花嫁の手紙に笑いを入れるなら、前半の子どもの頃の思い出に1つだけ入れ、後半で感謝に切り替えます。涙だけの手紙より、笑える思い出が1つあるほうが、会場も両親も構えずに聞けます。笑ったあとの「ありがとう」は、かえって深く届きます。
この記事では、笑いを入れる場所と、感謝に切り替える書き方、親が恥ずかしがらない思い出の選び方を紹介します。そのまま使える例文2本と、読む時間の目安、泣いて読めなくなったときの対策もまとめました。
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花嫁の手紙に笑いを1つ入れると、感謝がよく届く
花嫁の手紙は、披露宴の終わり近く、両親への花束贈呈の前に読むことが多いです。会場は「泣ける手紙が始まる」と身構え、両親も緊張して聞いています。
そこで前半に小さな笑いが1つあると、張りつめた空気がふっとゆるみます。お笑いでは、緊張がゆるんだ瞬間に笑いが起きやすいことを「緊張と緩和」と呼びます。一度ゆるんだ心には、そのあとの感謝の言葉がまっすぐ届きます。
笑いと涙が両方ある手紙は、会場が笑いながら泣く「泣き笑い」になります。ただし、手紙の中心はあくまで感謝です。大きな笑いは1つまでにして、後半はまじめな言葉で締めましょう。
笑いは前半の思い出に入れ、後半で感謝に切り替える
花嫁の手紙は、次の順番で書くと、笑いから感謝への流れが自然になります。笑いを入れるのは、3の子どもの頃の思い出だけです。
| パート | 書くこと | 笑い |
|---|---|---|
| 1. ゲストへの前置き | 手紙を読ませてもらうことへの断り | 入れない |
| 2. 両親への呼びかけ | 「お父さん、お母さん」など | 入れない |
| 3. 子どもの頃の思い出 | 場面が浮かぶ思い出1〜2つ | ここに1つ |
| 4. 切り替えの一文 | 笑いのあとに、本当の気持ちへつなぐ | 入れない |
| 5. 感謝 | 思い出につなげた「ありがとう」 | 入れない |
| 6. 新郎の家族へ | これからよろしくお願いします、のひとこと | 入れない |
| 7. 結び | これからの決意と、両親の健康を願う言葉 | 入れない |
切り替えの一文で、笑いを感謝に変える
いちばん大事なのは、4の切り替えの一文です。笑える思い出のすぐあとに、「本当はこうだった」と気持ちを足すと、笑いがそのまま感謝に変わります。
あのころは笑い話でしたが、今になって分かったことがあります。
でも、本当は気づいていました。
あとになって知りました。
結びの前に、前半の笑いをやさしく思い出させる一文を置くと、泣き笑いの手紙になります。たとえば前半で親の口ぐせを笑いにしたなら、結びの前に「今度は私が〜します」とその口ぐせにふれる形です(下の例文2)。そのあとの2文は、まじめな感謝で締めます。
結婚式で避けたい言葉に気をつける
手紙では、「家を出る」「帰る」「戻る」のような言葉が、うっかり入りやすいものです。結婚式では別れや出戻りを思わせるため、「新しい生活を始める」「遊びに行く」などに言い換えます。「最後に」は「結びに」とします。笑いの部分に入りやすい言葉は「結婚式のスピーチで笑いはマナー違反?」で確かめられます。
笑える家族の思い出の選び方
笑いに使う思い出は、親が人前で聞いても恥ずかしがらないものにします。基準は、「親が自分でも人に話している話か」です。
| 選んでよい思い出 | 例 |
|---|---|
| 親の一生懸命さが空回りした話 | 運動会のビデオ係なのに、隣のクラスの子ばかり映っていた |
| 親のほほえましいくせ | 授業参観で、誰よりも大きくうなずいていた |
| 子どもの頃の自分の勘違い | サンタクロースの手紙の字が、父の字にそっくりだった |
| 家族の小さな習慣 | 「いただきます」の前に、父が必ずその日のおかずを解説していた |
