余興の緊張は、なくそうとするより「緊張しても進められる準備」をしておくほうが、本番は楽になります。最初の一言を体で覚え、出番までの時間の使い方を決め、困ったときに言う一言を用意しておく。この3つで、頭が真っ白になっても立て直せます。
この記事では、前日・出番の直前・本番中にできることを順に紹介します。セリフが飛んだときの立て直し方と、笑いが起きなかったときに続ける一言の例もまとめました。
緊張しても崩れない準備をする
人前に出る前に緊張するのは、誰にでもあることです。緊張しているのは、それだけ2人の大事な日を真剣に考えているからでもあります。
それに、披露宴の主役は新郎新婦です。会場の人が見ているのは、余興の上手さよりも、2人を祝う気持ちのほうです。完ぺきに演じることより、最後まで笑顔でお祝いを届けることを目標にしましょう。
緊張したときに起きやすいことは、だいたい決まっています。前もって、その場でできることを知っておくだけでも気持ちが落ち着きます。
| 緊張すると起きやすいこと | その場でできること |
|---|---|
| 早口になる | 文の終わりで一度止まり、新郎新婦の顔を見てから次へ |
| 声が小さくなる | いちばん後ろのテーブルに届けるつもりで話す |
| 手や台本が震える | 台本やマイクを両手で持ち、ひじを体につける |
| 目線が落ち着かない | 新郎新婦か、うなずいてくれる人を見る |
| 笑いを待てない | 笑いが起きたら、心の中で2つ数えてから話す |
緊張しにくい組み立てにしておく
台本の段階で少し工夫しておくと、本番の緊張がやわらぎます。まだ台本を直せる時期なら、次の4つを取り入れてみてください。
- 最初のあいさつは、全員で声をそろえて言う(1人で言うより声が出やすい)
- 始まってすぐの30秒には、いちばん自信のある場面を置く
- 台本カードや小道具など、手に持つものを決めておく
- 長いセリフは、2人で分けて言う形にする
手に何か持っていると、手の置き場に迷わずに済み、気持ちも落ち着きます。最初の30秒がうまくいけば、そのあとは自然に体が動くものです。
前日にできること
前日は、新しいことを足す日ではなく、確かめる日です。夜遅くまで練習するより、早めに休んで当日に疲れを残さないことを優先しましょう。
通しの練習は1回だけにする
前日に何度も通すと、かえって不安なところばかりが目につきます。通しは1回だけにして、うまくいった場面を思い出してから練習を切り上げましょう。
最初の一言と結びの一言だけは、体で覚える
台本を全部覚えていなくても、最初の一言さえ出れば、あとは流れで話せるものです。登場して最初に言う一言と、結びのお祝いの言葉だけは、何も見なくても言えるまで声に出しておきます。
前日の夜に確かめること
- 台本の最終版を、全員が同じものを持っているか
- 衣装と小道具がそろっていて、予備の台本カードがあるか
- 当日の集合時間と、集まる場所
- 動画や音源を使う場合、データを2か所に保存したか
- 最初の一言と結びの一言を、何も見ずに言えるか
忘れ物があると、それだけで当日の緊張が大きくなります。持ち物は前日の夜に、出し物で使う物から順に確かめておきましょう。前日の夜は、お酒を飲みすぎないことも大切な準備です。
出番の直前にできること
披露宴の余興は、食事をしながら出番を待つ時間が長いのが特徴です。待っている間に緊張がふくらまないよう、出番までの時間の使い方を決めておきましょう。
| 出番まで | すること |
|---|---|
| 会場に着いたら | 立ち位置、マイク、スクリーンの位置を会場の人と確かめる |
| 30分前 | 小道具と台本カードを確かめ、手洗いを済ませておく |
| 10分前 | 司会の人の合図と、待つ場所を確かめる |
| 1つ前の演目のとき | 待つ場所へ移り、肩を上げてストンと下ろす |
| 1分前 | 息を長く吐き、最初の一言を小声で言ってみる |
乾杯のお酒は、口をつけるくらいにしておき、本番が終わってから楽しみましょう。お酒で緊張をほぐそうとすると、セリフが飛びやすくなり、声の大きさも加減できなくなります。
仲間と決まりの合図を作っておく
2人以上で出るなら、出番の前に全員でする短い合図を決めておきます。たとえば、小さく円になって「主役は2人」と声をそろえる、手を重ねてから離す、などです。いつもの合図をすると、練習のときの気持ちに切りかえやすくなります。
息をゆっくり長く吐くと、気持ちが落ち着きやすくなります。吸うことより、吐くことを意識するのがコツです。スピーチや挨拶で、緊張を笑いに変える一言は「スピーチの緊張を笑いに変えるには」で紹介しています。
