漫才の台本例として、約2分で演じられるオリジナルの台本を3本紹介します。会話だけで進める「しゃべくり漫才」、途中で役を演じる「コント漫才」、手の動きで見せる漫才の3つの形です。場面や2人の得意なことに合わせて選べます。
どれもこの記事のために書いたもので、練習や、学校・職場・余興での発表に使えます。それぞれの台本のあとに、笑いの狙いと、自分たち用に書きかえるときのポイントをまとめました。
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3本の台本の選び方
3本とも、話し手はA(ボケ)とB(ツッコミ)の2人です。ボケは、わざと普通からずれたことを言う役、ツッコミは、そのずれを指摘して笑いどころを示す役です。
| 台本 | 形 | 向いている場面 | 難しさ |
|---|---|---|---|
| 1. ことわざ | しゃべくり漫才 | 職場の出し物、ライブに出る前の練習 | ★★ |
| 2. バスガイド | コント漫才 | 文化祭、結婚式の余興、初めての漫才 | ★★ |
| 3. じゃんけん | 動きのある漫才 | 子どもも見る発表会、言葉より動きで見せたいとき | ★ |
迷ったら、2の「バスガイド」から始めるのがおすすめです。場面がはっきりしているので、セリフを覚えやすく、お客さんにも伝わりやすい形です。子どもも見る場なら、3の「じゃんけん」がいちばん簡単です。
台本1「ことわざ」(しゃべくり漫才)
ことわざの意味を、少しずつ取りちがえて使う人の話です。小道具は使わず、会話だけで進めます。
- 時間
- 約2分
- 人数
- 2人
- 準備物
- なし
- 難しさ
- ★★
台本ことわざ(約2分)
(2人でマイクの前に出る)
A・Bどうも、よろしくお願いします。
A最近、ことわざを使って話すようにしてるんです。
Bいいね。話に深みが出るよね。
A今朝も寝坊しかけたんですけど、急がば回れだと思って。
Bあわてずに、落ち着いて準備したんだ。
A駅のまわりを3周してから、電車に乗りました。
B本当に回ってどうするの。
Aおかげで、電車に乗り遅れました。
Bだろうね。
A会社では、上司に「石の上にも三年だぞ」と言われまして。
Bつらくても続けなさい、ってことだね。
Aなので、会社の前の石に座ってます。
B中に入って仕事をしなよ。
Aまだ2日目です。
B3年座る気なの?
Aお昼休みは、花より団子で。
Bそれは分かる。お花見より、食べるほうが好きなんだ。
Aお花見の場所取りを頼まれてたのに、団子を買いに行ってました。
B場所を取ってよ。みんな立って見ることになるでしょ。
A笑う門には福来る、ともいいますよね。
Bいつも笑っている人には、いいことがある、ってね。
Aだから毎朝、家の玄関の前で大笑いしてます。
Bご近所さんがこわがるよ。
A最近、回覧板が回ってこなくなりました。
B福が逃げてるじゃない。
Aでも、ことわざって本当に役に立ちますね。
B今のところ、ひとつも役に立ってないけどね。
A私のいちばん好きなことわざは、「習うより慣れろ」です。
Bいい言葉だね。
Aなので、ことわざの意味は、一回も調べたことがありません。
Bだから全部まちがえてるんだよ。少しは習って。もういいよ。
A・Bどうも、ありがとうございました。
この台本の狙い
「ことわざを口にする→Bが正しい意味を言う→Aが言葉どおりに行動していた」という流れを、4回くり返しています。Bが先に正しい意味を言っておくことで、Aのずれがはっきり伝わります。
オチは、最後に出てきた「習うより慣れろ」で、それまでのまちがいを全部まとめて説明する形です。最後のツッコミ「少しは習って」は、ことわざの言葉をそのまま使った締めになっています。
自分用に変えるポイント
ことわざは、お客さんの誰もが知っているものだけを選びましょう。入れかえるなら「善は急げ」「果報は寝て待て」なども使えます。意味を知らない人が多いことわざだと、Bの説明が長くなり、テンポが落ちてしまいます。
台本2「バスガイド」(コント漫才)
バスガイドに憧れているAが、ガイドをやってみる話です。途中でBが役をやめて本人に戻り、最後にまた場面に戻ります。
