両家代表謝辞は改まった挨拶ですが、ユーモアを1つ入れると、会場の空気がふっとなごみます。入れてよいのは、親としての自虐、新郎の子どもの頃の小さな失敗、緊張を認める一言の3つです。笑いは話の中ほどに置き、お願いと結びはまじめに話すのが基本です。
この記事では、入れてよいユーモアと避けたい笑い、笑いを入れた謝辞の構成を紹介します。ユーモア少なめ・多めの例文2本と、笑いを生かす話し方もまとめました。
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両家代表謝辞にユーモアは入れてよい?
入れてかまいません。両家代表謝辞は、披露宴の結びに新郎の父が両家を代表して、ゲストにお礼を述べる挨拶です。花嫁の手紙と花束贈呈のあとで、会場はしんみりした空気になっていることが多く、父のひとことの笑いで、会場がほっとします。
ただし、謝辞の中心はお礼です。笑いは脇役なので、数を決めておきます。会社関係のゲストが多い正式な会なら1つ、親族や友人が中心のなごやかな会でも3つまでが目安です。
長さは2〜3分、原稿は500〜900字ほどが目安です。年配の方はゆっくり話すことが多いので、書いた原稿はスピーチ時間の計算ツールで時間を確かめましょう。笑いが起きると、静まるまで待つ時間も要るので、少し短めに作っておくと安心です。
あとに新郎謝辞が続く場合は、笑いの材料を分けておきます。父は親としての自虐や子どもの頃の話、新郎は2人のエピソードにすると、同じ笑いのくり返しになりません。新郎側の原稿は「新郎謝辞を面白くするには」で紹介しています。
入れてよいユーモア3つ
謝辞に向いている笑いは、どれも「誰も困らない」ことが共通点です。笑われるのが父親自身か、本人も家族も笑える昔の話にかぎります。
親としての自虐
自虐は、自分を少し下げて笑いを取る方法です。笑われるのが父親自身なので、会場は安心して笑えます。
息子の結婚が決まってから、いちばんそわそわしていたのは、本人ではなく私でございました。
〇〇は小学生のころ、夏休みの自由研究で「お父さんの観察日記」を書きました。先生からの感想は、「お父さんは、よく寝ていますね」でした。
自虐は、温かく笑える程度にとどめます。「何の取り柄もない父親で」のように下げすぎると、会場が笑っていいのか迷ってしまいます。
新郎の子どもの頃の小さな失敗
子どもの頃の失敗は、今の成長とつなげると、笑いがそのまま喜びの言葉に変わります。本人が今も笑って話せる、小さな失敗だけを選びましょう。
〇〇は朝が苦手で、毎朝、母親に三回は起こされておりました。その〇〇が、今朝は家族の誰よりも早く起きて、ネクタイを締めておりました。
学校の成績、昔の恋愛、お金のこと、病気やけがの話は避けます。本人が子どもの頃に嫌がっていた話も、親には懐かしくても入れません。
緊張を認める一言
改まった挨拶の前に、父親が緊張していることは、会場の誰もが分かっています。それを素直に言葉にするだけで、温かい笑いになります。
会社では毎日のように人前で話しておりますが、今日ほど手が震えたことはございません。
本日の挨拶の原稿は、妻の厳しい添削を3回受けてまいりました。
緊張の一言は、名乗りのすぐあとに置くのが自然です。言ったあとは、笑いが静まるのを待ってから、お礼の言葉に進みます。
避けたい笑い
両家を代表する立場なので、新婦の家族や会場の一部の人が笑えない話は入れません。仲のよい席では盛り上がりそうな冗談でも、次のものは避けます。
| 避けたい笑い | 例 | 理由 |
|---|---|---|
| 息子をけなす | 「出来の悪い息子で、お恥ずかしい限りです」 | 謙遜のつもりでも、新婦の家族は笑いにくい |
| 人を物にたとえる | 「返品はお受けできませんので」 | 人を物扱いするうえ、「返す」は避けたい言葉 |
| 孫の催促 | 「次は孫の顔を見るのが楽しみです」 | 2人が決めることで、重荷になる |
| 結婚を否定する冗談 | 「結婚生活は我慢の連続です」 | お祝いの場にそぐわない |
| 新婦の家族をネタにする | 新婦の父の酒量や口ぐせをいじる話 | 両家を代表する立場で、相手の家族をいじるのは失礼 |
| 仕事関係の内輪の話 | 社内の人だけが分かる冗談 | 一部のゲストしか笑えない |
