スピーチで笑いを取りたいときも、カンペ(手元に持つ原稿やメモ)を見ながら話して大丈夫です。大事なのは、笑いどころに印をつけ、笑いを待つ間を書きこみ、オチの一文だけは顔を上げて言うことです。カンペを「どこで笑わせ、どこで待つか」が分かる地図にしておけば、緊張していても笑いを外しにくくなります。
この記事では、笑いどころの印のつけ方と、笑い待ちの間の書きこみ方を、印入りのカンペの見本と一緒に紹介します。紙・カード・スマホの比べ方と、カンペを見ながら笑いを取る話し方もまとめました。
目次目次を閉じる目次を開く
カンペを見ながらでも、笑いは取れる
結婚式の友人代表スピーチや送別会の挨拶では、カンペを手に話す人がたくさんいます。カンペを見ること自体は、笑いのじゃまになりません。笑いが外れるのは、たいてい次の3つのどれかが起きたときです。
| 笑いが外れる原因 | 起きること | カンペでの対策 |
|---|---|---|
| オチの瞬間に下を向いている | 笑わせる一言が、会場に届かない | オチの一文に印をつけ、顔を上げて言う |
| 笑いの最中に次の文を読む | 笑い声で次の文が聞こえず、笑いも早く止まる | 笑いどころのあとに「(待つ)」と書く |
| オチの直前にめくる | めくる間で、フリ(笑いの前置き)が冷める | フリとオチを同じページに置く |
オチは、笑いを起こす決めの一言のことです。どれもカンペの作り方で防げるので、書く段階で手を打っておきましょう。どこに笑いを入れるかは「スピーチで笑いを取るコツ」で紹介しています。
紙・カード・スマホ、笑いを入れるならどれ?
カンペの形は、便せんや紙、カード、スマホの3つです。笑いを入れるスピーチでは、「顔を上げやすいか」「めくる動きが笑いのじゃまにならないか」で選びます。
| 比べること | 便せん・紙 | カード | スマホ |
|---|---|---|---|
| 笑いどころの見つけやすさ | 印を大きく書ける | 1枚に笑いを1つ置ける | 印が小さくなりやすい |
| 顔の上げやすさ | 全文だと読みこみがち | キーワードだけなら上げやすい | 画面の光で顔が下を向きがち |
| めくる・送る動き | 2〜3枚ならめくりは少ない | 枚数が多いと、めくりが増える | 送る操作が笑いの間とぶつかる |
| 向いている場 | 披露宴、改まった挨拶 | 乾杯、送別会、披露宴 | 二次会、職場の飲み会 |
迷ったら、紙かカードにしておくと安心です。スマホは手軽ですが、画面が消えたり通知が出たりすると、笑いの流れが止まってしまいます。年配の人が多い披露宴では、スマホを見ながら話す姿が気になる人もいます。
読みやすさの基本
本番は緊張していて、会場の照明も暗めのことがあります。ふだんより、ひとまわり大きく、すき間の多いカンペにしましょう。
- 1文ごとに改行し、長い文は読点(、)のところで改行する
- 印刷するなら、A4・A5の紙は16〜20ポイント、カードは14〜16ポイントが目安
- 1行は15字ほどまでにし、段落の間は1行あける
- 名前や読みにくい言葉には、かっこでふりがなをつける
- ページの右下に番号を書き、光沢のない少し厚めの紙を使う
笑いどころに印をつける
カンペに書く印は、自分が分かれば何でもかまいません。ただ、種類を決めておくと、本番で迷わずに済みます。この記事では、次の5つを使います。
| 印 | 意味 | 書く場所 |
|---|---|---|
| ★ | 笑いどころ(オチの一文) | オチの行の頭 |
| ◎ | 顔を上げて会場を見る | お祝い・名乗り・オチ・結びの行の頭 |
| / | 息つぎ、または半拍の間 | 文の切れ目 |
| (間) | オチの前に2秒ほどためる | フリの最後の行のうしろ |
| (待つ) | 笑いが小さくなるまで待つ | オチの次の行に1行で |
★と◎は、オチの行で必ずセットにします。★のついた一文は、カンペを見ずに言うと決めておきましょう。
フリとオチは同じページに置く
フリを言い終えてからページをめくると、めくる間でフリが冷め、オチの笑いが小さくなります。紙なら、オチの行がページのいちばん下に来ないように、改ページの位置を調整しましょう。カードなら、1枚に笑いを1つだけ置き、フリからオチまでを同じカードに書きます。
めくるのは、(待つ)のあとです。笑い声が続いている間にめくれば、紙の音も気になりません。
オチの一文は、書き出しを大きく書く
オチの一文は顔を上げて言うので、全部を読み直す時間はありません。書き出しの数文字だけ大きく書いておくと、ちらっと見ただけで言葉が出てきます。全文はその下に小さく書いておけば、言葉が飛んだときの助けになります。
ウケなかったときの一文は、余白に小さく
笑いが起きなかったときに言う一文を、オチの横の余白に小さく書いておくと安心です。言うかどうかは、その場で決めればかまいません。書いてあるだけで、オチを言う勇気が出ます。
笑い待ちの間を書きこむ
笑い待ちは、笑いが起きたあと、笑い声が小さくなるまで次の言葉を待つことです。緊張すると、この間をとばして次の文を読んでしまいがちです。カンペには、オチの次の行に(待つ)と1行で書き、いやでも目に入るようにしておきます。
