スピーチで笑いを取るコツ|スベりにくい入れ方と場面別の例文

スタンドマイクの前で、身ぶりをつけて楽しそうに話す眼鏡の男性

スピーチで笑いを取るコツは、笑いを「冒頭」と「中盤」にしぼって置き、結びはまじめに締めることです。笑いの型は3つ覚えておけば十分です。自分を少し下げる「自虐」、期待と中身の差で笑わせる「ギャップ」、場面が目に浮かぶ「具体的な描写」です。

この記事では、笑いを入れる場所と3つの型を、そのまま使える言い回しと一緒に紹介します。表彰の受賞挨拶とPTA会長の就任挨拶の例文、笑いが起きなかったときの一言もまとめました。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. スピーチの笑いは、話を聞いてもらうために入れる
  2. 笑いを入れる場所は「冒頭」と「中盤」
  3. 笑いの3つの型:自虐・ギャップ・具体的な描写
  4. 例文:笑いを入れたスピーチ2本
  5. 笑いを生かす話し方と、スベったときの一言
  6. 入れてはいけない笑い
  7. よくある質問
  8. まとめ

スピーチの笑いは、話を聞いてもらうために入れる

スピーチの笑いは、会場を爆笑させるためのものではありません。聞く人の肩の力をぬき、そのあとの本題を聞いてもらうための「味付け」です。笑いが1つも起きなくても、伝えたいことが伝われば、スピーチとしては成功です。

そのため、笑いの数は少なめにします。長さごとの目安は次のとおりです。

スピーチの長さ笑いの数置く場所
1分1か所冒頭か中盤のどちらか
3分2〜3か所冒頭に1つ、中盤に1〜2つ
5分3〜4か所冒頭に1つ、中盤のエピソードごとに1つ

1分間スピーチに笑いを入れるなら、「1分間スピーチで笑いを取るには?」が参考になります。結婚式の友人代表スピーチは、「面白い友人代表スピーチの作り方」で例文と一緒に紹介しています。

笑いを入れる場所は「冒頭」と「中盤」

笑いを置く場所によって、向いている型とねらいが変わります。

場所向いている型ねらい
冒頭(名乗りの直後)自虐会場と自分の緊張をほぐす
中盤(エピソードの中)具体的な描写、ギャップ人柄や出来事を印象に残す
結び入れないまじめな言葉で、話全体を引き締める

冒頭は、お祝いやお礼を言ってから

冒頭の笑いは、お笑いでいう「ツカミ」(最初に聞き手の心をつかむ一言)です。ただし、いきなり冗談から入るのは避けます。お祝いやお礼、名乗りを先に済ませ、そのすぐあとに一言入れると、きちんとした印象と親しみやすさの両方が伝わります。

中盤は、笑いのあとに本当に伝えたいことを続ける

中盤の笑いは、エピソードの中に置きます。笑いのすぐあとに、その人のいいところや、伝えたい気持ちを続けるのがコツです。笑いで気持ちがほどけた聞き手には、次のまじめな一文がよく届きます。

反対に、結びに冗談を入れると、聞く人の印象に冗談だけが残り、お祝いやお礼の言葉が薄れてしまいます。結びの2〜3文は、まじめな言葉だけで話しましょう。

笑いの3つの型:自虐・ギャップ・具体的な描写

型1 自虐:自分の小さな弱点を、先に言う

自虐は、自分を少し下げて笑いを取る型です。誰も傷つけないので、冒頭のツカミにいちばん向いています。材料は、苦手なことや小さな失敗にし、見た目や年齢、仕事の大きな失敗は使いません。

場面冒頭に使える自虐の一言
表彰の受賞挨拶「名前を呼ばれたとき、別の人のことだと思って、拍手をしていました」
役員の就任挨拶「人前で話すのが苦手なので、今日の原稿は、家族全員に聞いてもらってから来ました」
送別会(送る側)「〇〇さんへの言葉を考えたら、原稿が5枚になりました。今日は、1枚にしぼってきました」
結婚式の主賓「主賓のご挨拶をお引き受けするのは初めてで、うれしくて、原稿を3回書き直しました」

