グリーンバックの撮影で笑える合成動画を作るには?家でできる準備・照明・服の色

グリーンバックの前でポーズをとる人と、三脚に立てたスマホ

グリーンバックで笑える合成動画を撮るなら、まず「ありえない場所で、本人は大まじめ」というずれを1つ決めます。撮影では、しわのない緑の布をピンと張り、人物は布から1メートル以上離れて立ちます。布と人物を別々に照らし、緑の入っていない服で撮れば、編集で緑の部分だけがきれいに抜けます。

この記事では、合成で笑いを取るアイデアと、その笑いを生かす撮り方を紹介します。家でできる準備、照明、服の色、合成の流れも順にまとめ、すぐ撮れる30秒の台本を2本付けました。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 合成で笑いを取るアイデア
  2. 家でできる準備|布をしわなく張る
  3. 照明|布と人物を別々に照らす
  4. 服と小道具は「緑を避ける」
  5. 笑いを生かす撮り方|背景に合わせて演じる
  6. 合成の流れ
  7. すぐ撮れる30秒の台本2本
  8. よくある質問
  9. まとめ

合成で笑いを取るアイデア

緑など1つの色だけを透明にして、うしろに別の画像を重ねる方法を、クロマキー合成といいます。グリーンバックは、そのために人物のうしろに置く緑の背景のことです。人の肌や髪には緑がほとんど含まれないので、緑だけを消しやすいのです。

合成の笑いは、たいてい「場所や大きさ」と「演技」のずれから生まれます。冷蔵庫の中なのに、リポーターのように落ち着いて話す。机の上で小さくなったのに、山登りのように本気で進む。背景がありえないほど、演技はまじめにするのが基本です。

案用意する背景笑いどころ難しさ
冷蔵庫の中から生中継自分の家の冷蔵庫の中を撮った写真寒そうにしながら、食材の様子を真剣に伝える★★
散らかった部屋の緊急ニュース自分の部屋の写真脱ぎっぱなしの靴下を、大事件のように伝える★
宇宙からのお知らせ使ってよいとされている宇宙の画像宇宙飛行士からの連絡が「洗濯物を取り込んで」★
南の島からこんにちは海辺の写真と、自分の部屋の写真背景がずれ落ちて、本当は家にいたことがばれる★★
あと5分だけ同じ窓の外を朝・昼・夕方・夜に撮った写真「あと5分」と言うたびに、窓の外だけ日が暮れていく★★
机の上の大冒険自分の机を低い位置から撮った写真小さくなった自分が、消しゴムを岩のように乗りこえる★★★
もう1人の自分と相談自分の部屋の写真同じ人が2人並び、片方が都合のいいことばかり言う★★★

場所と演技のずれで笑わせる考え方は、「コントの設定の作り方」で紹介している「場違い」の型と同じです。まずは★1つの案で、合成そのものに慣れてから、大きさや人数で遊ぶ案に進みましょう。

背景には、自分で撮った写真か、利用規約で使ってよいとされている素材を使います。ネットで見つけた画像や、実在の番組のセットやロゴをまねた背景は使いません。家族の顔や近所の家、車のナンバーが写った写真も避けましょう。番組風にするときの注意は「余興ムービーを番組風にするには?」にまとめています。

家でできる準備|布をしわなく張る

グリーンバック用の緑の布は、手ごろなものが多く売られています。無地でつやのない、明るい緑の布なら、ほかのものでも代わりになります。上半身を映すなら幅1.5〜2メートルほど、全身を映すなら床まで垂らして足元にも敷くのが目安です。「机の上の大冒険」のように全身を小さく合成する案では、足元まで緑にしておきます。

いちばん大事なのは、しわをなくすことです。しわの部分は影になって色がむらになり、きれいに抜けません。

  1. 布にアイロンをかけるか、しわを伸ばしておく
  2. 突っ張り棒やカーテンレールに、布の上の端をクリップで留める
  3. 下の端も引っぱって留め、布をピンと張る
  4. 人物が立つ位置を、布から1〜2メートル離れたところに決め、床に目印を貼る
  5. スマホを固定し、人物のまわりが画面の端まで緑で埋まっているか確かめる

人物が布の近くに立つと、布に影が落ちたり、緑の光が肌や髪の縁に映りこんだりします。この映りこみを「色かぶり」といいます。布から離れて立つだけで、影と色かぶりの両方が減ります。

