結婚式のスピーチで笑いはマナー違反?OKな笑い・NGな笑いと忌み言葉の言い換え

花の飾りの横で、カードを手に話す男性と、ハートのカードを持って笑う女性

結婚式のスピーチで笑いを取るのは、マナー違反ではありません。お祝いの気持ちが伝わる笑いは、会場の緊張をほぐし、新郎新婦にも喜ばれます。ただし、入れてよい笑いと避けたい笑いがあり、境目は「新郎新婦と両家の家族が、一緒に笑えるかどうか」です。

この記事では、OKな笑いとNGな笑いを、直す前と直したあとの例文で比べます。笑いを入れる場所と量、友人・上司・親族の立場別の加減、笑いのセリフでうっかり使いがちな忌み言葉の言い換えもまとめました。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 笑いはマナー違反ではない。気をつけるのは「中身」と「量」
  2. OKな笑い:自分の失敗・本人の意外な一面・場面が浮かぶ話
  3. NGな笑い6つと、笑いを残したまま直す例
  4. 笑いを入れる場所と量:冒頭と中盤に入れ、締めはまじめに
  5. 立場別の笑いの加減(友人・上司・親族)
  6. 笑いのセリフで使いがちな忌み言葉と言い換え
  7. 原稿を仕上げる前に確かめること
  8. よくある質問
  9. まとめ

笑いはマナー違反ではない。気をつけるのは「中身」と「量」

結婚式のスピーチのマナーは、お祝いの場の空気を守るための決まりです。笑いそのものは、マナーに反するものではありません。まじめな挨拶が続く披露宴では、小さな笑いがあると、会場の肩の力がぬけます。

マナー違反になるのは、笑いの「中身」か「量」を間違えたときです。中身でいえば、本人が隠したい話や、一部の人にしか分からない話。量でいえば、冗談ばかりが続き、お祝いの言葉より笑いのほうが印象に残ってしまう場合です。

迷ったときの基準は1つだけ

「新郎新婦と両家の家族が、その場で一緒に笑えるか」を確かめてください。友人席だけが笑い、親族席が静かになる話は、どんなにウケそうでも入れません。

OKな笑い:自分の失敗・本人の意外な一面・場面が浮かぶ話

結婚式のスピーチで使いやすい笑いは、次の3つです。どれも、誰かを下げずに笑いが取れるのが共通点です。

OKな笑い笑いのひとことの例安心な理由
自分の失敗(自虐)「原稿のために新郎との写真を見ていたら、3時間たっていました。スピーチは3分です」笑われるのは話し手なので、誰も傷つかない
本人の意外な一面「職場ではどんな質問にも即答する〇〇くんが、〇〇さんの誕生日プレゼントだけは、3か月前から悩んでいました」笑いのあとに、本人の良さが伝わる
場面が浮かぶ具体的な話「〇〇くんは、みんなで鍋をすると、頼まれてもいないのにアク取り係になります。おたまを持ったまま、自分はほとんど食べていません」知らない人にも絵が浮かび、人柄のほめ言葉になる

自虐は、自分を少し下げて笑いを取る方法です。材料は小さな失敗にし、見た目や仕事の大きな失敗は使いません。

OKな笑いには、もう1つ条件があります。笑いのすぐあとに、ほめ言葉かお祝いを続けることです。鍋の話なら、「人のために動ける〇〇くんなら、きっと温かい家庭を築けます」と続けると、笑いがそのままお祝いに変わります。

