物ボケのやり方|身近な道具で見立てるコツと例20

ざるをかぶり、木のおたまを望遠鏡のようにのぞく男性

物ボケは、身近な道具を手に取り、形・色・動きのどれかから別の物に見立てて、動きと一言で笑わせるボケです。見立てただけで終わらず、最後に「その道具らしさ」がばれる一言を足すと、笑いが大きくなります。

この記事では、見立ての3つの入口と、一言の作り方を順に説明します。ざるやしゃもじなど、家にある道具10個で作った物ボケの例と、ひとりでできる練習法も紹介します。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 物ボケは「見立て」と「ばれる一言」でできている
  2. 見立ての3つの入口(形・色・動き)
  3. 見立てを笑いに変える一言の作り方
  4. 身近な道具10個での物ボケの例
  5. 物ボケの練習法
  6. 道具の選び方と気をつけること
  7. よくある質問
  8. まとめ

物ボケは「見立て」と「ばれる一言」でできている

物ボケは、ボケの型の1つである「見立て」を、道具を使って見せる芸です。宴会の余興や、お笑いの練習のお題として、箱から道具を引いてその場で演じることもよくあります。ボケの型の全体は「ボケの種類一覧」で紹介しています。

1つの物ボケは、2つの部分でできています。

  1. 見立てる:道具を、別の物のように持って動く
  2. ばれる一言:その道具の本当の姿がのぞく一言で落とす

たとえば、ざるを顔の前に構えて剣道の面に見立て、「メン!」と打ちこむとします。ここまでは「似てる」と感心されるだけです。そのあと、ざるの中をのぞきこんで「……そうめんじゃありません」と言います。ざるは本来、麺の水切りに使う道具です。その正体が顔を出すことで、笑いになります。

見立てで「なるほど」と思わせ、一言で「やっぱりざるだ」と気づかせるのが、物ボケの基本の流れです。

見立ての3つの入口(形・色・動き)

道具を手に取ったら、次の3つの入口から順に見ていきます。1つの入口で思いつかなければ、次の入口に移りましょう。

入口道具のここを見る見立ての例
形丸い、細長い、くぼんでいる、穴があいている丸い→ハンドル、細長い→ゴルフクラブ、くぼみ→帽子
色白、黄色、緑、赤など、目立つ色白→白旗や雪、黄色→チーズ、赤→信号の「止まれ」
動きかぶる、耳に当てる、振る、回す、持ち上げるかぶる→ヘルメット、耳に当てる→電話、持ち上げる→ダンベル

いちばん思いつきやすいのは、動きの入口です。「かぶる」「耳に当てる」「振る」の3つを、どんな道具でも順に試してみてください。動いてみると、手元の道具が何に見えるかが、自分でも分かってきます。

色の入口は、ほかの2つと組み合わせると強くなります。黄色いスポンジは、色だけでなく、穴のあいた形もチーズに似ているので、見た人にすぐ伝わります。

見立てを笑いに変える一言の作り方

見立てが伝わったら、最後の一言でずらします。一言には、主に2つの作り方があります。

一言の作り方考え方例
正体がばれる道具の本当の使い道や、性質が出てしまう紙皿のハンドルを回すと、ハンドルのほうが曲がる
場面がずれる見立てた場面に、ありえない事情を足す白いタオルの白旗を振って「まだ何も始まってません」

正体がばれる一言を作るときは、「この道具は、ふだん何に使うか」「どんな性質があるか」を先に書き出します。ざるなら「水が抜ける」「麺をゆでる」、スポンジなら「泡が出る」「水を吸う」です。この性質が、見立てた場面で顔を出すようにします。

動き、間、一言の順に見せる

先に動きで見立てを見せ、ひと呼吸おいてから一言を言います。動きながら一言を言うと、見ている人が「何に見立てたか」を分かる前に、オチを聞くことになります。

身近な道具10個での物ボケの例

家にある道具で作った物ボケの例です。1つの道具につき、2つの見立てを紹介します。かっこの中は、使った入口です。

台所の道具(1〜5)

道具見立て(入口)動きと一言
1 ざる剣道の面(形)顔の前に構えて「メン!」と打ちこみ、中をのぞいて「……そうめんじゃありません」
1 ざるプラネタリウム(形)電気にかざして下からのぞき、「今夜は、星がよく見えますね」
2 おたま手鏡(形)顔を映して「鏡よ鏡……映ってるのは、ゆうべのカレー」
2 おたま虫めがね(形)床をのぞきこみながら歩き、「ふむ。犯人は、台所にいる人ですね」
3 しゃもじ卓球のラケット(形・動き)鋭く打ち返して「……ご飯つぶが、相手のコートに入りました」
3 しゃもじ打ち出の小づち(動き)振りながら「お金よ、出てこい」。手のひらを見て「……出てきたのは、おこげ」
4 紙皿車のハンドル(動き)両手で回して「右に曲がります」。紙皿をふにゃっと曲げて「……ハンドルのほうが曲がりました」
4 紙皿ベレー帽(形)頭にななめにのせて「パリで買った帽子です。少しだけ、ソースの香り」
5 黄色いスポンジチーズ(色・形)香りをかいで「いい熟成です」。ぎゅっとにぎって「……泡が出てきました」
5 黄色いスポンジ消しゴム(形・動き)机をこすって「まちがいを、全部吸いこみます」