自虐は、1つのスピーチで1回までにします。何度も重ねると、聞く人が笑っていいのか迷ってしまいます。好かれる自虐の条件は「自虐ネタの例と使い方」でも紹介しています。

型2 ギャップ:期待させてから、少し外す

ギャップは、聞き手が予想する流れと、実際の中身の差で笑いを取る型です。前半で「立派な話が来そうだ」と思わせる前置きを、お笑いでは「フリ」と呼びます。

前半(フリ)後半(外す)
「〇〇さんの功績を3つ申し上げます。1つ目は新人の育成、2つ目は売上の記録の更新」「3つ目は、給湯室のポットを、毎朝いちばんに満たしてくれたことです」
「新郎の〇〇くんは、大学で、学部いちばんの有名人でした」「学食の日替わり定食を、4年間一度も逃さなかったからです」
「私には、座右の銘があります」「『とりあえず、やってみる』です。このスピーチも、とりあえず引き受けました」

外したあとは、まじめな話につなげます。1つ目なら、「誰も気づかない仕事を、誰よりも先にやってくれる人でした」と続けると、笑いがそのままほめ言葉に変わります。ギャップで笑いが起きるわけは「笑いが起きる仕組み」で説明しています。

型3 具体的な描写:ほめ言葉を、目に浮かぶ場面に置きかえる

「几帳面」「やさしい」のようなほめ言葉は、そのまま言っても笑いにはなりません。その人らしさが出る場面を、物や数字を入れて描くと、聞く人の頭に絵が浮かび、くすっと笑いが起きます。

ふつうの言い方目に浮かぶ言い方
〇〇さんは几帳面です〇〇さんの机の上では、ペンが長さの順に並んでいます
〇〇さんは面倒見がいいです〇〇さんの引き出しには、誰かのためのばんそうこうと、予備の傘がいつも入っていました
新郎はやさしい人です新郎は、自動ドアにも、通るときに小さく会釈をする人です
課長はいつも忙しそうでした課長の湯のみのお茶は、いつも半分残ったまま、すっかりぬるくなっていました

この型は、送別会や結婚式など、人をほめるスピーチでとくに使いやすい型です。描く場面は、本人が聞いて笑える、ほほえましいくせにかぎります。

例文:笑いを入れたスピーチ2本

〇〇や□□には相手の名前、△△には自分の名前を入れてください。どちらも、冒頭と中盤に1つずつ笑いを置いています。

社内表彰の受賞挨拶(約1分)

例文社内表彰の受賞挨拶(約1分)

このたびは、このような賞をいただき、本当にありがとうございます。営業2課の△△です。
表彰していただくのは、小学校の書き初めで銅賞をいただいて以来です。
あのときと同じくらい、手が震えています。

今回の受賞は、私一人の力ではありません。
この1年、課のみんなで、お客さまへの提案を何度も練り直しました。
課のホワイトボードは、この半年、白い面が見えた日がありません。

□□課長は、提案書を見ていただくたびに、「お客さまの顔を思い浮かべて」と言ってくださいました。
その一言で、提案書の言葉が、少しずつ変わっていきました。

この賞は、課の全員でいただいたものだと思っています。
来年も、ホワイトボードが文字でいっぱいになるくらい、みんなで知恵を出し合います。
ありがとうございました。

冒頭の「書き初めの銅賞」が自虐、中盤の「ホワイトボード」が具体的な描写です。描写のすぐあとに課長へのお礼を続けているので、笑いが自慢話に聞こえません。

PTA会長の就任挨拶(約1分)

例文PTA会長の就任挨拶(約1分)

皆さん、こんにちは。今年度、PTA会長を務めることになりました、5年生の保護者の△△です。
役員決めのくじ引きで、人生で初めて当たりを引きました。会長の当たりでした。

