スピーチの覚え方|笑いどころを外さない3ステップと練習法

鏡の前で原稿を手に、身ぶりをつけて練習する男性

スピーチは、原稿を丸暗記しなくても話せます。「流れ → キーワード → 最初の一言とオチの一文」の順に覚えましょう。一字一句そのまま言うのは、話し始めの一言と、笑いを取るオチの一文だけで十分です。オチはフリ(笑いの前置き)とセットで覚え、オチの前の間は声に出して体で覚えると、本番でも笑いどころを外しにくくなります。

この記事では、笑いを1つ入れた1分半の原稿を例に、3つのステップを順に説明します。フリとオチをセットで覚える練習、間を体で覚える方法、2週間の練習予定もまとめました。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 丸暗記しないほうが、笑いどころで止まらない
  2. 例に使う原稿(笑いを1つ入れた1分半)
  3. 3ステップで覚える
  4. フリとオチをセットで覚える練習
  5. 声に出して、間を体で覚える
  6. 本番までの2週間の練習予定
  7. 本番で忘れたときの対処
  8. よくある質問
  9. まとめ

丸暗記しないほうが、笑いどころで止まらない

原稿を頭から丸暗記すると、言葉が一列につながって覚えられます。そのため、1か所でつまると、その先が出てこなくなりがちです。笑いどころの直前でつまると、フリとオチの間があきすぎて、笑いも消えてしまいます。

くらべること丸暗記3ステップで覚える
1語忘れたときその先が出てこない言いかえて先へ進める
話し方読み上げているように聞こえる話しかけているように聞こえる
笑いどころフリもオチも同じ調子になりやすいオチの前で間を取り、顔を上げて言える
本番で飛んだときどこに戻ればいいか分からない次の見出しから話し始められる

一字一句同じに言う必要があるのは、最初の一言とオチの一文だけです。その間は、伝えたい場面と順番さえ合っていれば、毎回言い回しが少し変わってもかまいません。

例に使う原稿(笑いを1つ入れた1分半)

覚えにくいのは、記憶力のせいとはかぎりません。1文が長い、エピソードが多い、笑いどころが3つも4つもある、といった原稿は、誰にとっても覚えにくいものです。1文は40字ほど、エピソードは1つ、笑いは1〜2か所にしぼってから覚え始めましょう。

ここからは、次の友人代表スピーチを例に説明します。「(間)」は1拍ためる場所、「(笑いを待つ)」は笑いが小さくなるまで待つ場所です。

例文例に使う原稿(新婦の大学時代の友人として・約1分半)

〇〇くん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。
新婦の〇〇さんの大学時代の友人で、△△と申します。

〇〇さんとは、大学の写真部で4年間を一緒に過ごしました。
写真部では、行事のたびに集合写真を撮ります。
カメラを構えるのは、いつも〇〇さんでした。
「もう少し右に寄って」「はい、笑って」と、全員が写るまで声をかけてくれました。

あるとき、4年分の写真を整理していて、気づいたことがあります。
どの集合写真にも、〇〇さんが写っていないんです。
4年間で、〇〇さんが写っている写真は、たった1枚。(間)
部員名簿に貼った、証明写真でした。
(笑いを待つ)

〇〇さんは、いつも人の笑顔を撮る側にいた人でした。

今日の〇〇さんは、カメラの前で、とてもすてきな笑顔を見せてくれています。
〇〇くん、これからは〇〇さんと一緒に、たくさんの写真に写ってください。
撮る側のときも、写る側のときも、お二人の笑顔があふれる毎日になりますように。
本日は、本当におめでとうございます。

笑いどころは「証明写真」の1か所です。笑いのすぐあとに「人の笑顔を撮る側にいた人」と続けるので、笑いがそのまま新婦へのほめ言葉に変わります。笑いを入れた友人代表スピーチの組み立て方は「面白い友人代表スピーチの作り方」で紹介しています。

3ステップで覚える

ステップ1:流れを見出しにし、笑いの場所に★をつける

最初に、原稿を5つほどのまとまりに分け、それぞれに10字前後の見出しをつけます。笑いどころがあるまとまりには、★をつけておきます。

例文見出しメモ(例の原稿の場合)

