コント動画は、「設定を決める → 台本を書く → カット表を作る → 撮影 → 編集 → 見直し」の6つの手順で作ります。舞台のコントと違って笑い声が入らず、撮り直しもできるので、短くテンポよく作るのが基本です。
この記事では、手順ごとのポイントと、そのまま撮れる1分の台本例を紹介します。どの場面をどう撮るかをまとめたカット表もあるので、初めての人でも撮影の日に迷いません。
コント動画は6つの手順で作る
まずは全体の流れをつかみましょう。かかる時間は、2人で1分のコントを作るときの目安です。
- 設定を決める(30分):誰が、どこで、何がずれているかを1文にする
- 台本を書く(1〜2時間):セリフと動きに加えて、映し方も書く
- カット表を作る(30分):どの場面を、どのくらいの大きさで撮るかを決める
- 撮影する(2〜3時間):広く映して通して撮り、近づけた映像を撮り足す
- 編集する(2〜4時間):間を詰め、テロップと効果音を入れる
- 見直して投稿する(30分):音を消して見る、スマホの画面で見る
カットとは、撮影を止めずに続けて撮った1つの区切りのことです。テロップは、画面に出す文字を指します。
舞台のコントと動画のコントの違い
動画のコントは、舞台のコントをそのまま撮るだけでは、間延びして見えることが多いです。違いを知っておくと、台本の段階から動画向けに作れます。
| くらべること | 舞台のコント | 動画のコント |
|---|---|---|
| 長さ | 3〜5分ほどが多い | 1分前後から作れる |
| 間 | 客の笑いを待ってから次へ進む | 編集で詰められる |
| 笑い声 | 客席から聞こえる | 聞こえないので、テロップや効果音で補う |
| 見え方 | 客席から全身が見える | 顔や手元を大きく見せられる |
| 失敗したとき | やり直せない | 何度でも撮り直せる |
| 場所 | 舞台の上 | 家の中や身近な場所で撮れる |
舞台では、笑いが起きている間は次のセリフを待ちます。これを「笑い待ち」といいますが、動画では要りません。その分、表情や手元の小さな動きまで笑いにできるのが、動画ならではの強みです。
動画用の台本の書き方
設定を1文にする
コントの台本は、まず設定を1文にするところから始めます。「誰が」「どこで」「何がずれているか」の3つを入れると、話がぶれません。
たとえば、下の台本例の設定は「最後の1枚のクッキーをかけたジャンケンで、2人の考えがそろいすぎて勝負がつかない」です。設定の作り方は「コントの設定の作り方」で、勘違いや立場逆転などの型と一緒に紹介しています。
最初の5秒で設定が分かるようにする
動画は、合わないと思われるとすぐに飛ばされます。設定を長いセリフで説明せず、皿に1枚だけ残ったクッキーなど、見ただけで分かる物や服で伝えましょう。
ト書きに「映し方」も書く
ト書きとは、セリフ以外の動きや場面の説明のことです。動画の台本では、「(手元を大きく)」のように映し方も書いておくと、撮影の日に迷いません。
1分なら、ボケは3〜4個を目安にする
ボケとは、おかしなことを言ったりしたりすることです。1分のコントなら、設定を見せたあとにボケを3〜4個重ねます。だんだん大きくしてからオチ(最後の笑い)に向かうと、収まりがよくなります。
1分のコント台本例「最後の1枚」
そのまま撮れる、2人用の台本です。テーブルとお菓子があれば撮れます。クッキーには前もって軽く切れ目を入れておくと、最後の場面で大小に割りやすくなります。
- 時間
- 約1分
- 人数
- 2人
- 準備物
- スマホ、三脚、皿、クッキー(割れるお菓子なら何でも可)
- 難しさ
- ★★
台本最後の1枚(約1分)
(テーブルの皿に、クッキーが1枚だけ残っている。AとBが向かい合って座る)
A最後の1枚、ジャンケンで決めよう。
B恨みっこなしね。
A・B最初はグー、ジャンケンポン。(2人ともパー)
A・Bあいこでしょ。(2人ともチョキ)
A・Bあいこでしょ。(2人ともグー)
(テロップ「このあと、11回あいこ」)
A……ちょっと待って。考えてること、同じじゃない?
Bじゃあ次は、何も考えないで出す。
A私も、何も考えない。
A・Bあいこでしょ。
(2人とも、指を全部曲げた同じ変な形で固まる。手元を大きく)
B……それ、何?
