新郎の友人代表スピーチは、照れ隠しにふざけるより、「新郎のいいところが伝わる笑い」を2〜3か所入れるほうが会場に届きます。長さは3分、原稿は850字前後が目安です。最後の一言だけ、新郎に向けてふだんの口調で言うと、照れずに締められます。
この記事では、学生時代・職場の同期・幼なじみの3パターンの例文を、笑いの場所と型が分かる形で紹介します。男性がやりがちなスベり(内輪ネタ・暴露)の直し方と、照れずに言える締めの言葉もまとめました。
目次目次を閉じる目次を開く
新郎の友人として話すときの3つのコツ
男性の友人代表スピーチでつまずきやすいのは、内容よりも「照れ」です。照れを隠そうとしてふざけすぎたり、早口になったりしないように、次の3つを決めておきましょう。
呼び方は「〇〇くん」にそろえる
ふだん呼び捨てやあだ名で呼んでいても、スピーチでは「〇〇くん」か「新郎の〇〇くん」にそろえます。職場の同期なら「〇〇さん」でもかまいません。「こいつ」「あいつ」は、仲のよさのつもりでも、親族の席には乱暴に聞こえます。
笑いは2〜3か所、笑われるのは自分か「新郎のいいところ」
男友だちの間で定番の笑い話も、親族や上司の前では通じないことがあります。笑いは2〜3か所にしぼり、笑われるのは自分か、新郎のいいところが分かる話だけにしましょう。昔の恋愛やお酒の失敗、下ネタは、どんなに盛り上がる話でも入れません。
下の3本の例文は、それぞれ違う笑いの型を使っています。
| 例文 | 笑いの型 | 笑いが起きる場所 |
|---|---|---|
| 例文1(部活仲間) | 自虐(自分を少し下げる) | 自分の早起きの話、はなむけの一言 |
| 例文2(職場の同期) | 種明かし(あとで本当のことが分かる) | 自分の失敗、新郎の「優しいうそ」 |
| 例文3(幼なじみ) | 意外な一面(強そうな新郎が先に泣く) | 「あと1回」の回数、先に泣いていた新郎 |
笑いの型をもっと知りたい人は、「面白い友人代表スピーチの作り方」を読んでみてください。
新婦にも一言話しかける
新郎の話ばかりが続くと、新婦側の席の人は少し置いてきぼりになります。はなむけ(門出に贈る言葉)の部分で、新婦の名前を呼んで一言話しかけましょう。下の3本の例文にも、新婦に話しかける一文を入れています。
例文1:高校の部活仲間として(自虐の型・約3分)
高校のサッカー部の仲間が、新郎の「見えないところでのがんばり」を話す例文です。〇〇は新郎新婦の名前、△△は自分の名前に入れかえてください。( )の中は動きの説明なので、読みません。
〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家のみなさまにも、心よりお祝い申し上げます。
新郎の〇〇くんと、高校のサッカー部で3年間を一緒に過ごした、△△と申します。
試合では、〇〇くんがいつも、私の後ろを守ってくれていました。
今日は、部活の仲間を代表して、お祝いの言葉を述べさせていただきます。
私たちのサッカー部は、毎朝7時から朝練がありました。
私はいつも、集合時間ちょうどにグラウンドへ走りこむ部員でした。
一度だけ、早起きをして、6時半にグラウンドへ行ってみたことがあります。
(少し間をおく)
3年間で、本当に一度だけです。
(笑いが静まるまで待つ)
それでも〇〇くんは、もう部室の前に座っていました。
まだ誰もいないグラウンドに、空気入れの音だけが響いていました。
足元にはボールが20個ほど並んでいて、〇〇くんは1つずつ、空気を入れていました。
「何してるの」と聞くと、〇〇くんは「空気が少ないと、みんな蹴りにくいだろ」とだけ言いました。
部員のほとんどは、毎朝ボールの空気を入れていたのが〇〇くんだとは、知りませんでした。
〇〇くんは、それを卒業するまで、誰にも言わずに続けていたんです。
