊張感、和風など) | 歌のない曲にして、字幕を読みやすくする |
| 思い出の写真 | 中くらいの速さで、なじみのある曲 | 写真の切りかえを、曲の拍に合わせやすい |
| 友人のメッセージ | 歌の入っていない、静かな曲 | 声をじゃましない。音を小さくしても雰囲気が残る |
| エンディング | 温かい曲、だんだん盛り上がる曲 | 結びの字幕と、曲の盛り上がる部分を重ねる |
市販の曲は、1曲ごとに手続きが要ることが多いので、1本に1〜2曲までにしぼります。笑いの場面の短い曲は、著作権フリーの曲で十分です。予告編風やサスペンス風、時代劇風の曲は、フリーの曲の中にも多く見つかります。
笑いの場面は、1本のムービーに1〜2か所までにしましょう。曲が何度も変わると、見ている人が落ち着かず、お祝いの場面まで軽く見えてしまいます。
曲を決める前に確かめること
- 歌詞に、別れや失恋、さよならを思わせる言葉が出てこないか
- 年配の親族や上司が聞いても、心地よい曲か
- 歌の入った曲が、メッセージの声や字幕とぶつからないか
- 入場や乾杯など、披露宴のほかの場面で使う曲とかぶらないか
- 笑いの曲が、人をからかう使い方になっていないか
明るい曲調でも、歌詞をよく読むと別れの歌だったということがあります。曲名だけで決めず、歌詞も確かめておきましょう。
市販の曲を使うときの著作権の考え方
市販の曲には、2つの権利があります。作詞や作曲をした人の権利(著作権)と、CDなどの音源を作った会社や、歌った人・演奏した人の権利(著作隣接権)です。ムービーに曲を入れるには、原則として、この両方の許可が要ります。
ここで紹介するのは一般的な考え方で、扱いは会場や曲によって違います。決める前に、必ず会場に確かめてください。
| 曲の使い方 | 手続きの考え方 | まずすること |
|---|---|---|
| 会場で市販のCDを流すだけ | 会場が権利を管理する団体と契約していて、自分たちの手続きは要らないことが多い | 流してよいかを会場に聞く |
| 市販の曲をムービーに入れる | 曲を動画に入れる(複製する)ための許可が要る。まとめて代行する団体を通す方法がある | 手続きの窓口を会場に聞く |
| ムービーには曲を入れず、会場で別に流す | 会場の扱いによる。引き受けてくれない会場もある | 引き受けてもらえるかを会場に聞く |
| 著作権フリーの曲を使う | 利用規約の範囲なら、手続きは要らないことが多い | 曲を配っているサイトの規約を読む |
手続きを代行する団体がある
結婚式で流す映像に市販の曲を入れる手続きを、権利を持つ人たちに代わって受け付ける団体があります。会場がその団体に登録していれば、会場を通して申し込めることがあります。
ただし、手続きできるのは決められた曲だけで、1曲ごとに費用がかかることが多いです。正規に購入した音源を用意するよう求められることもあります。どの曲が使えるか、いくらかかるかは、会場の担当者に聞くのがいちばん確かです。
古い曲や「フリー」の曲で気をつけること
作曲した人の権利が切れた古いクラシックの曲でも、CDなどの音源には別の権利が残っていることが多いです。演奏した人や、音源を作った会社の権利です。壮大な曲を使いたいときは、著作権フリーとして配られている音源を選ぶと安心です。
「フリー」でも、使い方に条件があることが多いです。結婚式で流す動画に使ってよいか、曲名や作った人の名前を出す必要があるかを、規約で確かめます。
使えないと考えておきたい音
音楽配信サービスで聞ける曲や、動画サイトの動画から録音した音は、規約で個人の利用に限られていることが多いです。ムービーに入れて会場で流す使い方はできない、と考えておきましょう。
会場で自分たちが歌ったり、CDに合わせて踊ったりする余興は、ムービーとは扱いが変わることがあります。くわしくは「結婚式の余興で歌うなら」を見てください。
会場への確認の手順
曲の確認は、ムービーを作り始める前に済ませておくのが理想です。笑いの場面は、曲の山に合わせて写真を並べるので、あとから曲を変えると、合わせ直しに時間がかかります。
- 使いたい市販の曲を、候補も含めて2〜3曲にしぼり、曲名と歌っている人を書き出す
- 新郎新婦か会場の担当者に、市販の曲をムービーに入れてよいかを聞く
- 手続きが要るなら、窓口、費用、締め切り、用意するものを聞く
- 手続きできない曲だったら、別の曲か著作権フリーの曲に変える
- 手続きが済んだのを確かめてから、本番用に書き出す
- 二次会でも流すなら、二次会の会場にも別に聞く
余興の中身を新郎新婦に内緒にしている場合も、曲名を伝えるだけなら、ムービーの内容までは分かりません。会場の担当者と直接やりとりしてよいかも、あわせて聞いておくと楽になります。
〇月〇日に披露宴を予定している、〇〇・〇〇の友人の〇〇です。余興のムービーを担当しています。
ムービーに使う曲について、3点教えてください。
1. 市販の曲を入れたムービーを、会場で流すことはできますか。
2. 手続きが必要な場合、申し込みの窓口と費用、締め切りを教えてください。
3. 曲を入れずに作り、当日に会場で曲を流していただくことはできますか。
使いたい曲は、次の2曲です。
・(曲名)/(歌っている人) オープニングに約1分
・(曲名)/(歌っている人) エンディングに約30秒
笑いの場面には、著作権フリーの曲を使う予定です。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
答えは、あとで見返せるように、メッセージや紙に残しておきましょう。マイクやスクリーンなど、ほかの設備もまとめて聞くなら、「結婚式の余興の打ち合わせ」のチェックリストが使えます。
よくある質問
笑いの場面だけ、有名な曲のさわりを使ってもいいですか?
短い部分でも、市販の曲をムービーに入れるなら、手続きが要ることが多いです。会場に聞いて手続きできない曲なら、雰囲気の近い著作権フリーの曲を探しましょう。笑いは曲そのものより、映像とのずれで生まれるので、知らない曲でも十分に伝わります。
新郎新婦の思い出の曲を使いたいのですが、手続きできない曲でした。
ムービーには入れずに、会場で別に流してもらえないか相談してみましょう。それも難しい場合は、結びの画面に曲名だけを字幕で出し、「この曲は、ぜひ2人で聞いてください」と添える方法もあります。
当日のムービーを、あとでSNSに載せてもいいですか?
会場で流すための手続きは、ネットに載せることまでは含まれていないことが多いです。載せるなら、曲を外すか、ネットでの公開も認められた著作権フリーの曲に差しかえます。映っている友人にも、載せてよいか一言聞いておきましょう。
まとめ
- 笑いの場面の曲は、映像とわざとずらす。壮大な曲に小さな出来事を合わせると伝わりやすい
- オチは曲のいちばん盛り上がる瞬間に合わせ、曲を止めて1〜2秒の無音を取る
- 笑いからお祝いへは、音をだんだん小さくして、ゆっくり切りかえる
- 市販の曲は1〜2曲にしぼり、笑いの場面の短い曲は著作権フリーの曲で作る
- 作り始める前に曲名を書き出し、会場の担当者に手続きを確かめる






