漫才のつかみの作り方|最初の10秒で笑わせる例20

センターマイクの前で、相方を紹介しながら漫才を始める2人

漫才のつかみは、登場してから10秒ほどで出す短い笑いです。名前を覚えてもらう、2人の関係を見せる、会場の緊張をほどく、という3つの役目があります。材料を「自己紹介・見た目・季節」のどれかに決め、型に当てはめると作りやすくなります。

この記事では、つかみの役目と型、作る手順を説明したあと、そのまま形をまねできるオリジナルのつかみを20個紹介します。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 漫才のつかみとは?最初の10秒の3つの役目
  2. つかみは「材料」と「型」で作る
  3. オリジナルのつかみ例|自己紹介・登場(1〜8)
  4. オリジナルのつかみ例|見た目(9〜14)
  5. オリジナルのつかみ例|季節・その日の話題(15〜20)
  6. つかみから本題へのつなぎ方
  7. よくある質問
  8. まとめ

漫才のつかみとは?最初の10秒の3つの役目

つかみ(ツカミ)とは、ネタの最初に置く短い笑いのことです。お客さんの心をつかむ、という意味からこう呼ばれます。長さはセリフ2〜4行、時間にして10秒前後が目安です。

つかみには、次の3つの役目があります。

  • 名前と顔を覚えてもらう:何組も出るライブや大会では、最初の印象がそのまま記憶に残る
  • 2人の関係を見せる:どちらがボケで、どちらがツッコミかが、最初の数行で伝わる
  • 会場をほぐす:最初に小さく笑ってもらうと、お客さんが「笑っていい場だ」と感じる

つかみは、大きな笑いを取る場所ではありません。小さくても確実に伝わる笑いを選ぶのがコツです。凝った言葉遊びより、見てすぐ分かる、聞いてすぐ分かるものが向いています。

つかみは「材料」と「型」で作る

つかみを作るときは、先に材料を決め、そこに型を当てはめます。材料は、自己紹介、見た目(服・持ち物・立ち位置)、季節やその日の話題の3つが使いやすいです。どれも、お客さんがその場で知っていることなので、説明がいりません。

型は、次の4つです。下で紹介する20個の例が、どの型にあたるかも書いておきました。

型流れ例の番号
盛って直すボケが大げさに言い、ツッコミが本当のことを言う3、5、9、10
予告して外す期待させてから、自分で小さくしたり、取り消したりする4、6、8、13、15、16、17
やりすぎるお礼や説明、動きを、必要以上に続ける1、7、12、18
場とずらす季節や天気、その場の状況と合わないことをする2、11、14、19、20

つかみを作る手順

  1. 材料を1つ決める(名前、服、その日の季節など)
  2. その材料について、本当のことを1行で書く(例:今日は晴れている)
  3. 4つの型から1つ選んで、ボケの1行にする
  4. ツッコミは、10文字前後の短い一言にする
  5. 声に出して、10秒前後で終わるか確かめる
  6. 本題の最初の話題へ、自然につながるかを見る

ツッコミを短くするのは、つかみの笑いを素早く終わらせて、本題に時間を残すためです。

オリジナルのつかみ例|自己紹介・登場(1〜8)

ここからの20個は、どれもこの記事のために作ったものです。Aがボケ、Bがツッコミです。〇〇にはコンビ名、△△には相方の名前を入れてください。

時間
1つ5〜15秒
人数
2人
準備物
なし(9〜11は服や名札を使う)
難しさ
★(12と14は動きの練習がいるので★★)

台本自己紹介・登場のつかみ

(1 拍手へのお礼が長い)

Aありがとうございます。ありがとうございます。本当にありがとうございます。

Bまだ何もしてないよ。

(2 あいさつがそろわない)

A・Bどうも、〇〇です。

A……です。

B1人だけ遅れるな。あんなに練習したのに。

(3 相方の紹介を盛る)

