コントの台本の書き方|設定・人物・展開を決める手順

段ボールで作った宇宙船に乗り、宇宙飛行士の役を演じる2人

コントの台本は、「どこで、誰が、何をしている場面か」という設定を決めてから書きはじめます。次に、変な人の「ルール」を1つ決め、そのルールが表に出る場面を小さい順に3〜4個並べて、最後にオチをつければ形になります。

この記事では、そのための6つの手順と、書き込んで使える設計シート、シートから書いた短い台本を紹介します。話し手やト書きの書き方といった書式は「お笑いの台本の書き方」にまとめているので、ここでは中身の組み立て方に絞ります。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. コントの台本は「設定・人物・展開」でできている
  2. コントの台本を書く6つの手順
  3. コントの構成と時間配分
  4. 書き込んで使えるコントの設計シート
  5. シートから書いた台本「傘の忘れ物」
  6. 書き終えたら見直すこと
  7. よくある質問
  8. まとめ

コントの台本は「設定・人物・展開」でできている

コントは、役を演じて1つの場面を見せるお笑いです。漫才が「2人の会話」を見せるのに対して、コントは最初から最後まで役の人物として、その場面の中で過ごします。台本は、次の3つでできています。

部分決めること例
設定どこで、誰と誰が、何をしている場面か駅の忘れ物センターに、客が傘を取りに来る
人物普通の人と変な人、変な人の「ルール」係員が、預かった傘を家族のように思っている
展開ルールが表に出る場面を、小さい順に並べる名前をつけている→夜の様子を語る→返す前に質問する

多くのコントでは、ボケ役が「変な人」、ツッコミ役が「普通の人」を演じます。普通の人は、お客さんと同じ目線で驚いたり止めたりする役です。変な人のずれを普通の人が言葉にすることで、お客さんは安心して笑えます。

コントの台本を書く6つの手順

次の順番で決めていくと、書いている途中で迷いにくくなります。

  1. 場所を決める。店、駅、学校、役所の窓口など、誰でも行ったことがある場所を選ぶ
  2. 普通の人と、その人の目的を決める。「傘を取りに来た」のように、何をしに来たかをはっきりさせる
  3. 変な人と、その人のルールを1つ決める。「預かった傘を家族のように思っている」など
  4. ルールが表に出る場面を3〜4個考え、ずれの小さい順に並べる
  5. オチを決める。ルールがいちばん大きく出る所か、普通の人が言い返す所で終える
  6. 最初の20秒で、場所と2人の関係が分かるセリフを書く

中心になるのは3です。変な人の行動が思いつきでばらばらだと、お客さんはついていけません。ルールを1つに決めて最後まで守らせると、お客さんが次のボケを予想しながら見られるようになります。

設定は「普通の場面+ずれ1つ」で決める

設定は、誰もが知っている普通の場面に、ずれを1つだけ足して作ります。場所までめずらしくすると、説明に時間がかかり、最初のボケが遅れます。場所は普通に、ずれだけをめずらしくするのがコツです。

ずれの入れ方には、勘違い・立場逆転・場違いなどの型があります。型ごとの例は「コントの設定の作り方」で紹介しています。

人物は「役割・目的・ルール」で決める

人物は、役割・目的・ルールの3つを書いておくと、セリフが自然に出てきます。下の台本では、次のように決めました。

決めること普通の人変な人
役割客忘れ物センターの係員
目的電車に忘れた傘を受け取りたい預かった傘を大切にしたい
ルール特になし(お客さんと同じ感覚)傘を自分の家族のように思っている

普通の人にも、はっきりした目的を持たせましょう。目的があると、変な人に振り回されても話が前に進みます。口ぐせやくせで人物をさらに立てる方法は「コントのキャラクターの作り方」にまとめています。

展開は「小さなずれ→大きなずれ」の順に並べる

1つ目のずれは「ちょっと変だな」くらいにし、最後は「ありえない」まで大きくします。同じくらいのずれが続くと、途中で笑いが止まりやすくなります。段階の付け方は「エスカレートするコントの作り方」でくわしく紹介しています。

コントの構成と時間配分

1本のコントを時間の流れで見ると、「導入→展開→山場→オチ」に分かれます。山場とは、いちばん大きなずれが出て、コントがいちばん盛り上がる所のことです。1分30秒と3分のコントなら、次の配分が目安です。

部分すること1分30秒の場合3分の場合
導入場所と2人の関係、普通の人の目的を見せる約15秒約20秒
展開ずれを小さい順に出していくずれ2個で約45秒ずれ4個で約1分40秒
山場いちばん大きなずれを出す約20秒約40秒
オチ最後の一言と、終わりの動き約10秒約20秒

書きはじめの人がいちばん長くしてしまいがちなのが、導入です。導入が長いと、お客さんは何を見ればいいのか分からないまま待つことになります。最初の一言で、普通の人の目的が分かるようにしましょう。

例文導入のセリフ(直す前と直した後)

直す前:「こんにちは。あの、ここって、駅の中にある、忘れ物を預かってくれる所で合ってますか。実は昨日……」
直した後:「すみません。昨日の夕方、電車に傘を忘れまして」

