リズムネタは、手拍子などの一定の拍に短い言葉を乗せ、同じ形を3回くり返してから、4回目で外して笑わせる芸です。毎回同じ「決めのフレーズ」とポーズで区切ると、客席が覚えて一緒に楽しんでくれます。
この記事では、拍に言葉を乗せるコツ、くり返しと外しの組み立て、決めのフレーズの作り方を説明します。既存の曲を使わず、手拍子だけでできるオリジナルの例も紹介します。
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リズムネタは「拍・くり返し・外し・決め」でできている
拍とは、手拍子や足ぶみで刻む、同じ間かくの合図のことです。リズムネタでは、手拍子4回分(4拍)を1つのまとまりとして組み立てます。
| 部品 | 役目 | 例 |
|---|---|---|
| 拍 | ネタ全体の速さと形を決める | 手拍子4回で1行 |
| くり返し | 同じ形を重ねて、客席に次を予想させる | 「かぎ、よし」「さいふ、よし」 |
| 外し | 予想をずらして笑いを取る | 4行目「くつ……はいてない」 |
| 決めのフレーズ | 毎回同じ言葉とポーズで区切る | 「出かける前に、指さし確認」 |
リズムがあると、客席は自然に次の言葉を予想しながら聞いてくれます。予想しやすい形を作ってから、1か所だけ外すのが、リズムネタの笑いの仕組みです。
拍に言葉を乗せるコツ
音の数を数える
言葉を拍に乗せるときは、文字ではなく「音」の数で考えます。小さい「ゃ・ゅ・ょ」は前の字とまとめて1音、小さい「っ」と、のばす「ー」、「ん」はそれぞれ1音と数えます。
| 言葉 | 音の数 | 数え方 |
|---|---|---|
| かぎ | 2 | か・ぎ |
| スマホ | 3 | ス・マ・ホ |
| ハンカチ | 4 | ハ・ン・カ・チ |
| きょう | 2 | きょ・う |
| ちょっと | 3 | ちょ・っ・と |
| ケーキ | 3 | ケ・ー・キ |
4拍には、4〜8音を乗せるのが目安です。1拍に1音ならゆったり、2音なら軽快に聞こえます。
4拍への乗せ方の例
下の表は、1行を4拍に分けた例です。最後の4拍目で手拍子の代わりに指さしをすると、行の終わりがはっきりします。4行目は、2拍目をためにあてて、外す言葉の前に一瞬の間を作っています。
| 行 | 1拍目 | 2拍目 | 3拍目 | 4拍目 |
|---|---|---|---|---|
| 1行目 | か | ぎ | よ | し(指さす) |
| 2行目 | さい | ふ | よ | し(指さす) |
| 3行目 | スマ | ホ | よ | し(指さす) |
| 4行目 | くつ | ……(ため) | はいて | ない |
言葉が合わないときの直し方
- 音が足りないときは、のばす(「かーぎ」)か、「ほら」など短い言葉を足す
- 音が多すぎるときは、短い言い方に変える(「スマートフォン」を「スマホ」に)
- いちばん聞かせたい言葉は、4拍目にくるように並べる
- 早口にしないと入らない言葉は、思いきって別の言葉に替える
くり返しと「外し」の組み立て
基本は、同じ形を3回くり返して、4回目で外す形です。1回目で形を見せ、2回目で覚えてもらい、3回目で客席が次を予想し始めます。くり返しで笑いを大きくする考え方は、「天丼のやり方」でも紹介しています。
外し方には、言葉、リズム、動きの3つがあります。1本のネタの中で外し方を変えると、最後まで飽きられにくくなります。
| 外し方 | やり方 | 例 |
|---|---|---|
| 言葉で外す | 同じ形のまま、言葉だけずらす | 「スマホ、よし」のあとに「くつ……はいてない」 |
| リズムで外す | 4回目だけ手拍子を止める、急にゆっくりにする | 4行目の前で手拍子を止め、2拍だまる |
| 動きで外す | 4回目だけポーズを変える | 前を指さすはずが、自分の顔を指さす |
1分のネタの組み立て
1分のリズムネタなら、4行と決めのフレーズを1つのまとまり(1番)にして、3番まで作ると収まります。
| 部分 | 長さ | すること |
|---|---|---|
| 出だし | 8拍 | 手拍子だけで、速さを客席に伝える |
| 1番 | 4行+決め | 3回くり返して、4回目で外す |
| 2番 | 4行+決め | お題を変えて、別の外し方をする |
| 3番 | 4行+決め | 1番の言葉をもう一度使って外す |
| 締め | 8拍ほど | 決めのフレーズを、少し変えてゆっくり言う |
決めのフレーズの作り方
決めのフレーズは、ネタの区切りごとに毎回同じ言葉とポーズで言う、短い一言です。客席が一緒に言いたくなるほど、ネタの印象が残ります。
- 8拍以内で言える長さにする
- 指さしや手を広げるなど、ポーズとセットにする
- 毎回同じ言葉で言い、最後の1回だけ少し変える
- 声に出して言いやすい音を選ぶ(語尾をそろえる、同じ音をくり返す)
- 既存の歌の一節や、芸人さんの決めぜりふを借りない
| 決めのフレーズの例 | 合うテーマ |
