AIで漫才の台本を作るときのコツ|下書きを自分のネタに直す方法

ノートパソコンと開いたノート、ストップウォッチが並ぶ机

AIで漫才の台本を作るときのコツは、AIを設定やボケの「候補出し」と「下書き」の係として使うことです。どれを選ぶか、2人の関係、間、オチは、自分たちで決めます。AIの下書きはボケの形が単調になりやすいので、2人で声に出して読みながら、自分たちの言葉に直して仕上げます。

この記事では、漫才の下書きを頼むときの例文4つと、AIの下書きにありがちなくせ、それを直す手順を、直す前と後の台本で紹介します。著作権や大会の決まりで気をつけることもまとめました。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. AIに任せる所と、自分たちで決める所
  2. 漫才の下書きを頼むときの例文4つ
  3. AIの下書きにありがちな5つのくせ
  4. 下書きを自分たちのネタに直す手順
  5. オリジナルのネタにするための工夫
  6. 著作権と大会の決まりで気をつけること
  7. よくある質問
  8. まとめ

AIに任せる所と、自分たちで決める所

ここでいうAIは、文章で頼みごとを送ると、文章で返してくれるチャット形式のAIのことです。漫才の台本づくりでは、工程ごとに向き不向きがはっきりしています。

台本づくりの工程AIに頼めること自分たちで決めること
設定案を10個、20個と数多く出すどの案なら2人が自然に演じられるか
2人の性格と関係ほとんど頼めない本当の2人の関係や、くせをもとに決める
ボケ候補をたくさん出すどれを残し、どの順に並べるか
ツッコミ言い回しの候補を出す自分の口から自然に出る言葉か
間とテンポ頼めない読み合わせで決める
オチ案を出す最後に何を残して終わるか

漫才は、2人がその場で会話しているように見せる芸です。選ぶこと、2人らしさを足すこと、間を決めることは、人にしかできない仕事と考えておきましょう。動画の台本でAIを使うときのコツは、「YouTubeの台本をAIで作るコツ」で紹介しています。

漫才の下書きを頼むときの例文4つ

AIへの頼み方は、短いと、どこかで見たような下書きが返ってきます。2人の性格、ボケの形、長さ、避けたいことを具体的に書きましょう。ここでは「スマホの機種変更」をテーマにした例で紹介します。

例文頼み方1 設定の案を出してもらう

漫才の設定の案を10個出してください。
・テーマ:スマホの機種変更
・2人は高校からの友人。ボケは物を大事にしすぎる性格、ツッコミはさっぱりした性格
・「〜したら、〜でした」と出来事を報告するだけの案は入れない
・1案は1行で、「誰が、何をしようとして、どうずれるか」が分かるように書く
・実在の芸人さんのネタや、テレビ番組に似せない

例文頼み方2 2分の下書きを書いてもらう

次の設定で、2分ほどの漫才の下書きを書いてください。
設定:機種変更に来たのに、前のスマホの欠点まで新しいスマホに移したがる客と、店員
・ボケが「機種変更の練習をさせて」と言い、ツッコミが店員の役をする形で始める
・セリフは全部で600字くらい。ボケは8〜10個
・同じ形のボケが続かないようにし、「〜も移して」は3回までにする
・ツッコミは1回20字以内で、理由の説明をしない
・最後は、最初の「機種変更」に戻るオチにする
・人の見た目や年齢、性別をからかうボケは入れない

2分の漫才のセリフは、600字前後がひとつの目安です。話す速さはコンビによってちがうので、下書きが出たら一度読んで時間を測り、字数を調整してください。

例文頼み方3 ツッコミの言い回しを増やしてもらう

次のボケに対するツッコミを、10通り考えてください。
ボケ:「写真と、連絡先と、それから、この画面のひびも」
・1つ15字以内
・「なんでだよ」「いや」で始めない
・例えを使ったものを3つ以上入れる

