コントのキャラクターは、その人だけの考え方の「ルール」を1つ決め、口ぐせ・くせ・動きの3つで見せると立ちます。設定を細かく増やすより、1つのルールを最後まで守るほうが、お客さんの印象に残ります。
この記事では、キャラクターを作る手順と、口ぐせ・くせ・歩き方の作り方を紹介します。書き込んで使えるキャラシートの例や、役を崩さずに演じる練習もまとめました。
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キャラクターは「ルール1つ+見せ方3つ」でできている
キャラクターの中身は、その人が何を大事にして動くかという「ルール」です。そのルールを、お客さんの目と耳に届く形にしたものが、口ぐせ・くせ・動きです。
| 部分 | 中身 | 例:式典が好きな管理人 |
|---|---|---|
| ルール | その人だけの考え方やこだわり | どんな小さなことも、式典として行う |
| 口ぐせ | 決まった言い方、語尾 | 「これより、〜を執り行います」 |
| くせ | 手や顔の小さな動き | 何かを渡す前に、必ず深く一礼する |
| 動き・歩き方 | 登場や移動のしかた | 足をそろえながら、一歩ずつゆっくり歩く |
お客さんは、口ぐせやくせを何度か見るうちに、その人のルールに気づきます。ルールが分かると、「次も式典にするはず」と予想しながら見られるので、笑いが起きやすくなります。
キャラクターを作る5つの手順
次の順番で決めていくと、ルールと見せ方がつながったキャラクターになります。
- 場面を決め、その場面に普通いる人を選ぶ(マンションの管理人、図書館の係、塾の先生など)
- その人が普通することを、3つ書き出す(鍵を渡す、ゴミの日を伝える、あいさつをする)
- 1つだけ、普通と違う考え方(ルール)を足す
- ルールから、口ぐせ・くせ・動きを1つずつ作る
- 相手役(普通の人)との関係を決める(初対面か、毎日会う仲か)
3で決めるルールは、性格ではなく、行動の決まりとして書きましょう。「まじめ」だけでは、どう動けばいいか分かりません。「どんな小さなことも式典にする」のように行動で書くと、セリフや動きがすぐに浮かびます。
コントの台本全体の組み立て方は「コントの台本の書き方」で紹介しています。
口ぐせ・くせ・歩き方の作り方
口ぐせは「ルールが言葉になったもの」にする
口ぐせは、ルールをそのまま言葉にしたものにすると、聞くたびにルールが伝わります。語尾だけを変わったものにするより、ルールにつながる言い方のほうが、意味のある口ぐせになります。
ルール:何でもランキングにする →「今のは、今日の第3位です」
ルール:心配が止まらない →「念のため、もう1回だけ確かめますね」
ルール:何でも報告書にまとめる →「以上、ご報告でした」
ルール:初対面でも、昔からの親友のようにふるまう →「おう、久しぶり」
ルール:何をするにも予約が要ると思っている →「ご予約は、お済みですか」
方言や特定の話し方を、からかうために使うのはやめましょう。口ぐせは、出身や年齢ではなく、その人のこだわりから作ります。
くせは「手・顔・目線」から選ぶ
くせは、手・顔・目線のどれかから選ぶと作りやすくなります。多すぎると何がルールなのかぼやけるので、1つのキャラクターに1〜2個までにしましょう。
- 手:何かを渡す前に、必ず両手で持ち直す
- 顔:大事なことを言う前に、目を閉じて小さくうなずく
- 目線:相手ではなく、いつも少し上を見て話す
歩き方は「登場の3歩」で見せる
キャラクターが出てくる最初の3歩で、どんな人かを見せることができます。式典が好きな管理人なら足をそろえて一歩ずつ、心配性の人なら何度も後ろを振り返りながら歩きます。セリフを言う前から、お客さんに人物が伝わります。
動きだけで人物を伝える練習は、「セリフなしのコントの作り方」が参考になります。
キャラシートの例
キャラクターを決めたら、シートにまとめておくと、台本を書くときにも練習のときにもぶれません。2つの記入例を紹介します。
役:マンションの管理人
ルール:どんな小さなことも、式典として行う
口ぐせ:「これより、〜を執り行います」
くせ:渡す前に深く一礼し、両手でささげ持つ
歩き方:足をそろえながら、一歩ずつゆっくり歩く
声:低く、ゆっくり。表情は変えない
相手との関係:今日から住む人と初対面
いちばんの見せ場:鍵をクッションにのせて、表彰のように渡す
役:会社の後輩
ルール:何でもランキングにして発表する
口ぐせ:「ただいまの〇〇、今日の第3位です」
くせ:発表の前に、指で順位の数を出す
歩き方:ふだんは普通に歩き、発表のときだけ一歩前に出る
声:明るく。発表のところだけ声を張る
相手との関係:毎日一緒に働く先輩
いちばんの見せ場:先輩の「おつかれさま」に順位をつける
キャラシート1をもとに書いた、約1分の台本です。
- 時間
- 約1分
- 人数
- 2人(管理人、住人)
- 準備物
- クッション、大きめの鍵(厚紙で作ってもよい)
- 難しさ
- ★★
台本鍵の受け渡し(約1分)
(マンションの管理人室の前。住人が待っている。管理人が、クッションにのせた鍵を両手でささげ持ち、一歩ずつ歩いてくる)
住人あの、今日から305号室に入る者です。鍵を……
管理人これより、鍵の授与式を執り行います。
住人授与式?