|---|---|
| 「出かける前に、指さし確認」 | 忘れ物、出かける前のしたく |
| 「それでも明日は、やってくる」 | 小さな失敗のあるある |
| 「ちょっと待って、まだ月曜」 | 職場や学校の1週間 |
| 「わかる人だけ、手をたたいて」 | あるある全般(客席も参加できる) |
| 「きょうも元気に、ねむいです」 | 朝のしたく、寝不足 |
テーマは、誰もが知っている場面から選ぶと、言葉をすぐ分かってもらえます。場面の見つけ方は「あるあるネタの作り方」が参考になります。
動きは2つだけ決める
動きをたくさん入れると、言葉と拍がずれやすくなります。くり返す行で使う動きを1つ、決めのフレーズのポーズを1つ決めれば十分です。
- くり返す動き:4拍目で指さす、手を1回たたくなど、小さく同じ動き
- 決めのポーズ:両手を前に出す、片手を上げるなど、止まって見せる大きな動き
- 外しの行だけは、決めた動きをわざとやらないか、別の動きに変える
オリジナルのリズムネタ「出かける前の指さし確認」
手拍子だけでできる、約1分のリズムネタです。1行を4拍で言い、「よし」の所で前を指さします。かっこの中は動きです。
- 時間
- 約1分
- 人数
- 1人
- 準備物
- なし(手拍子と足ぶみ)
- 難しさ
- ★★
(手拍子だけを8拍。パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン)
かぎ、よし(指さす)
さいふ、よし(指さす)
スマホ、よし(指さす)
くつ……はいてない(足もとを見て固まる)
出かける前に、指さし確認(両手で前を指さすポーズ)
まど、よし(指さす)
ガス、よし(指さす)
でんき、よし(指さす)
(手拍子を止めて、2拍だまる)
きょうは……日曜日(カレンダーを見るしぐさのまま固まる)
出かける前に、指さし確認(ポーズ)
かさ、よし(指さす)
ハンカチ、よし(指さす)
えがお、よし(自分の顔を指さす)
かぎは……家の中(ドアを閉めたあと、ポケットを探って固まる)
(手拍子をゆっくりにして)
出かける前に……もう一回、指さし確認(ゆっくり指さし、そのまま止まる)
このネタの組み立て
1番は言葉で外し、2番は手拍子を止めてから「そもそも出かけなくてよい」と外して、外し方を変えています。3番では、1番の最初に出てきた「かぎ」に戻って外し、最後の決めのフレーズだけ「もう一回」を足しています。
既存の曲を使わない理由と、音の作り方
リズムネタというと、知っている曲に合わせたくなります。ただ、曲のメロディや歌詞には著作権があり、替え歌も含めて、使える場面がかぎられます。
とくに動画で公開すると、問題になりやすくなります。くわしくは「漫才のネタに著作権はある?」を見てください。
音は、次のように自分で作れば安心です。
- 手拍子と足ぶみだけで刻む(いちばん手軽)
- 机をたたく、ペットボトルを振るなど、身近な物の音を使う
- カスタネットやタンバリンなど、簡単な打楽器を自分で鳴らす
- 音源を使うなら、利用規約で使ってよいと書かれた素材を選び、会場や動画の場所のルールも確かめる
練習のしかた
リズムネタは、言葉より先に、拍を一定に保つ練習から始めます。
- 手拍子だけを、同じ速さで1分続ける(メトロノームの機能を使うと分かりやすい)
- 言葉だけを、手拍子に合わせて言う
- 指さしなどの動きを足す
- 外しの前のためと、決めのポーズで止まる長さを決める
- スマホで録画し、途中で速くなっていないかを見る
速さは、ゆっくり歩くくらいが目安です。本番は緊張で速くなりがちなので、練習のときより少しゆっくり始めると、ちょうどよい速さになります。
本番の前に確かめること
- 既存の曲やメロディを使っていないか
- 4回目の外しの前に、ためがあるか
- 決めのフレーズとポーズが、毎回そろっているか
- 客席に手拍子をお願いするなら、その合図を決めたか
よくある質問
リズム感に自信がありません。
手拍子を同じ速さで続けられれば、十分に作れます。最初はゆっくりの速さで作り、慣れてから少しずつ速くしましょう。外しの前に手拍子を止める「リズムで外す」形は、速さがずれても笑いになりやすい形です。
2人以上でもできますか?
できます。1人が「かぎ」と言い、もう1人が「よし」と返す掛け合いにすると、2人のネタになります。大人数なら、決めのフレーズだけを全員でそろえて言うと、まとまって見えます。
ショート動画にも向いていますか?
向いています。30秒の動画なら、出だしと1番、締めの決めのフレーズだけにまとめましょう。動画のネタの探し方は「ショート動画のネタ一覧」も参考になります。
まとめ
- リズムネタは、拍に言葉を乗せ、3回くり返して4回目で外す芸
- 言葉は音の数で考え、4拍に4〜8音を乗せる
- 外し方は、言葉・リズム・動きの3つ。番ごとに変えると飽きられにくい
- 決めのフレーズは8拍以内で、ポーズとセットにし、最後だけ少し変える
- 既存の曲は使わず、手拍子や身近な物の音で拍を作る






