漫才やコントの台本コンクールに応募するには、台本の公募を探し、募集要項(応募の決まり)どおりに原稿を整えて送ります。審査されるのは、演技ではなく書いた原稿です。読んだだけで場面と笑いどころが伝わる台本にすることが、いちばんの準備になります。
この記事では、コンクールの探し方、募集要項の読み方、応募原稿の書き方を順番に説明します。表紙と冒頭の見本や、送る前のチェックリストもあります。
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台本コンクールと、舞台で演じる大会のちがい
お笑いのコンテストには、台本だけを送るものと、自分たちが舞台で演じるものがあります。準備することがまったくちがうので、最初にどちらなのかを確かめましょう。
| くらべること | 台本コンクール | 舞台で演じる大会 |
|---|---|---|
| 審査されるもの | 書いた台本(原稿) | 舞台でのネタ(演技も含む) |
| 応募するもの | 原稿と応募用紙 | エントリーの申し込み |
| 向いている人 | 書くのが好きな人、演じる相方がいない人 | コンビやピンで演じたい人 |
| 準備の中心 | 書式を整え、読んで伝わる台本にする | 練習して時間内に演じる |
台本コンクールでは、審査する人は演者の顔も声も知らずに原稿を読みます。舞台でウケたネタでも、文字だけでは笑いどころが伝わらないことがあります。舞台に出る大会の準備は「素人がM-1に出るには?」でまとめています。
台本を募集するコンクールの探し方
台本の公募には、毎年決まった時期に出るものもあれば、1回きりのものもあります。次の順番で探すと、見落としが少なくなります。
- 「漫才 台本 募集」「コント 脚本 公募」「お笑い 台本 コンクール」のような言葉で検索する
- 小説や脚本の公募情報をまとめた雑誌・ウェブサイトで、シナリオや演芸の部門を見る
- 自治体や文化財団、演芸場・劇場の「お知らせ」「募集」のページを見る
- 放送局や制作会社、芸能事務所の「作家募集」も見る(台本の提出が課題になっていることがある)
- 気になる主催者のSNSをフォローして、次の募集の告知を待つ
漫才の台本だけを募集する公募は、多くありません。新作落語、ラジオドラマ、短い演劇の脚本などの部門まで広げると、コントの台本を出せる公募が見つかることがあります。
応募する前に、主催者を確かめる
主催者の名前や連絡先がはっきりしない募集、応募料が高すぎる募集、結果の発表方法が書かれていない募集には気をつけましょう。分からないことは応募する前に問い合わせ、返事の内容で判断します。
募集要項の読み方|読み落としやすい7つの決まり
募集要項とは、応募できる人、原稿の形、締め切りなどの決まりをまとめた文書です。1つでも守れていないと、中身を読まれずに選考から外れることがあります。架空の募集要項を例に、読み方を見ていきましょう。
募集部門:漫才の部/コントの部
応募資格:プロ・アマ、年齢を問いません
作品:未発表のオリジナル作品に限ります。1人2作品まで
上演時間:4分程度で演じられるもの
原稿:A4横書き、1行40字×30行で3枚以内。表紙を別に付けること
締め切り:〇月〇日必着
入選作品の著作権は主催者に帰属します。著作者人格権は行使しないものとします
応募原稿は返却しません
| 書かれていること | 意味と気をつけること |
|---|---|
| 未発表のオリジナル | ライブで演じたネタや、ネットに出したネタは「発表済み」とされることがある。迷ったら問い合わせる |
| 1人2作品まで | 多く送ると、全作品が外されることもある。ほかの公募との二重応募の決まりも見る |
| 4分程度で演じられる | 字数に直して考える。1分300字で話すなら、1,200字ほど |
| 1行40字×30行で3枚以内 | 文書作成ソフトの1ページの字数と行数を、指定に合わせてから書く |
| 必着 | 締め切り日までに届く必要がある。「消印有効」なら、締め切り日の消印があればよい |
| 著作権は主催者に帰属 | 入選すると、自分の台本でも自由に演じたり公開したりできなくなることがある |
| 著作者人格権を行使しない | 主催者が台本を直して使っても、異議を言わないという約束 |
とくに見落としやすいのは、権利の決まりです。権利の書き方は公募ごとにちがうので、「入選したあと、この台本を自分たちで演じられるか」を考えてから応募しましょう。字数と時間の目安は「2分の漫才は何文字?」に表でまとめています。
審査する人に伝わる応募原稿の書き方
指定がなければ、応募原稿は「表紙」「登場人物」「あらすじ」「本文」の順にまとめると読みやすくなります。審査する人は、たくさんの原稿を続けて読みます。最初の1枚で、どんな話かが分かる形にしておきましょう。
- 表紙に、題名・部門・上演時間の目安・字数を書く(名前を書く場所は要項に合わせる)
- 登場人物は、役名と「どんな人か」を1行ずつ書く
