1分間スピーチで笑いを取るなら、笑いどころは1つにしぼり、話の最初か途中か最後のどこか1か所に置くのがコツです。笑いのあとは、まじめな気づきで締めます。笑いは話の入り口や味付けで、主役はあくまで気づきの部分です。
この記事では、笑いを置く場所ごとに使える3つの型と、そのまま話せる面白い例文3本を紹介します。笑いを生む間(ま)の取り方と、笑いが起きなかったときの一言もまとめました。
1分間スピーチの笑いは1つで十分
1分間スピーチは、原稿にすると250〜300字ほどしかありません。笑いを2つも3つも入れると、気づきを話す時間がなくなり、「結局何の話だったのか」が残らなくなります。笑いどころは1つ、多くても2つまでにしましょう。
笑いを置く場所は、最初・途中・最後の3か所から選びます。場所によって、使いやすい型が決まっています。
| 置く場所 | 型 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 最初 | 型1:大げさに予告して、小さな話をする | 話し始めの緊張をほぐしたい人 |
| 途中 | 型2:数字や様子を、具体的に言いすぎる | 失敗談や身近な出来事を話す人 |
| 最後 | 型3:まじめな結びのあとに、本音を一言足す | まじめな話をしっかり伝えたい人 |
話の組み立て方そのものは、「1分間スピーチのネタ一覧」で紹介している「結論→理由→例→まとめ」の型が土台になります。この記事の3つの型は、その中の1か所に笑いを足すためのものです。
笑いを入れる3つの型
型1 大げさに予告して、小さな話をする
話し始めに「大事な話をします」と大げさに予告し、そのあと、ごく小さな出来事を話す型です。予告のように、聞く人に期待をさせる前置きを、お笑いでは「フリ」と呼びます。フリが大きいほど、中身の小ささとの差で笑いが起きます。
| 大げさな予告 | 小さな中身 |
|---|---|
| 今日は、私の人生でいちばんの発見をお話しします | ごはんは、平らにして冷凍すると早く温まります |
| 先週、私の中で大きな決断をしました | 傘を、折りたたみ傘に変えました |
| 今日は、少し重たい話をします | 先週買ったお米が、10キロでした |
小さな中身を言ったあとは、そこから本当の気づきにつなげます。「小さな話」が、ちゃんと本題の入り口になっているのがこの型のよいところです。
型2 数字や様子を、具体的に言いすぎる
話の途中、例の部分で使う型です。ふつうなら「ばたばたしています」で済むところを、細かすぎる数字や様子で言うと、聞く人の頭に場面が浮かんで笑いが起きます。
| ふつうの言い方 | 具体的に言いすぎた言い方 |
|---|---|
| 運動不足です | 最近いちばん運動したのは、閉まりかけた電車のドアに向かって走った10秒です |
| 片づけが苦手です | 机の上に、書類の山が3つあります。いちばん高い山には、まだ登れていません |
| 朝はばたばたしています | 毎朝、靴下を片方だけはいた状態で、家の中を3分ほど歩き回っています |
ネタにするのは、自分の失敗やくせだけにします。同僚や家族のことを細かく言うと、本人が恥ずかしい思いをすることがあります。
型3 まじめな結びのあとに、本音を一言足す
話の最後、「皆さんも〜してみてください」と結んだあとに、自分の本音を一言だけ足す型です。まじめな話を最後まで崩さずに話せるので、上司の前で話すときにも使いやすい型です。
| まじめな結び | 足す一言 |
|---|---|
| 皆さんも、机の上を片づけてみてください | 私は、今日の帰りに片づけます。たぶん |
| 早めの準備を心がけましょう | ちなみに、このスピーチの原稿は昨夜11時に書きました |
| 階段を使って、体を動かしましょう | 私は今朝も、エレベーターで来ました |
足す一言は、短いほど効きます。一言のあとに説明を続けると、せっかくの笑いが消えてしまいます。
面白い1分間スピーチの例文3本
3つの型を1つずつ使った例文です。どれも笑いどころは1か所で、最後はまじめな気づきで締めています。
例文1 型1を使う「乗る車両を変えた話」
おはようございます。今日は、私の毎日を大きく変えた出来事について、お話しします。
先週、通勤の電車で乗る車両を、1両だけ前にしました。
それだけです。ただ、それだけで、毎朝見える景色が変わりました。いつもとちがう人が乗っていて、いつもとちがう広告が目に入ります。降りる駅の階段にも近くなり、少し早く会社に着くようになりました。