〇〇くんが入れてくれた空気のおかげで、私たちは3年間、気持ちよくボールを蹴ることができました。
その朝から、私も少しだけ早く、グラウンドに行くようになりました。
〇〇くんのそういうところは、社会人になった今も、あのころのままです。
仲間で集まるときは、誰よりも先にお店に着いて、全員が座れるか確かめてくれています。
幹事でもないのに、お店に予約の電話を入れてくれているのも、たいてい〇〇くんです。
〇〇さん、〇〇くんは、自分のがんばりを口にしない男です。
だからこそ、〇〇くんの小さながんばりに、気づいてあげてください。
そして〇〇くんが疲れているときは、今度は〇〇さんが、〇〇くんに空気を入れてあげてください。
(笑いが静まるまで待つ)
結びになりますが、お二人の末永いお幸せを、心よりお祈りしております。
〇〇、結婚おめでとう。
本日は、誠におめでとうございます。
1か所目の笑いは「3年間で、本当に一度だけです」です。早起きが苦手な自分を笑ってもらうことで、毎朝早く来ていた新郎のすごさが引き立ちます。2か所目の「空気を入れてあげてください」は、エピソードの空気入れを、はなむけで「元気づける」の意味に使った言葉遊びです。部活の話は、「朝練」「部室」のように誰でも分かる言葉で話しましょう。
例文2:職場の同期として(種明かしの型・約3分)
同じ年に入社した同期が、新郎の優しさを話す例文です。職場の話は、会社の名前や仕事の細かい中身を出さず、誰にでも分かる出来事にしぼります。
〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家のみなさまにも、心よりお祝い申し上げます。
新郎の〇〇くんと同じ年に入社した、同期の△△と申します。
部署は違いますが、入社してから6年、何でも話せる友人です。
今でも週に1度は、社員食堂で一緒に昼ごはんを食べています。
入社1年目の秋、私は取引先に送る見積書の金額を、1けた間違えて送ってしまいました。
(少し間をおく)
少ないほうに、です。
(笑いが静まるまで待つ)
気づいたのは、送った日の夕方です。
青い顔で席に座っていた私に、〇〇くんが声をかけてくれました。
「おれも先月、同じことをやったよ。一緒に謝りに行こう」。
その言葉どおり、〇〇くんはその日のうちに、取引先まで一緒に来てくれました。
担当の方は、2人で頭を下げる私たちを見て、笑って許してくださいました。
会社へ向かう道で、〇〇くんは「な、大丈夫だったろ」と笑っていました。
それから何年もたって、同期で集まったときに、ある事実が分かりました。
(少し間をおく)
〇〇くんは、見積書を間違えたことなど、一度もなかったんです。
(笑いが静まるまで待つ)
問いつめると、〇〇くんは「そうだったっけ」と、とぼけていました。
あのときの「おれも」は、私の気持ちを軽くするための、〇〇くんの優しいうそでした。
〇〇くんは、困っている人の隣に、自然に立てる人です。
同期の中で、仕事に行きづまった人が相談に行くのは、いつも〇〇くんの席でした。
しかも、そのことを自分からは決して話しません。
今日この話をすると伝えたら、〇〇くんは「それは言わなくていいよ」と照れていました。
〇〇さん、これから〇〇くんが「おれも」と言ったら、それはきっと、〇〇さんを安心させたいときです。
そのときは、その優しさに、そっと甘えてあげてください。
そして〇〇くんが困ったときは、今度は〇〇さんが「私も」と、隣に立ってあげてください。
お二人で支え合いながら、笑顔あふれる家庭を築いていってください。
〇〇さん、〇〇くんのことを、どうぞよろしくお願いいたします。
(新婦のほうを向いて一礼する)
本日は、誠におめでとうございます。
1か所目の「少ないほうに、です」は、自分の失敗を笑ってもらう自虐です。2か所目の「一度もなかったんです」は、あとから本当のことが分かる種明かしの笑いです。笑いが起きたあとに「優しいうそでした」と続けるので、笑いがそのまま新郎へのほめ言葉に変わります。上司や同僚も聞いている場で仕事の話をするときの注意は、「同僚代表の結婚式スピーチ例文」も参考にしてください。
