ネタがウケないときは、ボケを足す前に「設定 → ボケの位置 → 間 → 声」の順に見直すのが近道です。笑いが起きない原因は、ボケそのものより、ボケが届くまでの伝え方にあることがよくあります。録画を見て、お客さんの反応が止まった所から原因を探しましょう。
この記事では、4つの原因の確かめ方と直し方、録画で見直す手順、直す順番のチェックリストをまとめました。直す前と後の台本の例もあるので、自分たちのネタと見比べてみてください。
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ウケない原因は4つに分けて考える
ネタがウケない原因は、大きく次の4つに分けられます。上の原因ほど、ネタ全体に響きます。設定が伝わっていなければ、どれだけ良いボケも間も、お客さんには届きません。
| 原因 | 録画で見える様子 | まず確かめること |
|---|---|---|
| 設定 | 最初の30秒ほど、客席の反応がほとんどない | 何の話か、早いうちに1文で伝わるか |
| ボケの位置 | ボケのあと、少し遅れて笑う、または笑わない | ボケの言葉が、文の最後にあるか |
| 間 | ツッコミのあとの笑いが小さい、すぐ消える | ツッコミの速さと、笑い待ち |
| 声 | 前の席は笑うが、後ろの席は反応しない | 語尾まで聞こえているか |
原因を1つに決めつけず、上から順に確かめていきましょう。笑いが起きる仕組みそのものから原因を探す方法は、「笑いが起きる仕組み」でも紹介しています。
原因1:設定が伝わっていない
設定とは、「誰が、どこで、何をしている話か」という、ネタの土台のことです。設定が伝わらないまま話が進むと、お客さんはボケの何がおかしいのかが分からず、笑えません。演じている側は設定を知っているので、伝わっていないことに気づきにくいのが、この原因の難しいところです。
確かめるには、ネタを知らない人に最初の30秒だけ見てもらい、「何の話だった?」と聞いてみます。1文で答えられなければ、設定の伝え方を直しましょう。
台本何の話か分かりにくい書き出し
A昨日、ついに例のあれに行ってきたんだよ。
Bえ、あれ行ったの?
Aもうね、すごかった。
Bだろうね。
台本最初の1行で設定が伝わる書き出し
A昨日、生まれて初めて、ボウリングに行ってきたんだよ。
Bえ、初めてなの?
Aうん。それで、靴を借りる所で、もう3回まちがえた。
B1球目までが長いな。
直したほうは、最初の1行で「初めてボウリングに行った話」だと分かります。設定が早く伝わったので、3行目にはもうボケを置けています。設定は最初の3往復までに言い切ると決めておくと、書き出しが間延びしません。
設定に入る前の、登場してすぐの十数秒も見直しましょう。ここで小さな笑いを1つ取る「つかみ」があると、お客さんが話を聞く姿勢になり、設定も伝わりやすくなります。つかみの例は「漫才のつかみの作り方」にまとめています。
原因2:ボケの位置がずれている
ボケは、お客さんが「ここで笑えばいい」と分かる位置にないと、笑いになりにくくなります。よくあるのは、ボケの言葉がセリフの途中に埋もれているパターンです。
埋もれている:投げた球が隣のレーンに入って、ピンを全部倒しちゃって、点数は向こうの人に入ったんだけどね。
最後に置く:投げた球が、まっすぐ転がって……隣のレーンのピンを、全部倒した。
上の例では、笑いどころは「隣のレーン」です。直す前は、そのあとに説明が続くので、お客さんは笑うタイミングを失います。ボケの言葉を文の最後に置き、そのあとは何も言わずに、ツッコミを待ちましょう。
ボケの位置については、ほかにも次の点を確かめます。
- フリ(ボケの前置き)が長すぎて、ボケの前にお客さんが飽きていないか
- 同じ種類のボケが3回以上続いて、先が読まれていないか
- いちばん大きなボケが、ネタの前半で出てしまっていないか
原因3・4:間がずれている、声が届いていない
設定とボケの位置を直しても笑いが小さいときは、演じ方を見直します。台本は同じでも、間と声で、笑いの大きさは変わります。
間を確かめる
間(ま)とは、セリフとセリフのあいだの、黙っている時間のことです。録画で、次の3か所を見てみましょう。
- ボケの直前に、ほんの少し黙る「ためる間」があるか
- ツッコミが早すぎて、ボケの笑いにかぶっていないか
- 笑いが起きたのに、笑い声の中で次のセリフを言っていないか
間の長さの目安と練習法は、「漫才の間とテンポの取り方」でくわしく説明しています。
