新郎謝辞を面白くするなら、笑いは「冒頭のつかみ」と「2人のエピソード」の2か所にしぼります。最後は、両親とゲストへの感謝で締めます。謝辞は披露宴の結びの挨拶なので、笑いのあとにまじめな感謝が続くと、気持ちがいちばんよく伝わります。
この記事では、笑いを入れる場所と話の流れ、正式な場・カジュアルな会・親族のみの会の例文3パターンを紹介します。スベったときの一言と、妻をいじりすぎないための注意もまとめました。
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新郎謝辞の笑いは「つかみ」と「2人のエピソード」の2か所
謝辞(しゃじ)は、感謝の気持ちを伝える挨拶です。新郎謝辞は、花嫁の手紙や花束贈呈のあとに行われることが多く、会場はしんみりした空気になっています。そこで新郎が小さな笑いを入れると、会場がほっとして、明るい気持ちでお開きに向かえます。
笑いを入れる場所は、冒頭のつかみと、2人のエピソードの2か所です。そのあとの両親への感謝と結びは、まじめに話します。
| 順番 | 話すこと | 笑い |
|---|---|---|
| 1. 名乗りとゲストへのお礼 | 出席、祝辞、余興へのお礼 | つかみを1つ |
| 2. 2人のエピソードと決意 | 2人らしい話と、これからの約束 | 1つ |
| 3. 両親への感謝 | 育ててくれたこと、支えてくれたこと | 入れない |
| 4. お願いと結びのお礼 | 見守ってほしいお願い、お詫びとお礼 | 入れない |
つかみは、お笑いでいう「最初に聞き手の心をつかむ一言」のことです。正式な披露宴なら、笑いは1か所だけでもかまいません。カジュアルな会でも、2〜3か所までにしておきます。
長さは2〜3分(600〜900字ほど)が目安です。新郎の父の謝辞が先にある場合は1〜2分に短くし、笑いも1つにします。書いた原稿はスピーチ時間の計算ツールで、読み上げの時間を確かめましょう。
父の謝辞にも笑いがある場合は、材料を分けておきます。父は親としての自虐、新郎は2人のエピソード、と分けると重なりません。父の謝辞の作り方は「両家代表謝辞にユーモアを入れるには」で紹介しています。
冒頭のつかみは「緊張」「今日の出来事」「自分の小さな失敗」
冒頭のつかみは、ゲストへのお礼を言ったすぐあとに入れます。材料を自分のことにすると、誰も困らずに笑えます。
| つかみの材料 | 例 |
|---|---|
| 緊張を認める | 「本日は朝から笑顔でいるよう心がけてまいりましたので、ほおが少しつりそうです」 |
| 今日の出来事を拾う | 「さきほどの余興で、学生時代の写真がたくさん出てきました。あの髪型については、後日あらためてご説明させてください」 |
| 自分の小さな失敗 | 「指輪の交換で、新婦の指にはめる前に、自分の指にはめそうになりました」 |
いちばん笑いが起きやすいのは、今日の出来事を拾うつかみです。会場の全員がさっき見たことなので、説明がいらず、余興やスピーチへのお礼もかねられます。
ただし、余興の中身は前もって分からないこともあります。つかみは2つ用意しておき、当日の流れを見て選ぶと安心です。
2人のエピソードは「笑われ役は自分」にする
エピソードの笑いは、2人らしさを伝える場所です。材料は、初めてのデートやプロポーズ、2人の暮らしの中の小さな出来事にします。笑われ役は新郎自身にし、新婦はほめる側に置くのがこつです。
妻をいじりすぎない
新婦の失敗や欠点を笑いにすると、新婦の家族は笑えません。冗談のつもりでも、「新郎が新婦を下げた」と受け取られます。同じ話でも、笑われ役を自分にすると、新婦の良さが伝わる話に変わります。
| 妻いじりになる言い方 | 笑われ役を自分にした言い方 |
|---|---|
| 「妻は料理が苦手で、最初の手料理は忘れられない味でした」 | 「私は料理が苦手で、最初に作った野菜炒めを、妻は笑顔で全部食べてくれました」 |
| 「妻の運転は、毎回スリル満点です」 | 「助手席の私がナビを読み間違えても、妻は笑って次の角を曲がってくれます」 |
| 「妻の買い物は長くて、デートはいつも待ち時間です」 | 「服を1枚選ぶのに1時間かかる私に、妻はいつも笑って付き合ってくれます」 |