3つの型の作り方は「スピーチで笑いを取るコツ」にまとめています。友人代表スピーチの全文の例は「友人代表スピーチで笑いを取る3つの型と例文」で紹介しています。

NGな笑い6つと、笑いを残したまま直す例

避けたい笑いは、次の6つです。ただし、材料や言葉を入れかえれば、笑いを残したまま直せるものもあります。

NGな笑い会場で起きること代わりの材料
暴露(本人が隠したい失敗)上司や親族の前で、本人の評判が下がる本人が自分でも笑って話している失敗
元恋人や昔の恋愛の話新郎新婦と両家の家族が気まずくなる2人が出会ってからの話
下ネタ・夜を連想させる冗談親族や子どもが聞いていられない新生活の家事や休日の話
内輪ネタ友人席だけが笑い、ほかの席が置いてきぼりになる誰が聞いても場面が浮かぶ話
容姿・年齢・出身をからかう話本人だけでなく、同じ特徴の人も傷つく見た目ではなく、行動のくせ
忌み言葉を使ったボケ縁起を気にする親族が笑えない同じボケを、別の言葉で言う

暴露は「本人が笑って話せる大きさ」にする

本人が隠したい失敗は、上司や親族がいる結婚式では、冗談では済みません。失敗の話を使うなら、本人がふだんから自分で話している、小さなものにします。

例文暴露を直す

直す前:「〇〇くんは、大学の4年間、1限の授業にほとんど出ませんでした。単位は、ほぼ僕のノートのおかげです」
直したあと:「〇〇くんは朝が苦手で、1限の教室には、いつもチャイムと同時に入ってきました。そのかわり、ノートを貸すと、必ず学食のプリンでお礼をしてくれる律儀な男でした」

昔の恋愛は「2人が出会ってから」に置きかえる

昔の恋愛の話は、新郎新婦と、その家族を必ず困らせます。同じ恋愛の笑いでも、2人が出会ってからの変化に置きかえると、会場全体で笑えます。

例文昔の恋愛の話を直す

直す前:「学生時代の〇〇くんはとにかくモテて、クリスマスは毎年ちがう人と過ごしていました」
直したあと:「学生時代の〇〇くんは、クリスマスの予定をいつも前の日まで決めない男でした。それが〇〇さんと出会ってからは、11月のうちにお店を予約しているそうです」

内輪ネタは「知らない人にも絵が浮かぶか」で直す

あだ名や仲間内の言葉、「あの事件」のような言い方は、友人席の外には伝わりません。何があったのかを、知らない人にも分かる言葉で描き直します。

例文内輪ネタを直す

直す前:「〇〇といえば、やっぱり『例のポーズ』ですよね。今日は見られるかな?」
直したあと:「〇〇くんには、うれしいことがあると、小さくガッツポーズをするくせがあります。今日も入場のとき、高砂の前でこっそり決めていました」

忌み言葉のボケは、形はそのままで言葉だけ入れかえる

ボケは、わざとずれたことを言って笑いを取る一言です。「くり返す」「別れる」のような言葉を使ったボケは、形がよくても、縁起を気にする人には笑えません。ボケの流れはそのままにして、言葉だけを入れかえます。

例文忌み言葉のボケを直す

直す前:「〇〇くんは、定食屋でしょうが焼きばかりくり返し頼む男です。結婚だけは、くり返さないでくださいね」
直したあと:「〇〇くんは、定食屋では、10年間しょうが焼きしか頼みません。一度好きになったら、ずっと一途な男です。〇〇さんへの気持ちも、きっと同じです」

下ネタと容姿いじりは、直さずに外す

下ネタや、体型・髪・年齢・出身をからかう冗談は、言い方を変えても誰かが傷つきます。ここは直すのではなく、話ごと外してください。

見た目で笑いを取りたくなったら、行動のくせに材料を変えます。「写真を撮るとき、〇〇くんはいつも後ろの列の端に立ちます。前の人の顔が隠れないように、だそうです」のような話なら、笑いと人柄が一緒に伝わります。

笑いを入れる場所と量:冒頭と中盤に入れ、締めはまじめに

笑いを入れる場所は、冒頭と中盤です。冒頭の笑いはお笑いでいう「ツカミ」(最初に聞き手の心をつかむ一言)で、会場と自分の緊張をほぐします。中盤の笑いは、エピソードの中で本人の人柄を印象に残します。