例文頼み方4 自分たちの台本の弱いところを聞く

次の漫才の台本を読んで、笑いが弱くなりそうな所を3つ、理由と一緒に挙げてください。
直した台本は書かずに、指摘だけにしてください。
(ここに、自分たちで直した台本を貼る)

頼み方4で「直した台本は書かずに」と付けるのが大事です。AIに書き直してもらうと、せっかく自分たちの言葉にした部分が、またAIの言い回しに戻ってしまいます。指摘だけをもらい、直すのは自分たちで行いましょう。

AIの下書きにありがちな5つのくせ

AIの下書きには、漫才としては弱くなりやすい、決まったくせがあります。次の台本は、そうしたくせを分かりやすくまとめた例です。

台本下書きの例(AIにありがちな形)

Aどうも、よろしくお願いします。最近、スマホを新しくしたんですよ。

Bへえ、いいですね。

Aお店に行ったら、店員さんがとても親切で、3時間も説明してくれました。

Bいや、長すぎるでしょう。そんなに説明することはないですよ。

A新しいスマホは画面が大きくて、大きすぎて部屋が全部うつりました。

Bなんでですか。それはもう鏡じゃないですか。

Aカメラもすごくて、撮った写真が本物より本物みたいでした。

B意味が分からないですよ。本物はどっちなんですか。

Aとても満足しています。

Bもういいですよ。

一つひとつのボケは成り立っていても、漫才としては笑いが積み上がりません。どこが弱いのかを、表で整理します。

ありがちなくせ下書きのどこに出ているか直し方
ボケが同じ形のくり返し「〜したら、〜でした」の報告が3回続くボケの型を変える(勘違い、言葉どおり、くり返しなど)
ツッコミが説明になる「長すぎるでしょう。そんなに説明することはないですよ」短く言い切るか、例えにする
2人の関係が見えないBが聞き役だけで、性格がない2人の性格と、言い合う理由を決める
ボケどうしがつながらない店員、画面、カメラの話がばらばら設定を1つにしぼり、だんだん大きくする
オチがない「とても満足しています」で終わる最初の話題に戻るなどして締める

ボケの型が同じものばかりになっていないかは、「ボケの種類一覧」の12の型に当てはめて見ると分かります。

下書きを自分たちのネタに直す手順

AIの下書きは、次の順番で直していきます。全部を一度に直そうとせず、1つずつ進めるのがコツです。

  1. 2人で声に出して読み合わせ、言いにくい所に印をつける
  2. いちばん広がりそうなボケを1つ選び、それを設定にする
  3. ボケを書き出し、型がかたよっていないか見る
  4. ツッコミを、1回20字以内に縮める
  5. 2人の性格や、自分たちの体験を足す
  6. オチを決めて、最初の話題とつなげる
  7. 時間を測り、持ち時間に合わせて削る

上の下書きを、この手順で直した例です。「機種変更に来たのに、前のスマホと同じがいい客」という設定にしぼり、2人で役を演じる形にしました。

時間
約1分
人数
2人
準備物
なし(Aがスマホを1台持つと、場面が伝わりやすい)
難しさ
★★

台本自分たちのネタに直した例(約1分)

A機種変更の練習をさせて。お店で、うまく言えるか不安で。

Bいいよ。ぼくが店員をやるね。……いらっしゃいませ。今日はどうされましたか。

A機種変更をお願いします。

Bかしこまりました。データは、新しいスマホに移しますか。

Aはい。写真と、連絡先と、それから、この画面のひびも。

Bひびは移せません。

Aじゃあ、電池がすぐ減るところも。

Bそれも移せません。新しいほうは、電池が長持ちします。

Aじゃあ、せめて、この重さだけでも。

B新しいほうが、軽くなっております。

Aひびも、電池も、重さも、ないんですか。

Bはい。全部、よくなっております。

A(前のスマホをじっと見て)……それ、もう、ぼくのスマホじゃない気がする。

Bお客さま、なぜ機種変更に来られたんですか。

A……ケースが、古くなったので。

B(店員をやめて)それ、機種変更じゃなくて、ケース変更だよ。

直したところ

「〜も移して」を3回くり返し、ひび、電池、重さと少しずつ大きくしています。ツッコミは店員の口調で短く受け、最後の1回だけ、役をやめて言い切りました。オチは、最初の「機種変更」という言葉に戻して締めています。