部屋の道具(6〜10)

道具見立て(入口)動きと一言
6 傘ゴルフクラブ(動き)閉じたまま振って「ナイスショット」。空を見上げて開き「雨だ。ちょうどよかった」
6 傘パラボラアンテナ(形)開いて逆さに持ち、「宇宙からの電波を受信中……あ、雨水もたまってきた」
7 白いタオル白旗(色・動き)大きく振って「参りました」。少し間をおいて「……まだ何も始まってません」
7 白いタオル雪玉(色・形)丸めて投げるまねをして「雪合戦だ」。急いで拾いに行き「1個しかないので」
8 空のペットボトルダンベル(動き)力をこめて持ち上げ、「中身がないので、毎日続けられます」
8 空のペットボトル消火器(形・動き)「火事だ!」と振りかけるまねをして、「……空でした」
9 ハンガーはてなマーク(形)フックを上にして頭の横に持ち、首をかしげて黙る
9 ハンガー干されたスーツ(動き)首の後ろにかけて、ぶら下がるように力を抜き、「スーツの気持ちが、少し分かりました」
10 段ボール箱テレビ(形)箱を顔の前に構え、窓のように開けた所から「ニュースをお伝えします。チャンネルは変えないでください」
10 段ボール箱ロボット(形)頭からかぶって「ワタシハ、ロボット」。箱が前にずれて「……前ガ、見エマセン」

9の「はてなマーク」のように、一言を言わずに動きだけで見せる物ボケもあります。セリフのない見せ方のコツは「セリフなしのコントの作り方」が参考になります。

物ボケの練習法

物ボケは、道具を手に取ってから見せるまでの速さが大切です。次の順番で練習すると、その場で思いつく力がついていきます。

  1. 家にある道具を1つ選び、1分で見立てを5つ出す
  2. 5つのうち2つに、正体がばれる一言を付ける
  3. 動き、間、一言の順に、声に出して演じる
  4. スマホで撮り、音を消して見て、何に見立てたか分かるか確かめる
  5. 慣れてきたら、箱から目をつぶって道具を引き、30秒以内に1つ見せる

1の段階では、面白いかどうかは考えなくてかまいません。物を別の物に見るのは、例えツッコミと同じ頭の使い方です。言葉で例える練習は「例えツッコミのコツ」で紹介しているので、あわせて取り組むと発想が広がります。

宴会でやる物ボケ大会

みんなで遊ぶときは、中が見えない箱に道具を入れておき、順番に引いて演じる形にすると盛り上がります。

時間
10〜15分
人数
3人〜(1人ずつ順番に)
準備物
道具8〜10個と、中が見えない箱か袋
難しさ
★★

道具は、ざる、紙皿、ハンガーのように、形がはっきりちがう物を混ぜておきます。似た形の物ばかりだと、見立ても似たものになりがちです。1人で前に出てやる一発芸として使うなら、「簡単でうける一発芸20選」も参考になります。

道具の選び方と気をつけること

物ボケの道具は、軽くて、持ちやすく、形に特徴がある物が向いています。台所の道具や文房具、日用品など、どの家にもある物を選ぶと、見ている人にも何の道具かがすぐ伝わります。

道具を用意するときに確かめること

  • 刃物やとがった物は入れない(はさみ、包丁、フォークなど)
  • 割れる物は使わない(ガラスのコップや陶器の皿は、紙コップや紙皿にかえる)
  • 会場の備品や人の持ち物は、持ち主に断ってから使う
  • 料理や飲み物など、食べ物では遊ばない
  • 振る動きは、周りの人やテーブルとの距離をとってから

人の見た目に見立てない

「このモップ、〇〇さんの髪形に似てる」のように、その場にいる人の見た目に見立てるのはやめましょう。言われた人が笑っていても、からかいになります。見立てる先は、物や場面、自分自身にしましょう。

よくある質問

道具を見ても、何も思いつきません。

動きの入口から始めましょう。道具を「かぶる」「耳に当てる」「振る」の3つを順に試すだけで、帽子、電話、スポーツの道具など、何かしらの見立てが見つかります。思いつかないまま止まるより、まず体を動かすほうが早く浮かびます。

一言がなくても、物ボケになりますか?

なります。見立てがはっきり伝われば、「似てる」という笑いは起きます。ただ、もう一段笑いを大きくしたいなら、道具の本当の使い道を書き出して、それが見立てた場面で出てしまう一言を足してみてください。

落語の扇子のような見立てとは、ちがうものですか?

考え方は同じです。落語では、扇子を箸や筆に見立てて、物語の中の1つの道具として使います。物ボケは、見立てそのものを笑いにする点がちがいます。落語の見立てを知りたいときは「落語風の一人芝居の作り方」を見てください。

まとめ

  • 物ボケは、道具を別の物に見立て、正体がばれる一言で落とす
  • 見立ては、形・色・動きの3つの入口から考える
  • 思いつかないときは、「かぶる」「耳に当てる」「振る」の動きから試す
  • 動き、間、一言の順に見せると、見立てとオチの両方が伝わる
  • 刃物や割れ物は使わず、人の見た目には見立てない
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