反対に、次のような思い出は、会場が笑っても親が困ってしまいます。
| 避けたい思い出 | 理由 |
|---|---|
| 親の見た目や年齢の話 | 大勢の前で、親が恥ずかしい思いをする |
| 夫婦げんかや家の中のもめごと | 両家がそろう場で話すことではない |
| お金や仕事の苦労をくわしく話すこと | 親が気をつかわれる立場になる |
| 親のお酒の失敗や、人に知られたくない失敗 | 親が人前で笑い者になる |
| 兄弟姉妹の秘密 | その場にいる兄弟が困る |
迷った思い出は、兄弟やもう一人の親に「この話、手紙に入れても大丈夫かな」と聞いてみましょう。家族が笑って「いいね」と言う話なら、本番でも会場と一緒に笑えます。
泣き笑いになる花嫁の手紙の例文2本
〇〇には新郎の名前や年数を入れてください。( )の中は読まずに、動きだけ行います。思い出の部分は、ご自分の家族の話に書きかえて使います。
例文1:両親へ(約2分半)
笑いは、父の運動会のビデオの話です。母のお弁当の「ここだけの話です」も、くすっとする一言になっています。
本日は、私たちのためにお集まりいただき、ありがとうございます。
この場をお借りして、両親への感謝の気持ちを伝えさせてください。
お父さん、お母さん。
今日まで、大切に育ててくれて本当にありがとう。
小学生のころ、お父さんは毎年、運動会のビデオ係でしたね。
朝早くから一番前の場所を取ってくれたのに、家で見てみると、私より隣のクラスの子のほうが長く映っていました。
(笑いが静まるのを待つ)
でも、ゴールした私の名前を、誰よりも大きな声で呼んでくれたのは、いつもお父さんでした。
あの声は、今でもはっきり覚えています。
お母さんは、毎朝お弁当を作ってくれました。
高校の三年間、一日も休まずに作ってくれたお弁当には、たまに小さなメモが入っていました。
「テスト、がんばれ」と書かれたメモを、友達に見られないようにこっそり読んでいたのは、ここだけの話です。
一人暮らしを始めてから、毎日のお弁当がどれだけ大変なことだったのか、ようやく分かりました。
お父さん、お母さん、本当にありがとう。
〇〇さんのお父さん、お母さん。
これから家族の一員として、どうぞよろしくお願いいたします。
未熟な私ですが、温かく見守っていただけたらうれしいです。
〇〇さんと二人で、お父さんとお母さんのように、笑い声のあふれる家庭をつくっていきます。
これからは、私たちが少しずつ親孝行をする番です。
どうか体に気をつけて、いつまでも元気でいてください。
〇年間、本当にありがとうございました。
例文2:ひとり親(母)へ(約2分)
母に宛てた例文です。笑いは授業参観の話で、結びの前にもう一度だけ、その話にやさしくふれています。父に宛てる場合も、呼びかけと思い出を入れかえれば同じ形で使えます。
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
少しだけお時間をいただき、母への手紙を読ませてください。
お母さん。
今日まで、本当にありがとう。
小学校の授業参観に、お母さんはいつも一番うしろに立っていましたね。
先生の話にも、私の発表にも、誰よりも大きくうなずくので、クラスのみんなに「〇〇のお母さん、うなずきすぎ」と言われていました。
(笑いが静まるのを待つ)
あとになって知りました。
お母さんは、あの1時間のために、仕事の休みをもらって来てくれていたんですよね。
お母さんは毎朝早くから仕事に向かい、夜遅くまで働いていました。
それでも、夕ごはんだけは必ず一緒に食べてくれました。
私が学校であったことを話し出すと、話が済むまで箸を止めて聞いてくれました。
〇〇さんと出会い、家族をつくることを考えるようになって、
お母さんが私のために、どれだけ多くのことをがまんしてきたのか、少しずつ分かるようになりました。
〇〇さんのご家族の皆さま、これからどうぞよろしくお願いいたします。
