2人・3人で演じられる、2分前後の短いコントの台本を3本紹介します。小道具は段ボール箱やぬいぐるみ、紙の地図など、家にあるもので足ります。
どの台本にも、時間・人数・準備物・難しさと、演じるときのコツを付けました。文化祭や余興、職場の出し物などで、名前や地名を自分たち用に書きかえて使ってください。
3本の台本の早見表
| 台本 | 人数 | 時間 | 小道具 | 難しさ |
|---|---|---|---|---|
| 置き配の家 | 2人 | 約2分 | 大きな段ボール箱、小さな箱 | ★★ |
| 犬の通訳 | 2人 | 約2分 | 犬のぬいぐるみ | ★ |
| 道案内は2人がかり | 3人 | 約2分30秒 | 紙の地図、スマホ | ★★ |
はじめてコントを演じるなら、動きの少ない「犬の通訳」から試すのがおすすめです。「置き配の家」は箱を使った見た目の面白さがあり、広い会場でも伝わりやすい台本です。3人なら「道案内は2人がかり」を選びましょう。
台本1「置き配の家」(2人)
人と会わずに荷物を受け取りたい住人が、段ボール箱に入って玄関で待っているコントです。配達員は最後まで普通の人として、住人のずれに付き合います。
- 時間
- 約2分
- 人数
- 2人(配達員、住人)
- 準備物
- 住人が入れる大きな段ボール箱、小さな箱(荷物)、配達員の帽子(あれば)
- 難しさ
- ★★
台本置き配の家(約2分)
(玄関の前に、大きな段ボール箱が置いてある。中には住人が座って隠れている。配達員が小さな箱を持ってやって来る)
配達員お届け物です。……置き配のご指定ですね。
(配達員が、大きな段ボール箱に気づく)
配達員もう1つ届いてるな。じゃあ、この上に重ねて……
住人(箱の中から)上には置かないでください。
配達員うわっ。
住人横にお願いします。
配達員……中に、人がいますよね。
住人いません。荷物です。
配達員荷物は「横にお願いします」って言わないんですよ。
住人置き配にしたのは、人と会わずに受け取りたいからです。
配達員それで、なんで箱に入ってるんですか。
住人玄関で待っていたら、人と会ってしまうので。
配達員箱に入っていても、今こうして会ってますけどね。
住人会っていません。今、私は荷物です。
(間)
配達員……分かりました。では、置いた証拠に写真を撮りますね。
(配達員がスマホを構える。住人が箱からそっと顔を出し、ピースをする)
配達員荷物はピースしないんですよ。
住人写りが気になったもので。
配達員では、こちらの横に置いておきます。
(配達員が小さな箱を置く。箱の中から住人の手が伸びて、小さな箱をすっと引きこむ)
配達員今、取りましたよね。
住人風で動いたんだと思います。
配達員箱の中に入っていきましたよ。……では、失礼します。
(配達員が行きかけて、振り返る)
配達員あ、そちらの大きいお荷物は、集荷でよろしいですか。
住人え。
配達員お送りするお荷物ですよね。お預かりします。
(配達員が、箱ごと持ち上げようとする)
住人(箱から立ち上がって)住んでます。ここの住人です。
配達員やっと会えましたね。
(2人でお客さんのほうを向き、一礼する)
演じ方のポイント
- 住人は、最初は声だけで出ます。箱の中の声はこもりやすいので、ふだんより大きめに話しましょう
- 配達員は、最後まで仕事中のていねいな話し方を守ります。驚くのは最初の「うわっ」の1回だけにすると、あとのツッコミが落ち着いて聞こえます
- ピースと、手が伸びる場面は動きの笑いです。動きのあとに一拍おいてから、次のセリフを言いましょう
- 箱は、大きな家電の箱か、2つの箱をテープでつないで作ります。立ち上がるときにつまずかないよう、底を抜いておくと安全です
台本2「犬の通訳」(2人)
動物の気持ちを通訳する人が、犬の言葉を訳すうちに、自分の願いばかり混ぜていくコントです。最後に、犬の元気がない本当の理由が分かります。
- 時間
- 約2分
- 人数
- 2人(飼い主、通訳)
- 準備物
- 犬のぬいぐるみ、湯のみ(なくても可)
- 難しさ
- ★
台本犬の通訳(約2分)
(飼い主が、犬のぬいぐるみを抱いて座っている。通訳がやって来る)
通訳こんにちは。今週も来ました、動物の気持ちの通訳です。
飼い主よろしくお願いします。先週から、ポチの元気がなくて。
通訳では、ポチくんの話を聞いてみましょう。
(通訳が、ぬいぐるみに耳を近づける)
通訳……ふむふむ。「ごはんの量が、少し足りない」そうです。
飼い主やっぱり。増やしてみます。
通訳……ふむふむ。「散歩のコースを、公園のほうに変えてほしい」。
飼い主分かりました。
通訳……ふむふむ。「通訳の人に、お茶を出してあげて」。
飼い主え?
