お笑いの天丼(くり返しのボケ)のやり方|3回目で笑いを大きくするコツ

カップが3つ並んだ机で、4つ目にじょうろを手に取る男性

お笑いの天丼とは、同じボケや同じ言葉を、間をあけて何度かくり返して笑いを取る方法です。1回目で形を見せ、2回目で「また来た」と気づかせ、3回目に少し変化をつけると、笑いがいちばん大きくなります。

この記事では、天丼の仕組みと、くり返す回数、3回目の変化のつけ方を例で説明します。後半には、天丼だけで組み立てた約1分半の台本を紹介します。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 天丼とは?笑いが大きくなる仕組み
  2. くり返す回数と間隔の目安
  3. 3回目の変化のつけ方|4つのパターン
  4. 約1分半の台本「なんでもおにぎりクイズ」
  5. スピーチや会話で天丼を使うには
  6. 天丼がしつこくならないための注意
  7. よくある質問
  8. まとめ

天丼とは?笑いが大きくなる仕組み

天丼は、同じボケをくり返すことを指す、お笑いの言葉です。天ぷらが2本重なってのっている天丼に見立てて、こう呼ばれるようになったといわれています。

同じボケなのに笑いが大きくなるのは、くり返すたびに、お客さんの気持ちが変わっていくからです。

回お客さんの気持ち起きる笑い
1回目何も予想していない意外さの笑い
2回目「さっきと同じだ」と気づく気づいた笑い
3回目「また来るかも」と待っている待っていたものが来た、または外された笑い

3回目は、お客さんが先を予想しているところがポイントです。予想どおりに来ても、予想を外されても笑いになるので、ネタの中でいちばん大きな山を作りやすくなります。

くり返せるものは言葉だけではない

天丼でくり返すのは、ボケの言葉に限りません。次のようなものもくり返せます。

くり返すもの例
言葉何を聞かれても、答えが「おにぎり」になる
動き名前を呼ばれるたびに、一回転してから返事をする
ツッコミボケのたびに同じ言葉でツッコみ、最後だけ別の言葉になる
展開どの店に入っても、同じ店員が出てくる

似た方法に、ボケを少しずつ大きくしていく「エスカレート」があります。天丼は同じものを重ね、エスカレートは大きさを変えていくのがちがいです。2つを組み合わせることもできます。エスカレートの作り方は「エスカレートするコントの作り方」で紹介しています。

くり返す回数と間隔の目安

天丼は、3回くり返すのが基本です。2回だとくり返しだと伝わっても山が小さく、4回以上同じ形が続くと、お客さんが飽きてきます。

回2分のネタで置く場所ねらい
1回目前半(30秒前後)形を覚えてもらう
2回目中ほど(1分前後)「また来た」と気づかせる
3回目後半(1分半前後)変化をつけて、大きく笑わせる
4回目(使うときだけ)オチ最後の一言で全体を締める

くり返しの間隔は、近すぎても遠すぎても笑いが弱くなります。すぐに2回目が来るとしつこく感じ、あけすぎると1回目を忘れられてしまいます。くり返しのあいだに、別のボケを2〜3個はさむくらいが目安です。

4回目を使うなら、ネタの最後に置き、オチにするのがおすすめです。オチの作り方は「漫才のオチの作り方」でくわしく説明しています。

3回目の変化のつけ方|4つのパターン

3回目をどう変えるかで、天丼の印象が決まります。ここでは、「何を聞かれても答えがおにぎりになるクイズ」を例に、3回目の4つのパターンをくらべます。1回目と2回目は、どのパターンでも同じです。

台本1回目と2回目(共通)

A問題。朝、目が覚めて、最初にすることは?

B顔を洗う。

Aブー。正解は、おにぎりをにぎる。

Bそんな人いないよ。

(あいだに、別のやりとりが入る)

A問題。雨の日に、出かけるときに持っていくものは?

B傘。

Aブー。正解は、おにぎり。

Bまたおにぎり。雨と関係ないでしょ。

3回目の問題を「遠足に持っていくものといえば?」として、答え方を4通りに変えてみます。

パターン3回目のやりとり向いているとき
そのままB:(警戒して)……水筒。A:ブー。正解は、おにぎり。Bが避けようとしても、同じものが来る形を見せたいとき
大きくするA:ブー。正解は、おにぎり100個。数や量で、目に浮かぶ大きさにできるとき
外すB:おにぎり。A:ブー。正解は、水筒。お客さんもBも「次もおにぎり」と思っているとき
入れかえるB:じゃあ、こっちから問題。……正解は、おにぎり。A:うつってるよ。ボケとツッコミの立場を、最後に入れかえたいとき

初めて天丼を使うなら、「外す」がいちばん作りやすいパターンです。2回くり返したことで、お客さんはもう次を予想しているので、予想を外すだけで笑いが起きます。

天丼の作り方の手順

  1. くり返すもの(言葉・動き・ツッコミ・展開)を1つ決める
  2. 1回目は、それだけでも笑えるボケにする
  3. 2回目は、1回目と同じ言い方・同じ形にそろえる
  4. 3回目の変化を、4つのパターンから1つ選ぶ
  5. くり返しのあいだに、別のボケを2〜3個はさむ
  6. 4回目をオチに使うかどうかを決める

3の「形をそろえる」が、意外と大切です。2回目の言い方が1回目と少しでもちがうと、お客さんは同じボケだと気づきにくくなります。

約1分半の台本「なんでもおにぎりクイズ」

ここまでの例を、1本の漫才にまとめた台本です。3回目に「外す」、最後に4回目をオチとして使っています。

時間
約1分半
人数
2人
準備物
なし
難しさ
★

台本なんでもおにぎりクイズ(約1分半)

(2人でマイクの前に出る)

A・Bどうも、よろしくお願いします。

A今日は、クイズを用意してきました。

Bいいね。何でも答えるよ。

A第1問。朝、目が覚めて、最初にすることは?