新婦が出てくる話を入れるときは、原稿を前もって新婦に見せておきましょう。新婦が笑ってうなずく話なら、本番でも会場と一緒に笑えます。
新郎謝辞の例文3パターン
〇〇には新婦の名前を、△△には友人などの名前を入れてください。( )の中は読まずに、動きだけ行います。
例文1:正式な披露宴で控えめに(約2分半)
会社関係のゲストが多い、改まった披露宴向けです。笑いは冒頭のつかみの1か所だけにしています。
本日は、私たち二人のために、ご多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
新郎の〇〇でございます。
新婦〇〇とともに、ひと言ご挨拶を申し上げます。
本日は朝から笑顔でいるよう心がけてまいりましたので、少しほおがつりそうになっております。
(笑いが静まるのを待つ)
ご来賓の皆さまからは、身に余るご祝辞を頂戴し、ありがとうございました。
友人の皆さんには、楽しい余興で会場を明るくしていただきました。
皆さまの温かいお言葉と笑顔に包まれて、私たちにとって一生の宝物となる一日になりました。
私たちは未熟な二人ではございますが、これからは互いを思いやり、笑い声のあふれる温かい家庭を築いてまいります。
二人で決めた約束は、どんなに小さなことでも「ありがとう」を口に出して伝えることです。
また、本日まで私たちを育ててくれた両家の両親にも、この場を借りてお礼を申し上げます。
父と母には、進路に迷ったときも、一人暮らしを始めるときも、いつも黙って背中を押してもらいました。
今日、この場に両親と並んで立ち、あらためて感謝の気持ちでいっぱいになっております。
お父さん、お母さん、本当にありがとうございました。
皆さまには、今後とも変わらぬご指導とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日は行き届かない点もあったかと存じますが、どうかご容赦ください。
皆さまのご健康とご多幸をお祈りいたしまして、私たち二人からのお礼の言葉とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
例文2:友人が中心のカジュアルな会(約2分)
レストランウエディングや、友人の多いなごやかな会向けです。笑いは、余興を拾うつかみ、初めてのデートの話、約束の話の3か所です。
皆さん、本日は僕たち二人のために集まってくれて、本当にありがとうございます。
新郎の〇〇です。
さっきの余興で、大学時代の写真がたくさん出てきました。
あの髪型については、後日あらためて説明させてください。
(笑いが静まるのを待つ)
余興をしてくれた大学の仲間のみんな、仕事のあとに集まって練習してくれたと聞きました。
スピーチをしてくれた△△、昔の話をよく覚えていてくれてありがとう。少し照れましたが、うれしかったです。
〇〇との初めてのデートで、僕は道を間違えて、駅から10分のお店に40分かけて着きました。
(少し間をおく)
〇〇は怒るどころか、「いい散歩だったね」と笑ってくれました。
(笑いが静まるのを待つ)
あの日から、僕が迷ったときは、いつも〇〇が笑って隣を歩いてくれています。
これからは二人で、毎日の「おいしいね」と「ありがとう」を大切にしていきます。
週末の朝ごはんは交代で作る、という約束も、今日ここで皆さんに聞いてもらいました。
守れていなかったら、たぶん〇〇から皆さんに報告が行くと思います。
ここからは、少しまじめにお話しさせてください。
今日まで育ててくれた両家の両親へ。
ふだんは照れくさくて言えませんが、本当にありがとうございます。
これからは二人で、少しずつ親孝行もしていきます。
未熟な二人ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。
今日は本当にありがとうございました。
デートの話は、笑われ役が新郎で、新婦のやさしさが伝わる形です。両親へのお礼の前に「ここからは、少しまじめに」と一言入れているので、笑いから感謝へ自然に切り替わります。
例文3:親族のみの食事会(約1分半)
