ツッコミの種類は、ボケのずれを「どうやって指摘するか」で分けられます。基本の否定や訂正のほかに、例え・ノリ・無視のように変化をつける型もあります。この記事では、漫才やコントで使う10の型を、オリジナルの例文つきで紹介します。
ツッコミとは、ボケのずれを言葉や動きで示して、お客さんに笑いどころを伝える役目です。ふだんの会話での練習は「ツッコミが上手くなる方法」にまとめているので、ここでは漫才やコントの台本で使う型に絞ります。
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ツッコミの種類10の早見表
| 型 | やり方 | 言い方の例 | 強さ |
|---|---|---|---|
| 1. 否定 | 違うと言い切る | 「違うだろ」「なんでだよ」 | 強め |
| 2. 訂正 | 正しいことを言い直す | 「それは〇〇でしょ」 | ふつう |
| 3. 質問 | おかしな所を聞き返す | 「どういうこと?」 | やわらかい |
| 4. 説明 | 起きていることを言葉にする | 「〇〇する人、初めて見たよ」 | ふつう |
| 5. 気持ち | 感じたことをそのまま言う | 「なんか悲しくなってきた」 | やわらかい |
| 6. 例え | 似た物に例えて返す | 「〇〇か」 | ふつう |
| 7. ノリ | いったん乗ってから戻る | 「そうそう……って違うよ」 | ふつう |
| 8. 無視 | あえて取り合わない | (何も言わずに次の話へ) | 弱め |
| 9. 時間差 | 少し遅れて気づく | 「へえ。……え?」 | やわらかい |
| 10. 動き | 体で反応する | (ずっこける、二度見する) | 場面による |
強さは、言われた側やお客さんが受ける印象の目安です。強めの型ばかり続くと、きつく聞こえることがあります。やわらかい型を間にはさむと、ネタ全体の雰囲気が明るくなります。
言葉で正すツッコミ(1〜4)
1. 否定
「違う」「なんでだよ」と、ボケのずれをはっきり打ち消す、いちばん基本の型です。短く言い切るほど、お客さんに笑いどころが伝わります。何が違うのかを一言足すと、さらに分かりやすくなります。
台本否定の例
Aぼく、実は子どものころ、忍者だったんです。
B違うだろ。ずっと野球部だったでしょ。
2. 訂正
ボケの間違いを、正しい言葉や正しいやり方に言い直す型です。正しいほうを言うことで、ずれの大きさがはっきりします。
台本訂正の例
A本日は、お足元の悪い中、お集まりいただき……
B今日は快晴だよ。それは雨の日に言うあいさつ。
3. 質問
おかしな所を聞き返して、ボケにもう一度話させる型です。ボケを止めずに広げられるので、次のボケにつなげたいときに向いています。
台本質問の例
A最近、植物と話せるようになりまして。
Bどういうこと? 何て言ってるの?
A「水、多い」って。
B注意されてるじゃない。
4. 説明
目の前で起きているおかしなことを、そのまま言葉にする型です。動きのボケや、遠くの席から見えにくいボケを、お客さん全員に伝えられます。
台本説明の例
A(話しながら、靴を片方だけぬいで正座する)
B靴を片方だけぬいで正座する人、初めて見たよ。
気持ちと例えで返すツッコミ(5〜6)
5. 気持ち
ボケを聞いて感じたことを、そのまま口にする型です。否定しないので、やわらかく聞こえます。目上の人の役にツッコむときや、ボケが少ししんみりした話のときに使いやすい型です。
台本気持ちの例
A毎晩、寝る前に、明日の天気に手紙を書いてます。
Bなんか、切なくなってきた。返事は来るの?
6. 例え
ボケの様子を、別の物に例えて返す型です。お客さんの頭に絵が浮かぶと、笑いが大きくなります。誰でも知っている物に例えるのがコツです。
台本例えの例
Aというわけで、明日の発表は、ぼくが……がんばって……(声がどんどん小さくなる)
B電池が切れかけのおもちゃか。最後まで言って。
上手な例えの作り方は「例えツッコミのコツ」で、手順と例をくわしく紹介しています。
間と流れで見せるツッコミ(7〜10)
7. ノリ(ノリツッコミ)
ボケの話にいったん乗って、少し演じてから「……って違うよ」と戻る型です。乗っている時間が長いほど戻ったときの笑いは大きくなりますが、長すぎると間延びします。乗るのは2〜3文までが目安です。
台本ノリの例
Aここ、実は、雲の上のレストランなんです。
Bへえ、すてき。窓からの景色も最高ですね。シェフのおすすめをお願いします。……って、会社の食堂だよ。
8. 無視(スルー)
ボケにあえて何も言わず、話を続ける型です。お客さんが「ツッコまないの?」と思う間が、笑いになります。何度か流したあと、最後に1回だけツッコむと、それまでの分がまとめて笑いになります。
台本無視の例
(Bが話している横で、Aがずっと小さく踊っている)
B……で、来週の予定なんだけど、月曜は会議で。
(Aの踊りが、少しずつ大きくなる)
B火曜は出張で。……さっきから何してるの。
9. 時間差
ボケを一度そのまま受け入れてから、少し遅れて気づく型です。「あるある」と流してから「……いや、ないよ」と戻ると、お客さんも一緒に気づく楽しさがあります。
台本時間差の例
A昨日、家の鍵を、うっかり冷蔵庫にしまっちゃって。
Bあるある。……いや、ないよ。冷蔵庫?
