漫才の練習は、「読み合わせ → 立ち稽古 → 通し稽古」の3段階で進めると、むだなく仕上がります。座って台本を直す、立って動きと間を決める、本番どおりに止めずに演じる、と段階ごとに確かめることを分けるのがコツです。
この記事では、3つの段階でやることと、練習場所の選び方、持ち時間ごとの練習量の目安をまとめました。本番まで4週間ある場合の練習計画の例もあるので、2人の予定に合わせて使ってください。
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漫才の練習は3つの段階で進める
いきなり立って通そうとすると、セリフの直しと動きの練習が混ざり、どこが良くなったのか分からなくなります。段階を分けて、1回の練習で確かめることを絞りましょう。
| 段階 | すること | 台本 | 回数の目安 |
|---|---|---|---|
| 読み合わせ | 座って声に出して読み、言いにくい所や長い所を直す | 見ながら | 2〜5回 |
| 立ち稽古 | 立って、立ち位置・しぐさ・間を場面ごとに決める | 見ながら→手放す | 5〜10回 |
| 通し稽古 | 本番と同じ形で、最初から最後まで止めずに演じる | 見ない | 10回以上 |
回数は、2〜3分のネタを想定した目安です。立ち稽古で台本の問題が見つかったら、その場面だけ読み合わせに戻ってかまいません。行ったり来たりしながら、少しずつ本番の形に近づけていきます。
読み合わせ:座って台本を声に出す
読み合わせは、2人で座ったまま、台本を声に出して読む練習です。目で読んだときには気づかなかった、言いにくい言葉や長すぎるセリフが見つかります。この段階では、上手に演じることより、台本の引っかかりを見つけることを優先しましょう。
- 止めずに最後まで1回読み、全体の長さをつかむ
- スマホのストップウォッチで時間を測る
- 言いにくいセリフに印をつけ、ふだん使う言葉に言いかえる
- 笑いどころと、ひと呼吸あける所に印をつける
- 「分かりにくかった所」を1つずつ言い合い、台本を直す
印は、2人で同じ記号を使うと、あとで見返したときに迷いません。たとえば「★=笑いどころ」「/=ひと呼吸あける」「↑=声を張る」と決めておきます。下は、読み合わせのあとに印を書きこんだ台本の一部です。
台本忘れ物センター(印を書きこんだ一部)
Aすみません、駅に傘を忘れたんですけど。
Bはい、どんな傘でしょう。
Aビニール傘です。/取っ手が少し曲がっていて。
Bこちらですか。(棚から1本取り出すしぐさ)
Aいや、もうちょっと曲がってます。
B……では、こちら。★
Aあ、近い。/でも、もっとこう、人生に疲れた感じの。★
B傘の人生で選んでるの?↑
★のついた所は、通し稽古で笑いを待つ候補になります。↑の所は、ツッコミを強く短く言う場所です。印をつけておくと、立ち稽古で「どこで間をあけるか」を一から話し合わずに済みます。
立ち稽古:立って動きと間を決める
立ち稽古は、立って、しぐさや立ち位置をつけながら、場面ごとに区切って練習する段階です。台本は手に持っていてかまいません。センターマイク(2人の真ん中に立てる1本のマイク)がない場所では、代わりの目印を置きます。台の上にペットボトルを立てるなど、口の高さに近い物を使うと、本番の感じがつかめます。
進め方は、ネタを「つかみ」「本題の前半」「本題の後半」「オチ」くらいに区切り、1つの場面を3回ずつくり返す形がおすすめです。つかみとは、最初に小さな笑いを取る部分のことです。区切って練習すると、苦手な場面だけを重点的に直せます。
立ち稽古で決めておくこと
- 2人の立ち位置と、マイクとの距離
- 登場のしかたと、最初のあいさつで向く方向
- ツッコミのしぐさ(手を出す向きと、ふれる強さ)
- 笑い待ちを入れる場所
- 最後のあいさつと、はける(舞台から下がる)方向
立ち位置やマイクとの距離の決め方は「漫才の立ち位置とマイクの使い方」で説明しています。笑いが起きたあとに次のセリフを待つ「笑い待ち」の長さは、「漫才の間とテンポの取り方」を参考にしてください。
台本を手放すのは立ち稽古の後半
立ち稽古を何回かくり返したら、台本を置いて演じてみましょう。言葉が少し変わってもよいので、流れが止まらないことを優先します。セリフの覚え方は「ネタの覚え方」で、話の流れから順に覚える方法を紹介しています。
通し稽古:本番と同じ形で止めずに演じる
通し稽古は、登場から最後のあいさつまで、本番とまったく同じ流れで演じる練習です。いちばん大事な決まりは、間違えても止めないことです。練習で止まるくせがつくと、本番でも同じ所で止まってしまいます。
通し稽古では、次の3つを毎回確かめます。
- 時間:持ち時間より少し短く収まっているか(本番は笑い待ちの分だけ延びる)
- 流れ:止まった所や、言い直した所がないか
- 反応:見ている人が笑った所と、笑わなかった所
時間は、台本を貼って目安を出すこともできます。
1人でもよいので、誰かに見てもらう回を作りましょう。お客さんがいると、2人だけでは分からなかった「笑いが起きる所」と「起きない所」がはっきりします。見てもらえる人がいないときは、スマホで撮って見返します。録画の見方は「ネタがウケない原因と直し方」でまとめています。