家族と親族だけで食卓を囲む会向けです。人数が少ないときは、席の前に立って話してもかまいません。笑いは、新婦の家族に初めて会った日の1か所です。
本日は、私たち二人のためにお集まりいただき、ありがとうございます。
両家の家族と親族の皆さんに囲まれて、温かい時間を過ごすことができました。
〇〇さんのご家族に初めてご挨拶にうかがった日、私は緊張のあまり、自分の名前を言い間違えました。
(笑いが静まるのを待つ)
それでも〇〇さんのお父さんが「まあ、座りなさい」と笑ってくださって、ようやく肩の力がぬけました。
〇〇さんを大切に育ててくださったことに、心からお礼を申し上げます。
これからは私も家族の一員として、どうぞよろしくお願いいたします。
父と母、そして今日来てくれたおじさん、おばさん、おばあちゃんには、小さいころから見守ってもらいました。
〇〇さんと二人で、皆さんが気軽に遊びに来られるような、にぎやかな家庭をつくっていきます。
慣れない二人ですので、これからも何かと相談させてください。
本日は、本当にありがとうございました。
自分の失敗を笑いにしながら、新婦の父の温かさも伝わる話です。親族だけの会では、こうした家族どうしの小さな出来事が、いちばんの笑いになります。
笑いのあとは「切り替えの一言」で感謝に移る
笑いを入れた謝辞ほど、両親とゲストへの感謝に移るところで、はっきり空気を切り替えます。切り替えの一言があると、会場も「ここからは聞く場面だ」と分かります。
笑っていただいたところで、ここからは少しまじめにお話しさせてください。
ここだけは、原稿を見ずにお伝えします。
照れくさいので、両親のほうを見ずに申し上げます。
切り替えたあとは、冗談をはさまずに感謝を言い切ります。両親へのお礼の部分では、両親のほうへ体を向けて話しましょう。結びの「本日は、誠にありがとうございました」のあとに、もう一度ボケるのは避けます。せっかくの感謝の言葉より、冗談のほうが耳に残ってしまうからです。
スベったときの一言
謝辞を聞くゲストは、新郎の味方です。笑いが起きなくても、会場はやさしく待ってくれます。大事なのは、スベった(笑いが起きなかった)ことを引きずらず、すぐに次の話へ進むことです。
| 会の雰囲気 | スベったときの対応 |
|---|---|
| 正式な披露宴 | 何も言わずに、次のお礼の文へ進む |
| 友人が中心の会 | 「隣で妻が笑ってくれたので、今日はそれで十分です」 |
| 友人が中心の会 | 「この話の続きは、二次会でゆっくりお話しします」 |
| 親族のみの会 | 「父だけは笑ってくれました。ありがとう」 |
一言を言ったら、すぐに次の文へ進みます。ほかの立て直し方は「滑ったときの返し方」に例があります。
本番でスベりたくないときは
自分の結婚式の謝辞は、準備が大詰めの時期に書くことが多く、笑いの加減まで考える余裕がない人もいるでしょう。人生の節目の挨拶なので、自分で作って外したくない、という気持ちも自然です。
よくある質問
花嫁の手紙のあとで会場が泣いています。それでも笑いを入れていいですか?
入れてかまいません。涙の空気を少しほぐすことも、新郎謝辞の役目です。「新婦の手紙で、私のほうが泣いてしまいました。声がふるえていたら、聞こえないふりをしてください」のように、その場の空気をそのまま言葉にすると自然です。手紙の流れは「花嫁の手紙に笑いを入れるには」も参考になります。
入籍済みの場合は、言い方を変えますか?
新婦は「妻」と呼び、「これから夫婦として」は「〇月に入籍し、夫婦として歩み始めました」に言い換えます。笑いの入れ方は、入籍の前でもあとでも変わりません。
原稿を見ながら話してもいいですか?
大丈夫です。謝辞は原稿を読んでもマナー違反になりません。笑いの一言と、両親へのお礼の部分だけは、顔を上げて話しましょう。顔を上げる場所の印のつけ方は「スピーチのカンペの作り方」で紹介しています。
まとめ
- 新郎謝辞の笑いは、冒頭のつかみと2人のエピソードの2か所にしぼる
- つかみの材料は、自分の緊張、今日の出来事、自分の小さな失敗
- 笑われ役は新郎自身にし、妻はほめる側に置く
- 笑いのあとは切り替えの一言を入れ、両親とゲストへの感謝で締める
- スベっても引きずらず、すぐに次の話へ進む