小さく変えるだけでも、見えるものは変わるのだと思います。仕事でも、いつもの手順を1か所だけ変えてみると、新しい発見があるかもしれません。今週は、私も仕事のやり方を1か所変えてみます。以上です。
例文2 型2を使う「1万歩の目標」
おはようございます。私は年の初めに、毎日1万歩歩くという目標を立てました。
昨日の歩数は、3,012歩でした。しかも、そのうちの千歩ほどは、家の中で鍵を探して歩いた分です。
目標には、まだまだ届いていません。ただ、歩数を記録するようになって、思わぬ発見がありました。記録をつけていなければ、鍵探しに千歩も使っていたことに、気づかなかったと思います。
仕事も同じで、一度記録をつけてみると、思わぬところに時間を使っていることに気づけるかもしれません。私は今週、自分の仕事を30分ごとにメモしてみます。以上です。
例文3 型3を使う「朝の挨拶の声」
おはようございます。私は先月から、朝の挨拶を、少しだけ大きな声で言うようにしています。
きっかけは、先輩に「朝の挨拶の声で、その人の調子が分かる」と言われたことです。それから、自分の声を意識するようになりました。
大きな声で挨拶をすると、返ってくる声も、少し大きくなる気がします。そして、不思議と自分の気持ちも上向きになります。
皆さんも明日の朝、いつもより少しだけ大きな声で「おはようございます」と言ってみてください。
ちなみに今朝の私の挨拶は、このスピーチのことで頭がいっぱいで、いつもより小さかったです。以上です。
笑いを生む間の取り方
同じ原稿でも、間(ま)の取り方で笑いの大きさが変わります。間とは、言葉と言葉のあいだの、短い沈黙のことです。1分間スピーチでは、次の3つだけ守れば十分です。
- 笑いどころの直前で、1拍おく(心の中で「いち」と数えるくらい)
- 笑いが起きたら、笑い声が小さくなるまで2〜3秒待つ
- 笑いが起きなかったら、待たずにすぐ次の文へ進む
いちばん大事なのは2つ目です。笑い声にかぶせて話すと、次の言葉が聞こえず、聞く人も笑うのをやめてしまいます。笑いを待つ時間も1分の中に入るので、原稿は230〜260字ほどと、少し短めに書いておきましょう。
原稿には、間を取る場所に印を付けておくと、本番で忘れません。
今日は、私の毎日を大きく変えた出来事について、お話しします。/
先週、通勤の電車で乗る車両を、/1両だけ前にしました。(待つ)
それだけです。(待つ)
ただ、それだけで、毎朝見える景色が変わりました。
練習のときは、スマホで録音して聞き直すと、間が短すぎるところがすぐ分かります。漫才の練習にも使われる間の取り方は、「漫才の間とテンポの取り方」でさらに詳しく紹介しています。
笑いが起きなかったときと、避けたい笑い
笑いどころで反応がなくても、慌てる必要はありません。1分間スピーチの主役は気づきの部分なので、そのまま次へ進めば話は成り立ちます。どうしても気になるときは、次のような一言で軽く受けて先へ進みます。
- 「……今のは、心の中で笑っていただければ十分です」
- 「朝なので、皆さんまだ温まっていないようですね。続けます」
- 「家では、ここで笑いが起きたんですが」
気まずい空気を立て直すほかの言い方は「滑ったときの返し方」にまとめています。
朝礼や研修で避けたい笑い
- 同僚や上司、お客さまをからかう話
- 見た目や年齢、出身などをネタにした話
- 一部の人にしか分からない内輪の話
- 会社やほかの部署の悪口に聞こえる話
よくある質問
冗談が苦手でも、笑いを入れたほうがいいですか?
入れなくても、1分間スピーチとして十分に成り立ちます。少しだけ入れてみたいなら、型3がおすすめです。まじめな話をそのまま話し、最後に本音を一言足すだけなので、冗談が苦手な人でも使えます。
上司や社長がいる朝礼で、笑いを取ってもいいですか?
自分の失敗やくせを笑いにする形なら、まず問題ありません。上司の前では、型2や型3のように、笑いのあとに必ずまじめな気づきを話す形にすると安心です。上司をネタにする冗談は、本人が笑っていても周りが気をつかうので避けましょう。
毎回、面白い話をしないといけませんか?
毎回でなくてかまいません。笑いを入れるのは、数回に1回くらいにすると、「今日は何かある」と楽しみにしてもらえます。ふだんは気づきをしっかり話し、話題がそろったときだけ笑いを足しましょう。
まとめ
- 1分間スピーチの笑いどころは1つにしぼり、最後は気づきで締める
- 最初なら「大げさな予告」、途中なら「具体的に言いすぎる」、最後なら「本音の一言」
- 笑いどころの直前に1拍おき、笑いが起きたら2〜3秒待つ
- 笑い待ちの時間を見込んで、原稿は230〜260字ほどにする
- ネタにするのは自分の失敗やくせだけにし、人をからかう笑いは避ける






