コント動画のセリフを聞き取りやすく録るなら、スマホの外付けマイクは「どんな場面を撮るか」で選びます。2人が並んで掛け合うならガンマイク1本、動きながら話すならワイヤレスのピンマイクを1人1本が基本です。買う前には、スマホの差し込み口に合うかと、マイクの声として録れるかを必ず確かめましょう。
コントの笑いは、ボケのひと言が聞き取れて初めて起きます。この記事では、コント動画で困りやすい場面ごとのマイクの選び方と、端子と接続の確かめ方を紹介します。小さなつぶやきも大きなツッコミもきれいに録る工夫も、試し録りの台本つきでまとめました。特定の商品ではなく、選ぶときに見るところを書いています。
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セリフが聞き取れないと、笑いは起きない
スマホのマイクは本体についているため、離れて話すと声が遠くなり、部屋の響きやエアコンの音も同じように入ります。ふつうの会話なら聞き流せる程度でも、コントでは困ります。笑いどころの多くが、短いひと言だからです。
ボケはわざとずれたことを言うセリフ、ツッコミはそのずれを指摘するセリフのことです。本体のマイクだけで撮ると、コントでは次のようなことが起きやすくなります。
| 笑いどころ | 本体のマイクで起きること | 見る人に起きること |
|---|---|---|
| 小さな声でつぶやくボケ | 部屋の響きや雑音に埋もれる | 何と言ったのか分からず、笑えない |
| 勢いのあるツッコミ | 声が大きすぎて、ビリビリと割れる | 耳が痛く、言葉が聞き取れない |
| 2人のセリフが続く掛け合い | 遠いほうの声だけ小さくなる | どちらが何を言ったのか分からない |
| 動きながら言うセリフ | 向きや距離で声の大きさが変わる | 大事なひと言だけ聞こえないことがある |
| 外で撮る場面 | 風の「ボコボコ」という音が入る | 雑音が気になり、話が入ってこない |
字幕で補う方法もありますが、言い方や間(ま)の面白さは、声でしか伝わりません。笑いどころのひと言がはっきり聞こえることを、マイク選びのいちばんの目当てにしましょう。
スマホだけで撮るときの基本は「スマホでコント動画を撮影するコツ」にまとめています。スマホから1メートル以内で1人で話すなら、本体のマイクで足りることも多いです。まず本体のマイクで試し、足りないと感じてから外付けマイクを考えても遅くありません。
コント動画の場面別・マイクの選び方
どのマイクがよいかは、何人が、どれくらい動きながら演じるかで変わります。ピンマイクは服に留める小さなマイク、ガンマイクはスマホの上に付けて前の音をねらう細長いマイクです。困りやすい場面ごとに、まず試したいマイクを表にまとめました。
| 撮る場面 | まず試したいマイク | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 1人でカメラに向かって話す | 有線のピンマイク、差し込み口に挿す小型マイク | 口との距離が近く、声がいつも同じ大きさで録れる |
| 2人が並んで掛け合う | ガンマイク1本 | 2人の正面から向けるだけで、2人分を録れる |
| 2人の声の大きさがかなり違う | ピンマイクを1人1本 | それぞれの声を、近い大きさで録れる |
| 動き回る、離れて話す | ワイヤレスのピンマイクを1人1本 | 向きや距離が変わっても、声の大きさが変わらない |
| 外で撮る | ガンマイクかピンマイクに、風よけを付ける | 風の音を防ぎやすい |
| 1人で二役を演じる | 同じマイクを同じ位置で2回使う | 2つの役の声の聞こえ方がそろう |
| あとから声だけ入れる | 机に置くマイク | 声だけを落ち着いて録れる |
掛け合いは、2人の真ん中にガンマイクを向ける
2人が並んで掛け合うコントでは、ガンマイクを2人の口の真ん中あたりに向けます。声の大きい人は少しうしろ、小さい人は少し前に立つと、2人の声の大きさがそろいます。マイクはスマホのホルダーに付けるので、スマホごと、画面に入らないぎりぎりまで近づけましょう。
相手のセリフに自分のセリフがかぶると、マイクをよくしても、どちらも聞き取りにくくなります。相手の語尾を聞いてから話す練習も、合わせてしておきましょう。セリフの間の取り方は「漫才の間とテンポの取り方」が参考になります。
動きながら話すなら、ピンマイクを1人1本
振り向く、座る、部屋を横切るといった動きのあるコントでは、ガンマイクの向きから外れたとたんに声が遠くなります。笑いどころが動きの途中にあるなら、ワイヤレスのピンマイクを1人1本ずつ付けましょう。口とマイクの距離が変わらないので、どこで言っても同じ大きさで録れます。
