音声コント(ラジオコント)の作り方|声だけで伝える台本と録音のコツ

ポップガード付きのマイクに向かい、台本を読んで声を録る女性

音声コントは、見えない場面を「セリフ」と「音」だけで伝えるコントです。台本では、最初の15秒で場所と人物を伝え、登場人物を2〜3人にしぼるのが基本です。誰が話しているか分かるように、セリフに呼び名も入れます。

録音は、布の多い静かな部屋で、口とマイクの距離をそろえて録ります。この記事では、台本の書き方、効果音の入れ方、録音のコツを順に紹介します。そのまま使える約2分30秒の台本も載せています。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 音声コントと、映像のコントの違い
  2. 台本の書き方|見えないものを声で伝える
  3. そのまま使える台本「再配達受付センター」
  4. 効果音と音楽の入れ方
  5. 家でできる録音のコツ
  6. 録ったあとの仕上げ
  7. よくある質問
  8. まとめ

音声コントと、映像のコントの違い

音声コントでは、表情も衣装もセットも見えません。そのかわり、カメラも顔出しも要らず、効果音1つで宇宙にも海の底にも行けます。聞く人が頭の中で場面を思い浮かべるので、作り方しだいで映像より大きな世界を描けます。

映像なら目で見せられることを、音声コントでは何で伝えるかを、先に整理しておきましょう。

伝えたいこと映像のコントなら音声コントなら
場所セットや背景で見せる最初のあいさつや、まわりの音で伝える
人物衣装や見た目で見せる呼び名、口ぐせ、声の高さや話す速さで分ける
動作動きで見せる効果音と、それに反応するセリフで伝える
表情顔で見せる息づかい、言いよどみ、短い間で伝える
時間の流れテロップで見せる短い音楽や、「もう夕方か」などのセリフで伝える

台本の書き方|見えないものを声で伝える

台本の基本の組み立ては、ふつうのコントと同じです。設定・人物・展開の決め方は「コントの台本の書き方」で紹介しているので、ここでは音声ならではのコツにしぼります。

最初の15秒で「どこで、誰が」を伝える

聞く人は、場所が分からないうちは笑う準備ができません。最初の一言で、場所と人物の立場が分かるようにしましょう。説明のためだけの不自然なセリフにならないよう、あいさつや呼びかけ、案内の放送を使うのがコツです。

例文最初の一言で場所を伝える例

「お電話ありがとうございます。こちら、再配達受付センターです」
「本日もご乗車ありがとうございます。この電車は、各駅に止まります」
「受付番号12番の方、3番の窓口へどうぞ」
「いらっしゃいませ。ご注文がお決まりでしたら、お呼びください」

人物は2〜3人にしぼり、声と口ぐせで分ける

声だけでは、人物が多いと誰が誰だか分からなくなります。2〜3人にしぼり、声の高さ、話す速さ、ていねいな言葉かくだけた言葉か、口ぐせで違いをはっきりさせましょう。

新しい人物が出てきたときや、話し手が入れかわるときは、「店長」「お客さん」のように呼び名をセリフに入れます。方言や話し方で、特定の地域や立場の人をからかう人物は作らないでください。

動作は「音」と「反応のセリフ」で伝える

お皿が割れたことを伝えるなら、割れる音を鳴らし、すぐに「あっ、店長のお気に入りのお皿……」と反応させます。音だけでは何の音か分かりにくくても、反応のセリフがあれば、何が起きたかがはっきり伝わります。

間は短めにし、黙るときは音で埋める

映像なら表情で持たせられる間(ま)も、音声だけだと「止まってしまったのかな」と思われがちです。わざと黙る場面は短めにし、時計の音やため息など、小さな音を入れて「黙っている時間」だと分かるようにします。

台本の書き方の形

効果音や音楽は、セリフとは別の行に、かっこで書きます。たとえば「(効果音:ドアのチャイム)」「(音楽:静かなピアノを小さく)」のように書きます。こうしておくと、録音や編集のときに、必要な音の一覧がすぐに作れます。