B顔を洗う。

Aブー。正解は、おにぎりをにぎる。

Bそんな人いないよ。

A第2問。夏の暑い日に、首に巻くと涼しいものは?

Bぬれたタオル。

A正解。

Bお、普通に合ってた。

A第3問。雨の日に、出かけるときに持っていくものは?

B傘。

Aブー。正解は、おにぎり。

Bまたおにぎり。雨と関係ないでしょ。

Aお腹がすいたら困るので。

B困るのは雨のほうだよ。

A第4問。運動会の玉入れで、かごに投げ入れるものは?

B……玉。

A正解。

B(ほっとして)よかった。普通の問題もあるんだ。

A第5問。遠足に持っていくものといえば?

Bこれはもう、おにぎりでしょ。

Aブー。正解は、水筒。

Bそこはおにぎりでいいでしょ。

A水分は大事なので。

B急にまともなことを言うな。

A最後の問題です。今、私がいちばん食べたいものは?

B……もう、おにぎりでしょ。

A正解。お昼を食べそびれまして。

Bだから全部おにぎりだったの? 先に食べてきてよ。もういいよ。

A・Bどうも、ありがとうございました。

この台本の天丼の置き方

第1問と第3問が、1回目と2回目のおにぎりです。あいだの第2問と第4問は、わざと普通の答えにして、間隔をあけています。第5問で「外す」を使い、最後の問題では、おにぎりばかりだった理由を明かして締めています。

第2問と第4問のような「普通のやりとり」は、天丼の効き目を上げるための休み時間です。ずっとおにぎりが続くより、ときどき普通に戻るほうが、次のおにぎりが際立ちます。

スピーチや会話で天丼を使うには

天丼は、漫才やコントだけでなく、スピーチや会話でも使えます。スピーチなら、同じ言葉を思い出話のたびに出し、最後にまじめな意味で使うと、笑いと感動の両方を作れます。

例文友人代表スピーチで「なんとかなる」をくり返す例

大学のころ、〇〇くんの口ぐせは「なんとかなる」でした。
試験の前の日も「なんとかなる」と言って、早めに寝ていました。結果は、なんとかなりませんでした。
旅行で道に迷ったときも「なんとかなる」。気づけば、となりの県にいました。
でも、私が仕事で落ちこんでいたとき、夜中に電話をくれて「なんとかなるよ」と言ってくれたのも、〇〇くんでした。
〇〇さんと2人なら、これからのことも、きっとなんとかなります。

口ぐせを紹介したあと、試験と旅行の2回で笑いを取り、3回目の電話の話でまじめな意味に変えています。最後の1回は、お祝いの言葉として使いました。スピーチに笑いを入れるコツは「スピーチで笑いを取るコツ」にまとめています。

会話なら、相手が少し前に言った言葉を、別の話題のときにもう一度使うだけでも、小さな天丼になります。ただし、相手が気にしている言葉は使わないようにしましょう。

天丼がしつこくならないための注意

天丼は、使い方をまちがえると「また同じことを言っている」と飽きられてしまいます。次の点に気をつけましょう。

  • 1回目は、ゆっくり、はっきり言う。ツッコミも「おにぎり?」と言葉をくり返して、印象に残す
  • 同じ形のまま4回以上続けない。続けるなら、3回目で形を変える
  • くり返す言葉は、その場で初めて聞いた人にも分かるものにする(内輪の言葉にしない)
  • 人の見た目や失敗を、くり返していじらない

最後の点は、とても大切です。誰かの容姿や失敗を何度もくり返すと、笑いではなく、いじめのように見えてしまいます。くり返すのは、物や言葉、自分の行動にしましょう。

天丼を入れたら確かめること

  • 2回目は、1回目と同じ言い方になっているか
  • くり返しのあいだに、別のボケが2〜3個入っているか
  • 3回目に、そのまま・大きくする・外す・入れかえるのどれかの変化があるか
  • くり返す言葉が、人をからかう内容になっていないか

よくある質問

1回目がウケなかったら、天丼はやめたほうがいいですか?

やめなくて大丈夫です。天丼は、2回目の「また来た」で初めて笑いが起きることもよくあります。2回目もウケなかったときは、3回目を飛ばして、次の展開に進みましょう。

コント漫才でも天丼は使えますか?

使えます。同じ場面を「もう一回やろう」とやり直すたびに、同じボケが出てくる形は、コント漫才でよく使われる天丼です。場面のやり直し方は「コント漫才の書き方」で説明しています。

天丼と伏線回収は、どうちがいますか?

天丼は、同じものを何度か見せて笑いを重ねる方法です。伏線回収は、前半で1回だけ見せたものを、最後に別の意味で使う方法です。天丼の最後の1回をオチにすると、伏線回収に近い締め方になります。

まとめ

  • 天丼は、同じボケや言葉を、間をあけてくり返して笑いを取る方法
  • 回数は3回が基本で、あいだに別のボケを2〜3個はさむ
  • 3回目は、そのまま・大きくする・外す・入れかえるの4つから変化を選ぶ
  • 初めてなら、予想を外す「外す」のパターンが作りやすい
  • 人の見た目や失敗はくり返さず、物や言葉、自分の行動をくり返す
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