受信機によっては、2人の声を左右に分けて録れるものもあります。分けて録っておくと、編集アプリによっては、片方の声だけ大きさを直せます。
一人二役や、あとから声を入れる場合
1人で2つの役を演じる動画は、2回の撮影でマイクの位置を変えないのがコツです。位置が変わると、役によって声の近さが変わり、別の部屋で話しているように聞こえます。映像に合わせてあとから声を入れるアフレコには、机に置くタイプのマイクも使えます。声だけでコントを作るときの録り方は、「音声コントの作り方」で紹介しています。
マイクの種類と特徴
スマホで使う外付けマイクは、主にピンマイクとガンマイクの2つです。どちらが上というより、撮り方によって向き不向きがあります。
ピンマイク|服に留める小さなマイク
ピンマイクは、襟や胸元にクリップで留める小さなマイクです。口との距離が近く、動いても距離が変わらないので、声がいつも同じ大きさで録れます。1人に1本付けるので、2人で使うなら2本(または2人分を受けられるもの)が要ります。
ケーブルでスマホとつなぐ有線のものと、電波で飛ばすワイヤレスのものがあります。ワイヤレスは、声を送る送信機を服に付け、受け取る受信機をスマホに挿して使います。
気をつけたいのは、服がマイクにこすれる「ガサガサ」という音です。コントでは、肩をたたく、胸に手を当てるといった動きのたびに、この音が入りがちです。マイクが服や髪に触れないよう留め、ケーブルはテープで服の内側に軽く留めましょう。胸元を触る動きがあるときは、マイクを反対側の襟に付けます。
ガンマイク|前の音をねらって拾う細長いマイク
ガンマイクは、正面の音をよく拾い、横やうしろの音を拾いにくい細長いマイクです。このように、音を拾いやすい向きがあることを「指向性」といいます。スマホを挟むホルダーの上に付けて、演じる人のほうに向けて使います。
服に付けなくてよいので、衣装のじゃまになりません。ただし、離れるほど声は小さくなり、部屋の響きも入ります。近づけるほど効果が出るので、画面に入らない範囲でスマホごと近づけましょう。
そのほかのマイク
スマホの差し込み口に直接挿す小型のマイクは、スマホのまわりの音を広く拾います。カメラの近くで1人で話す動画に向いています。
| 種類 | 向いている撮り方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 有線のピンマイク | 1人で語る、座って話す | ケーブルが映らないようにする |
| ワイヤレスのピンマイク | 動き回るコント、離れて撮る | 送信機と受信機の充電を忘れない |
| ガンマイク | 2人で並ぶ掛け合い、外での撮影 | 演じる人に向けて、なるべく近くに置く |
| 差し込み口に挿す小型マイク | カメラの近くで1人で話す | 離れると本体のマイクと大きく変わらない |
| 机に置くマイク | アフレコ、ナレーション | 映像の撮影には向かない |
買う前に確かめること|端子と接続
外付けマイクで多い失敗は、「挿さらない」と「挿さったのに声が入らない」の2つです。どちらも、端子(差し込み口とプラグ)と接続のしかたを確かめれば防げます。
スマホの差し込み口の形を確かめる
スマホの差し込み口は、USB Type-C のほかに、Lightning という形の機種もあります。イヤホンを挿す丸い穴がある機種もあります。マイクのプラグがスマホと違う形なら、変換アダプタでつなぎます。
変換アダプタの中には、音を聞くためだけのもので、マイクの声を入れられないものがあります。「マイク入力に対応」と書かれているかを確かめてから選びましょう。
丸いプラグは、黒い線の数を見る
イヤホンと同じ丸いプラグ(直径3.5ミリ)のマイクは、金属の部分に入った黒い線の数を見ます。線が2本なら「3極」、3本なら「4極」と呼ばれる形です。
スマホのイヤホンの穴は、4極のプラグでマイクの声を受け取る作りのものが多いです。カメラ用の3極のマイクをそのまま挿すと、声が入らないことがあります。カメラ用とスマホ用の2本のケーブルが付いているマイクなら、スマホ用のほうを使います。
ワイヤレスは受信機と電池を確かめる
ワイヤレスのマイクは、受信機をスマホに挿して使うので、受信機のプラグの形を確かめます。送信機と受信機はそれぞれ充電が要るので、撮影の前日に満タンにしておきましょう。2人で使うなら、送信機が2つあるものを選びます。
外付けマイクを買う前に確かめること
- 撮りたいコントは、並んで掛け合うか、動き回るか
- スマホの差し込み口の形(USB Type-C か、ほかの形か、イヤホンの穴があるか)
- マイクのプラグがそれに合うか。合わないなら、マイク入力に対応した変換アダプタがあるか
- 丸いプラグなら、スマホ用の4極か(3極なら、スマホ用のケーブルが付いているか)