長さは、読み上げると1分あたり300字ほどが目安です。台本の長さから時間を出せる「ネタの時間チェック」で確かめると、録り直しが減ります。

そのまま使える台本「再配達受付センター」

電話の自動音声とのやりとりを描いた、約2分30秒の台本です。電話はもともと声だけのやりとりなので、音声コントの題材に向いています。名前や細かい言い回しは、演じる人に合わせて変えてください。

時間
約2分30秒
人数
3人(音声と担当を1人で演じ分けてもよい)
準備物
録音できるスマホなど、電話の呼び出し音とボタンの音(自分で録っても、素材でもよい)
難しさ
★★

台本再配達受付センター(約2分30秒)

(効果音:電話の呼び出し音が2回鳴って、つながる)

音声お電話ありがとうございます。こちらは、再配達受付センターです。

客あ、よかった。つながった。

音声ご用件を、番号でお選びください。再配達のご依頼は、1を。

(効果音:ボタンを押す「ピッ」という音)

音声……押すのが早いです。最後までお聞きください。

客え、聞こえてるの?

音声再配達のご依頼は、1を。お届けの時間を変えたい方は、2を。最近いいことがなかった方は、3を。

客3、ちょっと気になるな……。いや、1です。

(効果音:「ピッ」)

音声お荷物の問い合わせ番号を入力し、最後にシャープを押してください。

(効果音:「ピッピッピッ」と長く続き、最後にもう一度「ピッ」)

音声お疲れさまでした。

客ねぎらってくれた。

音声ご希望の日にちを、お話しください。

客明日で。

音声「あさって」ですね。

客明日です。

音声「あした」ですね。かしこまりました。ご希望の時間帯を、お話しください。

客午前中で。

音声「午前中」。……本当に起きられますか?

客心配された。

音声前回も「午前中」をご希望でしたが、チャイムが3回鳴っても、お出になりませんでした。

客記録が残ってる。

音声念のため、お持ちの目覚まし時計の数を、お話しください。

客……1個です。

音声3個をおすすめします。

客おすすめされた。

音声ここからは、担当者がおうかがいします。そのまま、お待ちください。

(効果音:保留の音楽。誰かが鼻歌で歌っているような、のんびりした短いメロディ)

客保留の音楽、鼻歌なの?

(鼻歌がとぎれて、小さなせきばらい)

担当お電話代わりました。担当の者です。

客今、鼻歌を歌ってましたよね。

担当……ご用件をどうぞ。

客ごまかした。明日の午前中に、再配達をお願いしたいんです。

担当かしこまりました。明日の午前中に、お届けにうかがいます。

客よかった。

担当ちなみに、お荷物の中身は「目覚まし時計」と書いてあります。

客……自分で頼んでた。

担当明日は、起きられるといいですね。

(効果音:電話が切れる「プツッ」という音)

演じるときのコツ

音声役は、最初は機械らしく平らな話し方で始め、少しずつ人間らしさを出していくと、ずれが大きくなります。客役のツッコミは、電話口らしく、声を張らずにぼそっと言うほうが合います。最後の「目覚まし時計」は、途中の会話を思い出してもらう一言なので、ゆっくり、はっきり言いましょう。

保留の鼻歌は、知っている曲ではなく、その場で作った短いメロディにしてください。知られた曲を使うと、鼻歌でも著作権にかかわることがあります。

効果音と音楽の入れ方

音声コントの効果音は、役目で3つに分けて考えると、入れすぎを防げます。台本「再配達受付センター」の例と合わせて見てみましょう。

音の種類役目再配達受付センターでの例
まわりの音場所の空気を伝える客のいる部屋の、時計の小さな音
動作の音何が起きたかを伝えるボタンの「ピッ」、電話が切れる音
区切りの音場面の切りかわりを伝える担当者に代わる前の保留の音楽

まわりの音は、セリフのうしろで小さく流し続けます。動作の音は、起きた瞬間に鳴らし、反応のセリフの前に置きます。区切りの音は、場面と場面のあいだだけに使います。

声そのものを加工する方法もあります。編集アプリで低い音と高い音を少し削ると、電話を通したような声になります。この台本なら、音声役と担当役の声だけを加工すると、どちらが電話の向こうにいるのかが自然に伝わります。効果音の探し方や利用規約の確かめ方は、「動画の効果音の使い方」にまとめています。