Aこちら、相方の△△。100メートルを9秒で走ります。

B走れないよ。17秒くらいだよ。

A……100メートルを17秒で走る、△△です。

B正直に言い直さなくていいんだよ。

(4 意気込みが急に小さくなる)

A今日は、ここにいる全員を笑わせて帰ります。

Bおお、言ったね。

A……最低でも、1人。

B目標が急に小さくなったな。

(5 時間をきっちり計算した)

A僕たち、ふだんは経理の仕事をしています。今日のネタも、2分ぴったりに計算してきました。

B今のあいさつで、もう10秒使ってるよ。

(6 結成の記念日)

A実は今日で、コンビを組んでちょうど1年なんです。

Bえ、そうなの?

A……たぶん。

B自信がないなら言うなよ。

(7 自己紹介が細かすぎる)

A〇〇です。好きな食べ物はカレー。昨日の夜もカレー、今朝もカレーでした。

Bカレーの報告はいらないよ。

Aお昼は、カレーうどんです。

Bまだ続けるな。

(8 コンビ名の由来)

Aまずは、コンビ名の由来を説明させてください。

Bお、いいね。

A……長くなるので、また今度。

Bじゃあ言い出すなよ。

1〜8は、言葉を少し入れかえるだけで、どんなコンビでも使える形です。3の「100メートル」や5の「経理」、7の「カレー」を2人の本当のことに入れかえると、自分たちだけのつかみになります。

オリジナルのつかみ例|見た目(9〜14)

見た目のつかみは、お客さんが目で確かめられるので、伝わるのが速いのが良い所です。ただし、材料にしてよいのは、服や持ち物、立ち位置など、本人が選んだものだけです。

見た目のつかみで気をつけること

体型、顔、髪の量、年齢など、本人が選べないことは材料にしません。自分で自分をいじる場合でも、同じ悩みを持つお客さんが笑えなくなることがあります。服や小物、動きで作りましょう。

台本見た目のつかみ

(9 服の色がそろっている)

A今日は、2人で服の色をそろえてきました。

B打ち合わせはしてないけどね。

A……たまたま、そろいました。

B仲良しみたいになっちゃったよ。

(10 いちばんいい服)

A今日は勝負の日なので、いちばんいい服を着てきました。

Bそれ、いつものパーカーだよね。

Aいちばんいいパーカーです。

Bパーカーの中で選ぶなよ。

(11 名札が裏返し)

A名前を覚えてもらうために、名札をつけてきました。

B裏返しになってるよ。

A……裏にも書いておけばよかった。

B表に向ければいいんだよ。

(12 マイクの高さを直す)

(Aが、時間をかけてマイクの高さを調節する)

A……よし。

B元の高さに戻しただけだろ。

(13 見た目どおり)

Aよく、見た目でボケのほうだと思われるんですけど。

Bうん。

A……ボケです。

Bじゃあ、見た目どおりだよ。

(14 立ち位置がしっくりこない)

A(Bの左に立って)あれ、いつもと逆だ。

(2人が入れかわる)

A……こっちも、しっくりこない。

Bじゃあ、どこならいいんだよ。

9は、2人の服の色が本当にそろっている日だけ使えます。そろっていない日は、「今日は、2人で服の色をそろえてきました」「全然ちがうよ」と、反対の形にしても成り立ちます。

オリジナルのつかみ例|季節・その日の話題(15〜20)

季節のつかみは、その時期にしか使えない代わりに、「今日のために作ってきた」感じが出ます。行事や天気など、その場の全員が知っていることを材料にしましょう。

台本季節・その日の話題のつかみ

(15 春:新しい手帳)

A春は、新しいことを始めたくなりますね。新しい手帳を買いました。

Bいいね。何を書いたの?