- ワイヤレスなら、受信機のプラグの形、電池の持ち、送信機の数
- 充電口にマイクを挿すと、撮影中に充電できなくなるが大丈夫か
- 有線なら、ケーブルの長さが演じる人とスマホの距離に足りるか
つないだら、マイクの音で録れているか試す
マイクをつないでも、カメラのアプリが本体のマイクのまま録っていることがあります。同じ場所から、マイクありとマイクなしで10秒ずつ録り、イヤホンで聞き比べましょう。声の近さがはっきり違えば、外付けマイクで録れています。
小さな声も大きな声も聞き取れるように録る工夫
よいマイクを使っても、響く部屋やうるさい部屋では、声が聞きづらくなります。マイク選びと同じくらい、録る場所と試し録りが大事です。
布の多い部屋を選ぶ
物が少ない部屋や浴室、廊下は、声が壁にはね返って響きます。カーテン、ソファ、ベッド、じゅうたんのある部屋のほうが、声がすっきり録れます。響きが気になるときは、画面に映らないところに毛布やクッションを置くだけでも変わります。
音の出るものを止め、時間帯を選ぶ
エアコン、換気扇、洗濯機、パソコンのファンは、撮影のあいだだけ止めましょう。冷蔵庫のように止められないものからは、できるだけ離れます。窓を閉め、車や人通りの少ない時間を選ぶのも効果があります。ただし、ツッコミの大きな声は近所に響くので、夜遅くの撮影は避けてください。
本番と同じ動きで試し録りをする
ピンマイクは、口から20センチほど下の胸元に付けるのが目安です。ガンマイクは、演じる人の口に向けて、画面に映らないぎりぎりまで近づけます。
コントでは、ぼそっとつぶやくボケのすぐあとに、大きな声のツッコミが来ることがあります。声が大きすぎると、音がつぶれてビリビリと割れて聞こえます。これを音割れといいます。本番の前に次の掛け合いで試し録りをして、小さな声と大きな声の両方がきれいに録れる位置を探しましょう。
台本試し録り用の掛け合い(約20秒)
(2人で、本番と同じ立ち位置に立つ)
Aテスト、テスト。ただいまマイクの試し録りをしています。
B(小さな声で、ぼそっと)実はずっと、靴下が左右ちがいます。
A(いちばん大きな声で)いや、言うの今なの。
B(話しながら、本番でいちばん離れる位置まで歩く)パピプペポ、パピプペポ。
Aちょっと、どこまで行くの。
録れたらイヤホンで聞き、次の表で直します。
| 聞こえ方 | 直し方 |
|---|---|
| ぼそっと言うボケが聞き取りにくい | マイクを近づけるか、小さい声の人が少し前に立つ |
| 大きな声のツッコミが割れる | マイクを少し離すか、マイクの音量を下げる |
| 「パ」が「ボフッ」と鳴る | マイクを口の正面から少しずらすか、スポンジの風よけを付ける |
| 歩いた先で声が遠くなる | ガンマイクをやめ、ピンマイクを付ける |
| 服のこすれる音が入る | マイクの留め方を変え、反対側の襟に付ける |
声そのものを聞きやすくしたいときは、「お笑いの発声練習」も参考にしてください。大声に頼らずに通る声が出せると、音割れも起きにくくなります。
よくある質問
2人で撮るなら、マイクは何本要りますか?
2人が並んで掛け合うなら、まずはガンマイク1本で十分なことが多いです。2人の声の大きさがかなり違うときや、離れて動き回るときは、ピンマイクを1人1本ずつ付けましょう。それぞれの声を、同じくらいの大きさで録れます。
有線とワイヤレス、どちらがいいですか?
動きの少ないコントなら、電池切れの心配がない有線で十分です。動き回る場面が多い、スマホから離れて撮る、という場合はワイヤレスが便利です。ワイヤレスは充電を忘れると使えないので、撮影の前日に確かめましょう。
イヤホンのマイクで代わりになりませんか?
有線のイヤホンについているマイクは、口に近いぶん、本体のマイクより声が聞きやすくなることがあります。ただ、ケーブルが映りやすく、服にこすれる音も入ります。無線のイヤホンのマイクは、音が遅れたり、電話のような音になったり、カメラのアプリで使えなかったりすることがあります。
撮っている人の笑い声が入ってしまいます。
本体のマイクは、スマホのうしろで撮っている人の声もよく拾います。ガンマイクを演じる人に向けると、うしろの声は入りにくくなります。それでも笑い声がセリフに重なったところは、撮り直しましょう。編集であとから消すのは難しいからです。
まとめ
- コントは、笑いどころのひと言が聞き取れるかでマイクを選ぶ
- 並んで掛け合うならガンマイク1本、動き回るならピンマイクを1人1本
- 買う前に、差し込み口とプラグの形、マイク入力に対応しているかを確かめる
- 丸いプラグは、スマホ用の4極かどうかを黒い線の数で見分ける
- 本番と同じ立ち位置と声の大きさで試し録りをしてから撮り始める






