ネタがウケない原因と直し方|録画で見直す順番のチェックリスト

台本の直したい所に、付箋を貼って印をつける人

ネタがウケないときは、ボケを足す前に「設定 → ボケの位置 → 間 → 声」の順に見直すのが近道です。笑いが起きない原因は、ボケそのものより、ボケが届くまでの伝え方にあることがよくあります。録画を見て、お客さんの反応が止まった所から原因を探しましょう。

この記事では、4つの原因の確かめ方と直し方、録画で見直す手順、直す順番のチェックリストをまとめました。直す前と後の台本の例もあるので、自分たちのネタと見比べてみてください。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. ウケない原因は4つに分けて考える
  2. 原因1:設定が伝わっていない
  3. 原因2:ボケの位置がずれている
  4. 原因3・4:間がずれている、声が届いていない
  5. 録画で見直す手順
  6. 直す順番のチェックリスト
  7. 自分たちで直しきれないときは
  8. よくある質問
  9. まとめ

ウケない原因は4つに分けて考える

ネタがウケない原因は、大きく次の4つに分けられます。上の原因ほど、ネタ全体に響きます。設定が伝わっていなければ、どれだけ良いボケも間も、お客さんには届きません。

原因録画で見える様子まず確かめること
設定最初の30秒ほど、客席の反応がほとんどない何の話か、早いうちに1文で伝わるか
ボケの位置ボケのあと、少し遅れて笑う、または笑わないボケの言葉が、文の最後にあるか
間ツッコミのあとの笑いが小さい、すぐ消えるツッコミの速さと、笑い待ち
声前の席は笑うが、後ろの席は反応しない語尾まで聞こえているか

原因を1つに決めつけず、上から順に確かめていきましょう。笑いが起きる仕組みそのものから原因を探す方法は、「笑いが起きる仕組み」でも紹介しています。

原因1:設定が伝わっていない

設定とは、「誰が、どこで、何をしている話か」という、ネタの土台のことです。設定が伝わらないまま話が進むと、お客さんはボケの何がおかしいのかが分からず、笑えません。演じている側は設定を知っているので、伝わっていないことに気づきにくいのが、この原因の難しいところです。

確かめるには、ネタを知らない人に最初の30秒だけ見てもらい、「何の話だった?」と聞いてみます。1文で答えられなければ、設定の伝え方を直しましょう。

台本何の話か分かりにくい書き出し

A昨日、ついに例のあれに行ってきたんだよ。

Bえ、あれ行ったの?

Aもうね、すごかった。

Bだろうね。

台本最初の1行で設定が伝わる書き出し

A昨日、生まれて初めて、ボウリングに行ってきたんだよ。

Bえ、初めてなの?

Aうん。それで、靴を借りる所で、もう3回まちがえた。

B1球目までが長いな。

直したほうは、最初の1行で「初めてボウリングに行った話」だと分かります。設定が早く伝わったので、3行目にはもうボケを置けています。設定は最初の3往復までに言い切ると決めておくと、書き出しが間延びしません。

設定に入る前の、登場してすぐの十数秒も見直しましょう。ここで小さな笑いを1つ取る「つかみ」があると、お客さんが話を聞く姿勢になり、設定も伝わりやすくなります。つかみの例は「漫才のつかみの作り方」にまとめています。

原因2:ボケの位置がずれている

ボケは、お客さんが「ここで笑えばいい」と分かる位置にないと、笑いになりにくくなります。よくあるのは、ボケの言葉がセリフの途中に埋もれているパターンです。

例文ボケの言葉を文の最後に動かす

埋もれている:投げた球が隣のレーンに入って、ピンを全部倒しちゃって、点数は向こうの人に入ったんだけどね。
最後に置く:投げた球が、まっすぐ転がって……隣のレーンのピンを、全部倒した。

上の例では、笑いどころは「隣のレーン」です。直す前は、そのあとに説明が続くので、お客さんは笑うタイミングを失います。ボケの言葉を文の最後に置き、そのあとは何も言わずに、ツッコミを待ちましょう。

ボケの位置については、ほかにも次の点を確かめます。

  • フリ(ボケの前置き)が長すぎて、ボケの前にお客さんが飽きていないか
  • 同じ種類のボケが3回以上続いて、先が読まれていないか
  • いちばん大きなボケが、ネタの前半で出てしまっていないか

原因3・4:間がずれている、声が届いていない

設定とボケの位置を直しても笑いが小さいときは、演じ方を見直します。台本は同じでも、間と声で、笑いの大きさは変わります。

間を確かめる

間(ま)とは、セリフとセリフのあいだの、黙っている時間のことです。録画で、次の3か所を見てみましょう。

  1. ボケの直前に、ほんの少し黙る「ためる間」があるか
  2. ツッコミが早すぎて、ボケの笑いにかぶっていないか
  3. 笑いが起きたのに、笑い声の中で次のセリフを言っていないか

