コント漫才の書き方|「やってみよう」から入る台本の型

ついたてを動かす女子生徒と、ポーズを決める学生服の男性、いすを運ぶ男性

コント漫才は、「〇〇をやってみたいから、お客さんの役をやって」と1人が場面を提案し、2人で役を演じて進める漫才です。台本は「設定の提案→演じる→ずれ→ツッコミ」の流れで書き、ずれとツッコミを3〜4回くり返すと形になります。

この記事では、型の中身と、場面への入り方・戻り方のセリフ例、約2分の台本を順番に紹介します。漫才全体の組み立て方は「漫才の台本の書き方」で説明しているので、ここではコント漫才ならではの書き方に絞ります。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. コント漫才とは?コントとの違い
  2. 基本の型は「提案→演じる→ずれ→ツッコミ」
  3. 場面への入り方|「ここから役」と伝える合図
  4. 場面からの戻り方|素に戻る4つのタイミング
  5. 約2分の台本「理想のカーナビ」
  6. コント漫才の台本を書く手順
  7. よくある質問
  8. まとめ

コント漫才とは?コントとの違い

コント漫才とは、漫才の途中で2人が役を演じ、短いコントのような場面を作る形です。場面の中でおかしなことが起きると、ツッコミ役が役のまま、あるいは役をやめて止めます。役をやめて本人どうしの会話に戻ることを「素(す)に戻る」といいます。

コントとの違いは、演じているのが最後まで「漫才をしている2人」だという点です。衣装やセットがなくても、セリフだけで場面に入ったり出たりできます。

くらべる点コント漫才コント
演じる人漫才の2人が、途中で役に入る最初から最後まで役の人物
場面の伝え方「ここはホテルね」とセリフで言う衣装・小道具・セットで見せる
役をやめることできる(素に戻って止める)ふつうはしない
向いている題材やってみたい仕事、練習したい場面人物や場所そのものが面白い話

会話だけで進める「しゃべくり漫才」との違いや、どちらを選ぶかの考え方は「しゃべくり漫才の書き方」でくらべています。

基本の型は「提案→演じる→ずれ→ツッコミ」

コント漫才は、次の4つの流れでできています。ホテルのフロントを例に、それぞれのセリフを並べました。

流れやることセリフの例
1. 設定の提案誰が何の役をするかを決めるA:ホテルのフロント、やってみたいんだよ。お客さんやって。
2. 演じる最初は普通に進めるA:いらっしゃいませ。ご予約のお名前をうかがえますか。
3. ずれ役の中で、普通からずれたことをするA:お部屋は305号室です。私の部屋のとなりです。
4. ツッコミ役のまま、または素に戻って止めるB:なんでフロントの人が泊まってるんだよ。

2の「演じる」は、ネタの中のフリにあたります。フリとは、お客さんに「この先はこうなるはず」と思わせる前置きのことです。最初の1〜2行をわざと普通に演じておくと、3のずれがはっきり伝わります。

1つの場面で、3と4を3〜4回くり返します。ずれは、小さいものから順に並べるのが基本です。後ろにいくほど普通から遠くなるように並べると、笑いがだんだん大きくなります。

提案のセリフは4つの形から選ぶ

提案のセリフは、「これから演じます」という合図であり、2人の役を決める場所でもあります。次のどれかの形にすると、自然に場面へ入れます。

例文設定の提案のセリフ例

憧れ型:「一回、ホテルのフロントをやってみたいんだよ」
練習型:「今度、町内会で司会をするから、練習させて」
相談型:「レストランで注文するのが苦手で。ちょっと店員やってくれる?」
再現型:「この前の引っ越しの業者さんが変わっててさ。再現するね」

どの形でも、誰が何の役をするかをセリフの中で言い切ることが大切です。「じゃあ俺が店員やるから、お前はお客さんね」と、2人の役を声に出して確かめておくと、お客さんが迷いません。

