お笑いの台本は、「話し手:セリフ」を1行ずつ書き、動きや場面の説明は( )に入れて書くのが基本です。決まった書式はありませんが、この形にしておけば、相方にも手伝ってくれる人にも、そのまま渡して読んでもらえます。
この記事では、写して使えるテンプレートと見本の台本、ワードやスマホで作るときの設定を順番に紹介します。ネタの中身の考え方ではなく、「どう書けば読みやすいか」に絞った内容です。
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お笑いの台本は「話し手・セリフ・ト書き」で書く
台本に書くことは、大きく分けて3つです。誰が話すか(話し手)、何を言うか(セリフ)、動きや場面の説明(ト書き)です。ト書きとは、セリフ以外の「誰が、何をするか」を書いた部分のことです。
| 書くこと | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 話し手 | 短い名前のあとに全角の「:」 | A:/店員: |
| セリフ | 話し言葉のまま、ひと息で言える長さに | A:きのう、駅で傘をなくしまして。 |
| ト書き | ( )に入れて1行で、「〜する」の形で書く | (Bがメモを取りはじめる) |
| 場面の見出し | 場面が変わるときだけ、場所と時間を書く | ○駅のホーム・朝 |
場面の見出しは、ドラマの台本で「柱(はしら)」と呼ばれるものです。場面が1つだけの漫才や短いコントなら、最初のト書きで場所を書けば足ります。
読みやすい台本にする5つの決まり
台本は、自分だけでなく相方も読みます。次の5つをそろえておくと、読み合わせ(座ったまま台本を順番に読む練習)のときに迷いません。
- 話し手の名前は短くそろえる。漫才なら「A・B」、コントなら「店員・客」のような2〜3文字の役名にする
- セリフは1行にひとつ。ひと息で言えないほど長くなったら2つに分け、あいだに相手のあいづちをはさむ
- ト書きは「誰が・何をする」だけを書く。「Bは悲しくなる」のような気持ちではなく、「Bがうつむく」のような動きで書く
- 笑いを待つ所や、わざと黙る所は「(間)」と書く。言いよどむ所は「……」を使う
- 表紙に「第何稿か」と日付を書き、直すたびに数字を上げる。稿(こう)は、何回目の書き直しかを表す言葉
なかでも大事なのは3つ目です。ト書きを動きだけにしておくと、演じる人が自分で表情や声を工夫できる余地が残ります。
漫才とコントで変わるのは話し手の名前
漫才は2人が自分として話すので、話し手は「A・B」か本人の名前にします。コントは役を演じるので、「店員」「客」のような役名にすると、読む人が場面をつかみやすくなります。
そのまま使える台本テンプレート
下のテンプレートを、メモ帳やワードに写して使ってください。〇の所を埋めれば、表紙と本文がそろった台本になります。登場人物の欄の「ボケ」はわざとずれたことを言う役、「ツッコミ」はそのずれを指摘する役です。
題名:〇〇〇〇
種類:漫才/コント
時間:約〇分(約〇〇〇字)
登場人物:A(ボケ)〇〇〇/B(ツッコミ)〇〇〇
小道具:〇〇〇(なければ「なし」)
第〇稿(〇月〇日)
(場面の説明:どこで、誰が、何をしているか)
A:最初のセリフ
B:受けるセリフ
A:
B:
(最後の動き:2人で一礼する、など)
時間の欄は、台本の文字数から出しておくと、持ち時間に合っているかがすぐ分かります。話す速さによって変わりますが、文字数と時間の目安は「2分の漫才は何文字?」にまとめています。
テンプレートで書いた見本「再配達」
テンプレートの決まりで書いた、短いコントの見本です。ト書き、(間)、「……」の使い方を見てください。
- 時間
- 約1分
- 人数
- 2人
- 準備物
- 小さな箱、ボールペン
- 難しさ
- ★
台本再配達(第2稿・約1分)
(アパートの玄関。客がドアを開けると、配達員が小さな箱を持って立っている)
配達員お届け物です。こちらにサインをお願いします。
客はい。……あの、不在票が3枚もポストに入ってたんですけど。
配達員はい。3回うかがいました。
客ずっと家にいたんですよ。
配達員1回目は、チャイムを押す直前に「今じゃないかも」と思いまして。
客今です。届けに来たなら、いつでも今です。
配達員2回目は、中から楽しそうな歌が聞こえたので、遠慮しました。
客……聞こえてたんですね。
(間)
配達員3回目は、押しました。
客押したんですね。
配達員押して、すぐ帰りました。
客それ、ただのいたずらです。
(客がサインをして、箱を受け取る)