Aまだ、名前だけです。

B始まってないよ。

(16 夏:涼しくなるもの)

A暑いですね。みなさんに少しでも涼しくなってほしくて。

Bうん。

A寒いギャグを10個用意してきました。

Bそういう涼しさはいらないんだよ。

(17 秋:〇〇の秋)

A秋は、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋といいますけど。

Bいいますね。

A僕は、全部まとめて休む秋にします。

Bまとめ方がおかしいだろ。

(18 冬:布団から出られない)

A寒くなりましたね。今朝、布団から出るまで40分かかりました。

Bかかりすぎだよ。

A出てから戻るまでは、5分でした。

B戻るなよ。

(19 季節外れのあいさつ)

Aメリークリスマス。

Bまだ10月だよ。

A早めに言っておこうと思って。

B早すぎるよ。

(20 その日の天気)

A今日は雨の中、来てくださってありがとうございます。

B晴れてるよ。

A……僕の心の中は、朝から雨でした。緊張で。

B始まる前から、湿っぽくするな。

19は、演じる月に合わせて、2〜3か月先の行事に入れかえて使います。20は、晴れの日の形です。本当に雨の日なら、「今日はいい天気の中」と言って「降ってるよ」と返す形にできます。

つかみから本題へのつなぎ方

つかみで笑いが起きたら、すぐに本題へ移ります。つなぎ方は、次の3つのどれかにすると自然です。

  1. つかみの話題をそのまま本題にする(例:15の手帳から、予定の立て方の話へ)
  2. ツッコミの一言で区切って、別の話題を出す(例:「それはいいとして」)
  3. つかみの話題をいったん置き、最後のオチでもう一度使う

1の形を、15のつかみで書くと次のようになります。

台本つかみから本題へ(約20秒)

A春は、新しいことを始めたくなりますね。新しい手帳を買いました。

Bいいね。何を書いたの?

Aまだ、名前だけです。

B始まってないよ。

Aだから今日は、この手帳に書く予定を、一緒に考えてほしいんです。

Bいいよ。まずは、どんな予定を入れたいの?

3の形は、最初に出した言葉を最後に回収する「伏線回収」になります。最後の笑いが大きくなりやすいので、慣れてきたら試してみてください。くわしいやり方は「ネタの伏線回収のやり方」で説明しています。漫才全体の流れの中でつかみをどこに置くかは、「漫才の台本の書き方」が参考になります。

つかみを決める前に確かめること

  • セリフは2〜4行、10秒前後で終わるか
  • 初めて見たお客さんにも、説明なしで伝わるか
  • 体型や年齢など、本人が選べないことを材料にしていないか
  • ツッコミの一言が短く、聞き取りやすいか
  • 本題の最初の話題へ、無理なくつながるか

よくある質問

つかみは毎回同じでもいいですか?

かまいません。いつも同じつかみがあると、コンビの名前と一緒に覚えてもらいやすくなります。ただ、同じお客さんが何度も見に来るライブでは、季節のつかみを足すなどして、少しずつ変えると新しさが出ます。

つかみがウケなかったら、どうすればいいですか?

気にせず、予定どおり本題に入りましょう。つかみは小さな笑いなので、ウケなくてもネタ全体には響きにくいものです。その場で使える一言は「滑ったときの返し方」にまとめています。

結婚式の余興で漫才をするときも、つかみは必要ですか?

あると、会場がなごみます。ただし、最初に新郎新婦へのお祝いを言ってから、自己紹介のつかみに入る順番にしましょう。余興ならではの流れは「結婚式の余興で漫才をするなら」で紹介しています。

まとめ

  • つかみは、登場から10秒前後で出す、セリフ2〜4行の短い笑い
  • 材料は自己紹介・見た目・季節から選び、4つの型に当てはめて作る
  • 見た目のつかみは、服や持ち物など本人が選んだものだけを材料にする
  • ツッコミは短くして、すぐに本題へつなぐ
  • 最初に出した話題を最後に使うと、伏線回収のオチにもなる
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