サイレントコントの作り方|セリフなしで笑わせる動きのコツと構成例

見えない綱を引くように、両手を握って踏ん張る女性

サイレントコントは、セリフを使わず、動きと表情だけで場面を伝えて笑わせるコントです。作るときは、見えない物の「形・重さ・位置」を決め、ふだんより大きく、1つずつ区切って動くと、客席に伝わります。

この記事では、パントマイムとのちがい、見えない物を見せる決まり、動きの大きさ、話の組み立て方を説明します。そのまま演じられる約2分の構成例も紹介します。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. サイレントコントとパントマイムのちがい
  2. 見えない物を「ある」ように見せる3つの決まり
  3. 動きの大きさは会場の広さで決める
  4. セリフなしで笑わせる話の組み立て
  5. 構成例「朝ごはんのジャム」(約2分)
  6. 練習のしかた
  7. よくある質問
  8. まとめ

サイレントコントとパントマイムのちがい

パントマイムは、見えない物を、動きだけで「そこにある」ように見せる表現です。サイレントコントは、その表現も使いながら、セリフなしで笑いの話を見せるコントのことです。

くらべることパントマイムサイレントコント
目的見えない物があるように見せる話の流れで笑わせる
見どころ動きの正確さずれていく展開とオチ
音使わないことが多い効果音を使うこともある
長さの目安数十秒の短いものも多い1〜3分

言葉を使わないので、子どもや、日本語が分からない人にも伝わるのが強みです。宴会のようにざわついた会場でも、目で見て分かるので、笑いが届きやすくなります。見えない「人」と話す形にしたいときは、「一人コントの作り方」も参考になります。

見えない物を「ある」ように見せる3つの決まり

見えない物を見せるときは、動き出す前に、次の3つを決めておきます。

  1. 形:手の形を、その物の形に合わせて固める(ドアノブなら丸くにぎる)
  2. 重さ:持ち上げる前に体に力を入れ、置いたあとは体をふっとゆるめる
  3. 位置:一度置いた物には、次も同じ場所、同じ高さに手を伸ばす

一度決めた形と位置は、最後まで変えないことがいちばん大切です。ドアを開けたのに、帰りに別の場所から出ていくと、客席は「ドアがなかった」と感じてしまいます。

見えない物手と体の形気をつけること
ドアノブを丸くにぎり、手首ごと回す開けた場所を覚え、閉めるまで位置を変えない
重い段ボール両手を箱の幅に広げ、腰を落として持ち上げる下ろした瞬間に、体を少し浮かせる
綱こぶしを前後に2つ並べ、体を後ろに傾ける両手のこぶしの間かくを変えない
壁手のひらを平らにして、ぴたりと止める手のひらは動かさず、体のほうを動かす
びんのふた片手でびんを、もう片方の手でふたを包むふたを回すたびに、びんを持つ手も力ませる
傘柄をにぎり、もう片方の手を柄にそって押し上げて開く開いたあとは、頭の上の高さを変えない

動きの大きさは会場の広さで決める

サイレントコントの動きは、ふだんの動きより大きくします。客席のいちばん後ろの人に届くかを基準にしましょう。

会場動きの大きさの目安表情
10人ほどの部屋ふだんの1.5倍ほど細かく変えても見える
宴会場や教室ふだんの2倍ほど眉と口を大きく動かす
体育館やホールふだんの3倍ほど表情より、体全体の形で気持ちを見せる
スマホの動画ふだんどおり〜1.5倍ほど顔が大きく映るので、表情で見せる

動きを1つずつ区切って見せる

動きと動きのあいだで、一瞬止まります。止まることで、客席は「今、何をしたか」を受け取れます。

  • 物を見てから、手を伸ばす(目線が先、体があと)
  • 驚いたときは、物を見て止まり、それから客席を見る
  • 大事な動きの前ほど、止まる時間を長くする

気持ちは体の形で見せる

セリフがないので、気持ちは体の形で伝えます。次の形を基本にして、会場の広さに合わせて大きさを変えましょう。

気持ち体の形
困った肩を上げ、両手のひらを少し上に向けて広げる
がっかり肩を落とし、首を前に倒す
うれしい背すじをのばし、両手を高く上げる
迷っている片手をあごに当て、体を左右に少しゆらす
決心したこぶしをにぎり、一度大きくうなずく

セリフなしで笑わせる話の組み立て

サイレントコントの話は、「設定→小さなずれ→大きなずれ→オチ」の順に組み立てます。2分のコントなら、設定に20秒、ずれに1分20秒、オチに20秒ほどが目安です。

  1. 設定:どこで、何をしようとしているかを、最初の20秒で見せる
  2. 小さなずれ:思いどおりにいかない、小さなことが起きる
  3. 大きなずれ:解決しようとするほど、動きが大きくなっていく
  4. オチ:意外な結末を見せ、最後のポーズで止まる

