スマホでコント動画を撮るときは、撮る前に画面の向きを決め、スマホを固定するのが基本です。そのうえで、顔に光が当たる場所を選び、声が届く近さから撮ります。この4つを押さえるだけで、同じスマホでも見やすさが大きく変わります。
もう1つ大事なのが、撮った直後にその場で見返すことです。この記事では、向き・構図・明るさ・音のコツと、撮影直後の確かめ方を、30秒のコントのカット表つきで紹介します。特別な機材は使いません。
目次目次を閉じる目次を開く
撮る前に、画面の向きを縦か横かに決める
最初に決めるのは、縦長で撮るか、横長で撮るかです。向きは、動画を見せる場所で決まります。途中で向きを変えると、編集でつないだときに画面の形がそろわないので、最後まで同じ向きで撮りましょう。
| 見せる場所 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| ショート動画(縦の画面で次々に流れるもの) | 縦 | スマホの画面いっぱいに映る |
| YouTube のふつうの動画 | 横 | パソコンやテレビでも見やすく、2人が横に並べる |
| 結婚式や宴会のスクリーン | 横 | 会場のプロジェクターやテレビは横長のことが多い |
| 縦と横の両方に使いたい | 横で少し広めに | あとで縦に切り抜けるよう、人物を真ん中に集めておく |
結婚式の会場で流す動画を作るときは、「余興ムービーの作り方」も合わせて読んでおくと、準備の流れがつかめます。
縦の画面では、下と右をあけておく
ショート動画は、画面の下のほうに説明の文字、右側にボタンが重なることが多いです。顔や大事な小道具が下の端にあると、隠れてしまいます。人物の顔と小道具は、画面の真ん中から少し上に置くと安心です。
縦で2人を撮るときの並び方
縦長の画面に2人が横に並ぶと、どちらも小さく映ります。1人が少し前に出て斜めに並ぶか、座って顔の高さをそろえると、2人とも大きく入ります。話す人を1人ずつ交互に撮ってつなぐ「切り返し」にする方法もあります。
構図は「目の高さ」と「近づく」が基本
構図とは、画面の中に人や物をどう置くかのことです。コント動画では、凝った構図よりも、表情とやりとりがはっきり見えることを大事にします。
- スマホは、演じる人の目の高さに置く
- 頭の上に少しすき間をあけ、あごや足先を画面の端で切らない
- 大きく映したいときは、ズームせずにスマホを近づける
- 床や机の線を、画面の横の線とそろえて傾きを防ぐ
ズームをすると、画質が落ちたり、少しの揺れが大きく見えたりします。多くのスマホでは、画面に縦横の線(グリッド線)を出せるので、傾きを確かめるときに使いましょう。
引きと寄りを使い分ける
人物を広く映すことを「引き」、近くで大きく映すことを「寄り」といいます。笑いどころでは、ボケを聞いた人の顔に寄ると、表情で笑いが大きくなります。
| 大きさ | 映る範囲 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 引き | 全身か、腰から上の2人 | 場面の説明、動きで笑わせるところ |
| 中くらい | 胸から上 | ふつうの会話のやりとり |
| 寄り | 顔か手元のアップ | ボケを聞いた顔、小道具を見せるところ |
スマホを固定し、立ち位置に目印を貼る
手で持って撮ると、揺れて見づらくなります。三脚がなければ、本を重ねた台にスマホを立てかけ、うしろを箱で支えるだけでも十分です。演じる人の立ち位置には、床にマスキングテープで小さな目印を貼っておくと、撮り直しても位置がずれません。
30秒のコント「プレゼントの中身」のカット表
撮る前にカット表を作っておくと、撮影の日に迷いません。カット表とは、撮る場面を1つずつ区切り、映す大きさやセリフ、秒数を書いた表です。例として、2人で撮れる30秒のコントを紹介します。
- 時間
- 30秒
- 人数
- 2人
- 準備物
- 大きさの違う箱4つ、メモ用紙1枚、スマホを立てる台
- 難しさ
- ★
| カット | 大きさ | 映すもの | セリフ・音 | 秒数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 引き | 机をはさんで座る2人。Aが箱を渡す | A「誕生日おめでとう」B「ありがとう」 | 4秒 |
| 2 | 寄り | Bの手元。箱を開けると、中にまた箱 | B「……箱だね」 | 4秒 |
| 3 | 中くらい | Aの胸から上。にこにこしている | A「開けて開けて」 | 3秒 |
| 4 | 寄り | Bの手元。開けるたびに中の箱が小さくなる | 箱を開ける音だけ | 8秒 |
| 5 | 寄り | Bの顔。手の中の小さな箱を見つめる | (無言) | 3秒 |
| 6 | 寄り | Bの手元。最後の箱から出てきたメモ「中身は来週」 | (無言) | 3秒 |
| 7 | 引き | 2人。Aが満足そうにうなずく | B「来週かい」 | 5秒 |
撮る順番は、話の順番どおりでなくてもかまいません。カット1と7は同じ引きの位置、カット2・4・6は同じ手元の位置です。スマホの位置が同じカットをまとめて撮ると、置き直す手間が減って早く終わります。