3分のスピーチなら、笑いは2〜3か所までが目安です。時間の流れで見ると、次のようになります。

時間の目安話すこと笑い
0〜20秒お祝いと名乗り入れない
20〜40秒名乗りのあとのひとこと1つ(自虐が安心)
40秒〜2分20秒エピソード1〜2つ(笑いのあとに人柄を続ける)
2分20秒〜3分はなむけと結び入れない

冒頭の笑いは、お祝いと名乗りを済ませてから入れます。いきなり冗談で始めると、ふざけている印象になるからです。

例文冒頭の型(お祝い → 名乗り → 笑いのひとこと)

〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。
新郎の大学時代の友人で、△△と申します。
招待状のはがきで、「ご出席」の「ご」に線を引き忘れまして、新郎から「マナーの勉強からだね」と言われました。
今日はその成果をお見せできるよう、精いっぱい務めます。

量で気をつけたいのは、持ち時間です。笑いが起きると、静まるまで待つ分だけ時間が延びます。笑いを1つ足したら、ほかの文を1つ削るくらいで、ちょうど持ち時間に収まります。

結びの2〜3文には、笑いを入れません。最後にもう一度ボケると、お祝いの言葉より冗談が耳に残ります。笑いからまじめな話に切り替える一言は「結婚式スピーチの締めの言葉」で紹介しています。

立場別の笑いの加減(友人・上司・親族)

同じ笑いでも、話す人の立場によって、ちょうどいい量と材料が変わります。

立場笑いの目安向いている材料控えたい材料
友人代表2〜3か所学生時代の小さな失敗、意外な一面内輪ネタ、昔の恋愛、お酒の話
上司・主賓1〜2か所自分の緊張、仕事中の意外な一面部下を下げる冗談、社内の事情
親族(おじ・おば・兄弟)1か所子どもの頃のほほえましい話家族の秘密、「早く孫を」などの決めつけ

友人は「一緒に笑う」立場

友人代表は、いちばん笑いを入れやすい立場です。そのぶん内輪の話になりやすいので、親族席にも伝わるかを確かめます。

例文友人の笑いのひとこと

新郎とは、大学のテニスサークルで出会いました。
4年間でいちばん上達したのは、2人とも、ボール拾いの速さでした。

上司は「自分を下げる」立場

上司が部下をいじると、本人が笑っていても、周りは笑いにくくなります。笑いの材料は、上司自身のことにします。上司として話すときの構成は「上司の結婚式スピーチ」にまとめています。

例文上司の笑いのひとこと

主賓のご挨拶という大役をいただき、慣れない原稿を書いてまいりました。
〇〇くんに添削を頼もうかと思いましたが、さすがにやめておきました。

親族は「家族しか知らない、ほほえましい話」

親族の笑いには、子どもの頃の、本人も親も笑える話が向いています。成績や、親が恥ずかしがる家の中の話は避けます。

例文親族(新郎のおじ)の笑いのひとこと

〇〇が5歳のとき、将来の夢は「おじさんの家の猫」でした。
一日じゅう寝ていられるから、だそうです。
その〇〇が、今日からは家庭を支える一人になります。

笑いのセリフで使いがちな忌み言葉と言い換え

忌み言葉は、「別れ」や「再婚」を連想させるため、お祝いの席で避けられてきた言葉です。「たびたび」のように同じ音を重ねる重ね言葉も、結婚がくり返されることを連想させるため避けます。気にしない人もいますが、親族席には気にする人もいるので、原稿の段階で直しておきましょう。

