漫談の作り方|一人で話して笑わせる構成・話題の選び方と原稿例

スタンドマイクの前で、高いいすに座って話す眼鏡の男性

漫談は、一人で客席に話しかけ、身近な話題を笑いに変えていく芸です。原稿は「つかみ→本題→締め」の3部にし、本題には1つのテーマでつながる小さな話を3つ並べると、初めてでもまとまります。

この記事では、漫談の構成と話題の選び方を説明し、そのまま話せる約3分の原稿を紹介します。書いた原稿を話し言葉に直すコツと、練習のしかたもまとめました。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 漫談とは? 一人コントやエピソードトークとのちがい
  2. 漫談の構成|つかみ・本題・締めの3部
  3. 漫談の話題の選び方
  4. そのまま話せる漫談原稿「レシピの言葉」
  5. 書いた原稿を話し言葉に直すコツ
  6. 漫談の練習のしかた
  7. よくある質問
  8. まとめ

漫談とは? 一人コントやエピソードトークとのちがい

漫談は、役になりきらず、自分自身として客席に話しかける芸です。「最近こんなことがありまして」と語りかけ、客席の反応を受けながら話を進めます。同じ1人で話す形でも、一人コントやエピソードトークとは次の点がちがいます。

くらべること漫談一人コントエピソードトーク
話す人自分自身店員や先生などの役自分自身
話す相手客席見えない相手会話の相手
話の数テーマでつないだ小さな話をいくつか1つの場面1つの出来事
長さの目安3〜5分2〜3分1分前後

役を演じるほうが合いそうなら、「一人コントの作り方」を見てみてください。1つの出来事を話す組み立ては、「エピソードトークの作り方」で紹介しています。

漫談の構成|つかみ・本題・締めの3部

漫談の原稿は、つかみ・本題・締めの3つの部分でできています。3分の漫談なら、次の配分が目安です。

部分すること3分の漫談での長さ
つかみあいさつと、今日のテーマを一言で言う約20秒
本題テーマでつながる小さな話を3つ約2分20秒(1つ40〜50秒)
締め前半の言葉をもう一度使って、まとめる約20秒

つかみとは、最初に客席の気持ちをつかむ部分のことです。漫談では、笑いを取ることより「今日は何の話か」を伝えることを優先しましょう。テーマが分かると、客席は安心して次の話を待ってくれます。

1つの話は「ふり→ずれ→自分ツッコミ」で作る

本題の小さな話は、1つずつ次の3段で組み立てます。ふりは誰もが知っている状況、ずれは自分だけの見方、自分ツッコミは自分の話に自分でツッコむ一言です。

段すること下の原稿での例
ふり誰もが知っている状況を言うレシピの最後によく出てくる「適量」
ずれ自分だけの見方を足すここまで細かかったのに、最後だけ急に任せてくる
自分ツッコミ自分で一言ツッコむ分からないから、レシピを見ているんです

話と話は、テーマでつなぐ

話が変わるたびに「話は変わりますが」と言うと、ネタが細切れに聞こえます。3つの話を1つのテーマでつなぎ、「次に」「そして、いちばんの難関が」のように並べて進めましょう。締めで前半の言葉をもう一度使うと、3つの話が1本にまとまります。

漫談の話題の選び方

漫談の話題は、次の3つがそろうものを選びます。

  • 客席の誰もが知っている場面である(料理、通勤、買い物、家電など)
  • 自分なりの「なぜ?」という引っかかりがある
  • 小さな話を3つ以上に広げられる

1つのテーマから、小さな話を3つ出せるかを先に試すと、原稿にしやすいかどうかが分かります。

テーマ広げた3つの話の例
レシピの言葉「少々」の量、「煮込むだけ」の「だけ」、最後の「適量」
季節の変わり目朝の服が決まらない、去年しまった服のセンスに驚く、電車の中で夏服と冬服が並ぶ
駅と電車乗りかえ案内の速さ、ドアの横の場所取り、降りる駅でだけ目が覚める
スーパーの買い物隣のレジが速く見える、試食の前で迷う、袋詰めの台で急いでしまう
家の中の家電洗濯機の残り時間が増える、掃除機のコードがあと少し届かない、電子レンジの「あたため」の加減

避けたい話題

人の見た目や年齢、病気、出身をからかう話は選びません。その場にいる人の秘密や、特定の人の悪口も入れないようにしましょう。自分をネタにする自虐は、言い方しだいで好かれも嫌われもします。使い方は「自虐ネタの例と使い方」を参考にしてください。

そのまま話せる漫談原稿「レシピの言葉」

レシピに出てくる言葉に振り回される話を3つつないだ、約3分の漫談です。〇〇には自分の名前を入れてください。かっこの中は、動きと間の目安です。

時間
約3分
人数
1人
準備物
マイク(会場にあれば)
難しさ
★★

台本レシピの言葉(約3分)

(マイクの前に立ち、一礼する)