場面への入り方|「ここから役」と伝える合図

提案が終わったら、場面に入ります。このとき、お客さんに「ここからは役だ」と分かる合図を入れましょう。合図がないと、どこからが演技なのかが伝わらず、最初のずれで笑いが起きにくくなります。

  1. 決まり文句から始める:「いらっしゃいませ」「お電話ありがとうございます」
  2. 音を口で言う:自動ドアの「ウィーン」、電話の「プルルル」、チャイムの「ピンポーン」
  3. 動きを入れる:ドアを開ける、ハンドルを握る、席に座る、などのしぐさ
  4. 立ち位置を変える:半歩下がってから入ってくる、相手のほうへ体を向ける

いくつか組み合わせてもかまいません。たとえば「ウィーン」と言いながら一歩前に出て、「いらっしゃいませ」と続けると、どこの場面かがすぐに伝わります。

入るまでは短く

提案から最初のずれまでは、セリフ6行ほどに収めると間延びしません。場面の説明が長くなりそうなときは、説明を削って、決まり文句で場所を伝えましょう。

場面からの戻り方|素に戻る4つのタイミング

コント漫才の書きやすさは、途中で素に戻れることにあります。戻る場所を決めておくと、場面の区切りがはっきりして、台本にリズムが出ます。

戻り方セリフの例そのあとの流れ
止める「ちょっと待って。いったん止めて」ボケのおかしな所を、本人どうしで話す
やり直す「もう一回、最初からやろう」同じ場面を、少しちがう形でくり返す
交代する「じゃあ俺がやるから見てて」役を入れかえて、もう一度演じる
終わる「もういいよ」2人で頭を下げて、ネタを終える

「やり直す」を2〜3回続けると、同じボケをくり返して笑いを取る「天丼」にもつなげられます。くり返し方のコツは「天丼(くり返しのボケ)のやり方」で説明しています。

ツッコミは、役のままでも、素に戻ってからでも入れられます。役のままのツッコミは場面を続けたいとき、素に戻るツッコミは区切りをつけたいときに使います。2つを混ぜて使うと、同じ調子が続かず、聞いている人が飽きにくくなります。

約2分の台本「理想のカーナビ」

型と入り方・戻り方を使った台本です。Aがボケ、Bがツッコミで、途中で役を交代します。

時間
約2分
人数
2人
準備物
なし(ハンドルを握るしぐさだけ)
難しさ
★★

台本理想のカーナビ(約2分)

(2人でマイクの前に出る)

A・Bどうも、よろしくお願いします。

A最近、車の免許を取ったんですよ。

Bおめでとう。

Aでも、カーナビの声が冷たくて。

B冷たい?

A「300メートル先、右です」って、それだけなんです。

Bそれで十分だよ。

Aもっと寄りそってほしいんです。理想のカーナビをやってみるので、運転してもらえますか。

Bいいよ。じゃあ俺が運転手ね。

(Bがハンドルを握るしぐさ。Aはその横に立つ)

A(声を変えて)目的地を設定しました。今日も運転、おつかれさまです。

Bお、やさしい。

A300メートル先、右方向です。……右、いけそうですか。

Bいけるよ。

A無理しなくていいですからね。

B右に曲がるだけだから。

Aまもなく右です。……曲がれた。えらい。

Bほめるほどのことじゃないよ。

Aこの先、しばらく道なりです。……道なりって、人生みたいですね。

B急に深い話をするな。

A500メートル先、左にラーメン屋さんがあります。わたしは塩がおすすめです。

Bナビが味を決めるな。

Aルートを外れました。……あなたじゃなくて、わたしが。

Bナビが迷うなよ。(ハンドルから手をはなして)ちょっと止めて。

Aどうでした?