オチの作り方や、弱いオチの直し方は「漫才のオチの作り方」で詳しく紹介しています。

オリジナルのネタにするための工夫

AIは、同じような頼み方をすると、似た案を返しやすいものです。ほかの人のネタと似てしまわないように、自分たちにしかない材料を、頼む前に用意しておきましょう。

いちばん効くのは、ネタの「核」になる1行を、自分で先に書いておくことです。核とは、「誰が、何をしようとして、どうずれるか」を1行にしたものです。日常で見かけたことや、相方の本当のくせから作ると、AIには出せない1行になります。

例文自分で書いた核の1行の例

「静かな店が好き」と言いながら、店でいちばん大きな声で注文する人
「一口ちょうだい」と言って、毎回、半分食べてしまう友人
道に迷わないよう地図を3種類持ってきて、どれを見るかで迷う人

核の1行を決めてからAIに渡せば、AIの役目は「広げる手伝い」になります。ネタの中心は、自分たちのものとして残ります。

著作権と大会の決まりで気をつけること

AIを使っても、ほかの人のネタをまねしてよいことにはなりません。次のような頼み方や使い方は避けましょう。

  • 実在の芸人さんの名前を出して、「〇〇風に書いて」と頼む
  • ほかの人のネタや番組の書き起こしを貼って、言いかえさせる
  • 出てきたボケやフレーズに見覚えがあるのに、そのまま使う

AIの下書きには、有名なネタやギャグに似た言い回しが混ざることがあります。どこかで聞いた気がする所は、自分たちの言葉に置きかえましょう。ネタのまねがどこから問題になるかは「漫才のネタに著作権はある?」で説明しています。

自分で手を入れるほど、自分のネタになる

AIが作っただけの文章は、人の創作として扱われず、著作権で守られないことがあると考えられています。設定の核を自分で決め、セリフを大きく直していくことが、ネタを自分たちのものにする近道です。

AIで作ったネタを人前で演じる前に確かめること

  • 実在の人や芸人さんのネタに似ている所がないか
  • 大会やコンクールなら、応募の決まりにAIの使い方の項目がないか
  • 使ったAIの利用規約で、作った文章を発表してよいか
  • 未発表のネタを入力するとき、入力した内容がどう扱われる設定になっているか
  • 人の見た目や年齢、性別をからかうボケが残っていないか

よくある質問

AIを使ったネタで、大会やコンクールに出てもいいですか?

大会ごとに決まりがちがいます。応募要項にAIの使い方についての項目がないか、必ず確かめましょう。分からないときは、主催者に問い合わせるのが確実です。台本のコンクールに応募するときの準備は「漫才・コントの台本コンクールに応募するには?」を見てください。

「もっと面白くして」と頼んでも、面白くなりません。

どこを、どの型で直すかを指定しましょう。「3つ目のボケを、言葉どおりに受け取る型で5案」のように、場所と形を決めて頼むと、使える案が出やすくなります。

相方が、AIを使うことに反対しています。

使う場面を2人で決めておくと、話がまとまりやすくなります。たとえば「設定の候補出しと、台本の弱い所の指摘だけに使う」と決め、セリフは2人で書くようにします。最初は、頼み方4の「指摘だけもらう」使い方から試すのがおすすめです。

まとめ

  • AIには設定やボケの候補出しを任せ、選ぶことと間とオチは自分たちで決める
  • 頼むときは、2人の性格、ボケの形、長さ、避けたいことを具体的に書く
  • 下書きは、報告型のボケ、説明するツッコミ、オチがない所を直す
  • ネタの核になる1行を自分で書いてから頼むと、自分たちのネタになる
  • 芸人さんの名前で頼まず、大会の決まりと利用規約を確かめる
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