間の長さの目安と練習法は、「漫才の間とテンポの取り方」でくわしく説明しています。

声を確かめる

前の席では笑いが起きるのに、後ろのほうが静かなときは、声が届いていない可能性があります。語尾が消える、ツッコミが弱い、早口になっている、の3つがよくある原因です。

録画するときは、カメラを客席のいちばん後ろに近い位置に置きましょう。後ろの席で聞こえている声で確かめないと、届いていないことに気づけません。声の出し方は、「お笑いの発声練習」で紹介しています。

録画で見直す手順

録画は、ただ見返すだけでは「なんとなく良くなかった」で終わってしまいます。見る順番を決めて、1回ごとに確かめることを分けましょう。

  1. 客席の後ろのほうから、舞台全体とお客さんの声が入るように撮る
  2. 1回目は画面を見ずに、音だけを聞く(声と間を確かめる)
  3. 2回目は音を消して、映像だけを見る(動き・表情・立ち位置を確かめる)
  4. 3回目はふつうに見ながら、笑いが起きた所と起きなかった所を書き出す
  5. 笑いが起きなかったボケを、4つの原因のどれに当たるかで分ける

書き出すときは、時間とセリフと反応を1行にまとめると、あとで見比べやすくなります。

例文録画メモの書き方(ボウリングのネタの場合)

0:05 つかみ「初めてボウリングに行った」 笑い:小
0:18 ボケ「靴を3回まちがえた」 笑い:中
0:41 ボケ「隣のレーンのピン」 笑い:なし → 後ろの説明が長い(ボケの位置)
1:02 ボケ「球を選ぶのに10分」 笑い:小 → ツッコミが早い(間)
1:30 オチ「スコアより靴の話」 笑い:中

ライブなどで録画するときは、主催する人に撮影してよいかを先に確かめましょう。ほかの出演者やお客さんが映りこむこともあるので、映像を人に見せたり、ネットに出したりするときは注意が必要です。

直す順番のチェックリスト

録画メモができたら、次のチェックリストを上から順に確かめます。一度に全部を直すと、どの直しが効いたのか分からなくなります。1回の見直しで直すのは、1〜2か所までにしましょう。

上から順に確かめること

  • 何の話か、最初の30秒以内に1文で伝わるか
  • お客さんが知らない言葉や、内輪の話が入っていないか
  • フリが長すぎず、ボケの言葉が文の最後にあるか
  • 同じ種類のボケが3回以上続いていないか
  • 後半にいくほど、ずれ(ふつうとのちがい)が大きくなっているか
  • ツッコミが、ボケが伝わったすぐあとに入っているか
  • 笑いが起きた所で、笑い待ちをしているか
  • いちばん後ろの席まで、語尾が聞こえているか
  • 持ち時間を超えていないか
  • 容姿や年齢などをからかう、人を傷つける笑いが入っていないか

最後の項目は、笑いの量とは別に、毎回確かめます。人を傷つける笑いは、一部の人が笑っても、会場全体の空気を冷やしてしまいます。

ネタのせいとは限らないこともある

同じネタでも、会場の広さやお客さんの顔ぶれ、出番の順番で反応は変わります。1回ウケなかっただけで、ネタを捨てる必要はありません。場所を変えて何回か演じ、毎回同じ所で笑いが起きないなら、そこを直しましょう。

自分たちで直しきれないときは

チェックリストを順に確かめても、どこを直せばよいか分からないこともあります。何度も演じているネタほど、自分たちでは良し悪しを判断しにくくなるものです。

よくある質問

友達には笑ってもらえるのに、ライブだとウケません。

友達は、あなたの人柄やふだんの話し方を知っているので、説明が足りなくても笑ってくれます。初めて見るお客さんには、その分の説明が必要です。内輪の言葉が入っていないか、設定が最初に伝わっているかを確かめましょう。

ボケの数を増やせば、ウケるようになりますか?

数を増やす前に、今あるボケが届いているかを確かめましょう。届いていないボケを増やしても、笑いは増えません。弱いボケを削って、残ったボケの前のフリを整えるほうが、全体の笑いが大きくなることもよくあります。

何回ウケなかったら、ネタを作り直すべきですか?

場所やお客さんを変えて何回か演じ、毎回ほとんど笑いがないなら、設定から見直す時期です。ただ、1か所でも笑いが起きているなら、その部分を生かして、ほかを作りかえる方法もあります。全部を捨てずに、ウケた所を残しましょう。

まとめ

  • ネタがウケないときは、ボケを足す前に「設定 → ボケの位置 → 間 → 声」の順に見直す
  • 設定は最初の3往復までに伝え、ボケの言葉は文の最後に置く
  • 録画は「音だけ → 映像だけ → 通して」の3回に分けて見る
  • チェックリストを上から確かめ、1回に直すのは1〜2か所までにする
  • 1回ウケなかっただけで捨てず、ウケた所を残して直していく
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