Bカーナビはね、正しい道を教えてくれたら、それでいいの。

Aじゃあ、手本を見せてくださいよ。

Bいいよ。今度はお前が運転して。

(2人が位置を入れかえる。Aがハンドルを握る)

B(落ち着いた声で)300メートル先、右方向です。

Aはい、左に曲がります。

B右です。……ルートを再探索します。次の角を右です。

Aまっすぐ行きます。

B右です。

A今日は、まっすぐな気分なんです。

B気分で走るな。(素に戻って)なんで言うことを聞かないんだよ。

Aだって、冷たい声で言われると、聞きたくなくなるんです。

B最初の話に戻ってきたな。

Aだから、寄りそってほしいんです。

B寄りそいすぎて、ラーメン屋さんをすすめてきたけどな。

A塩、おすすめですよ。

Bまだ言うか。もういいよ。

A・Bどうも、ありがとうございました。

この台本の組み立て

提案は「理想のカーナビをやってみる」、場面に入る合図は「目的地を設定しました」です。ずれは、やさしすぎる→関係のない話→ナビが迷う、の順に大きくしています。Bの「ちょっと止めて」で素に戻り、役を交代したあと、最初の「声が冷たい」の話に戻して締めています。

コント漫才の台本を書く手順

自分で書くときは、次の順番で進めると、場面選びで迷いません。

  1. やってみたい仕事や、練習したい場面を10個書き出す(誰でも知っている場面を選ぶ)
  2. 選んだ場面の「決まり文句」を5つ書く(例:いらっしゃいませ、300メートル先)
  3. 決まり文句1つにつき、ずれを1〜2個考える
  4. ずれを小さい順に3〜4個並べ、素に戻る場所を1〜2か所決める
  5. 最後は、役の交代か、最初の話に戻る一言で終わるようにする
  6. 提案のセリフと、場面に入る合図を書き足し、声に出して読む

2の決まり文句は、そのままフリになります。場面を選ぶときは、決まり文句がすぐに5つ出てくるかどうかを目安にするとよいでしょう。

例文コント漫才にしやすい場面の例

仕事:ホテルのフロント、美術館の案内係、引っ越し業者、遊園地の係員、料理教室の先生
練習したい場面:面接、道をたずねられたとき、町内会の司会、電話の取り次ぎ
行事:運動会の実況、入学式の司会、ラジオ体操の号令

書き終えたら確かめること

  • 提案のセリフで、誰が何の役をするかが分かるか
  • 場面に入るとき、決まり文句や動きの合図があるか
  • 役のままのツッコミと、素に戻るツッコミの両方があるか
  • 素に戻ったあと、場面に戻るのか終わるのかがはっきりしているか
  • 1つの場面で、ずれが5回以上続いていないか

よくある質問

初心者は、コント漫才とコントのどちらが書きやすいですか?

はじめのうちは、コント漫才のほうが書きやすいことが多いです。セットや衣装が要らず、場面の説明もセリフでできます。演技がぎこちなくても、素に戻ってツッコめば笑いに変えられるのも、心強いところです。

途中で素に戻ると、話が切れてしまいませんか?

戻る回数を決めておけば大丈夫です。2分のネタなら、素に戻るのは1〜2回が目安です。戻ったら「じゃあ、もう一回」「替わって」のように、次の場面へつなぐ一言を入れると流れが切れません。

役に入るのは、ボケとツッコミのどちらですか?

両方です。ボケが「やってみたい役」、ツッコミがその相手役になるのが基本です。交代の場面では、ツッコミが手本の役を演じます。どちらがどの役に向いているかは「ボケとツッコミの決め方」を参考にしてください。

まとめ

  • コント漫才は「提案→演じる→ずれ→ツッコミ」の流れで書く
  • 提案のセリフで、誰が何の役をするかを言い切る
  • 場面に入るときは、決まり文句・音・動きで合図をする
  • 素に戻るのは「止める・やり直す・交代する・終わる」の4つの場面
  • 最後は役の交代か、最初の話に戻る一言で締めるとまとまる
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