短い友人代表スピーチでも、笑いは入れられます。目安は、1分なら1か所、2分なら2か所です。笑いのすぐあとに本人のいいところを一文で続け、結びはまじめなお祝いで締めれば、短くても気持ちはきちんと伝わります。
この記事では、笑いの場所が分かる1分版と2分版の例文と、短い原稿で笑いを作る形を紹介します。3分の原稿を短くするときに、笑いを残すコツもまとめました。
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短いスピーチの笑いは「1分で1か所」が目安
短いスピーチは、話が始まったと思ったら、すぐに結びがきます。笑いが1つあると、その場面が会場の記憶に残り、「短いけれど、いいスピーチだった」と感じてもらいやすくなります。
ただし、短いほど笑いを増やす余裕はありません。長さごとの目安は次のとおりです。
| 長さ | 笑いの数 | 置く場所 | 原稿の文字数 |
|---|---|---|---|
| 30秒 | 0〜1か所 | 自己紹介の一言 | 140字前後 |
| 1分 | 1か所 | エピソードの中 | 270字前後 |
| 1分半 | 1〜2か所 | エピソードの中と、はなむけで軽く | 400字前後 |
| 2分 | 2か所 | エピソードの中と、はなむけで軽く | 550字前後 |
文字数は、1分あたり300字前後で数えたものから、笑いを待つ時間の分を引いています。笑いが起きたら、静まるまで次の言葉を待つからです。笑い1か所につき5秒、文字にして25字ほどを見ておきましょう。3分以上の長さもふくめた早見表は「友人代表スピーチは何分?」にあります。
結びには笑いを入れない
笑いを入れるのは、エピソードとはなむけ(門出に贈る言葉)までです。結びの「本日は、誠におめでとうございます」は、笑いを入れずにゆっくり言いましょう。短いスピーチほど、締めの一言が強く印象に残ります。
短い原稿の笑いは「フリ・オチ・ほめ」の3文で作る
短いスピーチで笑いを取るには、3つの文を1組にして使います。笑いの前置きになる「フリ」、笑いどころの「オチ」、笑いを本人の良さにつなげる「ほめ」です。
- フリ:本人のふだんの様子を、1文で言う
- オチ:フリから少しずれた、本当にあった一場面を言う
- ほめ:その場面から分かる人柄を、1文で言う
3分のスピーチなら、オチのあとに話をふくらませる時間があります。1〜2分ではその時間がないので、オチのすぐあとに「ほめ」の1文を置くのがコツです。笑いがそのまま、本人へのほめ言葉に変わります。
| フリ | オチ | ほめ |
|---|---|---|
| 〇〇くんは、とにかく返事が早い男です | 夜中に送ったメッセージにも、こちらがスマホを置く前に返事が来ます | 頼られたら、すぐに動ける人です |
| 〇〇さんは、人に道を聞かれやすい人です | 旅行先でも、地元の人に道を聞かれていました | 誰から見ても、話しかけやすい人なんだと思います |
| 〇〇くんは、物を長く大切にする男です | 高校の部活のジャージを、今も部屋着にしています | 人との付き合いも、同じように長く大切にしてくれます |
| 〇〇さんは、料理の味見がとても慎重です | 味見をしすぎて、できあがるころにはお腹がいっぱいです | 人に出すものには、とことん手をかける人です |
どの例も、笑いの的は本人の「ほほえましいくせ」で、欠点や失敗ではありません。笑いの型をもっと知りたい人は「面白い友人代表スピーチの作り方」も参考にしてください。
1分版の例文(笑い1か所・約270字)
新婦の大学時代の友人が、新婦の「人の分から考える優しさ」を話す例文です。笑いはエピソードの中の1か所だけです。〇〇は新郎新婦の名前、△△は自分の名前に入れかえてください。( )の中は動きの説明なので、読みません。
新郎の〇〇さん、新婦の〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