通訳ポチくんが、そう言っています。
飼い主……どうぞ。(湯のみを差し出す)
通訳ありがとうございます。……ふむふむ。「できれば、お菓子も」。
飼い主ポチ、そんなこと言う?
通訳……ふむふむ。「通訳の人はとても優秀だから、料金を上げてあげて」。
飼い主それ、あなたの気持ちですよね。
通訳私は、聞こえたことをそのまま訳しているだけです。
飼い主じゃあ、いちばん大事なことを聞いてください。どうして元気がないのか。
通訳お任せください。
(通訳が、ぬいぐるみに耳を近づける。長い間)
通訳……ふむふむ。「毎週、知らない人が家に来て、ぼくの言葉を勝手にしゃべるから」。
(間)
飼い主……あなたのことですね。
通訳……今日は、このへんで失礼します。
(通訳が足早に去る。飼い主は、ぬいぐるみの頭をなでる)
演じ方のポイント
- 通訳が耳を近づける動きと「ふむふむ」は、毎回同じ形、同じ長さにします。くり返すことで、お客さんが次の訳を待つようになります
- 訳の中身は、普通の願い→少しずうずうしい願い→完全に自分の願いと、少しずつ大きくしていきます
- 飼い主は、最初は通訳を信じきっていて、だんだん疑っていきます。気持ちの変化は、声の温度で表しましょう
- 最後の訳の前の「長い間」は、3秒ほど黙るつもりで取ります。会場が静かになるほど、最後の一言が効きます
台本3「道案内は2人がかり」(3人)
旅行者に道を聞かれた地元の2人が、自分の道のほうがいいと張り合ううちに、話がどんどん大きくなっていくコントです。3人それぞれに見せ場があります。
- 時間
- 約2分30秒
- 人数
- 3人(旅行者、住人A、住人B)
- 準備物
- 紙の地図、スマホ
- 難しさ
- ★★
台本道案内は2人がかり(約2分30秒)
(駅前。旅行者が紙の地図を広げて困っている。住人Aが通りかかる)
旅行者すみません。ひまわり公園には、どう行けばいいですか。
住人Aひまわり公園なら、この道をまっすぐ行って、2つ目の角を右です。
旅行者ありがとうございます。
(住人Bが通りかかる)
住人Bいや、それより1つ目の角を左のほうが早いですよ。
住人A左は坂がきついでしょう。
住人Bその坂の上から見る景色が、いいんですよ。
旅行者あの、早く着ければ、どちらでも……
住人A右の道には、おいしいコロッケのお店があります。
住人B左の道には、昔ながらの赤いポストがあります。
住人Aポストは、見ても楽しくないでしょう。
住人B赤くて、丸くて、かわいいでしょう。
旅行者あの、公園に行きたいだけなんです。
住人A右の道は、私が小学校に通った道です。
住人B左の道は、私がプロポーズした道です。
住人A……それは、ちょっと負けた気がする。
旅行者勝ち負けじゃないです。
住人Aじゃあ、こうしましょう。私が右の道で、
住人B私が左の道で、
住人A・住人Bどちらが先に着くか、勝負です。
旅行者なんで2人が行くんですか。
住人Aよーい、
住人Bどん。
(住人Aと住人Bが、反対の方向へ走り去る。旅行者が1人残される)
旅行者……行っちゃった。
(旅行者がスマホを取り出し、地図を見る)
旅行者あ。公園、ここだ。(後ろを指さして)真後ろでした。