1 お祝いと名乗り
2 写真部、撮るのはいつも〇〇さん
3★写っている写真は1枚だけ
4 今日は写る側
5 結び

見出しメモができたら、紙を見ずに5つを順番に言えるまで声に出します。★がどこにあるかも一緒に覚えておくと、本番で「次は間を取る場所だ」と心の準備ができます。

ステップ2:キーワードを覚える(フリの言葉は正確に)

次に、見出しごとに、場面が浮かぶ言葉を2〜3個選びます。これをキーワードと呼びます。笑いどころのまとまりでは、オチが伝わるために欠かせない「フリの言葉」も選んでおきます。

見出しキーワードフリで必ず言う言葉
2 写真部4年間、集合写真、「はい、笑って」撮るのはいつも〇〇さん
3★1枚だけ4年分の写真、どれにもいない4年間で、たった1枚
4 今日は写る側カメラの前の笑顔、たくさんの写真(なし)

フリの言葉が1つ欠けると、オチは伝わりません。「撮るのはいつも〇〇さん」を言い忘れると、写っていない理由が分からず、「証明写真」で笑いが起きなくなります。フリの言葉は、キーワードの中でも特に正確に覚えましょう。

キーワードとキーワードの間のつなぎの言葉は、毎回少し変わってかまいません。キーワードだけを書いたカードを見ながら、通して話せるようになれば、ステップ2は終わりです。

ステップ3:最初の一言とオチの一文は、一字一句覚える

最後に、最初の一言とオチの一文だけを、一字一句そのまま覚えます。例の原稿なら、お祝いから名乗りまでの3文と、「4年間で」から「証明写真でした」までの2文です。

最初の一言を覚えるのは、出だしで止まらないためです。オチの一文を覚えるのは、言葉の順番が変わると笑いが弱くなるからです。

例文オチの一文:言いかえた例と、覚えた形

言いかえた例:
「〇〇さんが写っていたのは、部員名簿の証明写真くらいで、4年間でたった1枚でした」

覚えた形:
「4年間で、〇〇さんが写っている写真は、たった1枚。(間)
部員名簿に貼った、証明写真でした」

言いかえた例は、意外な答えの「証明写真」が先に出てしまい、笑いが弱くなります。覚えた形は、「たった1枚」で聞く人に「どの写真だろう」と思わせてから、最後に答えを言います。オチは、いちばん意外な言葉を文の最後に置き、その形のまま覚えましょう。

結びの一文も覚えておくと、途中で話がくずれても、いつでも締められます。余裕があれば、「撮る側のときも」から始まる結びも覚えておきましょう。

フリとオチをセットで覚える練習

オチは、フリの最後の一文から続けて言ったときに笑いになります。そのため、オチだけを何度も練習するより、フリとオチを1つのかたまりとして覚えるほうが本番に強くなります。カードを1枚使う、次の練習がおすすめです。

  1. カードの表にフリの最後の一文、裏にオチの一文を書く
  2. 表を声に出して読み、カードを裏返しながら1拍おく
  3. 裏を見ずにオチを言い、言えたら裏を見て確かめる
  4. 10回続けて言えたら、カードなしで「フリ→間→オチ」を通す

カードを裏返す動きが、そのままオチの前の間になります。本番でも、フリを言い終えたら同じ1拍をおけば、練習どおりの間でオチを言えます。

雑談で試すと、フリが足りているか分かる

原稿を見ずに、エピソードを家族や友人に雑談として話してみましょう。「大学の写真部でさ」と話し始め、オチのところで相手が笑えば、フリは足りています。笑わなかったら、フリの言葉が1つ欠けていないか見直します。

声に出して、間を体で覚える

1人で話すスピーチには、間を作ってくれる相方がいません。間の長さは、黙読では覚えられないので、立って声に出しながら、動きと一緒に体に入れていきます。

間長さの目安体で覚える方法
オチの前1〜2拍原稿から顔を上げ、新郎新婦か会場を見る
笑い待ち笑い声が下がり始めるまで(静かなら2秒)会場を見たまま、心の中で「いち、に」と数える
笑いのあと1拍息を吸ってから、次の文を少しゆっくり言い出す