妻を話題にするときも、「原稿を妻に直された」のように自分を下げる形にします。妻の欠点を笑う話は、冗談でも避けましょう。
ユーモアを入れた謝辞の構成
ユーモアを入れる場合も、骨組みは「お礼 → 新郎新婦のこと → 笑いの一言 → お願い → 結び」の順です。
| 順番 | 話すこと | ユーモア | 言い回しの例 |
|---|---|---|---|
| 1. 名乗りとお礼 | 新郎の父であること、出席と祝福へのお礼 | 緊張の一言なら置ける | ご多用のところご出席いただき、誠にありがとうございました |
| 2. 新郎新婦のこと | 新婦の家族へのお礼、2人の様子 | なし | 〇〇さんを家族に迎えることができ |
| 3. 笑いの一言 | 自虐か子どもの頃の話を1つ | ここが中心 | 親としては、それだけで胸がいっぱいでございます |
| 4. お願い | 2人を見守ってほしいというお願い | 入れない | 変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう |
| 5. 結び | お詫びと、ゲストの健康を祈る言葉 | 入れない | 皆さまのご健勝とご多幸を祈念いたしまして |
「ご鞭撻(べんたつ)」は、励まして強く導くことです。「祈念(きねん)」は、願いがかなうように祈るという意味です。
構成でいちばん大事なのは、3の笑いのすぐあとに、親の気持ちを一文で受けることです。「親としては、それだけで胸がいっぱいでございます」のような一文があると、笑いが冗談で流れず、温かい話として残ります。
両家代表謝辞の例文2本(ユーモア少し・多め)
〇〇には新郎新婦の名前を入れてください。( )の中は読まずに、動きだけ行います。エピソードは、ご家庭の思い出に書きかえて使います。
例文1:ユーモア少し(正式な披露宴・約2分半)
会社関係のゲストが多い、改まった披露宴向けです。笑いは、新婦が初めて家に来た日の1か所だけです。
新郎の父の〇〇でございます。
両家を代表いたしまして、ひと言ご挨拶を申し上げます。
本日は、ご多用のところ、〇〇と〇〇さんの結婚披露宴にご出席いただき、誠にありがとうございました。
ご来賓の皆さまには、心のこもったご祝辞を賜り、
友人の皆さまには、楽しい余興で宴を盛り上げていただきました。
心より厚くお礼を申し上げます。
〇〇さんのご両親には、大切なお嬢さまを私どもの家族にお迎えすることをお許しいただき、深く感謝しております。
〇〇さんが初めてわが家に来てくれた日、私は緊張のあまり、〇〇さんにお出しするはずのお茶を、自分で飲んでしまいました。
(笑いが静まるのを待つ)
それでも〇〇さんは、明るい笑顔で、私ども夫婦の話に耳を傾けてくれました。
これからは私どもも、〇〇さんの新しい家族として、二人の歩みを温かく見守ってまいります。
とはいえ、二人ともまだ若く、至らない点の多い夫婦でございます。
皆さまには、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、両家一同、心よりお願い申し上げます。
本日は不慣れなことゆえ、行き届かない点もあったかと存じます。
何卒ご容赦いただきますよう、お願い申し上げます。
結びに、ご列席の皆さまのご健勝とご多幸を祈念いたしまして、両家代表のご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
お茶の話は父親の自虐ですが、そのあとに新婦の人柄をほめる一文を続けています。新婦の両親が隣に並んでいるので、この部分では軽くそちらへ体を向けて話しましょう。
例文2:ユーモア多め(親族や友人が中心の会・約2分)
なごやかな会向けに、笑いを3か所入れた例文です。冒頭の緊張の一言、中ほどの子どもの頃の話、新婦への一言の3つです。
新郎の父の〇〇です。
両家を代表して、ひと言お礼を申し上げます。
本日の挨拶の原稿は、妻の厳しい添削を3回受けてまいりました。
(笑いが静まるのを待つ)
今も隣で妻が聞いておりますので、原稿どおりに申し上げます。
本日は、〇〇と〇〇さんのために、たくさんの皆さまにお集まりいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの温かいお言葉と、にぎやかな笑い声に包まれて、二人も、私ども両家の家族も、幸せな時間を過ごすことができました。