(息を切らした住人Aと住人Bが、出ていったのとは反対の側から戻ってくる)
住人Aゴール。
住人Bゴール。
旅行者私が1着です。
(3人でお客さんのほうを向き、一礼する)
演じ方のポイント
- 3人は三角形に立ち、旅行者を真ん中に置きます。住人AとBは、旅行者をはさんで両側から話しかけます
- 住人AとBの張り合いは、けんかではなく、楽しそうに自慢し合う調子にします。強い口調にすると、見ている人が笑いにくくなります
- 旅行者は、張り合いが大きくなるほど、セリフを短く、声を小さくしていきます。困っていく様子が、2人のずれを目立たせます
- 走り去るときは、Aは右、Bは左へはけ(舞台から出て)、戻るときはAが左、Bが右から出てきます。町を1周してきたように見えます
台本を自分たち用に直すコツ
3本とも、少し書きかえるだけで、自分たちの会場に合った台本になります。
| 直したいこと | 直し方 |
|---|---|
| 地名や店を身近にしたい | 公園やお店を、学校や職場の近くの場所に替える(悪く言わない) |
| 時間を短くしたい | 真ん中のずれを1つ削る(犬の通訳なら「お菓子も」を削る) |
| 時間を長くしたい | ずれを1つ足す(置き配の家なら、受け取りのサインの場面を足す) |
| 人数を増やしたい | 普通の人をもう1人足し、反応を分ける(道案内なら旅行者を2人に) |
| 結婚式や職場向けにしたい | 道案内の行き先を式場や会社にするなど、会場にちなんだ目的地にする |
書きかえるときは、変な人の「ルール」だけは変えないようにしましょう。置き配の家なら「住人は自分を荷物だと言い張る」、犬の通訳なら「訳に自分の願いを混ぜる」がルールです。ルールが同じなら、セリフを変えても笑いの形は崩れません。
台本を一から書くときの手順は「コントの台本の書き方」で紹介しています。結婚式の余興で演じるときの注意は、「結婚式の余興でコントをするなら?」も参考にしてください。
よくある質問
セリフを覚えきれません。
まずは、ずれの順番だけを覚えましょう。犬の通訳なら「ごはん→散歩→お茶→お菓子→料金」の順番さえ覚えていれば、細かい言い回しが違っても話は進みます。置き配の家なら、住人の台本を箱の内側に貼っておくこともできます。覚え方の練習は「ネタの覚え方」で紹介しています。
演じている途中で、自分が笑ってしまいます。
笑いそうになったら、相手の目ではなく、眉と眉のあいだを見ると落ち着きやすくなります。お客さんの笑いが起きている間は無理に話さず、収まりかけてから次のセリフを言いましょう。役のまま演じきるコツは「コントのキャラクターの作り方」にまとめています。
小道具がそろわないときは、どうすればいいですか?
なくても演じられます。段ボール箱がなければ、いすに大きな布をかけて、その後ろに隠れる形でも成り立ちます。ぬいぐるみの代わりに、丸めたタオルを犬に見立ててもかまいません。
まとめ
- 2人なら「犬の通訳」か「置き配の家」、3人なら「道案内は2人がかり」が演じやすい
- 普通の人は最後まで普通の人のまま、変な人のずれに付き合う
- 動きで笑いを取る場面では、動きのあとに一拍おく
- 書きかえるときは、変な人のルールだけは変えない