- 時間
- 約2分
- 人数
- 2人
- 準備物
- なし(Bは座席に座っているつもりで立つ)
- 難しさ
- ★★
台本バスガイド(約2分)
(2人でマイクの前に出る)
A・Bどうも、よろしくお願いします。
A私、子どものころから、バスガイドさんに憧れてて。
Bいいね。
A一回やってみたいので、お客さんになってもらえますか。
Bいいよ。じゃあ私は、バスに乗っているお客さんね。
(Bが座席に座っているつもりで、前を向く)
A皆さま、本日はご乗車ありがとうございます。ガイドの〇〇です。
Bお、それっぽい。
Aこのバスは、ただいまから、町の名所をめぐってまいります。
B楽しみだな。
A右手に見えますのは、駅前のコンビニでございます。
B名所じゃないでしょ。
A品ぞろえがとてもよいことで、知られております。
B知られてないよ。
A左手に見えますのも、駅前のコンビニでございます。
Bさっきと同じ所を通ってるじゃない。
A運転手さんが、道に迷っております。
B言わなくていいよ、そういうことは。
A皆さま、あちらをご覧ください。晴れた日には、遠くに海が見えます。
B今日、晴れてるよ。
A……見えませんね。
Bなんで?
Aこっちの方角に、海はありません。
Bじゃあ言わないで。
Aここで、ガイドの私から、1曲歌わせていただきます。
Bおお、それはバスガイドっぽい。
A(マイクを持つしぐさをして、大きく息を吸う)……歌詞を忘れました。
Bじゃあ歌うって言わないで。(素に戻って)ちょっと待って。ガイドって、もっとお客さんを楽しませるものでしょ。
A楽しくなかったですか。
Bコンビニを2回見ただけだよ。
Aでは最後に、おみやげのご案内です。
B急に再開したね。
Aこのバスでしか買えない、特製のキーホルダーがございます。
Bへえ、どんなの?
A私の手作りで、駅前のコンビニの形をしております。
Bいらないよ。どれだけコンビニが好きなの。もういいよ。
A・Bどうも、ありがとうございました。
この台本の狙い
「右手に見えますのは」「あちらをご覧ください」のような、バスガイドの決まり文句をフリにしています。誰もが知っている言い回しなので、そこからのずれがすぐに伝わります。
途中でBが「ちょっと待って」と本人に戻り、Aが「では最後に」と強引に場面へ戻すのが、コント漫才らしいところです。最後は、前半に2回出た「コンビニ」をキーホルダーで回収して締めています。役への入り方と戻り方は「コント漫才の書き方」でくわしく説明しています。
自分用に変えるポイント
「駅前のコンビニ」を、地元の人なら誰でも知っている、ごく普通の場所に入れかえると、ぐっと身近なネタになります。学校なら「体育館の裏」、職場なら「会社の1階の自動販売機」などです。結婚式の余興なら、新郎新婦がよく行く場所にすると喜ばれます。
台本3「じゃんけん」(動きのある漫才)
じゃんけんに勝つ作戦を考えてきたAが、Bと勝負する話です。手の動きが多いので、言葉だけの漫才より、子どもや年配の人にも伝わりやすい形です。
- 時間
- 約2分
- 人数
- 2人
- 準備物
- なし
- 難しさ
- ★(出す手を2人で決めておく)
台本じゃんけん(約2分)
(2人でマイクの前に出る)
A・Bどうも、よろしくお願いします。
A私、じゃんけんに勝つ方法を考えてきたんです。
Bそんな方法あるの?
A作戦その1。相手の顔を、よく見ます。
B顔を見て、何を出すか当てるんだ。
Aはい。じゃあ、やってみましょう。最初はグー、じゃんけんぽん。
(Aはグー、Bはパーを出す)
B勝った。
A……今のは、気持ちのこもっていないグーです。
Bグーに気持ちはいらないの。
A顔を見るのに夢中で、手のことを忘れてました。
B何のために見たの。
A作戦その2。出す前に話しかけて、相手を油断させます。
B心理作戦だね。
A最初はグー、じゃんけん……あ、靴ひも、ほどけてますよ。
B(足元を見ずに)ほどけてないよ。ぽん。
(Aはチョキ、Bはグーを出す)
Bまた勝った。
A足元を見てくれないと、作戦にならないんです。
Bじゃんけんの途中で、足元は見ないよ。
A作戦その3。最後の作戦は、何も出さないことです。
B何も出さない?