新婦の〇〇さんの大学時代からの友人で、△△と申します。
学生時代は、よく2人で旅行に出かけていました。
〇〇さんは、旅行に行くと、真っ先に人へのおみやげを選びます。
家族の分、アルバイト先の分、ゼミの仲間の分、そして私の分。
(少し間をおく)
なのに毎回、自分の分だけ買い忘れます。
(笑いが静まるまで待つ)
〇〇さんは、いつも自分より先に、人の喜ぶ顔を考えられる人です。
新郎の〇〇さん、これからは〇〇さんの分のおみやげを、ぜひ選んであげてください。
お二人の末永いお幸せを、心よりお祈りしています。
本日は、誠におめでとうございます。
笑いが起きやすいのは「自分の分だけ買い忘れます」です。その前の「家族の分、〜、私の分」がフリで、聞く人に「全員の分を選ぶ、しっかりした人」と思わせています。オチのあとの「人の喜ぶ顔を考えられる人です」で、うっかり話がほめ言葉に変わります。
30秒で話すなら、笑いは自己紹介の一言だけ
乾杯の前や二次会で、30秒ほどの一言を頼まれることもあります。30秒ではエピソードを話す時間がないので、笑いを入れるなら自己紹介の一言にします。
新郎の〇〇さん、新婦の〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
新婦の大学時代の友人で、〇〇さんのおみやげを、いちばんたくさんもらってきた△△です。
(少し間をおく)
〇〇さんは、いつも自分より先に、人の喜ぶ顔を考える人です。
新郎の〇〇さん、どうか〇〇さんを、たくさん喜ばせてあげてください。
本日は、本当におめでとうございます。
「おみやげを、いちばんたくさんもらってきた」は、自己紹介と人柄の紹介を一度に済ませる一言です。30秒でも、お祝い・名前と関係・人柄・はなむけ・結びの5つはそろっています。
2分版の例文(笑い2か所・約550字)
新郎と大学の寮でとなりの部屋だった友人が話す例文です。1か所目の笑いはエピソードの中、2か所目ははなむけで、同じ話をもう一度使っています。
〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家のみなさまにも、心よりお祝い申し上げます。
新郎の〇〇くんの大学時代の友人で、△△と申します。
大学の寮で2年間となりの部屋に住み、毎晩のように一緒に夕ごはんを食べた仲です。
〇〇くんは、何をするにも、まず説明書を読む男です。
寮に入った日、2人で同じ本棚を組み立てることになりました。
私はすぐに板を並べ始めましたが、〇〇くんは床に座って、説明書を1ページずつ読んでいました。
ひととおり読むと、今度はネジを種類ごとに、きれいに並べ始めました。
1時間後、先にできあがったのは私の本棚でした。
ただ、私の本棚は、ネジが3本余っていました。
(笑いが静まるまで待つ)
〇〇くんの本棚は、ネジが1本も余らず、卒業の日まで少しもぐらつきませんでした。
〇〇くんは、手間がかかっても、ひとつずつ確かめながら、大事なものを作っていける人です。
〇〇さん、これからお二人の家で家具を組み立てるときは、ぜひ〇〇くんに任せてください。
私のことは、呼ばないでください。ネジが余ります。
(笑いが静まるまで待つ)
〇〇くんなら、お二人の家庭も、時間をかけて、丈夫で温かいものにしていけるはずです。
お二人の新しい家に遊びに行ける日を、楽しみにしています。
お二人の末永いお幸せを、心よりお祈りしております。
本日は、誠におめでとうございます。
1か所目の笑いは「ネジが3本余っていました」です。笑われるのは話し手の自分なので、新郎を下げずに笑いが取れます。2か所目の「私のことは、呼ばないでください」は、1か所目の話をもう一度使った笑いです。
前に出した話をあとで使って笑わせる方法を、お笑いでは「伏線回収」と呼びます。新しい説明がいらないので、短いスピーチの2か所目にとても向いています。くわしいやり方は「ネタの伏線回収のやり方」で紹介しています。
短くするときは、笑いのフリとオチをセットで残す