3の「だんだん大きくする」流れは、言葉のコントと同じ考え方です。段階のつけ方は「エスカレートするコントの作り方」でくわしく紹介しています。

設定は、場所がすぐ分かる動きから始めると伝わりやすくなります。

場所伝わりやすい動き
駅改札にカードをかざして、通り抜ける
台所まな板の上で、野菜を切る
会社パソコンのキーを打ち、画面をのぞきこむ
映画館暗い中で、座席の番号を探しながら進む
海熱い砂の上を、つま先立ちで歩く
図書館本だなから1冊抜いて、静かにページをめくる

構成例「朝ごはんのジャム」(約2分)

1人で演じるサイレントコントの構成例です。台所で朝ごはんを用意しようとして、ジャムのびんのふたが開かない話です。

時間
約2分
人数
1人
準備物
なし(効果音を使うなら、トースターの「チン」の音)
難しさ
★★
時間動き見せるポイント
0:00〜0:20大きく伸びをして、見えないトースターにパンを2枚入れ、レバーを下げる台所の朝だと伝わるよう、1つずつ区切る
0:20〜0:40見えない冷蔵庫を開け、ジャムのびんを出して台に置く冷蔵庫とびんを置いた位置を覚えておく
0:40〜1:00ふたを回す。開かない。手をふいて、もう一度回す。やはり開かない1回目は軽く、2回目は顔まで力を入れる
1:00〜1:30布巾でつかむ。びんをひざにはさむ。最後は綱引きのように全身で引っぱる方法を変えるたびに、動きを大きくする
1:30〜1:40ふたが急に開き、後ろによろける。びんを高く上げて喜ぶ開いた瞬間に一度止まり、客席を見る
1:40〜1:50「チン」の音で振り向く。パンを取り出すと、まっ黒。煙を手であおぐ直前まで、トースターを忘れているように見せる
1:50〜2:00客席を見て肩を落とす。こげたパンにジャムをたっぷりぬってかじり、親指を立てる親指を立てたまま3秒止まり、おじぎをする

このコントの組み立て

最初にパンを入れた動きが、最後のオチにつながっています。パンを入れてレバーを下げる所を、少していねいに見せておくと、「チン」で振り向いたときの笑いが大きくなります。最後は落ちこんだままで終わらず、親指で前向きに締めています。

音と小道具の使い方

効果音は、ふたが開く瞬間や「チン」など、大事な所に1〜2個だけ使います。自分の口で音を言うと、セリフなしの形がくずれるので、流す人を別に頼みましょう。音を入れるタイミングと音量は、「効果音の使い方」が参考になります。

音楽を流すなら、既存の曲は避け、利用規約で使ってよいと書かれた素材を選びます。小道具は、本物と見えない物を混ぜないのが決まりです。本物のびんを使うなら、ふたも本物にします。台や机は本物を使ってかまいません。

練習のしかた

サイレントコントは、鏡より録画で練習するのがおすすめです。鏡を見ながらだと、目線が鏡に向いたままになりがちだからです。

  1. 見えない物を1つ選び、30秒扱う練習を毎日する(壁、段ボール、ドアの順に)
  2. 構成表を見ながら、区切りごとに動きを決める
  3. スマホで録画し、見えない物の位置や大きさが途中で変わっていないかを見る
  4. 家族や友人に見てもらい、「何をしているか」を言葉で言ってもらう
  5. 伝わらなかった所は、動きを大きくするか、止まる時間をのばす

本番の前に確かめること

  • 最初の20秒で、場所とやりたいことが伝わるか
  • 見えない物の位置と大きさが、最後まで変わらないか
  • 大事な動きの前で、一瞬止まっているか
  • 会場の広さに合わせて、動きの大きさを決めたか
  • 効果音を使うなら、流す人ときっかけを決めたか

よくある質問

パントマイムを習ったことがなくても、できますか?

できます。形・重さ・位置の3つを決めて、最後まで変えないことを守れば、見えない物はちゃんと見えてきます。最初は、ドアや段ボールなど、誰もがさわったことのある物から始めましょう。

何分くらいのコントにすればいいですか?

初めてなら、1〜2分がおすすめです。セリフがない分、客席はずっと目をこらして見ているので、長いと疲れてしまいます。3分以上にするなら、途中に効果音や、大きく止まる場面をはさみましょう。

2人で演じることもできますか?

できます。見えない物を受け渡す場面を入れると、2人ならではの笑いが作れます。渡す物の大きさと重さを、2人でそろえておくことが大切です。2人で息を合わせる芸は、「2人でできる一発芸」でも紹介しています。

まとめ

  • サイレントコントは、セリフを使わず、動きと表情だけで笑わせるコント
  • 見えない物は、形・重さ・位置を決め、最後まで変えない
  • 動きは会場の広さに合わせて大きくし、1つずつ区切って見せる
  • 話は「設定→小さなずれ→大きなずれ→オチ」で組み立てる
  • 鏡より録画で練習し、「何をしているか」が伝わるかを確かめる
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