自分どうも、〇〇です。よろしくお願いします。

自分最近、家で料理をするようになりました。といっても、レシピを見ながらです。

自分レシピって、親切ですよね。材料も、切り方も、順番も、全部書いてある。

自分ただ、ときどき、急にこちらを試してくる言葉が出てきます。

(少し間をあける)

自分まずは「塩少々」。

自分少々って、どれくらいですか。

(客席を見回す)

自分調べたら、指2本でつまむくらいの量だそうです。ちなみに「ひとつまみ」は、指3本。

自分それを知ってから、塩をつまむたびに、指の本数を数えるようになりました。

自分1本、2本……あ、3本入った。

自分ここで料理が、レシピから外れます。

自分次に「あとは、30分煮込むだけ」。

自分この「だけ」が、くせものです。30分は「だけ」と言っていい長さじゃない。

自分その間に何をしていればいいかは、どこにも書いてありません。

自分なので私は、30分、鍋のふたから出る湯気を見ています。

自分湯気って、ずっと見ていると、ちょっとかわいいんです。

(少し照れる)

自分料理より、湯気に詳しくなりました。

自分そして、いちばんの難関が、最後に出てくる「適量」。

自分ここまで、水は200ミリリットル、火は中火と、細かく教えてくれたのに。

自分最後の最後で「適量」。急に手を放してきます。

自分分からないから、レシピを見ているんです。

自分自転車の練習で、ずっとうしろを持ってくれていた人が、坂道で急に手を放したような気持ちです。

自分先日、そんな料理を家族に出したら、ひと口食べて言われました。

(間をあける)

自分「うん。味が、ちょうど適量だね」

自分ほめられたのかどうか、今でも分かりません。

自分今日の私の話も、長さは適量だったでしょうか。ありがとうございました。

(一礼する)

この原稿の組み立て

つかみで「レシピに試される」というテーマを言い、「少々」「煮込むだけ」「適量」の3つの話をつないでいます。いちばん共感されやすい「適量」を3つ目に置き、締めで家族の一言と自分の話の長さにもう一度使っています。

書いた原稿を話し言葉に直すコツ

原稿を書くと、どうしても書き言葉になりがちです。そのまま読むと、客席に話しかけている感じが出ません。

例文書き言葉と話し言葉

直す前:レシピの最後には「適量」という言葉が記載されていることが多く、非常に不親切だと私は考えます。
直した後:レシピって、最後に「適量」って出てきますよね。……急に手を放してきます。

  • 1文を短くし、「〜ですよね」で客席に問いかける
  • 「私は〜と考えます」のような説明を、気持ちの言葉に変える
  • 笑いどころの前に「……」を書き、間をあける場所を決めておく
  • 言いにくい言葉や長い数字は、言いやすい言い方に変える

漫談の練習のしかた

漫談は、丸暗記するより、流れを覚えて自分の言葉で話すほうが自然に聞こえます。次の順番で練習しましょう。

  1. 原稿を声に出して読み、時間を測る
  2. 原稿を、話の順番とキーワードだけの箇条書きメモにする
  3. メモだけを見て話し、スマホで録音する
  4. 録音を聞いて、言いにくい所と、間が短い所を直す
  5. 家族や友人の前で、客席に話しかけるつもりで通す
  6. 最初の一言と締めの一言だけは、一字一句覚える

キーワードで覚えるやり方は、「ネタの覚え方」でくわしく紹介しています。原稿の長さが持ち時間に合うかは、無料のツールでも確かめられます。

本番の前に確かめること

  • つかみで、今日のテーマを一言で言えているか
  • 3つの話が、同じテーマでつながっているか
  • 締めで、前半の言葉をもう一度使っているか
  • 人を傷つける話題が入っていないか
  • 持ち時間より、少し短く終わるか

よくある質問

本当にあった話でないと、だめですか?

漫談は、本当にあった小さな出来事を、少し大げさに話すのが基本です。作った話でも、誰もが「ありそう」と思える場面なら笑いになります。ただし、ほかの人の秘密や失敗を、本人にことわらずに話すのはやめましょう。

客席が静かなまま、笑いが起きません。

問いかけを1つ入れてみましょう。「ありますよね?」と聞いて、うなずく人がいれば、そこから空気がやわらぎます。笑いが起きないときも、早口にならず、決めた間を守ることが大切です。

何分くらいの漫談から始めればいいですか?

初めてなら、話を1つにした1分版から始めましょう。慣れてきたら、話を3つにした3分版にのばします。

まとめ

  • 漫談は、自分自身として客席に話しかけ、身近な話題で笑わせる芸
  • 構成は「つかみ→本題→締め」で、本題はテーマでつながる小さな話を3つ
  • 1つの話は「ふり→ずれ→自分ツッコミ」で組み立てる
  • 締めで前半の言葉をもう一度使うと、話が1本にまとまる
  • 丸暗記せず、流れとキーワードを覚えて自分の言葉で話す
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