3分の原稿を1〜2分に縮めるときに、いちばん気をつけたいのが笑いの部分です。フリだけ、オチだけを残すと、笑いにならないばかりか、本人の悪口に聞こえることがあります。
〇〇さんは、旅行に行くと、自分のおみやげを買い忘れる人です。
〇〇さんは、旅行に行くと、真っ先に人へのおみやげを選びます。
家族の分、アルバイト先の分、ゼミの仲間の分、そして私の分。
なのに毎回、自分の分だけ買い忘れます。
上の例では、フリを消したせいで、新婦がただの「うっかりした人」に聞こえます。フリがあると、「人のことを先に考える人」の笑いになります。フリとオチは1組として、まとめて残すか、まとめて削るかを決めましょう。
| 残す部分 | 削ってよい部分 |
|---|---|
| 新郎新婦へのお祝いの一言 | 両家への長いあいさつ |
| 名前と、新郎(新婦)との関係 | 「ただいまご紹介にあずかりました」などの前置き |
| 笑いのフリとオチ(1組で) | オチのあとの「つまり〜ということです」という説明 |
| 笑いのすぐあとの「ほめ」の1文 | エピソードの背景の説明や、2つ目の思い出 |
| はなむけの1〜2文と、結びのお祝い | 自分の気持ちを説明する文や、同じ意味のくり返し |
すでに3分の原稿がある場合は、次の順番で縮めると早く仕上がります。
- 原稿の笑いの場所に印をつけ、フリとオチを線で結ぶ
- 1分なら1組、2分なら2組だけ残し、ほかの笑いは組ごと削る
- 残した笑いのすぐあとに、人柄が分かる「ほめ」の1文を置く
- 表の右側にある前置きや説明を削る
- 声に出して読み、オチの前に半拍の間を取っても時間内に収まるか確かめる
短いスピーチで笑いを外さない話し方
短いスピーチは、笑いの一瞬を逃すと、取り返す時間がありません。話し方は、次の3つだけ気をつければ十分です。
- オチの前に、半拍だけ間をおく(例文なら「なのに毎回、」のあとで少し止まる)
- 笑いが起きたら、静まるまで次の文を言わない
- 笑いが起きなくても、言い直さずに「ほめ」の1文へ進む
笑いが起きなかったときも、「ほめ」の1文があれば話は自然につながります。これも、オチのすぐあとに「ほめ」を置く理由の1つです。原稿を見ながら話すなら、オチの一文だけは顔を上げて言えるようにしておきましょう。手元のカードの作り方は「スピーチのカンペの作り方」で紹介しています。
短い原稿でも笑いを外したくないときは
短いスピーチは、笑いの場所が1〜2か所しかありません。どの思い出を笑いにするか、どこまで削るかで迷う人も多いはずです。
よくある質問
1分のスピーチで笑いを入れると、ふざけていると思われませんか?
笑いが1か所で、すぐあとに「ほめ」の1文があれば、ふざけた印象にはなりません。お祝いと結びをきちんと言えば、会場には明るく温かいスピーチとして届きます。迷ったら、2分版の「ネジ」のように、自分が笑われる話を選ぶと安心です。
笑いにできる話が2つあって、どちらを残すか迷います。
本人の人柄がよく分かるほうを残します。もう1つは思い切って削るか、30秒版のように自己紹介の一言に縮めて使いましょう。1分のスピーチに笑いを2組入れると、どちらも中途半端になりがちです。
笑いが大きくて、1分を超えてしまいそうなときは?
笑いが起きると、その分だけ時間がのびます。原稿は持ち時間より少し短めに作っておきます。そのうえで、「笑いが大きかったら、はなむけの2文目は飛ばす」のように、本番で削れる1文を決めておきましょう。笑いが起きたときに、あわてて早口にならずに済みます。
まとめ
- 短い友人代表スピーチでも、笑いは1分なら1か所、2分なら2か所入れられる
- 笑いは「フリ・オチ・ほめ」の3文で作り、オチのすぐあとにほめの1文を置く
- 2か所目は、1か所目の話をはなむけでもう一度使うと短くまとまる
- 原稿を短くするときは、フリとオチを1組として残すか削るかを決める
- 結びには笑いを入れず、まじめなお祝いで締める