直した後の一言だけで、忘れ物を受け取りに来たことと、何を忘れたかが伝わります。場所の説明は、セリフで言うより、係員が窓口に座っている姿で見せたほうが早く伝わります。

書き込んで使えるコントの設計シート

台本を書く前に、次のシートを埋めてみてください。1行ずつ埋めていけば、6つの手順を順番に終えられます。

例文コントの設計シート(テンプレート)

題名:
時間:約〇分 人数:〇人
場所:
普通の人(役割/目的):
変な人(役割/ルール):
ずれ1(小):
ずれ2(中):
ずれ3(大):
オチ:
最初の20秒で言うセリフ:

記入例です。下の台本は、このシートから書きました。

例文設計シートの記入例

題名:傘の忘れ物
時間:約1分30秒 人数:2人
場所:駅の忘れ物センターの窓口
普通の人(役割/目的):客/電車に忘れたビニール傘を受け取りたい
変な人(役割/ルール):係員/預かった傘を、自分の家族のように思っている
ずれ1(小):傘に名前をつけている
ずれ2(中):傘が夜どう過ごしていたかを語る
ずれ3(大):返す前に、客が持ち主にふさわしいかを質問する
オチ:「たまに顔を見せに来て」と言われ、客が「また忘れろってことですか」と返す
最初の20秒で言うセリフ:「昨日の夕方、電車に傘を忘れまして」

シートから書いた台本「傘の忘れ物」

時間
約1分30秒
人数
2人
準備物
ビニール傘1本、机(窓口の代わり)
難しさ
★★

台本傘の忘れ物(約1分30秒)

(駅の忘れ物センターの窓口。係員が机の向こうに座っている。客がやって来る)

客すみません。昨日の夕方、電車に傘を忘れまして。

係員お忘れ物ですね。どんな傘でしょうか。

客透明のビニール傘です。持つところが白い。

係員……ああ、シロちゃんですね。

客シロちゃん?

係員持つところが白いので、シロちゃんと呼んでいます。

客名前をつけてるんですか。

係員ゆうべは、なかなか寝つけなかったみたいで。

客傘がですか。

係員ずっと窓のほうを見ていました。きっと、あなたを待っていたんですね。

客窓のそばに立てかけてあっただけですよね。

係員では、お返しする前に、いくつか質問をさせてください。

客質問?

係員シロちゃんを、雨の日以外も大切にできますか。

客雨の日以外は、使わないです。

係員濡れたまま、玄関に放っておいたりしませんか。

客……たまにします。

(係員が、ゆっくり首を横にふる)

係員もう少し、こちらでお預かりしましょうか。

客返してください。私の傘です。

(係員がしぶしぶ傘を差し出し、客が受け取る)

係員シロちゃん、元気でね。

客ありがとうございました。

係員たまに、顔を見せに来てくださいね。

客また忘れろってことですか。

(客が去る。係員は、客の背中に小さく手をふる)

この台本の組み立て

係員のルールは「傘を家族のように思っている」の1つだけです。名前→夜の様子→返す前の質問と、ルールの出し方を少しずつ大きくしています。客は最後まで普通の人のままで、お客さんの気持ちを代わりに言う役です。

書き終えたら見直すこと

台本ができたら、声に出して読みながら、次の点を確かめましょう。読み合わせで引っかかった所は、その場で台本に書きこんでおきます。

コントの台本を見直すポイント

  • 最初の20秒で、場所と2人の関係が分かるか
  • 変な人のルールは、1つにしぼれているか
  • ずれは、小さいものから大きいものへ並んでいるか
  • 普通の人が、理由もなく途中から変な人になっていないか
  • 最後の動き(去る、明かりを消す、一礼する)まで書いてあるか

コントでは、場面の終わりに照明を消すことを「暗転」といいます。照明が使えない会場では、2人でお客さんのほうを向いて一礼するか、変な人が最後の動きをしたまま止まると、終わりが伝わります。

よくある質問

コントは何人で演じるのがいいですか?

はじめは2人がおすすめです。普通の人と変な人の2役なら、ずれが分かりやすく、練習の日程も合わせやすくなります。3人にするときは、変な人を2人にして張り合わせるか、普通の人を2人にして反応を分けると、役が重なりません。

オチが思いつきません。

変な人のルールや言葉を、普通の人が使って言い返す形がまとめやすいです。台本の「また忘れろってことですか」も、係員の言葉を受けて返したものです。どうしても決まらないときは、いちばん大きなずれのあとに、普通の人の一言で終える形でもかまいません。

最初は何分くらいのコントを書けばいいですか?

1〜2分がおすすめです。ずれは3〜4個で足り、最後まで書き上げやすい長さです。短いコントを何本か書いてから、場面を2つにしたり、ずれを足したりして長くしていきましょう。

まとめ

  • コントの台本は、設定・人物・展開の3つで組み立てる
  • 変な人の「ルール」を1つ決め、最後まで守らせる
  • ずれは小さい順に3〜4個並べ、オチで締める
  • 最初の20秒で、場所と2人の関係が分かるようにする
  • 設計シートを埋めてから書くと、迷わずに台本にできる

ほかの台本も読んでみたいときは「コントの台本例」を参考にしてください。

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