漫才のオチの作り方|締まる終わり方の例と弱いオチの直し方

開いた台本と赤えんぴつ、奥に誰もいない舞台とマイク

漫才のオチは、ネタの最後に置くいちばん大きな笑いで、お客さんに「ここで終わり」と伝える合図でもあります。作り方は「伏線回収」「立場逆転」「言葉の締め」の3つの型から選ぶと決めやすくなります。どの型でも、最後のツッコミと「もういいよ」までを、ひとまとまりのオチとして考えましょう。

この記事では、3つの型をオリジナルの例で説明し、オチが弱いときの直し方を、書き直す前と後でくらべます。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 漫才のオチは「最後のボケ・ツッコミ・締め」の3つでできている
  2. オチの型1 伏線回収|前半の言葉を最後に戻す
  3. オチの型2 立場逆転|最後に2人の関係を入れかえる
  4. オチの型3 言葉の締め|ネタ全体を一言でまとめる
  5. オチを作る手順と型の選び方
  6. 弱いオチの直し方|書き直す前と後をくらべる
  7. よくある質問
  8. まとめ

漫才のオチは「最後のボケ・ツッコミ・締め」の3つでできている

オチとは、ネタの終わりに置く笑いのことです。漫才のオチは、次の3つの部分でできています。

部分役目例
最後のボケネタの中でいちばん大きなずれを見せるA:晴れたら、てるてる坊主を逆さにつるします。
最後のツッコミずれを言い当てて、笑いどころを示すB:雨を呼ぶな。晴れたら喜べよ。
締めのあいさつネタが終わったことを知らせるB:もういいよ。A・B:どうもありがとうございました。

漫才は2人の会話なので、放っておくと話がどこまでも続いてしまいます。そこで、ツッコミが「もういいよ」と会話を打ち切り、2人で頭を下げて終わるのが定番の形です。

締めのあいさつがはっきりしていれば、オチの笑いが小さめでも、ネタはきれいに終わります。反対に、どんなに面白いオチでも、締めがあいまいだとお客さんは拍手をしてよいのか迷ってしまいます。

締めのあいさつは、動きまで決めておく

締めは、言い方と動きまで台本に書いておくと、本番で迷いません。次の流れが基本です。

  1. 最後のツッコミに続けて、「もういいよ」まで、ひと息で言う
  2. 2人で客席を向き、声をそろえて「どうもありがとうございました」と言う
  3. そろって頭を下げ、1〜2秒止まってから顔を上げる
  4. 下がる方向を決めておき、2人で同じ方へ下がる

下がる方向が2人でちがうと、最後の印象がばらばらになってしまいます。舞台に出る前に、どちらへ下がるかを確かめておきましょう。

オチの型1 伏線回収|前半の言葉を最後に戻す

伏線回収は、前半に出しておいた言葉や物を、最後にもう一度使って笑いにする型です。前もって仕込んでおく前置きを「伏線」や「フリ」、それを最後に使うことを「回収」といいます。

台本伏線回収のオチの例

(つかみのあと、前半で)

A僕、忘れ物が多いので、玄関のドアに「かさ」って書いた紙を貼ってるんです。

Bえらいね。それなら忘れないね。

(このあいだに、休みの日の過ごし方の話が続く)

Bそれにしても、今日は朝から大雨だったね。

Aすごかったですね。

B傘、ちゃんと持ってきた?

Aはい。(ポケットから紙を出して)これを。

B紙をはがして持ってきてどうするんだよ。もういいよ。

前半の「紙を貼っている」は、その場では小さな話にすぎません。最後に紙そのものを持ってきたことで、前半の話が別の意味に変わり、大きな笑いになります。

コツは、回収の直前に、伏線を思い出させる一言を入れることです。この例では、Bの「傘、ちゃんと持ってきた?」がその役目をしています。伏線の仕込み方は「ネタの伏線回収のやり方」でくわしく説明しています。

オチの型2 立場逆転|最後に2人の関係を入れかえる

立場逆転は、ネタの間ずっと続いていた2人の関係を、最後に入れかえる型です。教える人と教わる人、叱る人と叱られる人などが、最後の数行で逆になります。

台本立場逆転のオチの例

(Bが、Aに部屋の片付け方を教えてきた流れの最後)

Bいいか。1年使わなかった物は、思い切って手放す。これが片付けのコツだ。

A勉強になりました。先生の部屋は、さぞきれいなんでしょうね。

B……。

A先生?

B今度の日曜、片付けを手伝いに来てくれる?

A教わる相手をまちがえました。もういいよ。

この例では、最後のツッコミと締めを、ボケのAが言っています。ずっとツッコんでいたBがボケる側に回ることで、関係が入れかわったことが、はっきり伝わります。

立場逆転のオチは、次のような関係のネタで使いやすい型です。

  • 教える人と教わる人(先生と生徒、先輩と後輩)
  • 店員と客(すすめる側と、すすめられる側)
  • 叱る人と叱られる人(注意していた人が、同じ失敗をする)
  • ツッコミとボケ(最後だけ、まじめな人がボケる)