1回の通しで直すのは3つまで
通しのたびに気になる所を全部直そうとすると、ネタがまとまらなくなります。終わったら2人で「直す所」を3つまでにしぼり、次の通しでその3つだけを確かめましょう。
練習場所の選び方
段階によって、必要な広さや、出してよい声の大きさが変わります。全部を同じ場所でやろうとせず、段階に合わせて使い分けると、お金も時間もかけずに済みます。
| 場所 | 向いている段階 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 自宅・オンライン通話 | 読み合わせ | 夜は声を落とす。通話は音が遅れて、間が合わないことがある |
| カラオケの個室 | 立ち稽古・通し稽古 | 料金は時間制のことが多い。部屋がせまいと動きが小さくなる |
| 公民館・地域の集会室 | 立ち稽古・通し稽古 | 予約が必要なことが多い。使える人や目的の決まりは施設ごとに違う |
| 貸しスタジオ・貸し会議室 | 通し稽古 | 本番に近い広さで練習できる。料金は1時間単位のことが多い |
| 公園・河川敷 | 声出し・通し稽古 | 周りの迷惑にならない時間と場所を選ぶ。施設の決まりを確かめる |
| 職場や学校の空き部屋 | 読み合わせ・立ち稽古 | 使ってよいか、先に許可を取る |
本番の会場が広い場合は、本番の前に1回だけでも、広い場所で通しておくと安心です。せまい部屋だけで練習していると、声の大きさや動きが小さいまま本番を迎えてしまいます。
持ち時間ごとの練習量の目安
どのくらい練習すればよいかは、ネタの長さと、2人が人前に慣れているかで変わります。下の表は、はじめて人前で漫才をする2人を想定した目安です。
| 持ち時間 | 準備期間 | 2人で集まる回数 | 通し稽古の回数 |
|---|---|---|---|
| 1〜2分(余興・出し物) | 2〜3週間 | 3〜4回 | 10回ほど |
| 3〜4分(ライブ・大会の予選) | 1か月以上 | 6〜8回 | 15〜20回 |
集まる練習は、1回1〜2時間で区切るのがおすすめです。長く続けると声がかれ、集中も切れて、後半の通しが雑になります。集まらない日は、1人で毎日10分ほど台本を声に出して読むだけでも、仕上がりが変わります。
4週間の練習計画の例
3分のネタを、4週間後の本番に向けて仕上げる場合の例です。2人で集まるのは、週1〜2回で済みます。
| 時期 | 2人でやること | 1人でやること |
|---|---|---|
| 1週目 | 読み合わせ2回。台本を直し、時間を測る | 毎日1回、台本を音読する |
| 2週目 | 立ち稽古2回。場面ごとに動きと間を決める | 話の流れを覚える |
| 3週目 | 立ち稽古1回のあと、通し稽古を5回 | 相手のセリフも含めて覚える |
| 4週目 | 集まるたびに通し稽古を5回ほど。人に見てもらう回と、本番と同じ服で通す回を作る | 録画を見て、直す所を3つまで書き出す |
| 前日 | 通し稽古を2〜3回だけ。新しいことは足さない | 早めに寝る |
前日に台本を大きく変えると、覚えたセリフと混ざって飛びやすくなります。直したくなっても、前日は言い方を整える程度にとどめましょう。
2人の予定が合わないときの練習
仕事や学校があると、2人で集まれる日は限られます。集まる日は立ち稽古と通し稽古に使い、読み合わせはオンライン通話で済ませると、集まる回数を減らせます。
1人で掛け合いの練習をしたいときは、相方のセリフを録音してもらう方法があります。こちらのセリフの分だけ間をあけて読んでもらい、そのすき間に自分のセリフを入れていきます。相手の声を聞いてから話すタイミングが、1人でもつかめるようになります。
よくある質問
1日に何時間練習すればいいですか?
時間の長さより、毎日続けることのほうが大切です。1人の音読なら10〜15分、2人で集まる日も1〜2時間で十分です。長い練習を週1回するより、短い練習を何日も重ねたほうが、セリフも間も体になじみます。
練習しすぎて、ネタが面白く感じなくなりました。
何度も演じていると、自分たちにとっての新しさがなくなるのは自然なことです。初めて見る人にとっては新しいネタなので、笑いどころを削る必要はありません。迷ったら、まだ見ていない人に通しを見てもらい、反応で判断しましょう。
相方とやり方の意見が合いません。
両方のやり方で1回ずつ通し、録画を見比べて決めるのがおすすめです。話し合いだけで決めようとすると、言い方の強いほうの案に決まりがちです。見てくれる人がいれば、どちらが笑えたかを聞くのがいちばん確かです。
まとめ
- 漫才の練習は「読み合わせ → 立ち稽古 → 通し稽古」の順に、確かめることを分けて進める
- 読み合わせでは台本の引っかかりを見つけ、印をつけて2人で共有する
- 通し稽古は間違えても止めず、時間・流れ・反応の3つを確かめる
- 練習場所は段階に合わせて使い分け、本番の前に一度は広い場所で通す
- 集まる練習は1回1〜2時間で区切り、集まらない日は1人で毎日音読する