A出さなければ、負けることはありません。
B勝つこともないけどね。
Aいきますよ。最初はグー、じゃんけんぽん。
(Bはパーを出す。Aは両手を後ろに組んだまま)
B……これ、どうなるの。
Aあいこです。
Bあいこじゃないよ。出してないんだから負けだよ。
Aでは今日の勝負は、引き分けということで。
B一回も勝ってないのに、引き分けにしないで。もういいよ。
A・Bどうも、ありがとうございました。
この台本の狙い
「作戦を説明する→じゃんけんをする→Aが負ける」を3回くり返す形です。作戦は、顔を見る→話しかける→何も出さない、と回を追うごとにおかしくなっていきます。3回目は、手を出さないという、じゃんけんそのものから外れる作戦にして、いちばん大きな笑いにしています。
じゃんけんの手は、台本どおりに出さないと話がつながりません。練習のときに、ト書きの手を2人で何度か確かめておきましょう。
自分用に変えるポイント
作戦の中身は、2人で好きなものに入れかえてかまいません。「大きな声で出す」「出す手を先に宣言する」などでも作れます。入れかえるときは、3つ目の作戦がいちばん普通から遠くなるように並べてください。
台本を自分たち用に書きかえる手順
3本とも、そのまま演じることもできますが、少し手を入れると、ぐっと自分たちのネタらしくなります。
- 一度そのまま2人で読み、笑いが起きそうな所に印をつける
- 名前、場所、仕事など、2人の本当のことに入れかえられる言葉を探す
- いちばん弱いと感じたボケを1つだけ、自分たちで考えたものに入れかえる
- 「〜でしょ」「〜だよ」などの語尾を、2人がふだん話す言い方に直す
- 声に出して時間を測り、2分前後に収まっているか確かめる
一度に全部を変えようとせず、1〜2か所ずつ変えていくのがコツです。持ち時間に合わせて長さを変えるときは「2分の漫才は何文字?」の文字数の表が参考になります。読み合わせから本番までの進め方は「漫才の練習方法」で紹介しています。
書きかえたあとに確かめること
- 入れかえた言葉は、お客さんの多くが知っているものか
- 誰かの容姿や年齢、出身などをからかう言葉が入っていないか
- 最後のツッコミと「もういいよ」が、ひと息で言えるか
- 2人とも、自分のセリフを言いやすい語尾になっているか
よくある質問
この台本を、大会やコンテストに出してもいいですか?
大会やコンテストでは、自分たちで書いたネタで出るのが基本です。この記事の台本は練習や発表会で使い、大会には、書きかえ方を参考に作ったオリジナルのネタで出ましょう。一から書くときの手順は「漫才の台本の書き方」で説明しています。
男性2人、女性2人のどちらでも使えますか?
使えます。3本とも、演じる人の性別を決めずに書いています。「私」を「僕」や「俺」にする、語尾を強めにする、など、2人がふだん使う言葉に直してください。
3人で演じることはできますか?
台本2の「バスガイド」なら、お客さんの役を2人にすると3人で演じられます。お客さん同士で「きれいだね」「コンビニだけどね」のように、ひとことずつ言い合う場面を足すと、3人目にも見せ場ができます。
まとめ
- しゃべくり・コント漫才・動きのある漫才の、約2分の台本を3本紹介した
- 迷ったら、場面がはっきりしていて覚えやすい「バスガイド」から始める
- どの台本も、同じ形のくり返しを少しずつ大きくして、最後にまとめて締めている
- 書きかえるときは、名前や場所を2人の本当のことに変え、ボケは1〜2か所ずつ入れかえる
- 大会やコンテストには、自分たちで書いたオリジナルのネタで出る