本番中にできること
本番が始まったら、新郎新婦の顔を見ましょう。会場でいちばん味方になってくれるのは、主役の2人です。2人が笑ってくれれば、それだけで余興は成功しています。
話す速さは、練習のときの8割くらいを意識します。緊張すると自然に速くなるので、少し遅いと感じるくらいが、会場にはちょうどよく聞こえます。
もし言い間違えても、止まって言い直さずに、そのまま続けましょう。会場の人は台本を知らないので、言い間違いのほとんどは気づかれません。
反応が小さく見えても、伝わっている
披露宴の会場は広く、ゲストは食事をしながら見ています。声を出して笑わなくても、にこにこしながら見ている人はたくさんいます。後ろのテーブルの表情は、前からはほとんど見えません。反応が小さく感じても、伝わっていると考えて、同じ調子で続けましょう。
セリフが飛んだときの立て直し方
セリフが飛ぶ(次に言うことを忘れる)のは、どんなに練習しても起こりうることです。慌てないために、次の順番を決めておきましょう。
- 止まったら、まず息を1つ吐く(2〜3秒止まっても、会場は待ってくれます)
- 台本カードやフリップの裏に書いた「場面の見出し」を見る
- 思い出せなければ、その場面は飛ばして、次の場面から始める
- 仲間がいるなら、決めておいた助け舟の一言で話をつないでもらう
場面の見出しは、「出会い」「初デート」「プロポーズ」のように、一言で書いておきます。フリップの裏、手紙の便せん、マイクスタンドに貼ったカードなど、見ても不自然でない場所に用意しておくと安心です。
立て直すときは、正直に一言添えると、会場の空気がやわらぎます。会場で口にする言葉なので、結婚式で避けたい言葉は入れずに用意しておきましょう。
・「すみません、お二人の幸せそうな顔を見ていたら、頭が真っ白になりました」
・「ここで一度だけ、深呼吸させてください。……はい、続けます」
・「大事なところなので、カンペを見ながら話します」
・(仲間が助けるとき)「緊張してるね。じゃあ、プロポーズの話にいこう」
・(仲間が助けるとき)「どうやら、お二人の晴れ姿に感激しすぎているようです」
漫才やコントで、相方と一緒に立て直す練習のしかたは、「ネタ中にセリフが飛んだときの立て直し方」で紹介しています。
笑いが起きなかったときの次のセリフ
笑いを狙ったところで会場が静かでも、お祝いの場では失敗ではありません。大事なのは、気にしている様子を見せずに、次へ進むことです。一言だけ添えて引き取ると、会場もほっとして、次の話を聞いてくれます。
・「……今のは、新郎さえ笑ってくれれば十分です」
・「今の話のくわしい説明は、新婦にあとでお伝えしておきます」
・「静かに聞いていただき、ありがとうございます。ここからが本題です」
・「ここは笑うところでしたが、皆さんの温かい拍手で乗りきります」
・(2人で出ているとき)A「静かですね」B「お二人の幸せに、皆さん見とれているんです」
2回続けて笑いが起きなかったら、残りのボケ(笑わせるための一言)を1つ飛ばし、結びのお祝いに早めに進むのも1つの手です。飛ばしてよい場面は、練習のときに決めておきましょう。
場の立て直し方は、「滑ったときの返し方」にくわしくまとめています。余興でよくある失敗とその防ぎ方は、「結婚式の余興の失敗例と防ぎ方」を見てください。
よくある質問
声や手の震えが止まりません。
震えは、自分で感じているほど客席からは見えません。台本やマイクを両手で持ち、ひじを体につけると、震えが目立ちにくくなります。声が震えるときは、少し低めの声でゆっくり話すと落ち着いて聞こえます。
緊張で、最初の一言が出てこなかったら?
「〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます」と、お祝いの言葉から始めましょう。台本の最初のセリフでなくても、お祝いの言葉ならどこから始めても自然です。言っているうちに、次のセリフも思い出せることが多いです。
何度練習しても不安が消えません。
不安が消えないのは、それだけ準備をしてきたからです。不安を消そうとするより、「飛んだらこの一言」「静かだったらこの一言」と、困ったときの言葉を決めておきましょう。逃げ道が決まっていると、気持ちに余裕が生まれます。
まとめ
- 緊張をなくすより、緊張しても進められる準備をする
- 前日は通しを1回だけにし、最初の一言と結びの一言を体で覚える
- 出番までの時間の使い方を決め、乾杯のお酒は口をつける程度にする
- セリフが飛んだら息を吐き、場面の見出しを見て、次の場面から始める
- 笑いが起きなくても、一言添えて次へ進み、お祝いの気持ちを届ける






