ボケの種類は、「何をずらすか」で分けると覚えやすくなります。言葉をずらす言い間違い、思い込みでずらす勘違い、大きさをずらす大げさなどです。この記事では、漫才やコントでよく使われる12の型を、オリジナルの例文つきで紹介します。
ボケとは、普通とずれたことを言ったりしたりして、笑いのきっかけを作る役目です。ずれで笑いが起きる仕組みそのものは「笑いが起きる仕組み」で説明しているので、ここでは型ごとの例に絞ります。
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ボケの種類12の早見表
| 型 | ずらすもの | ひとことで言うと | 難しさ |
|---|---|---|---|
| 1. 言い間違い | 言葉 | 似た言葉や逆の言葉を言ってしまう | ★ |
| 2. 取り違え | 言葉の意味 | 同じ音の言葉を、別の意味に受け取る | ★★ |
| 3. 言葉どおり | 言葉の意味 | 慣用句や頼みを、文字どおりに受け取る | ★ |
| 4. 勘違い | 状況 | 場所や相手を、別のものだと思い込む | ★★★ |
| 5. 天然 | 考え方 | 本人は大まじめで、ずれに気づいていない | ★★ |
| 6. へりくつ | 考え方 | 自分だけの理屈を、もっともらしく通す | ★★ |
| 7. あべこべ | 言葉と行動 | 言っていることと、していることが逆 | ★ |
| 8. 大げさ | 大きさ | 小さなことを、とても大きく言う | ★ |
| 9. 例え | 見え方 | 合っていない物に例える | ★★★ |
| 10. 見立て | 物の使い方 | 物を、別の物に見立てて使う | ★★ |
| 11. くり返し(天丼) | 流れ | 同じボケを、間をおいて何度も出す | ★★ |
| 12. 動き | 体 | セリフではなく、体の動きでずらす | ★★ |
難しさの★は、思いつきやすさと演じやすさの目安です。はじめてネタを書くなら、★1つの型から試してみましょう。
言葉でずらすボケ(1〜3)
1. 言い間違い
言う側が、似た言葉や逆の意味の言葉に言い間違える型です。まじめな場面や、決まった言い回しで間違えるほど、ずれがはっきりします。
台本言い間違いの例
A先日は、大変お世話をいたしました。
B逆だよ。お世話になりました、でしょ。急に偉くなるな。
2. 取り違え
同じ音の言葉や、いくつかの意味がある言葉を、場面に合わない意味で受け取る型です。聞き間違いも、この仲間です。
台本取り違えの例
B明日の会議の資料、何部いる?
Aえっと……ラグビー部です。
B部活じゃなくて、コピーの数。
3. 言葉どおり
慣用句や頼みごとを、文字どおりに受け取る型です。慣用句とは、「腕が鳴る」「手を貸す」のように、2つ以上の言葉で決まった意味を表す言い方のことです。
台本言葉どおりの例
B明日の試合、腕が鳴るね。
A(自分の腕を耳に当てて)……まだ鳴ってないです。
B本当に鳴るわけじゃないよ。
思い込みと考え方でずらすボケ(4〜7)
4. 勘違い
場所や相手、状況を、別のものだと思い込んだまま話す型です。勘違いが続くほど2人の話がかみ合わなくなり、笑いが大きくなります。コントの設定にもよく使われます。
台本勘違いの例
(引っ越しのあいさつに来たBを、Aは面接官だと思っている)
B隣に越してきた者です。これ、ほんの気持ちですが。
A(背すじを伸ばして)本日は、よろしくお願いいたします。
B……よろしくお願いします?
A長所は、ゴミの日を必ず守るところです。
B面接じゃないです。
5. 天然
本人は大まじめで、自分のずれに気づいていない型です。ツッコまれても、なぜツッコまれたのか分からない顔をするのがポイントです。台本では、本人なりに筋の通った理由を1つ用意すると、ただの間違いに見えません。
台本天然の例
B駅まで、歩いて何分?
A歩いて10分。走ると9分です。
B1分しか変わらないの?
A走ると、途中で2回休むので。
6. へりくつ
自分だけの理屈を、もっともらしく通す型です。理屈の前半はもっともらしく、後半で大きくずらすと、聞いている人が一瞬納得しかけてから笑います。
台本へりくつの例
Bまた遅刻?
A遅刻じゃないです。みんなが、時間より早く来すぎなんです。
B時間どおりに来てるんだよ。
7. あべこべ
言っていることと、していることが逆になっている型です。言葉と動きが同時に見えるので、短い時間でも伝わります。
台本あべこべの例
A私、こう見えて、すごく落ち着いてるんです。(言いながら、部屋の中を小走りで3周する)
B言ってることと、やってることが逆。
大きさと見え方でずらすボケ(8〜10)
8. 大げさ
小さなことを、とても大きなことのように言う型です。声や表情も大きくすると、話の中身の小ささとの差が際立ちます。
台本大げさの例
A大変です。一大事です。
Bどうしたの。
Aボールペンのインクが……あと半分しかありません。
Bまだ半分もあるよ。
9. 例え
物事を、合っていない物や、伝わりにくい物に例える型です。例えツッコミはうまい例えで笑わせますが、例えのボケは、例え方そのものがずれています。
台本例えの例
B引っ越した部屋、広いの?