まとめて撮るときは、箱の向きや置き場所が前後のカットとずれやすくなります。1つ撮り終えるごとに、机の上を写真に撮っておくと、つないだときの違和感を防げます。撮影から編集までの全体の流れは、「コント動画の作り方」で順に紹介しています。
撮影の日の進め方
撮影の日は、次の順番で進めると、撮り忘れや撮り直しが減ります。
- スマホを固定し、立ち位置に目印を貼る
- 10秒だけ試し撮りして、明るさと声を確かめる
- カット表を見ながら、スマホの位置が同じカットをまとめて撮る
- 1カット撮るごとに、その場で見返す(確かめ方は下で紹介します)
- 全部撮り終えたら、カット表と見比べて、撮り忘れがないか確かめる
明るさのコツ|顔に光を当てる
暗い動画は表情が見えず、笑いどころが伝わりません。部屋で撮るときは、次の3つに気をつけると、顔が明るく映ります。
窓を背にせず、窓のほうを向いて演じる
窓を背にして立つと、顔が暗くつぶれます。これを逆光といいます。昼間は、演じる人が窓のほうを向き、スマホは窓を背にして置くと、顔に自然な光が当たります。
天井の照明に、下からの光を足す
天井の照明だけでは、目の下や鼻の下に影ができます。演じる人の手前、画面に映らない机の上に白い紙や白いタオルを置くと、光がはね返って影がやわらぎます。この光を返す板のことを、レフ板といいます。
光の色と明るさを、撮影中に変えない
窓からの白っぽい光と、オレンジっぽい電球の光が混ざると、顔の色がまだらに見えます。どちらか一方にそろえるのがコツです。また、窓の光は時間とともに変わるので、同じ場面は続けて撮り終えましょう。
人が動くと、スマホが明るさを自動で直し、画面がちらつくことがあります。多くのスマホには、明るさやピントを固定する機能があります(操作は機種によって違います)。試し撮りで顔がちょうどよく見えたら、固定してから本番を撮りましょう。
音のコツ|声が届く近さで撮る
コント動画では、映像と同じくらい声が大事です。映像が少し暗くても見られますが、セリフが聞き取れないと、笑いどころがまったく伝わりません。
スマホのマイクは本体についているので、離れるほど声が小さくなり、部屋の響きが大きくなります。引きで撮るときも、演じる人からスマホまでは2メートルくらいまでを目安にしましょう。もっと離れて撮りたいときは、外付けマイクが役に立ちます。選び方は「スマホの外付けマイクの選び方」にまとめています。
撮る前に、音のために確かめること
- エアコン、換気扇、テレビ、音楽を止めたか
- 物が少なく声が響く場所(廊下や浴室など)を避けたか
- スマホの通知と着信を止めたか(機内モードなど)
- マイクの穴を、指やスマホを立てる台でふさいでいないか
- BGM を流しながら撮っていないか(音楽は編集で入れる)
撮影中にBGMを流すと、あとで音楽だけを小さくしたり、差しかえたりできなくなります。セリフは、ふだんよりはっきり、少しゆっくり話してください。笑ってしまってセリフが重なったときは、ためらわずに撮り直しましょう。
撮った直後に、その場で確かめること
撮影でいちばん困るのは、家に帰ってから「声が入っていない」「途中で切れている」と気づくことです。1カット撮るたびに、その場で見返す習慣をつけましょう。
撮るときは、録画を始めてから2〜3秒待って演技を始め、最後のセリフのあとも2〜3秒そのままにしてから止めます。この前後の余白を「のりしろ」と呼び、編集でつなぐときに役立ちます。
1カット撮るたびに確かめること
- 最初と最後に、2〜3秒ののりしろがあるか
- 顔が暗くないか、途中で明るさが変わっていないか
- ピントが顔に合っているか
- 頭や手、小道具が画面の端で切れていないか
- イヤホンで聞いて、セリフがはっきり聞き取れるか
- 郵便物や窓の外の景色など、映したくないものが入っていないか
- 決めた画面の向きのまま撮れているか
スマホの小さな画面では、ピントのずれや雑音に気づきにくいものです。指で拡大して顔を確かめ、音は必ずイヤホンで聞きましょう。撮り直しは、光や服装が変わらないうちに、その日のうちに済ませます。
カットが多いときは、撮る前にカット番号を書いた紙を2秒ほど映しておくと、編集で探しやすくなります。撮り終えたら、その日のうちにパソコンなどへコピーしておくと、スマホが壊れたときも安心です。
よくある質問
画面側のカメラで撮ってもいいですか?
画面側のカメラ(インカメラ)は、自分の映りを見ながら撮れるので、1人で撮るときに便利です。ただ、背面のカメラのほうが画質がよいことが多いです。背面で撮るなら、試し撮りで映る範囲を確かめ、立ち位置に目印を貼っておきましょう。
画質の設定はどれにすればいいですか?
SNS や YouTube に載せるなら、フルHD(1080p)で足りることが多いです。4Kはきれいですが、ファイルが大きくなり、編集が重くなることもあります。1秒あたりのコマ数は、会話が中心のコントなら30コマで十分です。
部屋が散らかっていて、撮る場所がありません。
無地の壁やカーテンの前で撮ると、背景がすっきりします。背景を別の画像に差しかえたいときは、「グリーンバックの撮影方法」で、家でできる準備を紹介しています。
まとめ
- 撮る前に、見せる場所に合わせて縦か横かを決め、最後まで変えない
- スマホは固定し、目の高さから、ズームせずに近づいて撮る
- 窓のほうを向いて顔に光を当て、声が届く近さで撮る
- 前後に2〜3秒ののりしろを取り、1カットごとにイヤホンで見返す