例文3:幼なじみとして(意外な一面の型・約3分)
子どものころからの幼なじみが、新郎の家族も知っている思い出を話す例文です。親族の席から「そうそう」とうなずいてもらえる話は、会場をあたたかくします。
〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家、ご親族のみなさまにも、心よりお祝い申し上げます。
新郎の〇〇くんの幼なじみで、△△と申します。
〇〇くんとは家が3軒となりで、幼稚園から中学校まで、ずっと一緒でした。
放課後は毎日のように、〇〇くんの家の前の道で、暗くなるまで缶けりをしていました。
今日はご親族の席に、子どものころお世話になった顔がたくさん見えて、少し緊張しています。
小学2年生の夏休み、私はまだ自転車に乗れませんでした。
クラスで乗れないのは私だけで、恥ずかしくて、誰にも言えずにいました。
それに気づいてくれたのが、〇〇くんです。
次の日から〇〇くんは、毎日夕方になると私の家に来て、自転車の後ろを押してくれました。
夕方5時のチャイムが鳴っても、「あと1回」と言って、押すのをやめませんでした。
(少し間をおく)
その「あと1回」は、毎日30回ほど続きました。
(笑いが静まるまで待つ)
そのとき〇〇くんが口ぐせのように言っていたのが、「前だけ見ろ。下を見るな」という言葉です。
練習を始めて2週間たった日、私は初めて、1人で公園を1周できました。
うれしくてふり向くと、〇〇くんが、私より先に泣いていました。
(笑いが静まるまで待つ)
その夜、〇〇くんのお母さんが「よかったね」と、2人分のアイスを持ってきてくださったのを、今でも覚えています。
〇〇くんは、人のうれしいことを、自分のことのように喜べる人です。
あの夏から20年以上がたちました。
〇〇くんは今も、友だちのいい知らせを、誰よりうれしそうに聞いてくれます。
私が就職を決めたときも、いちばんに電話をくれたのは〇〇くんでした。
〇〇さん、〇〇くんはきっと、〇〇さんのうれしい知らせを、〇〇さん以上に喜んでくれるはずです。
もし〇〇さんより先に泣き出したら、そのときはハンカチを貸してあげてください。
〇〇くん、あの夏に〇〇くんがくれた言葉を、今日は私から2人に贈ります。
「前だけ見ろ」。
お二人で前を向いて、明るい家庭を築いてください。
本日は、誠におめでとうございます。
1か所目は「毎日30回ほど続きました」で、子どものころの本気がほほえましい笑いになります。2か所目の「私より先に泣いていました」は、強そうな新郎の意外な一面です。はなむけの「ハンカチを貸してあげてください」は、その話をもう一度使った軽い一言です。当日、新郎の目がうるんでいたら、「今日も、私より先に泣いています」と添えると、会場がもう一度なごみます。
幼なじみならではのエピソードの選び方は、「幼なじみの友人代表スピーチ例文」でくわしく紹介しています。
男性がやりがちなスベりと直し方
男性の友人代表スピーチのスベりは、ほとんどが「仲間内のノリ」をそのまま持ちこむことから起きます。仲間の席だけが大笑いして、親族の席が静まりかえる形です。仲間が笑っても、ほかの席が静かなら、会場全体ではスベったのと同じです。
| やりがちなスベり | 直す前 | 直したあと |
|---|---|---|
| 内輪ネタ | 「〇〇といえば、やっぱり"伝説の合宿"ですよね」 | 「大学の夏合宿で、〇〇くんは20人分の朝ごはんを1人で作ってくれました。メニューは3日間、卵焼きでした」 |
| 暴露をにおわせる | 「〇〇の学生時代のあだ名は、ここでは言えません」 | 「〇〇くんのあだ名は『部長』でした。部長ではないのに、いつも全員の予定をまとめてくれたからです」 |