A広いですよ。例えるなら、ちょうど、ぼくの部屋くらい。
B例えになってないよ。
10. 見立て
身近な物を、別の物に見立てて使う型です。物ボケとも呼ばれ、道具を手に取るだけで始められます。形が似ている物を選ぶほど、何に見立てたのかが伝わりやすくなります。
台本見立ての例
A(ざるを頭にかぶり、ラップの芯を目に当てて)船長、前方に島が見えます。
B台所で航海を始めるな。
道具の選び方や練習のしかたは「物ボケのやり方」で紹介しています。
流れと体でずらすボケ(11〜12)
11. くり返し(天丼)
同じボケを、間をおいて何度も出す型です。1回目は普通のボケとして、2回目からは「また来た」という笑いになります。くり返すたびに、少しずつ形を変えるのがコツです。
台本くり返しの例
A特技は、ハンカチをきれいに4つに折ることです。
(しばらく別の話が続く)
Aちなみに、今日のハンカチも4つ折りです。
(さらに別の話が続く)
A……すみません、帰る前に、ハンカチを折り直してもいいですか。
Bどれだけハンカチを折りたいの。
くり返す回数や間隔の目安は「天丼(くり返しのボケ)のやり方」にまとめています。
12. 動き
セリフではなく、体の動きでずらす型です。ツッコミが「何をしているか」を言葉にすると、遠くの席のお客さんにも伝わります。
台本動きの例
Bじゃあ、静かに座って待っててください。
A(座ったまま、いすごと少しずつBのほうへ近づいていく)
B動いてる、動いてる。座って待つって、そういうことじゃない。
型の選び方と組み合わせ方
1本のネタの中では、いくつかの型を組み合わせると、同じ調子が続かず、最後まで飽きずに見てもらえます。2分ほどのネタなら、3〜4つの型を混ぜるのが目安です。
| 場面 | 向いている型 |
|---|---|
| 結婚式の余興・職場の出し物 | 言い間違い、大げさ、あべこべ(誰にでも伝わる) |
| 会話だけの漫才 | へりくつ、取り違え、天然(会話だけで成り立つ) |
| コント | 勘違い、動き、見立て(場面や小道具を使える) |
| ネタの後半 | くり返し(前半のボケを効かせられる) |
次の例では、1つの会話の中で、大げさ→取り違え→あべこべの順に型を変えています。
- 時間
- 約30秒
- 人数
- 2人
- 準備物
- かばん
- 難しさ
- ★
台本型を組み合わせた例(約30秒)
A大変です。人生でいちばん大事な日が来ました。
B何があるの。
A今日、美容院の予約なんです。
B人生でいちばんではないでしょ。
A前回は「何センチ切りますか」と聞かれて、「身長は170です」と答えてしまって。
B髪の話だよ。
A今日は大丈夫です。落ち着いて行きます。(言いながら、かばんを3回落とす)
B全然落ち着いてない。
型が変わるたびに、お客さんは新しいずれを楽しめます。反対に、同じ型が続くと、3つ目あたりから先が読まれて笑いが小さくなりがちです。
ボケを考えるときの注意
ボケは、ずれの材料選びで、笑いにも気まずさにもなります。次の点に気をつけましょう。
人をずらしの材料にしない
人の見た目や年齢、性別、出身、病気をからかうボケは、会場の誰かを傷つけます。ずれは、言葉や物、状況、考え方で作りましょう。
- ボケを自分で説明しない。「今のは〇〇という意味で」と言うと、笑いが消える
- ボケのあとは、ツッコミが入るまで一拍待つ
- 1つのボケに、いくつもの型を詰めこまない
ボケのずれは、ツッコミが言葉にすることで笑いになります。返し方の型は「ツッコミの種類一覧」で紹介しています。
よくある質問
天然ボケは、台本で作れるものですか?
作れます。台本の天然ボケは、本人なりの理由をきちんと用意しておくのがコツです。「走ると途中で休むから」のように、本人の中では筋が通っていると、わざとらしく見えません。
自分にはどの型が向いていますか?
ふだんの話し方から選ぶと無理がありません。理屈っぽい話し方ならへりくつ、表情や動きが大きい人なら大げさや動き、言葉遊びが好きなら取り違えが向いています。
同じ型のボケばかりになってしまいます。
書き終えたネタのボケに、早見表の番号をふってみましょう。同じ番号が3つ以上続いていたら、そのうち1つを別の型に書きかえます。言葉の型が続いたら動きや見立てを、考え方の型が続いたら大げさを入れると、調子が変わります。
まとめ
- ボケの種類は「何をずらすか」で分けると覚えやすい
- はじめは言い間違い・言葉どおり・あべこべ・大げさなど、★1つの型から試す
- 天然やへりくつは、本人なりの理由を用意すると自然に見える
- 1本のネタでは3〜4つの型を組み合わせ、同じ調子を続けない
- 人の見た目や年齢、出身などを、ずらしの材料にしない