お母さん、これからは〇〇さんと二人で、お母さんを笑顔にする番です。
今度は私が、お母さんの話に、誰よりも大きくうなずきます。
お母さんの娘に生まれて、本当に幸せです。
ありがとう。
ひとり親の家庭で育った人は、手紙の相手を1人に絞って書くと自然です。家庭の事情を説明する必要はありません。「してくれたこと」と「感謝」だけで、気持ちは十分に伝わります。
読む時間と文字数の目安
手紙は、ふつうのスピーチよりゆっくり読みます。1分あたり250字前後で読むと考えて、長さを決めましょう。
| 読む時間 | 文字数の目安 | 便せんの枚数 |
|---|---|---|
| 2分 | 500字前後 | 2枚ほど |
| 2分半 | 600字前後 | 2〜3枚 |
| 3分 | 750字前後 | 3枚ほど |
笑いを入れた手紙は、笑いが静まるのを待つ時間と、涙で言葉が止まる時間の両方がかかります。長くても700字ほどに収めると安心です。書いた原稿はスピーチ時間の計算ツールに貼り、出た時間より少し長めに見積もっておきましょう。
泣いて読めなくなったときの対策
手紙の途中で涙があふれるのは、めずらしいことではありません。会場の人も、温かく待ってくれます。前もって次の準備をしておくと、落ち着いて読めます。
- 家で何度も声に出して読み、自分が泣きやすい箇所に印をつける
- 両親に渡す便せんとは別に、大きな文字で「読む用の原稿」を作る
- 読めなくなったときの助け方を、新郎と司会に頼んでおく
- ハンカチを介添人(新婦の身の回りを手伝う会場のスタッフ)に預けておく
読む用の原稿は、1行を短く区切ると、涙でにじんだ目でも追いやすくなります。作り方は「スピーチのカンペの作り方」が参考になります。
当日、声がつまったら、便せんから目を上げ、ゆっくり息を吐いてから、その文の頭から読み直します。どうしても読み進められないときは、新郎に続きを読んでもらい、結びの「ありがとう」だけは自分の声で言いましょう。
笑いの場所で泣いてしまったら
笑ってもらうはずの思い出で、先に涙が出てしまうこともあります。そんなときは「すみません、笑うところで泣いてしまいました」と一言いえば、会場は温かい笑いで待ってくれます。それも、泣き笑いの手紙らしい一場面です。
花嫁の手紙のあとは、両家代表の謝辞や新郎謝辞へと続きます。新郎側の準備は「新郎謝辞を面白くするには」で紹介しています。
一生に一度の手紙で失敗したくないときは
両親への思いは大きいほど、かえって言葉にしにくいものです。笑いを入れたいけれど、親に失礼にならないか自分では判断できない、という人もいるでしょう。
よくある質問
両親は、しんみりした手紙を楽しみにしているようです。笑いを入れてもいいですか?
入れてかまいません。笑いは前半の1か所だけで、後半はまじめな感謝なので、しんみりした手紙であることは変わりません。どうしても気になるなら、「ここだけの話です」のような、くすっとする一言だけにしましょう。
新郎の家族へのひとことに、笑いを入れてもいいですか?
相手を立てる軽い一言なら大丈夫です。たとえば「〇〇さんのお母さん、〇〇さんの好きな料理の味つけを、これから教わりに行かせてください」。こうした一言なら、なごやかな笑顔が生まれます。新郎や新郎の家族をからかう冗談は避けます。
天国の親のことにふれてもいいですか?
ふれてかまいません。「天国のお父さんにも、今日の姿を見てほしかった」のように、1〜2文で短く伝えます。その部分には笑いを入れず、前もって家族と相談しておくと安心です。
まとめ
- 花嫁の手紙の笑いは、前半の子どもの頃の思い出に1つだけ入れる
- 笑いのすぐあとに切り替えの一文を入れ、後半はまじめな感謝で締める
- 笑いに使う思い出は、親が自分でも人に話している、恥ずかしがらない話にする
- 読む時間は2〜3分、笑いを入れるなら700字ほどまでにする
- 泣きやすい箇所に印をつけ、読めなくなったときの助け方を決めておく