照明|布と人物を別々に照らす

グリーンバックの照明は、布を照らす光と、人物を照らす光を分けて考えます。布の明るさにむらがあると、暗い部分だけ緑が残ってしまうからです。

照らすもの置き場所家にある物での代わり
布(背景)布の左右の斜め前から、同じ明るさでデスクライト2台、クリップ式のライト
人物の顔スマホのうしろの、少し上から窓の光、白い紙ごしのデスクライト
人物の髪の縁人物の斜めうしろの上から、弱く小さなライト(なくてもよい)

光はやわらかいほうが、むらが出にくくなります。ライトの前に白い紙や薄い白い布をかざすか、白い壁に当ててはね返すと、光が広がります。紙や布をかざすときは、ライトに触れないよう離し、熱くならないLEDのライトを使ってください。

人物の斜めうしろから弱い光を当てると、髪の縁が明るくなり、背景と分かれて抜けやすくなります。窓の光は時間で変わるので、カーテンを閉め、部屋のライトだけで撮るほうが安定します。

照明を当てたら、試し撮りで確かめること

  • 布の明るさがそろっているか(真ん中だけ明るく、端が暗くなっていないか)
  • 布に人物の影が落ちていないか
  • 顔が布より暗くなっていないか
  • 人物の縁が、緑っぽく光っていないか

服と小道具は「緑を避ける」

グリーンバックでは、緑の部分がすべて透明になります。緑の服を着ると、体が透けて背景が見えてしまいます。服や小道具は、次の表を見て選びましょう。

避けたいもの理由代わりに
緑・黄緑・青緑の服服の部分まで透けてしまう赤、オレンジ、紺、茶色など
光る素材(スパンコール、エナメル)緑の光を映して、縁が透ける綿など、つやのない生地
細かいしま模様やチェック細い線がちらついて見える無地か、大きめの柄
透けるもの(ペットボトル、レース)うしろの緑が見えて透ける中が見えない小道具
眼鏡レンズに緑が映りこむ少しあごを引くか、ライトの角度を変える

どうしても緑の衣装を使いたいときは、青い布で撮る「ブルーバック」にする方法もあります。その場合は、ジーンズなど青い服が抜けやすくなるので気をつけましょう。髪は、細かい毛先がばらけると縁がちらつくので、まとめるか整えておきます。

緑が透けることを、わざと笑いに使う

先にスマホを固定して、誰もいない机を撮っておきます。そのあと、緑の手袋をはめ、腕も緑の布で覆ってペンを持ち、同じ位置から撮ります。緑を抜いて先ほどの机の写真を重ねると、手が消えて、ペンがひとりでに字を書いているように見えます。

笑いを生かす撮り方|背景に合わせて演じる

合成の笑いは、背景と演技がぴたりと合ったときに起きます。演じる人には背景が見えていないので、撮る前に「どこに何があるか」をそろえておくことが大切です。

カメラを固定し、背景と高さ・光の向きをそろえる

撮るときは、スマホを三脚などで固定し、最後まで動かさないのが基本です。背景は止まった写真なので、カメラだけが動くと、人物と背景のずれがすぐに分かってしまいます。明るさやピントも、試し撮りで決めたら固定しておきます。

背景の写真は、撮影の前に用意しておきます。目の高さで撮った背景なら、カメラも人物の目の高さに置きます。背景の写真で光が左から差しているなら、人物にも左から光を当てると、自然になじみます。部屋で撮るときの明るさや音の基本は、「スマホでコント動画を撮影するコツ」で紹介しています。

視線の先に目印を貼る

冷蔵庫の中のジャムの瓶を見つめる場面でも、演じる人には瓶が見えていません。視線や指先がずれると、背景と演技がかみ合わず、笑いどころがぼやけます。背景の写真をスマホで見せて「瓶は右下」のように位置を決めてから演じましょう。画面に入らない横の壁などに小さな目印を貼っておくと、何度撮っても視線がそろいます。

小さくなる合成は、全身を撮って縮める

「小さくなった自分」を見せるときは、布の前で全身を撮り、編集で小さく縮めて背景に置きます。背景の写真は、机すれすれの低い位置から撮ると、消しゴムや鉛筆が大きく見え、大きさの差がはっきりします。人物を撮るカメラも少し低めに置くと、見上げる角度がそろいます。

足元が浮いて見えるときは、足元を画面の下の端で切るか、座っている場面にすると目立ちません。手を速く振るとぶれて縁がにじむので、動きは大きく、ゆっくりにしましょう。