配達員ありがとうございました。あ、こちら、不在票です。
客今いるでしょう。
(配達員が一礼して去る。客は不在票を見つめる)
この見本では、ト書きを動きだけに絞っています。客が恥ずかしがる気持ちは書かずに、「……」と(間)で表しました。読む人が演じ方を想像できるなら、ト書きは短いほど読みやすくなります。ネタの組み立て方そのものは、「漫才の台本の書き方」と「コントの台本の書き方」で順番に説明しています。
ワードで台本を作るときの設定
ワードなどの文書作成ソフトで台本を作るときは、最初に次の設定をしておくと、印刷しても読みやすくなります。
- 用紙はA4の横書きにし、余白は広めに取る(手書きで直しを書き込めるように)
- 文字の大きさは11〜12ポイントほどにし、行と行のあいだを少し広げる
- 段落の設定でインデントの「ぶら下げ」を選び、セリフが2行になったとき、2行目がセリフの頭にそろうようにする
- ページの下にページ番号、上に題名と「第何稿」を入れる
- 人に渡すときはPDFにして送る(相手のパソコンで行がずれないように)
ぶら下げとは、段落の1行目だけを左に出し、2行目からを字下げする設定です。「A:」のあとの文字に2行目がそろうので、誰のセリフかがひと目で分かります。設定がうまくいかないときは、2列の表を作って左に話し手、右にセリフを入れ、罫線を消す方法もあります。
縦書きにしたいとき
ページの設定で文字の向きを縦にすれば、縦書きの台本になります。縦書きでは、数字を漢数字(三回、五分)にすると読みやすくなります。
コンテストに台本を応募するときは、文字数や行数、用紙の向きが募集要項で決められていることがあります。応募原稿の整え方は「台本コンクールに応募するには」で紹介しています。
スマホで台本を書くときの注意
スマホのメモ機能でも台本は書けます。思いついたその場で書けるのが良い所ですが、次の点に気をつけましょう。
- 全角の「:」と半角の「:」が混ざりやすいので、どちらかにそろえる
- よく使う「A:」「B:」は、ユーザー辞書(単語登録)に入れておくと速く打てる(例:「えー」で「A:」)
- 1つのネタは1つのメモにまとめ、題名の頭に稿の番号を入れる
- 予測変換で言葉が勝手に変わっていないか、書き終えたら読み返す
- 書き終えたらパソコンに送って清書するか、PDFにして共有する
スマホの画面は横幅がせまく、1つのセリフが何行にも折り返されます。セリフの長さの感じがつかみにくいので、仕上げだけはパソコンの画面か紙で読み直すと安心です。
書き直した台本の管理のしかた
台本は、読み合わせのたびに少しずつ直していきます。直した台本と前の台本がまざると、相方と別々の台本で練習してしまうことがあります。
- ファイル名に題名と稿の番号を入れる(例:再配達_第3稿)
- 前の稿は消さずに、「古い稿」のフォルダにまとめておく
- 直した所を、表紙の下に1〜2行でメモする(例:3回目の訪問のくだりを短くした)
- 印刷した台本は稿ごとにクリップでとめ、いちばん新しい稿を上にする
- 相方に送るときは、「第何稿を送ったか」を一言そえる
くだりとは、ネタの中のひとまとまりの部分のことです。前の稿を残しておくと、直したことで笑いが減った所を、元の形に戻せます。
台本を人に渡す前に確かめること
- 表紙に題名・時間・登場人物・稿の番号があるか
- 話し手の名前が、最初から最後まで同じ書き方か
- ト書きが( )に入っていて、セリフとまざっていないか
- ページ番号が入っているか
よくある質問
台本は手書きでもいいですか?
かまいません。最初の下書きは、手書きのほうが速く書ける人もいます。相方に渡す段階になったら、読みまちがいを防ぐために、パソコンかスマホで清書しておくと安心です。
ト書きはどのくらい細かく書けばいいですか?
演じる人が迷わない分だけで十分です。「立ち位置が入れかわる」「物を渡す」など、セリフだけでは分からない動きを書きます。表情や声の大きさまで細かく書くと、セリフを追いにくくなります。
漫才の台本にもト書きは要りますか?
漫才は2人が話すだけの時間が長いので、ト書きは少なくてかまいません。「(ここからBが店員を演じる)」のように、役に入る所や、身ぶりを使う所だけ書いておきます。
まとめ
- お笑いの台本は「話し手:セリフ」を1行ずつ書き、動きは( )のト書きで書く
- ト書きは気持ちではなく動きで書き、黙る所は「(間)」と書く
- 表紙に題名・時間・登場人物・第何稿かをまとめておく
- ワードでは「ぶら下げ」でセリフの頭をそろえ、人に渡すときはPDFにする
- 直した台本は稿の番号で管理し、前の稿も消さずに残す