とくに笑いのセリフは、くだけた言い回しが多く、忌み言葉が入りやすい場所です。次の表は、ボケやたとえで出やすい形をまとめたものです。

避けたい言葉笑いのセリフで出やすい形言い換え
切れる「仕事の切れる男」「すぐキレる」「頭の回転が速い」「すぐ熱くなる」
冷める「熱しやすく冷めやすい」「何にでもすぐ夢中になる」
別れる「別れ際があっさりしている」「『またね』があっさりしている」
終わる「話が終わらない」「話が止まらない」
戻る「話を戻しますと」「さて」
割れる「腹筋が割れるほど笑った」「おなかが痛くなるほど笑った」
崩れる・壊れる「イメージが崩れる」「キャラ崩壊」「意外な一面が見えた」
帰る「飲み会からすぐ帰る」「家が大好き」
飽きる「飽きっぽい」「好奇心が強い」
最後「最後にもう一つだけ」「結びに」「あと一つだけ」
くり返す「大事なことなので2回言います」「大事なことなので、ゆっくり言います」

重ね言葉は、「いろいろ」を「たくさんの」、「たびたび」を「よく」に言い換えると自然です。「まだまだ」は「これからも」、「ますます」は「さらに」にします。

例文直す前(ボケの中に避けたい言葉が5か所)

〇〇くんは、熱しやすく冷めやすい男です。大学では、サークルを3回変わりました。
でも〇〇さんのことだけは、出会ってから一度も冷めていません。
話を戻しますと、いろいろあった〇〇くんですが、最後にひと言だけ。

例文直したあと

〇〇くんは、何にでもすぐ夢中になる男です。大学では、サークルを3つ渡り歩きました。
でも〇〇さんにだけは、出会ってからずっと夢中のままです。
さて、たくさんの思い出がある〇〇くんですが、結びにひと言だけ。

「冷めていません」のような否定の形は、「ずっと夢中のままです」のような前向きな形に変えると、言い換えが自然になります。本番でうっかり言ってしまっても、言い直さずにそのまま続けましょう。言い直すと、かえって会場の耳に残ります。

原稿を仕上げる前に確かめること

笑いを入れた原稿は、書き上げたら一度声に出して読み、次のことを確かめます。

笑いを入れた原稿で確かめること

  • 笑いの材料は、本人が自分でも人に話している話か
  • 親族席の人にも場面が浮かぶか(あだ名や仲間内の言葉が残っていないか)
  • 笑いのすぐあとに、ほめ言葉かお祝いが続いているか
  • 結びの2〜3文に、冗談が残っていないか
  • 笑いが静まるのを待っても、持ち時間に収まるか
  • 笑いのセリフに、忌み言葉・重ね言葉が残っていないか

気になる話がある場合は、前もって新郎新婦に「この話をしてもいい?」と聞いておくと安心です。本人が笑ってうなずく話なら、本番でも会場と一緒に笑えます。

よくある質問

新郎新婦が忌み言葉を気にしない人でも、言い換えは必要ですか?

新郎新婦が気にしなくても、親族の中には気にする人がいます。スピーチは会場の全員に向けて話すものなので、原稿の段階で言い換えておくと安心です。言葉を入れかえても、笑いは減りません。

笑いを入れたのにスベったら、マナー違反になりますか?

なりません。スベる(笑いが起きない)ことがあっても、お祝いの気持ちが伝われば、スピーチとしては十分です。改まった場では、何も言わずに次の文へ進みましょう。ほかの立て直し方は「滑ったときの返し方」に例があります。

「大切」も「切」の字が入るので避けるべきですか?

「大切」は、お祝いの席でもふつうに使われている言葉です。どうしても気になる場合は、「大事」に言い換えると安心です。

まとめ

  • 結婚式のスピーチで笑いを取るのは、マナー違反ではない
  • 基準は「新郎新婦と両家の家族が、一緒に笑えるか」
  • 暴露・昔の恋愛・内輪ネタ・忌み言葉のボケは、材料や言葉を入れかえて直す。下ネタと容姿いじりは外す
  • 笑いは冒頭と中盤に2〜3か所まで。結びはまじめに締める
  • 笑いを1つ足したら、ほかの文を1つ削って持ち時間を守る
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