家でできる録音のコツ

声だけで聞かせるので、録音のよしあしがそのまま聞きやすさに表れます。特別な部屋がなくても、次のことに気をつければ、家でも聞きやすく録れます。

部屋とマイクの準備

カーテンやソファのある、布の多い部屋で録ります。クローゼットを開けて、つるした服のほうを向いて録ると、声の響きが減ります。口からマイクまでは、こぶし1つか2つ分を目安にし、録っているあいだはその距離を変えないようにしましょう。

「パ」や「ポ」を言うと、息がマイクに当たって「ボフッ」という音が入ることがあります。マイクの前に付ける網(ポップガード)を使うか、マイクを口の正面から少しずらして防ぎます。マイクの選び方は「スマホの外付けマイクの選び方」で紹介しています。

一緒に録るか、別々に録るか

録り方よいところ気をつけること
同じ部屋で一緒に録る掛け合いの間が自然になる声が重なると、あとで直しにくい
別々に録って合わせる1人ずつ録り直せる。遠くの人とも作れる相手の声を聞きながら録らないと、間が不自然になる

はじめての人は、一緒に録るほうが掛け合いのリズムをつかみやすいです。別々に録るときは、先に録った相手の声をイヤホンで聞きながら、自分のセリフを録りましょう。

録るときの工夫

顔が見えなくても、表情や身ぶりを付けて演じると、声に気持ちがのります。座るより立って録るほうが、声が出しやすい人も多いです。言い間違えたら、手を1回たたいてから少し前のセリフから言い直すと、編集のときに音の波の形で場所が見つけやすくなります。

録音を始める前に確かめること

  • エアコン、換気扇を止め、スマホの通知を切ったか
  • 台本は、めくる音がしないように台に置いたか
  • 水を用意したか(口が乾くと、小さな雑音が入りやすい)
  • 試し録りで、いちばん大きな声が割れないか確かめたか
  • 何も話さない部屋の音を、10秒ほど録ったか(編集で、すき間を埋めるのに使う)

録ったあとの仕上げ

録音が終わったら、編集アプリで次の順番に仕上げます。音声コントは、編集で間を整えるだけでも、聞きやすさが大きく変わります。

  1. 言い間違いや、手をたたいた目印の部分を切る
  2. セリフとセリフのあいだの間を、詰めたり広げたりして整える
  3. 台本に書いた効果音と音楽を、決めた場所に置く
  4. 声、効果音、音楽の大きさをそろえる
  5. 少し時間をあけて、イヤホンで最初から最後まで通して聞く

最後に通して聞くときは、台本を見ないで聞きましょう。台本なしで場所や人物が分かれば、声だけで伝わるコントになっています。

録ったものを動画として投稿したいときは、1枚の絵と字幕を付けるだけでも形になります。絵を少し動かしてアニメにする方法は「コントアニメの作り方」で紹介しています。

よくある質問

1人でも音声コントは作れますか?

作れます。声の高さや話す速さを変えて、1人で2役を演じ分ける方法があります。また、電話の相手の声は聞かせず、こちらの返事だけで相手の言葉を想像させる形なら、1人の声だけで成り立ちます。

声を変えるのが苦手です。

声の高さを無理に変えなくても大丈夫です。話す速さ、ていねいな言葉かくだけた言葉か、口ぐせを変えるだけでも、人物は分かれて聞こえます。マイクとの距離を役ごとに少し変えるのも、聞こえ方を変える方法の1つです。

どのくらいの長さにすればいいですか?

はじめは2〜3分がおすすめです。声だけで長く聞くのは疲れやすいので、慣れるまでは短く作り、笑いどころを詰めておきましょう。SNS に載せるなら、1分ほどに縮めた版を作るのも手です。

まとめ

  • 最初の15秒で「どこで、誰が」を、あいさつや呼びかけで伝える
  • 人物は2〜3人にしぼり、呼び名・口ぐせ・話す速さで分ける
  • 動作は効果音と、それに反応するセリフで伝える
  • 効果音は「まわりの音・動作の音・区切りの音」の役目で選ぶ
  • 録音は布の多い静かな部屋で、マイクとの距離をそろえて録る
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