声を確かめる
前の席では笑いが起きるのに、後ろのほうが静かなときは、声が届いていない可能性があります。語尾が消える、ツッコミが弱い、早口になっている、の3つがよくある原因です。
録画するときは、カメラを客席のいちばん後ろに近い位置に置きましょう。後ろの席で聞こえている声で確かめないと、届いていないことに気づけません。声の出し方は、「お笑いの発声練習」で紹介しています。
録画で見直す手順
録画は、ただ見返すだけでは「なんとなく良くなかった」で終わってしまいます。見る順番を決めて、1回ごとに確かめることを分けましょう。
- 客席の後ろのほうから、舞台全体とお客さんの声が入るように撮る
- 1回目は画面を見ずに、音だけを聞く(声と間を確かめる)
- 2回目は音を消して、映像だけを見る(動き・表情・立ち位置を確かめる)
- 3回目はふつうに見ながら、笑いが起きた所と起きなかった所を書き出す
- 笑いが起きなかったボケを、4つの原因のどれに当たるかで分ける
書き出すときは、時間とセリフと反応を1行にまとめると、あとで見比べやすくなります。
0:05 つかみ「初めてボウリングに行った」 笑い:小
0:18 ボケ「靴を3回まちがえた」 笑い:中
0:41 ボケ「隣のレーンのピン」 笑い:なし → 後ろの説明が長い(ボケの位置)
1:02 ボケ「球を選ぶのに10分」 笑い:小 → ツッコミが早い(間)
1:30 オチ「スコアより靴の話」 笑い:中
ライブなどで録画するときは、主催する人に撮影してよいかを先に確かめましょう。ほかの出演者やお客さんが映りこむこともあるので、映像を人に見せたり、ネットに出したりするときは注意が必要です。
直す順番のチェックリスト
録画メモができたら、次のチェックリストを上から順に確かめます。一度に全部を直すと、どの直しが効いたのか分からなくなります。1回の見直しで直すのは、1〜2か所までにしましょう。
上から順に確かめること
- 何の話か、最初の30秒以内に1文で伝わるか
- お客さんが知らない言葉や、内輪の話が入っていないか
- フリが長すぎず、ボケの言葉が文の最後にあるか
- 同じ種類のボケが3回以上続いていないか
- 後半にいくほど、ずれ(ふつうとのちがい)が大きくなっているか
- ツッコミが、ボケが伝わったすぐあとに入っているか
- 笑いが起きた所で、笑い待ちをしているか
- いちばん後ろの席まで、語尾が聞こえているか
- 持ち時間を超えていないか
- 容姿や年齢などをからかう、人を傷つける笑いが入っていないか
最後の項目は、笑いの量とは別に、毎回確かめます。人を傷つける笑いは、一部の人が笑っても、会場全体の空気を冷やしてしまいます。
ネタのせいとは限らないこともある
同じネタでも、会場の広さやお客さんの顔ぶれ、出番の順番で反応は変わります。1回ウケなかっただけで、ネタを捨てる必要はありません。場所を変えて何回か演じ、毎回同じ所で笑いが起きないなら、そこを直しましょう。
自分たちで直しきれないときは
チェックリストを順に確かめても、どこを直せばよいか分からないこともあります。何度も演じているネタほど、自分たちでは良し悪しを判断しにくくなるものです。
よくある質問
友達には笑ってもらえるのに、ライブだとウケません。
友達は、あなたの人柄やふだんの話し方を知っているので、説明が足りなくても笑ってくれます。初めて見るお客さんには、その分の説明が必要です。内輪の言葉が入っていないか、設定が最初に伝わっているかを確かめましょう。
ボケの数を増やせば、ウケるようになりますか?
数を増やす前に、今あるボケが届いているかを確かめましょう。届いていないボケを増やしても、笑いは増えません。弱いボケを削って、残ったボケの前のフリを整えるほうが、全体の笑いが大きくなることもよくあります。
何回ウケなかったら、ネタを作り直すべきですか?
場所やお客さんを変えて何回か演じ、毎回ほとんど笑いがないなら、設定から見直す時期です。ただ、1か所でも笑いが起きているなら、その部分を生かして、ほかを作りかえる方法もあります。全部を捨てずに、ウケた所を残しましょう。
まとめ
- ネタがウケないときは、ボケを足す前に「設定 → ボケの位置 → 間 → 声」の順に見直す
- 設定は最初の3往復までに伝え、ボケの言葉は文の最後に置く
- 録画は「音だけ → 映像だけ → 通して」の3回に分けて見る
- チェックリストを上から確かめ、1回に直すのは1〜2か所までにする
- 1回ウケなかっただけで捨てず、ウケた所を残して直していく