10. 動き
言葉ではなく、体の動きで反応する型です。ずっこける、二度見する、手を前に出して止めるなどがあります。言葉のツッコミと組み合わせると、笑いが大きくなります。
台本動きの例
Aあ、そういえば、来月から社長になります。
Bうん。(少しして、勢いよくAを二度見する)……社長?
叩くツッコミは使わない
軽くのつもりでも、叩くツッコミは相手が痛かったり、見ている人がひやりとしたりします。余興や職場の出し物では、手を前に出して止めるしぐさや、ずっこける動きにしておきましょう。
1つのボケに10の型でツッコむと
同じボケでも、ツッコミの型によって、笑いの種類が変わります。1つのボケに、10の型で返した例を並べました。
A:趣味はマラソンです。42キロを、3年かけて走っています。
| 型 | ツッコミ |
|---|---|
| 否定 | 「それはマラソンじゃないよ」 |
| 訂正 | 「マラソンは、1日で走り切るものだよ」 |
| 質問 | 「今、何キロ地点なの?」 |
| 説明 | 「3年で42キロって、1日40メートルくらいだよ」 |
| 気持ち | 「気が長すぎて、ちょっと感動してきた」 |
| 例え | 「カタツムリの引っ越しか」 |
| ノリ | 「いいね、自分のペースが一番……って遅すぎるよ」 |
| 無視 | 「……で、ほかに趣味は?」 |
| 時間差 | 「へえ、すごいね。……3年?」 |
| 動き | (話を聞きながら、ゆっくり腕時計を見る) |
質問やノリ、時間差は、ボケに続きを話させたり、次のボケにつなげたりしやすい「広げるツッコミ」です。否定や訂正、例えは、そこで区切りをつける「締めるツッコミ」として使えます。ボケを続けたいか、区切りたいかで型を選びましょう。
ボケの型との相性
ボケの型ごとに、合わせやすいツッコミがあります。ボケの12の型は「ボケの種類一覧」で紹介しています。
| ボケの型 | 合わせやすいツッコミ | 理由 |
|---|---|---|
| 言い間違い・取り違え | 訂正 | 正しい言葉を出すと、ずれがはっきりする |
| 勘違い | 質問→否定 | 聞き返して勘違いを広げてから止める |
| 大げさ | 例え・気持ち | 大きさを別の言葉で受けると、笑いが増す |
| へりくつ | 質問・訂正 | 理屈の穴を聞き返すと、もう一度ボケられる |
| 動き・見立て | 説明 | 見えている動きを言葉にして伝える |
| くり返し(天丼) | 無視→否定 | 途中は流して、最後にまとめて止める |
表は組み合わせの一例です。台本を読み合わせながら、ほかの型も試してみると、2人に合った返し方が見つかります。
ツッコミを入れるときの注意
ツッコミは、言葉選びと同じくらい、入れるタイミングが大切です。次の点を守ると、ボケの笑いをつぶさずに済みます。
- 相手のセリフを最後まで聞いてから入れる。語尾にかぶせると、ボケの言葉が聞こえなくなる
- お客さんの笑いが起きたら、収まりかけてから次のセリフを言う
- 同じ型を続けすぎない。3回続いたら、別の型を1つはさむ
- 見た目や能力を下げる言葉は使わない。ずれを指さすだけで十分に伝わる
間の取り方は「漫才の間とテンポの取り方」で、場面ごとに使える言い回しは「ツッコミのワード一覧」で紹介しています。
よくある質問
ツッコミは、大きな声のほうがいいですか?
大きければよいわけではありません。否定や訂正ははっきりした声のほうが伝わりますが、気持ちや時間差の型は、小さな声のほうが合うこともあります。声の大きさより、短く言い切ることと、入れるタイミングを大切にしましょう。
初心者は、どの型から練習すればいいですか?
否定・訂正・質問の3つから始めましょう。ボケの言葉を拾って返すだけなので、台本がなくても練習できます。慣れてきたら説明や気持ちを足し、例えやノリは最後に挑戦すると無理がありません。
1つのネタに、何種類くらいの型を入れればいいですか?
2分ほどのネタなら、4〜5種類を使い分けると、ツッコミの調子が単調になりません。基本は否定や訂正にして、ここぞという所で例えやノリを入れると、そのツッコミが目立ちます。
まとめ
- ツッコミの種類は、ボケのずれを「どう指摘するか」で分けられる
- まずは否定・訂正・質問の基本の型から練習する
- 質問やノリは「広げる」、否定や訂正は「締める」ツッコミとして使い分ける
- ボケの型に合わせてツッコミを選ぶと、ずれが伝わりやすい
- 相手のセリフを最後まで聞いてから入れ、叩くツッコミは使わない