| 新郎を下げる | 「〇〇さん、本当にこいつでいいんですか」 | 「〇〇くんは口下手で、気のきいたことは言えません。そのかわり、言ったことは必ずやる男です」 |
| 新婦の見た目で笑う | 「こんなにきれいな人、〇〇にはもったいない」 | 「〇〇さんと話しているときの〇〇くんは、私たちが見たことのない穏やかな顔をしています」 |
直し方の決まりは2つです。仲間しか知らない言葉を、誰にでも分かる場面に言いかえること。そして、笑いのあとに新郎の良さを一言続けることです。「暴露をにおわせる」冗談は、中身を言わなくても、親族に「何かあったのか」と思わせてしまうので入れません。
原稿の笑いを、本番の前に確かめる
- 仲間以外の人が聞いても、意味が分かるか
- 新郎の親や祖父母が聞いて、一緒に笑える話か
- 昔の恋愛、お酒の失敗、下ネタ、見た目の話が入っていないか
- 笑いのあとに、新郎の良さを言う一文があるか
男性が照れずに言える締めの言葉
原稿の中で、いちばん照れくさいのが締めの一言です。笑いを入れたスピーチほど、締めでまじめに切りかえると、気持ちがまっすぐ届きます。言い方の型を先に決めておけば、本番で言葉に詰まりにくくなります。
| 締め方 | 例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ふだんの呼び方で一言 | 「〇〇、結婚おめでとう」 | 気持ちを短く伝えたい人 |
| 新婦に頭を下げる | 「〇〇さん、〇〇のことをよろしくお願いします」と言って一礼 | 言葉より動きで伝えたい人 |
| 思い出のセリフを使う | 「あの日〇〇くんがくれた言葉を、今日は2人に贈ります」 | エピソードに印象的なセリフがある人 |
| 仲間を代表して言う | 「これからも、仲間みんなで2人を応援しています」 | 1人で言い切るのが照れくさい人 |
| 次の約束をする | 「次の集まりには、2人で来てください。待っています」 | 明るい調子で締めたい人 |
照れくさい一言は、新郎の目を見て言いましょう。言い終えたら会場のほうへ向き直り、「本日は誠におめでとうございます」で締めます。体の向きを変えると、気持ちも切りかわります。
ほかの言い回しは「結婚式スピーチの締めの言葉例文集」にも集めています。
仲間内のノリでスベりたくないときは
仲間内では鉄板の話が、親族や上司の前でも通じるかは、自分ではなかなか判断できません。仕事の忙しい時期と式の準備が重なって、原稿に手が回らない人もいるでしょう。
よくある質問
新郎とは職場の同期です。仕事の話をしてもいいですか?
大丈夫です。ただし、社外に出せない話や会社の不満、上司をいじる話は入れません。仕事の成果より、同期として見てきた人柄を中心に話すと、社外の人にも伝わります。
原稿を見ながら話すのは格好悪いですか?
格好悪くありません。便せんや厚めのカードに大きめの文字で書き、ときどき顔を上げて新郎新婦を見れば十分です。笑いが起きる一文と締めの一言だけは覚えておき、顔を上げて言いましょう。
新郎から「とにかく笑わせてほしい」と頼まれました。
披露宴のスピーチでは、笑いは2〜3か所までにして、最後はまじめなお祝いで締めましょう。もっと笑わせたい分は、仲間で出る余興や二次会に回すのがおすすめです。男性だけの余興のネタは「男性だけで結婚式の余興をするなら」で紹介しています。
まとめ
- 呼び方は「〇〇くん」にそろえ、「こいつ」「あいつ」は使わない
- 笑いは2〜3か所にしぼり、笑われるのは自分か、新郎のいいところが分かる話にする
- 内輪ネタは誰にでも分かる場面に、暴露をにおわせる冗談は新郎の良さが分かる話に直す
- 笑いのあとに新郎の良さを一文で言い、はなむけでは新婦にも一言話しかける
- 照れくさい締めは言い方の型を決め、声に出して練習しておく






