忘年会の司会で笑いを取るなら、自分が主役になって面白いことを言うより、場面と場面をつなぐ一言に、小さな笑いを足すのが近道です。開会の自己紹介、乾杯の前、出し物の呼び込み、抽選会など、笑いを入れやすい場所は決まっています。スベったときに進行へ戻る一言も用意しておけば、話すのが得意でなくても十分に務まります。
この記事では、2時間の忘年会の進行表と、笑いの一言を入れた開会から締めまでの司会の台本を紹介します。冗談がスベったときの立て直し方と、時間が押したときにどこを削るかもまとめました。
目次目次を閉じる目次を開く
忘年会の進行表(2時間の例)
19時に始まり、21時にお店を出る会の例です。右の列は、司会が笑いの一言を入れられる場所です。挨拶の順番や長さは職場によって違うので、前の年の進行表があれば、それに合わせて直してください。
| 時刻 | 内容 | 担当 | 司会の笑いどころ |
|---|---|---|---|
| 19:00 | 開会の言葉 | 司会 | 自己紹介のつかみ |
| 19:02 | 代表の挨拶 | 部長など | 挨拶の言葉を1つ拾ってお礼を言う |
| 19:07 | 乾杯 | 2番目の役職の人 | 飲み物がそろうまでのつなぎ |
| 19:10 | 歓談 | なし | なし(料理と会話を楽しんでもらう) |
| 19:40 | 全員参加のゲーム | 司会・係 | ルールを伝えたあとの一言 |
| 19:55 | 出し物(2組・各3分) | 出る人 | 呼び込みと、終わったあとの一言 |
| 20:10 | 歓談 | なし | なし |
| 20:30 | 表彰・抽選会 | 司会・幹事 | 賞の名前の前の間、当たった人への一言 |
| 20:45 | 締めの挨拶・手締め | 3番目の役職の人 | なし(ここはまじめに) |
| 20:50 | 閉会の案内 | 司会 | 忘れ物の案内に一言 |
| 21:00 | お店を出る | 全員 | なし |
つかみとは、最初に笑いを取る一言のことです。どの笑いどころも10秒ほどの短い一言で、締めの挨拶と手締めだけはまじめに進めると、会がきれいに終わります。
進行表を作るときの3つの決まり
- 出し物は、乾杯から40分ほどあけ、ゲームで会場を温めてから始める(料理が落ち着き、笑いが起きやすくなる)
- 締めの挨拶は、お店を出る時刻の15分前に始める(会計や上着、忘れ物の確認に時間がかかる)
- 進行表は、挨拶や出し物をする人に、前日までに渡しておく
開会から乾杯までのセリフ
最初の2分で、会の長さと後半のお楽しみを伝えておくと、参加する人が見通しを持てます。自己紹介に笑いを1つ入れたら、すぐに代表の挨拶へつなぎます。
台本開会から乾杯まで(約2分)
(マイクを持って前に立ち、会場が静かになるまで3秒待つ)
司会皆さん、お疲れさまです。お時間になりましたので、〇〇部の忘年会を始めます。
司会司会を務めます、〇〇課の△△です。司会は初めてで、台本を3部も印刷してきました。
司会1部は自分用、1部は予備、もう1部は、予備をなくしたとき用です。どうぞ温かい目でお願いします。
司会今日は21時までの2時間です。前半にはゲームと出し物、後半には表彰と抽選会もありますので、最後までお楽しみください。
司会はじめに、〇〇部長からご挨拶をいただきます。部長、お願いいたします。
(代表の挨拶)
司会部長、ありがとうございました。今のお話の「〇〇」というお言葉、さっそく台本の端にメモしました。
司会続いて、乾杯に移ります。お飲み物は、ソフトドリンクやお茶でもかまいません。
司会まだ届いていない方は、手を挙げてください。……手を挙げている方の分は、今、幹事が全力で取りに行っています。
(全員に飲み物が届いたのを確かめる)
司会乾杯の発声は、〇〇課長にお願いいたします。皆さま、グラスをお持ちください。
(乾杯)
司会ありがとうございました。料理はこのあと順番に運ばれてきます。しばらくの間、ご歓談ください。
この台本の笑いどころは3か所です。台本を3つ並べて3つ目で笑わせる自己紹介、部長の言葉を拾う一言、飲み物を待つ間のつなぎです。どれも自分かその場の出来事を笑いにしていて、誰もいじっていません。
「ソフトドリンクやお茶でもかまいません」と一言添えると、お酒を飲まない人も気がねなく乾杯に加われます。挨拶や乾杯の中身は話す人に任せましょう。頼まれた人には「忘年会の挨拶の面白い例文」を案内すると親切です。
ゲーム・出し物をつなぐセリフ
ゲームや出し物の前後は、司会のひと言で会場の空気が決まります。呼び込みは「名前・何をするか・拍手のお願い」、終わったあとは「具体的なひと言・お礼・拍手」が基本です。笑いの一言は、それぞれに1つ足すだけで十分です。