顔を上げる、数える、息を吸う、という動きを決めておくと、緊張していても間の長さが大きくくずれません。練習ではスマホで録音し、オチの前で本当に止まれているかを聞き直しましょう。思ったより間が短いことが多いので、少し長いと感じるくらいでちょうどよくなります。

家族に聞いてもらえるなら、本当に笑いが起きたときに待つ練習もできます。笑い声の中で次の文を言いそうになったら、心の中の「いち、に」を思い出しましょう。

本番までの2週間の練習予定

練習は、1日にまとめてやるより、毎日10分ほどを重ねるほうが覚えやすくなります。見るものを少しずつ減らし、後半はフリとオチ、間の練習を中心にします。

時期見るものやること
14〜12日前原稿の全文1日3回音読し、時間を測る。オチの前で止まる場所を決める
11〜9日前見出しメモ見出しだけを見て話す。最初の一言を覚える
8〜6日前キーワードカードカードを見て通す。フリとオチのカードを1日10回
5〜3日前なし(カードはポケットに)何も見ずに通し、録音して間の長さを聞き直す
2日前〜前日なし本番の服で立って通す。家族に聞いてもらい、笑いを待つ練習をする
当日見出しメモ1回だけ目を通し、最初の一言とオチの一文を小声で言う

原稿の長さは、スピーチ時間の計算ツールで目安を出しておくと、練習で測った時間と比べられます。本番は笑いを待つぶん、練習より少し長くなると考えておきましょう。

3日しかないときは

本番まで日がないときは、全部を覚えようとせず、カンペ(手元に持つ原稿)を使う前提で準備します。

  1. 1日目:原稿を5回音読し、見出しメモを作る
  2. 2日目:最初の一言とオチの一文を覚え、カードを見て通す
  3. 3日目:本番と同じカンペを持って、立って3回通す

カンペを見ながら話すのは失礼ではありません。オチの一文だけ顔を上げて言えれば、笑いも取れます。印のつけ方は「スピーチのカンペの作り方」で紹介しています。

本番で忘れたときの対処

覚えたつもりでも、本番の緊張で言葉が出てこないことはあります。そんなときは、次の順番で立て直します。

  1. あわてずに、ポケットのカードか見出しメモを見る
  2. 思い出せない見出しは飛ばして、次の見出しから話す
  3. フリを言い忘れたまま進んだら、その笑いはあきらめ、オチも言わない
  4. 何も出てこなければ、覚えている結びの一文に進む

フリのないオチは、聞く人には意味が分かりません。笑いを1つ飛ばしても、伝えたい気持ちは十分に届きます。

例文忘れたときにつなぐ一言

「すみません、ここからはメモに助けてもらいます」
「大事なことを一つ、言いそびれていました。〇〇さんは……」

言葉が出ないときに、緊張を笑いに変える一言は「スピーチの緊張を笑いに変えるには」で紹介しています。

よくある質問

3分のスピーチは、何日あれば覚えられますか?

毎日10分ほど練習できるなら、1週間から2週間が目安です。早めに覚え終えたら、残りの日はフリとオチの練習と、本番の服で立って話す練習にあてましょう。

覚えたオチが、棒読みになってしまいます。

オチは、少し淡々と言うくらいでちょうどよいものです。それでも気になるときは、オチの一文だけをくり返すのをやめ、エピソードを人に話す練習に切りかえましょう。相手の顔を見て話すと、自然な言い方になります。

余興の漫才やコントの台本も、同じ覚え方でいいですか?

基本は同じですが、相手がいるネタでは、相手のセリフを合図として覚えることも大切です。くわしくは「ネタの覚え方」を参考にしてください。

まとめ

  • スピーチは丸暗記せず、「流れ→キーワード→最初の一言とオチの一文」の順に覚える
  • フリで言う数字や事実は正確に覚え、つなぎの言葉は変わってもよいと考える
  • オチは意外な言葉を文の最後に置き、その形のまま一字一句覚える
  • フリとオチはカードの表と裏でセットにし、間は顔を上げる動きと一緒に声に出して覚える
  • 忘れたら次の見出しへ進み、フリを飛ばしたときはオチも言わない
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