オチの型3 言葉の締め|ネタ全体を一言でまとめる

大きな仕掛けがなくても、最後のツッコミを「ネタ全体のずれ」を言い当てる一言にすると、オチは締まります。同じ種類のボケが続くネタに向いている型です。

ネタの流れ最後のボケ締めのツッコミ
旅行の計画。どこに行っても、Aの予定は昼寝から始まるA:最終日は、帰りの電車で昼寝します。B:寝る場所を変えてるだけだろ。もういいよ。
健康のための運動。Aはどの運動も見ているだけA:来月は、マラソン大会を沿道で応援します。B:結局、一歩も走ってないじゃないか。もういいよ。
節約のコツ。Aの節約は、どれもあとで高くつくA:電気代を浮かせるために、毎日お店で過ごします。B:浮いた分より、お店で使うほうが多いよ。もういいよ。

途中のツッコミは、そのとき起きたずれを1つずつ指摘します。最後のツッコミだけは、それまでのボケを全部まとめて言い当てます。お客さんが「そういう話だったのか」と気づいた瞬間に、笑いが起きます。

オチを作る手順と型の選び方

自分のネタにオチをつけるときは、次の順番で進めると、型を選びやすくなります。

  1. ネタの中のボケを、上から順に全部書き出す
  2. ボケに共通する「ずれの向き」を1行で書く(例:Aは、何でも昼寝につなげてしまう)
  3. 下の表を見て、ネタの形に合う型を1つ選ぶ
  4. 選んだ型で、最後のボケの候補を3つ書く
  5. 3つを声に出して読み、途中のどのボケよりも大きいものを選ぶ
  6. 最後のツッコミと締めのあいさつまで書いて、通して読む

2の「ずれの向き」が書けないときは、ボケがあちこちを向いている合図です。オチを考える前に、向きのそろわないボケを入れかえておくと、言葉の締めが作りやすくなります。

型向いているネタ先に決めること
伏線回収前半に、つかみや雑談などの小さな話題があるネタ最後に使う言葉か物
立場逆転教える・頼む・注意するなど、上下のある関係のネタ最後に入れかわる2人の関係
言葉の締め同じ種類のボケが続くネタボケ全体に共通すること

弱いオチの直し方|書き直す前と後をくらべる

オチが弱いと感じるときは、たいてい次のどれかが原因です。

弱く感じる理由直し方
最後のボケが、途中のボケより小さい途中でいちばん大きいボケを最後に移すか、最後のボケを大きくする
オチの前のやりとりが長いオチの直前のセリフを削り、ボケからツッコミまでを短くする
ネタと関係のない話で終わる前半に出た言葉を使う(伏線回収にする)
終わったことが伝わらない「もういいよ」と一礼を、はっきり入れる

次の例は、「旅行の予定を全部、雨の日用にした」というネタの終わりです。直す前は、オチが小さく、終わり方もぼんやりしています。

台本書き直す前

A……というわけで、来週の旅行は、全部の予定を雨の日用にしました。

B晴れたらどうするの。

A晴れたら、そのとき考えます。

B考えてないじゃないか。まあ、楽しんできてよ。

Aはい。

Bもういいよ。

台本書き直した後

A……というわけで、来週の旅行は、全部の予定を雨の日用にしました。

B晴れたらどうするの。

A晴れたら、てるてる坊主を逆さにつるします。

B雨を呼ぶな。晴れたら喜べよ。もういいよ。

A・Bどうも、ありがとうございました。

直したのは、次の3つです。

  1. 最後のボケを「そのとき考える」から、雨の日用の予定に合わせて天気のほうを変えようとする、より大きなずれにした
  2. 「まあ、楽しんできてよ」「はい」のような、笑いのないやりとりを削った
  3. 最後のツッコミと「もういいよ」を、ひと続きで言うようにした

オチの後ろに余計なセリフがあると、笑いがしぼんでしまいます。最後のツッコミを言ったら、すぐに締めに入りましょう。

オチを見直すときのチェックリスト

  • 最後のボケは、ネタの中でいちばん大きなずれになっているか
  • オチの直前に、笑いのないやりとりが続いていないか
  • 最後のツッコミは、ひと息で言える長さか
  • 「もういいよ」と一礼で、終わったことがはっきり分かるか
  • 初めて見た人にも、オチの意味が説明なしで伝わるか

よくある質問

オチは最初に決めたほうがいいですか?

先に決まっていると、途中のボケをどちらへ向ければよいかが分かり、書きやすくなります。ただ、ボケを並べてから、いちばん大きいものを最後に回す決め方でもかまいません。オチから先に考える方法は「ネタが書けないときの書き始め方」でも紹介しています。

「もういいよ」以外の締め方はありますか?

「いい加減にしなさい」「やめさせてもらいます」なども、昔からよく使われる締めの言葉です。2人が言いやすい一言を決めて毎回同じにしておくと、終わりの合図としてお客さんに伝わりやすくなります。結婚式の余興なら、最後はお祝いの言葉で締めましょう。言葉の例は「余興の最後の締めの言葉」にまとめています。

オチで笑いが起きなかったら、どうすればいいですか?

本番では、締めのあいさつを堂々と言って、きちんと頭を下げることだけを考えましょう。終わったあとで録画を見て、オチの前のどこで間延びしたかを確かめます。見直す順番は「ネタがウケない原因と直し方」が参考になります。

まとめ

  • 漫才のオチは「最後のボケ・最後のツッコミ・締めのあいさつ」の3つでできている
  • 型は、伏線回収・立場逆転・言葉の締めの3つから選ぶ
  • 最後のボケは、ネタの中でいちばん大きなずれにする
  • オチの後ろに余計なセリフを置かず、ツッコミからすぐに締めに入る
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