台本歓談からゲーム、出し物へ(約1分半)
司会ご歓談中のところ、失礼します。少しだけ、前にご注目ください。
司会ここからは、全員参加のゲームの時間です。優勝チームには、景品と、来年の幹事の権利を差し上げます。
司会……幹事の権利は冗談です。景品だけです。
(ゲーム。ルールの説明は3文まで)
司会〇〇チームの皆さん、優勝おめでとうございます。会場が温まったところで、出し物の時間です。
司会トップバッターは、〇〇課の3人です。今日のために、仕事のあとに何度も集まって準備してくれたそうです。
司会本人たちいわく、ふだんの会議より出席率がよかったそうです。
司会それでは〇〇課の皆さんです。大きな拍手でお迎えください。
(出し物)
司会〇〇課の皆さん、ありがとうございました。〇〇さんの「〇〇」のひと言、明日から社内で流行りそうです。
司会もう一度、大きな拍手をお願いします。
終わったあとのひと言は、出し物の中のセリフや場面を1つだけ拾うと、「ちゃんと見ていた」ことが伝わります。思いつかなければ、お礼と拍手だけでもかまいません。
ゲームのルールの説明は、3文までにすると会場が置いていかれません。ゲームごとの説明のセリフは「忘年会で盛り上がるゲーム15選」にまとめています。
表彰・抽選会から締めまでのセリフ
会の終盤は、表彰と抽選会で盛り上げてから、締めの挨拶へ移ります。賞の名前は、読む前に一拍おくと笑いが起きやすくなります。目玉の景品は最後まで残し、その前に笑いを取るためのネタ景品をはさむと、締めの直前まで会場が前を向きます。
台本表彰・抽選会からお開きまで(約2分)
司会ここからは、今年がんばった人をたたえる表彰の時間です。名前を呼ばれた方は、前へお願いします。
司会最初の賞は……(一拍おいて)「〇〇賞」です。
(表彰。賞の名前と表彰コメントを読む)
司会続いて、お待ちかねの抽選会です。受付でお渡しした番号札を、お手元にご用意ください。
司会番号札が見つからない方は、今のうちに足元を探してください。……今年最後の大捜索です。
司会まずは〇〇賞から。……〇番の方、おめでとうございます。前へどうぞ。
(遠くの席の人が当たったとき)
司会遠くからありがとうございます。景品までの道のりも、景品のうちです。
(抽選。ネタ景品は目玉の前に、目玉の景品は最後にとっておく)
司会楽しい時間はあっという間で、お店の時間が近づいてまいりました。
司会締めのご挨拶を、〇〇課長にお願いいたします。
(締めの挨拶と手締め)
司会ありがとうございました。これにて〇〇部の忘年会をお開きにします。
司会お席を立つ前に、上着とスマートフォンのお忘れ物がないか、ご確認ください。
司会二次会に参加される方は、△△さんの近くにお集まりください。皆さま、よいお年をお迎えください。
締めの挨拶と手締めのあいだは、司会も笑いを入れず、まじめに進めましょう。手締めのやり方は「締めの挨拶の例文と一本締め・三本締めのやり方」で確かめられます。音頭を取る人と前もってそろえておくと、当日あわてません。
盛り上げる司会のコツ
拍手のきっかけを、言葉で作る
会場は、拍手をしてよいタイミングが分からないと静かになりがちです。「大きな拍手でお迎えください」「もう一度拍手を」と言葉で合図を出すだけで、会場が温まります。司会が先に手をたたき始めると、さらに広がりやすくなります。
呼び込みで期待を上げすぎない
「爆笑まちがいなし」のように紹介すると、出る人が苦しくなります。「準備してくれた」「楽しみにしていた」くらいの紹介にしておくと、出る人も見る人も気が楽です。
話を振るのは、答えやすい人に、答えやすい質問で
会場の誰かに感想を聞くなら、前もって引き受けてくれた人にお願いしておきます。「今の出し物、10点満点で何点ですか」のように、数字で答えられる聞き方にすると、短く返してもらえます。新人や、前に出るのが苦手な人に、いきなり振るのはやめましょう。
笑いが少なかった出し物は、温かく受け止める
出し物で思ったほど笑いが起きなくても、司会がからかったり、反省を促したりする必要はありません。前に出てくれたことへのお礼を伝えれば、会場の空気はすぐに戻ります。
緊張する中、前に出てくれて、本当にありがとうございました。
準備してくれた気持ちは、私たちがしっかり受け取りました。
皆さん、あたたかい拍手をお願いします。
司会はお酒を控えめにする
時間の管理とマイクの受け渡しは、頭がすっきりしていてこそできます。乾杯のあとはソフトドリンクにして、締めまで落ち着いて進めましょう。
司会の冗談がスベったときの立て直し
司会の冗談がスベっても、あわてる必要はありません。司会には「次の段取り」という逃げ道があるので、一言で認めて、すぐ進行に戻れば、会場はほとんど気にしません。