正直に申し上げますと、PTAの仕事は、これまで運動会のテント運びくらいしかしてきませんでした。
しかも去年は、テントの脚を1本、体育倉庫ではなく、自分の車に積んでしまいました。気づいたのは、家の駐車場でした。

そんな私ですが、前の会長の〇〇さんから、引き継ぎのノートを3冊いただきました。
1ページ目には、「困ったら、まず人に聞く」と書いてありました。
この1年は、その言葉どおり、皆さんにたくさん聞きながら進めてまいります。
せっかく引いた当たりですので、楽しみながら務めます。どうぞよろしくお願いいたします。

冒頭の「会長の当たり」は、「当たり=うれしいもの」という期待を外すギャップです。中盤の「テントの脚」は、自虐を具体的な描写で言っています。町内会や自治会の役員になったときも、同じ形で使えます。

笑いを生かす話し方と、スベったときの一言

同じ言葉でも、言い方で笑いの大きさは変わります。話し方は、次の3つだけ守れば十分です。

  1. 笑わせる一言の前に、半拍だまる
  2. 自分から先に笑わない
  3. 笑いが起きたら、静かになるまで待ってから次へ進む

笑いが起きなかった(スベった)ときは、場に合わせて対応を変えます。結婚式や式典、お礼の挨拶のような改まった場では、何も言わずに次の文へ進むのがいちばんです。送別会や忘年会のようなくだけた場なら、軽い一言で受けてから進むと、場がなごむことがあります。

例文笑いが起きなかったときの一言(くだけた場で)

「……ここは、笑っていただく予定の場所でした。先に進みます」
「今の話は、あとで思い出して、こっそり笑ってください」
「皆さんの真剣なお顔を見て、ここからは、まじめにいきます」

一言を言ったら、すぐに次の文へ進みます。ほかの立て直し方は「滑ったときの返し方」にまとめています。

入れてはいけない笑い

スピーチの会場には、年齢も立場もちがう人が集まっています。次のような笑いは、どんなにウケそうでも入れません。

入れない笑い理由
見た目・年齢・性別・出身をからかう話本人だけでなく、同じ特徴の人も傷つける
本人が隠したい失敗や、昔の恋愛の話暴露になり、本人や家族が気まずくなる
下ネタや、お酒の失敗の話子どもや年配の人も聞いている
一部の人しか知らない内輪の話多くの人が置いてきぼりになる
会社やほかの部署の悪口に聞こえる話冗談でも、立場のある人が笑えない

迷ったときは、「本人と、本人の家族が笑って聞けるか」を基準にしましょう。気になる話は、前もって本人に「この話をしてもいい?」と聞いておくと安心です。

よくある質問

笑いを入れるのが苦手です。入れなくてもいいですか?

入れなくても、スピーチは十分に成り立ちます。少しだけ入れたいなら、型3の具体的な描写がおすすめです。冗談を考えるのではなく、本当にあった場面をくわしく話すだけなので、まじめな人でも自然に使えます。

目上の人がたくさんいる場でも、笑いを入れていいですか?

自分のことを笑いにする自虐なら、目上の人の前でも使いやすいです。目上の人をネタにした冗談は、本人が笑っていても周りが気をつかうので避けましょう。

笑いどころで、自分が先に笑ってしまいそうです。

練習で何度も声に出し、言い慣れておくのがいちばんです。本番では、笑いどころの一文だけ原稿に目を落とし、淡々と読むと、つられ笑いをおさえやすくなります。淡々と言うほうが、聞く人も笑いやすくなります。

まとめ

  • スピーチの笑いは、本題を聞いてもらうための味付けにとどめる
  • 笑いは冒頭(名乗りの直後)と中盤(エピソードの中)に置き、結びには入れない
  • 型は「自虐」「ギャップ」「具体的な描写」の3つで、笑いのあとは伝えたいことを続ける
  • 改まった場でスベったら、何も言わずに次の文へ進む
  • 見た目・年齢・暴露・内輪の話は、どんなにウケそうでも入れない
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