管理人(深く一礼して)305号室の鍵。右の者を、本日よりこの建物の住人と認めます。
住人賞状みたいに言わなくていいです。
(管理人がクッションごと鍵を差し出す。住人が受け取ろうとすると、管理人が一歩下がる)
管理人受け取るときは、一歩前に出て、一礼を。
(住人が戸惑いながら一歩前に出て、一礼する。管理人が鍵を渡し、1人で拍手をする)
住人……ありがとうございます。あの、ゴミの出し方も教えてもらえますか。
管理人これより、ゴミの日の発表を執り行います。
住人それも式なんですか。
管理人燃えるゴミ、月曜日と木曜日。(深く一礼する)
住人ゴミの日に頭を下げなくていいです。
管理人なお、鍵をなくされた場合は。
住人はい。
管理人おわびの会を執り行います。
住人大ごとにしないでください。
管理人は、最後まで笑わず、声の調子も変えません。住人がツッコむほど、管理人の真顔がおかしく見えてきます。
役を崩さずに演じるコツと練習
キャラクターは、演じている本人が役を崩さないことで面白さが伝わります。演じるときは、次の4つを守りましょう。
- 本人は大まじめに演じる。キャラクターは、自分が変だとは思っていない
- ツッコミを受けても、うろたえない。ルールに沿った返事をする
- お客さんが笑っても、表情を変えない。笑いが収まりかけてから次のセリフに進む
- 声の高さと速さを1つ決め、最後まで変えない
役のまま動けるようになるには、台本の外でもキャラクターでいる練習が役立ちます。
- キャラクターのまま、30秒の自己紹介をする
- キャラクターのまま、お茶を入れる、靴をそろえるなど、ふだんの動作をする
- 相手に質問を5つしてもらい、ルールに沿って答える
- 登場の3歩を動画に撮り、どんな人か伝わるかを見る
- 台本を通しで演じ、笑ってしまった所に印をつけて、そこだけくり返す
3の練習をしておくと、本番でセリフが飛んだときも、キャラクターのまま言葉をつなげられます。1人で何役も演じ分けたいときは、「一人コントの作り方」も参考にしてください。
避けたいキャラクターの作り方
キャラクターのルールに、人の見た目や年齢、性別、出身、病気を使うのはやめましょう。会場にいる誰かを傷つけ、笑いではなく気まずさが残ります。
身近な人をモデルにするときは
上司や同級生など、身近な人をモデルにするときは、本人が一緒に笑える範囲にとどめます。本人が気にしているくせや、知られたくない話は使いません。迷ったら、事前に本人に聞いておくと安心です。
職業そのものを下げるキャラクターにもしないようにしましょう。「管理人だから変」ではなく、「この管理人は式典が好き」のように、その人だけのこだわりとして作りましょう。そうすれば、どの職業の人も笑って見られます。
よくある質問
キャラクターが濃すぎて、話が進みません。
普通の人(ツッコミ役)に、はっきりした目的を持たせましょう。「鍵を受け取りたい」「ゴミの日を知りたい」と目的を言うたびに、話が前に進みます。キャラクターのルールが出る場面も、3〜4回にしぼると、くどくなりません。
キャラクターと設定は、どちらを先に決めますか?
どちらからでもかまいません。キャラクターが先に浮かんだら、そのルールがいちばん困る場面を探すと、設定が決まります。式典が好きな管理人なら、急いでいる住人と出会う場面にすると、ずれが大きくなります。
自分に合うキャラクターが分かりません。
ふだんの自分のくせを、少しだけ大きくするところから始めましょう。たとえば、物をきちんとそろえるのが好きなら、「何でも定規で測ってそろえる人」にできます。自分の中にあるこだわりから作ると、無理なく演じられます。
まとめ
- キャラクターは、ルール1つと、口ぐせ・くせ・動きの3つで作る
- ルールは性格ではなく、行動の決まりとして書く
- 口ぐせはルールが言葉になったものにし、くせは1〜2個にしぼる
- 演じるときは大まじめに、表情と声を最後まで変えない
- 見た目や年齢、出身などをルールにしない