台本つかみがスベったあとの開会(約20秒)
司会司会の△△です。今日のために、靴を新しくしてきました。
(会場の反応がうすい)
司会……誰も足元を見ていなかったようなので、今、お伝えしました。
司会それでは気を取り直して、〇〇部長からご挨拶をいただきます。
1回目がスベっても、それを認める2回目の一言で笑いが起きることはよくあります。場面ごとに使える一言を、表にまとめました。
| 場面 | 立て直しの一言 |
|---|---|
| 冗談に反応がない | 「……今の一言は、進行表には書いていませんでした。ここからは台本に戻ります」 |
| 呼び込みのあと、拍手がまばら | 「後ろの席まで届くように、もう一度お願いします」と言い、自分が先に大きく手をたたく |
| 名前を言い間違えた | 「失礼しました、〇〇さんです。来年までに、正しく呼べるよう練習しておきます」 |
| ゲームのルールが伝わらない | 「説明より、やってみたほうが早そうです。1回だけ、練習でやってみましょう」 |
| 段取りを1つ飛ばした | 「失礼しました、順番を1つ飛ばしました。年末で、司会も少し疲れています」 |
立て直しの一言は、言い訳を重ねず1回だけにします。台本の余白に1つ書いておくと、スベるのが怖くなくなり、つかみも落ち着いて言えます。スベったときの返し方の型は「滑ったときの返し方」でも紹介しています。
時間が押したときの調整
当日は、料理が遅れたり挨拶が長くなったりして、予定より時間が押すことがよくあります。あわてないコツは、削る順番を前もって決めておくことです。
| 押した時間 | 削るところ | 司会のひと言 |
|---|---|---|
| 5分ほど | 2回目の歓談を短くする | なし(そのまま進める) |
| 10分ほど | ゲームの回数を減らす | 時間の都合で、ゲームは2回戦までにします。3回戦の作戦を立てていた方、ごめんなさい |
| 15〜20分 | 出し物の1組を短い版にする、表彰のコメントを短くする | このあとの〇〇は、ぎゅっと短くしてお届けします |
| 30分以上 | 抽選の番号を続けて読み上げ、景品は帰りに渡す | 当選番号を続けて発表します。景品はお帰りの際にお渡しします |
締めの挨拶と、お店を出る時刻だけは動かしません。締めを頼んだ人には「〇時〇分に始めます」と伝えておき、その時刻になったら、ほかを削ってでも締めに入ります。
早く進みすぎたときのつなぎ
反対に、予定より早く進んで時間が余ることもあります。そんなときは、会場の全員が席でできることを1つ入れると、間が空きません。
抽選会の前に、少しだけ時間があります。
お隣の方と、「今年いちばんよかったこと」を30秒ずつ話してみてください。
(話してもらう)
ありがとうございます。今のお話の続きは、ぜひこのあとの歓談でどうぞ。
司会が当日、手元に置くもの
- 大きな字で印刷した進行表と台本(笑いの一言と、立て直しの一言に印をつける)
- 挨拶や表彰で呼ぶ人の名前と、その読み方のメモ
- 時計(腕時計か、置き時計)
- 抽選の番号札の控えと、景品を渡す順番
- お店の人と決めた、ラストオーダーとお店を出る時刻
よくある質問
台本を見ながら司会をしてもいいですか?
大丈夫です。名前や時刻をまちがえないように、手元に置いておくほうが安心です。クリップボードにはさんでおくと、片手でマイクを持ったままでも読めます。
幹事と司会は、同じ人がやったほうがいいですか?
できれば分けましょう。幹事はお店とのやりとりや会計で席を立つことが多く、司会と兼ねると進行が止まりがちです。幹事の仕事は「忘年会の幹事がやること」にまとめています。
上司をいじって笑いを取ってもいいですか?
いじるのは、本人が了解していて、ほめる方向のときだけにしましょう。「部長の挨拶、時間ぴったりでした」のように、よいところを少し大げさに言うのは喜ばれます。見た目や年齢、失敗をネタにするのは、本人が笑っていても周りが笑えないことがあるので避けます。
会場が盛り上がらないときは、どうすればいいですか?
司会が無理に面白いことを言う必要はありません。全員参加のゲームを予定より早めに入れると、会場の空気は自然に動きます。
まとめ
- 司会の笑いは、主役になるより、場面をつなぐ一言に小さく足す
- 笑いどころは、開会のつかみ・乾杯の前・呼び込み・抽選会。締めはまじめに
- 冗談がスベったら、一言で認めて、すぐ次の段取りに戻る
- 進行表には、笑いどころと、時間が押したときに削る順番を書いておく
- 締めの挨拶とお店を出る時刻は、時間が押しても動かさない