- あらすじを求められたら、オチまで書く(審査する人が、話の全体をつかめるように)
- 本文は「話し手:セリフ」とト書き(動きの説明)で書き、ほかの人が演じても分かるようにする
- 笑いを待つ所は「(間)」と書き、動きで笑わせる所はト書きで具体的に書く
舞台なら表情や声で伝わる笑いも、原稿では文字にしないと伝わりません。演じるのが自分でなくても笑える台本かを、書き終えたら読み直してください。話し手やト書きの基本の書き方は「お笑いの台本の書き方」で紹介しています。
表紙と冒頭の見本「言い忘れ預かり所」
上の決まりで書いた、コントの部に出す想定の見本です。表紙で設定と人物を伝え、本文の最初の数行で「どんな窓口か」が分かるようにしています。
題名:言い忘れ預かり所
部門:コントの部
上演時間:約4分(本文 約1,200字)
登場人物:係員(言えなかった言葉を預かる窓口の係。とても丁寧)/客(会社員。今日、言い忘れたことがある)
あらすじ:言えなかった言葉を預かる窓口に、会社員がやってくる。係員は「ありがとう」をこわれものとして大切に預かるが、客が持ちこむ言葉は、だんだん小さくおかしなものになっていく。最後に客が係員へお礼を言うと、係員は「それは今、届きました」と預かるのを断る。
台本言い忘れ預かり所(冒頭・約1分)
(舞台の中央に机。机の上に「言い忘れ預かり所」の札。係員が立っている)
(客が、少し迷いながら入ってくる)
係員いらっしゃいませ。言い忘れ預かり所です。
客あの、言えなかった言葉を、預かってもらえると聞いて。
係員はい。どなたに、何を言い忘れましたか。
客会社の後輩に、「ありがとう」を。
係員かしこまりました。(両手で、見えない箱を受け取る)こちら、こわれものですね。
客こわれもの?
係員「ありがとう」は、時間がたつと言いにくくなります。(見えない箱にシールを貼る)
客シール貼るんだ。
係員保管は3日までです。それをすぎると、「今さら」に変わります。
客急いで言います。
係員ほかにも、お預かりするものはありますか。
客……エレベーターで言いそびれた、「何階ですか」。
(間)
係員……そちらも、お預かりします。
見本は冒頭だけですが、ト書きを動きだけに絞り、黙る所に「(間)」を入れています。最初の言葉を「ありがとう」にしておくと、あらすじに書いた最後の場面へつながります。
書き上げてから送るまでの手順
書き上げた原稿は、すぐに送らず、次の順番で仕上げます。締め切りの直前は、印刷や郵送で思わぬ時間がかかります。
- 1日おいてから声に出して読み、言いにくいセリフを直す
- 時間を測り、指定の上演時間に収まっているか確かめる
- ほかの人に読んでもらい、笑いどころが伝わったかを聞く
- 誤字や、話し手の名前の書き方のゆれを直す
- 指定の形で保存・印刷し、控えのコピーやデータを残す
- 締め切りの数日前までに送る
送る前に確かめること
- 応募資格(年齢、プロかアマか、住んでいる地域など)を満たしているか
- 作品の数と、ほかの公募との二重応募の決まりを守っているか
- 字数・行数・枚数が指定どおりか
- 名前を書く場所(表紙だけ、本文には書かない、など)が指定どおりか
- 応募用紙やあらすじなど、付ける書類がそろっているか
- 「必着」か「消印有効」かを確かめ、間に合う日に送ったか
結果が出たあとにすること
選ばれなかった台本も、直せばまた使えます。ほかの公募に出すときは、「未発表」の決まりにあたるかどうかを、改めて要項で確かめましょう。審査の講評がもらえる公募なら、次に書く台本のいちばんの材料になります。
入選したときは、権利の決まりを読み返します。自分たちで演じたい、ネットに公開したいという場合は、主催者に相談してから動くと安心です。
よくある質問
演じた経験がなくても応募できますか?
できます。台本コンクールは原稿で審査されるので、演じた経験は問われないことが多いです。ただ、最終の選考で読み合わせや実演がある公募もあるので、要項の「選考の流れ」も読んでおきましょう。
手書きの原稿でもいいですか?
要項に「手書き可」とあれば大丈夫です。指定がない場合は、読みまちがいを防ぐために、パソコンで清書した原稿を送るほうが安心です。データで送る公募では、ファイルの形式(PDFなど)も指定どおりにします。
AIを使って書いた台本は応募できますか?
生成AIで作った作品の応募を認めない公募や、使い方の申告を求める公募もあります。要項に書かれていなければ、主催者に問い合わせましょう。下書きにAIを使ったときに自分のネタへ直す方法は「AIで漫才の台本を作るときのコツ」で紹介しています。
まとめ
- 台本コンクールは原稿だけで審査されるので、読んで伝わる台本にする
- 公募は「台本 募集」などで探し、主催者と応募料、発表方法を確かめる
- 募集要項は「未発表」「作品数」「字数と行数」「必着」「権利」を必ず読む
- 原稿は表紙・登場人物・あらすじ・本文の順に整え、控えを残して早めに送る