待つ長さは、笑い声が大きくなって、下がり始めるまでが目安です。2秒待っても笑いが起きなければ、何も言わずに次の文へ進みます。笑い待ちの長さの決め方は「漫才の間とテンポの取り方」でくわしく説明しています。
(待つ)の次の行は、書き出しを少し大きくしておくと便利です。笑いのあとに会場から目を戻したとき、どこから話せばいいかがすぐ分かります。
本番は、待つ時間のぶん長くなる
笑いが起きるたびに、話は数秒ずつ長くなります。時間を測るときは、スピーチ時間の計算ツールで出た目安に、待つ時間を足して考えましょう。
笑いを取るカンペの見本
新婦の高校時代の友人が話す、友人代表スピーチのエピソード部分です。まず、印をつける前の原稿を見てください。
〇〇さんは、高校のころから、計画を立てるのが大好きな人でした。修学旅行のときも、先生が作ったしおりとは別に、自分で作ったしおりを持ってきました。先生のしおりは8ページでしたが、〇〇さんのしおりは24ページありました。その24ページ目には、「みんなが楽しめたか確かめる」と書いてありました。
このままでも話せますが、どこでためて、どこで笑いを待てばよいかが分かりません。「24ページ」をオチにして印をつけると、次のようになります。
〇〇さんは、高校のころから/
計画を立てるのが大好きな人でした。
修学旅行のときも、/
先生が作ったしおりとは別に、/
自分で作ったしおりを持ってきました。
先生のしおりは、8ページ。(間)
★◎〇〇さんのしおりは、24ページでした。
(待つ)
→静かなら「今も、ご実家の本棚にあるそうです」
その24ページ目には、/
「みんなが楽しめたか確かめる」と
書いてありました。
◎〇〇さんは、今もそういう人です。
フリの「先生のしおりは、8ページ」で比べる数字を先に聞かせ、(間)でためてからオチを言います。オチのあとは(待つ)で笑いを待ち、静かなときの一文を小さく添えています。結びの「今もそういう人です」は、笑いのあとに本当に伝えたいことを、顔を上げて言う一文です。
カードで作るなら、1枚に笑いは1つ
カードの場合は、キーワードとオチだけを書きます。オチの一文は、書き出しを大きく書き、全文はそのあとに続けます。
③しおり
・修学旅行、自分で作ったしおり
・先生のしおりは8ページ(間)
★◎「〇〇さんのしおりは……」24ページ
(待つ)
・24ページ目「みんなが楽しめたか確かめる」
◎今もそういう人
カードの右上には大きく番号を書き、角に穴をあけてリングでとめておくと、順番がばらばらになりません。名前と結びの一文は、省かずに全文で書いておきましょう。
カンペを見ながら笑いを取る話し方
カンペができたら、次の順で話す練習をします。オチの前後だけは、カンペから目を離すのがコツです。
- フリの最後の文を言いながら、★の一文を目で読んでおく
- (間)で一度止まり、顔を上げる
- 会場を見たまま、オチの一文を言い切る
- 親指をカンペの次の行に置き、会場を見たまま笑いを待つ
- 笑いが下がり始めたら、カンペに目を戻して次の文へ進む
よくある失敗は、オチを言った直後にカンペへ目を落とすことです。目を落とすと「次へ進みます」という合図になり、笑いが小さくなります。オチのあとの2秒は、会場の誰かと目を合わせているつもりで待ちましょう。★の一文を見ずに言えるようにする覚え方は「スピーチの覚え方」で紹介しています。
本番の前に確かめること
- ★の一文を、カンペを見ずに言えるか
- フリとオチが、同じページ(同じカード)にあるか
- オチの次の行に(待つ)と書いたか
- めくる場所が、笑い待ちのあとになっているか
- 本番と同じカンペで、3回以上声に出して練習したか
スマホのときは、画面送りを笑いのあとに
スマホをカンペにするなら、通知と着信が出ない設定にし、画面が自動で消えるまでの時間をいちばん長くしておきます。笑いどころの一文は画面の中ほどに来るように改行を調整し、画面を送るのは(待つ)のあとにしましょう。充電を十分にし、紙の予備もポケットに入れておくと安心です。
よくある質問
カンペを見ながら話すと、笑いが起きにくくなりませんか?
オチの一文で顔を上げていれば、笑いの大きさはほとんど変わりません。むしろ、カンペがあることで安心して間を取れるので、笑いを待つ余裕が生まれます。全部を覚えようとして、オチで言葉につまるほうが笑いは外れます。
笑いが起きなかったとき、カンペを見て次へ進むのは不自然ですか?
不自然ではありません。2秒待って静かなら、目をカンペに戻して次の文へ進みましょう。くだけた場なら、「……カンペには、ここで笑いが起きると書いてありました」と添えるのも手です。カンペそのものをネタにすると、静かな空気が小さな笑いに変わります。
緊張して、カンペを持つ手がふるえます。
薄い紙は、ふるえが音や動きになって伝わります。少し厚めの紙かカードにして、両手で胸の高さに持ちましょう。ふるえそのものを笑いに変える一言は「スピーチの緊張を笑いに変えるには」で紹介しています。
まとめ
- カンペを見ながらでも、オチの一文で顔を上げれば笑いは取れる
- 笑いどころに★と◎、オチの前に(間)、オチの次の行に(待つ)を書く
- フリとオチは同じページに置き、めくるのは笑い待ちのあとにする
- オチを言ったら、カンペに目を落とさず、会場を見たまま待つ
- 紙かカードが安心。スマホは通知と画面の消える時間を設定し、紙の予備も持つ