息子の〇〇は小学生のころ、運動会の徒競走で、ゴールの手前で私たちに手を振っていて、3人に抜かれました。
(笑いが静まるのを待つ)
あのころから、人の顔を見ると、うれしくなってしまう子でした。
今日も、皆さまのお顔を見て、朝からずっとにこにこしております。
親としては、その笑顔を〇〇さんの隣で見られることが、何よりの喜びでございます。
〇〇さんのご両親には、大切なお嬢さんを私どもの家族に迎えさせていただき、心から感謝しております。
〇〇さん、〇〇をどうぞよろしくお願いします。
わが家の三十年から一つだけ申し上げますと、けんかをしたら、先に「ごめん」と言ったほうが丸く収まります。
(少し間をおく)
わが家では、だいたい私が言っております。
(笑いが静まるのを待つ)
二人の暮らしは、これからが本番です。
どうか皆さま、これからも二人を温かく見守り、ときには励ましてやってください。
本日は行き届かない点もあったかと存じますが、どうかお許しください。
皆さまのご健康とお幸せをお祈りして、お礼の言葉とさせていただきます。
本日は、本当にありがとうございました。
笑いが3つあっても、お願いと結びの5文には冗談を入れていません。最後がまじめに締まっているので、会場には父親の感謝がきちんと残ります。
笑いを生かす話し方と原稿の扱い方
両家代表謝辞は、原稿を読みながら話してかまいません。原稿は両手で胸の高さに広げ、マイクはスタンドに立ててもらいましょう。笑いの一言だけは、原稿から顔を上げて、会場を見て言うと伝わりやすくなります。
- 笑いの一言の前で、半拍だまる
- 顔を上げて、ゆっくり言う(自分から先に笑わない)
- 笑いが起きたら、静まるまで待ってから次の文へ進む
- 笑いが起きなくても、表情を変えずにそのまま次の文へ進む
謝辞は、笑いが起きなくても成り立つ挨拶です。スベった(笑いが起きなかった)としても、言い直したり言い訳をしたりせず、お礼の言葉を続ければ十分です。笑いの場所や間の印を原稿に書きこむ方法は、「スピーチのカンペの作り方」が参考になります。
謝辞の決まり文句で使いがちな言葉の言い換え
謝辞の決まり文句には、お祝いの席で避けたい言葉がうっかり入りやすいものがあります。原稿の段階で、次のように言い換えておきましょう。
| つい使いがちな言い方 | 言い換え |
|---|---|
| 重ね重ねお礼申し上げます | 心より厚くお礼申し上げます |
| お忙しい中 | ご多用のところ |
| 最後になりましたが | 結びに |
| 不手際が多々あったかと存じます | 行き届かない点もあったかと存じます |
「忙しい」は「亡」の字を含むため、結婚式では避けるのが習わしです。笑いのセリフに入りやすい言葉は、「結婚式のスピーチで笑いはマナー違反?」の言い換えの表で確かめられます。
改まった場で失敗したくないときは
両家を代表する挨拶は、言葉づかいにも笑いの加減にも気をつかうものです。仕事をしながら両家の段取りも進めていると、原稿に向き合う時間もなかなか取れません。
よくある質問
ユーモアを入れると、軽い挨拶に聞こえませんか?
お礼とお願いの部分をきちんと話せば、笑いが1つあっても軽くは聞こえません。改まった言葉だけが続くより、父親の人柄が伝わります。笑いのあとに「親としては〜」と気持ちを一文足すのがこつです。
新郎の父がいない場合は、誰が話しますか?
新郎の母、新婦の父、新郎のおじなどが代わりに話すことが多いです。ユーモアの入れ方は同じで、話す人自身の自虐か、新郎の子どもの頃の話を1つ選びます。
新婦の父も話す場合、笑いはどちらが入れますか?
両家の父がそれぞれ話す場合は、2人合わせて3分ほどに収めます。笑いは、どちらか一方が1つ入れれば十分です。2人とも入れると、長くなるうえに、笑いの印象が強くなりすぎます。
まとめ
- 両家代表謝辞にユーモアを入れてよい。正式な会は1つ、なごやかな会でも3つまで
- 材料は、親としての自虐、新郎の子どもの頃の小さな失敗、緊張を認める一言
- 笑いのすぐあとに「親としては〜」の一文で受け、お願いと結びはまじめに話す
- 息子をけなす冗談、人を物にたとえる冗談、孫の催促、新婦の家族いじりは入れない