A何も考えなかったら、これが出た。
B私も。
(間)
A……半分こにしよう。
(クッキーを割ると、大きいかけらと小さいかけらに分かれる)
(2人、無言でこぶしを構える。テロップ「つづく」)
「このあと、11回あいこ」のテロップで、撮らなくてもよい時間を一気に飛ばしています。舞台ではできない、動画ならではの時間の使い方です。最後にクッキーがうまく割れず、勝負がまた始まるところがオチです。オチの前のひと呼吸は、編集でも切らずに残してください。
撮り終えたクッキーは、2人でおいしく食べましょう。食べ物を粗末にしないことも、見ていて気持ちのよい動画の条件です。
カット表:どの場面をどう撮るか
カット表は、撮る場面の順番と映し方をまとめた表です。「引き」は2人の上半身や全身を広く映すこと、「寄り」は顔や手元を大きく映すことです。寄りのカットは、編集で引きの映像の途中に差し込みます。
| カット | 映すもの | 映し方 | セリフの範囲 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1枚残った皿と、向かい合う2人 | 引き | 「最後の1枚」から、最初の3回の勝負(「ジャンケンポン」と2回の「あいこでしょ」)まで |
| 2 | 2人の手元のグー・チョキ・パー | 寄り | 3回のあいこを、手元だけで撮り足す |
| 3 | 2人のやりとり | 引き | 「……ちょっと待って」から「……半分こにしよう」まで |
| 4 | 同じ形で固まった2人の手 | 寄り | 固まる場面(セリフなし) |
| 5 | 大小に割れたクッキー | 寄り | 割る場面(セリフなし) |
| 6 | こぶしを構える2人 | 引き | 最後まで |
撮影のポイント
撮る前に読み合わせと立ち位置の確認をする
撮影を始める前に、台本を2人で声に出して1回読みます。そのうえで、どこに立ち、どちらを向くかを決めましょう。スマホの画面で見て、2人の顔が重ならないかも確かめておきます。
画面の向きを最初に決める
ショート動画として出すなら縦、ふつうの動画として出すなら横で撮ることが多いです。途中で向きを変えると編集でつなげなくなるので、撮る前に決めておきます。
スマホは固定し、明るさと音を先に確かめる
スマホは三脚か、棚などに立てかけて固定します。窓を背にすると顔が暗くなるので、窓の光が顔に当たる向きで撮りましょう。本番の前に10秒だけ試し撮りをして、声が聞き取れるかを確かめます。明るさや音の整え方は「スマホでコント動画を撮るコツ」で詳しく紹介しています。
引きで通してから、寄りを撮り足す
まず引きで、最初から最後まで通して撮ります。そのあと、カット表の「寄り」の場面だけを撮り足すと、編集でつなぐときに困りません。各カットの前後には、3秒ほど何もしない時間を入れておきましょう。
撮る前に「カット3、2回目」と声に出しておくと、編集のときに目当ての映像を探しやすくなります。
編集のポイント
間を詰める。ただしオチの前は残す
セリフとセリフの間の、何も起きていない時間は短く切ります。ただし、オチの直前のひと呼吸まで切ると、笑うきっかけがなくなります。ここだけは、少し長めに残しましょう。
テロップは2種類だけにする
テロップは、聞き取りにくいセリフと、強めたい一言だけに入れます。全部のセリフに入れると、画面が文字でいっぱいになります。読みやすい文字数や出すタイミングは「動画の字幕の入れ方のコツ」で紹介しています。
効果音と音楽は入れすぎない
効果音は、1分の動画なら2〜3か所までを目安にします。音楽や効果音は、投稿先が用意したものや、利用規約で使ってよいとされている素材から選びましょう。効果音を入れる場所は「動画の効果音の使い方」で詳しく紹介しています。
最後に「音なし」と「小さな画面」で見直す
音を消して見ても、何が起きているか分かるかを確かめます。スマホの画面で見て、テロップが小さすぎないかも見ておきましょう。
投稿する前のチェック
- 最初の5秒で、どんな場面か分かるか
- 音を消しても、何が起きているか分かるか
- オチの前のひと呼吸が残っているか
- テロップに誤字がないか
- 表札や郵便物、ほかの人の顔が映っていないか
- 音楽や効果音は、使ってよいとされている素材か
よくある質問
1人でもコント動画は作れますか?
作れます。1人で2つの役を演じて編集でつなぐ方法と、見えない相手と話しているように演じる方法があります。1人の場合も、カット表を作っておくと撮り忘れを防げます。
撮影はスマホだけで大丈夫ですか?
大丈夫です。スマホを固定する三脚があると、映像のぶれが減ります。声が聞き取りにくいと感じたら、外付けのマイクを考えるとよいでしょう。
家族や友だちに出てもらうときに気をつけることは?
顔を出してよいかを先に確かめ、投稿する前に一緒に見てもらいましょう。本人が嫌がる役や、見た目をからかう役は頼まないことが大切です。
まとめ
- コント動画は、設定・台本・カット表・撮影・編集・見直しの6つの手順で作る
- 動画は笑い待ちが要らないので、舞台より短く、テンポよく作る
- 台本のト書きに映し方まで書き、引きで通してから寄りを撮り足す
- 編集では間を詰めつつ、オチの前のひと呼吸だけは残す