もう1人の自分は、同じ場所で2回撮る

同じ人が2人並ぶ合成は、カメラと照明を動かさずに、立ち位置を左右に変えて2回撮ります。それぞれ緑を抜いて同じ背景に並べれば、2人が同じ部屋にいるように見えます。帽子をかぶる・かぶらないなど、役ごとに見た目を1つ変えると、どちらが話しているか分かりやすくなります。

相手の役のセリフの間は、黙って聞いている演技をします。1回目の録音をイヤホンで聞きながら2回目を演じると、会話の間がそろいます。

背景が変わる笑いは、気づく瞬間を数えて演じる

背景がずれ落ちる、急に変わるといった笑いは、編集で背景を動かして作ります。演じる人は、背景が動く瞬間を見られません。「言い終わったら2つ数えて振り返る」のように、気づく瞬間を決めて演じると、編集で背景の動きを合わせやすくなります。

背景が変わる瞬間に効果音を1つ合わせると、笑いどころがはっきりします。音を入れるタイミングと、素材の利用規約の確かめ方は、「動画の効果音の使い方」で紹介しています。

きれいに合わせるか、わざと雑にするか

合成の笑いには、2つの方向があります。きれいになじませて「本当にそこにいる」ように見せるか、わざと切り抜きのように雑にして、手作り感で笑わせるかです。どちらにするかを先に決めておきましょう。中途半端な仕上がりは、見る人には失敗に見えてしまいます。

合成の流れ

多くの動画編集アプリには、緑を消す「クロマキー」の機能があります。名前は「グリーンスクリーン」「背景を消す」など、アプリによって違います。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 背景にする画像や動画を用意する
  2. 編集アプリで、背景を下の段、グリーンバックで撮った映像を上の段に並べる(この段をトラックといいます)
  3. 上の映像にクロマキーの機能を使い、消す色として緑を選ぶ
  4. 抜け具合を少しずつ調整する。強すぎると服や髪まで透け、弱すぎると緑が残る
  5. 人物の縁に緑が残ったら、縁をなじませる機能や、緑を消す機能で整える
  6. 布が届いていない画面の端は、切り取る機能で消す
  7. 人物と背景の明るさと色味をそろえる
  8. 大きな画面で通して見て、縁がちらついていないか確かめる

背景を途中で動かすときは、背景の写真を2枚重ね、上の1枚の位置を時間に合わせて動かします。多くのアプリでは、動き始めと止まる位置に印を付けると、そのあいだを自動で動かしてくれます。

本番の前に、10秒だけ試し撮りして、その場で合成してみるのがおすすめです。緑が残る、体が透けるといった問題は、撮影の日のうちなら照明や服を変えて直せます。

すぐ撮れる30秒の台本2本

どちらも1人で撮れる台本です。背景は自分で撮った写真を使います。

冷蔵庫の中から生中継

背景は、自分の家の冷蔵庫の中を撮った写真です。笑いどころは、まじめな口調のまま、冷蔵庫の中の小さな出来事を大事件のように伝えるところです。

時間
30秒
人数
1人
準備物
緑の布、冷蔵庫の中を撮った写真、厚手の上着、マイク代わりのペン
難しさ
★★

台本冷蔵庫の中から生中継(約30秒)

(背景は冷蔵庫の中の写真。リポーターは厚手の上着を着て、寒そうに立っている)

リポーターこちら、冷蔵庫の中です。中はとても冷えています。

リポーター右手をご覧ください。いつからあるのか分からない、ジャムの瓶です。

リポーターふたが固く閉まったまま、誰にも開けてもらえず、季節が過ぎています。

(背景がぱっと明るくなる。リポーターがうしろを振り返る)

リポーターあっ、扉が開きました。大きな手が伸びてきます。

リポーター……麦茶を持っていきました。今日も麦茶です。

リポーター以上、冷蔵庫の中からお伝えしました。早く閉めてください。

扉が開く場面は、編集で背景の写真を少し明るくすると、光が差し込んだように見えます。扉が開く音を足すと、さらに場面が伝わります。

南の島からこんにちは

背景は、海辺の写真と、部屋干しのタオルが並んだ自分の部屋の写真の2枚です。部屋の写真を下の段に置き、その上に海の写真を重ねておきます。

時間
30秒
人数
1人
準備物
緑の布、海辺の写真、自分の部屋の写真、つばの広い帽子、うちわ、扇風機
難しさ
★★

台本南の島からこんにちは(約30秒)

(背景は海辺の写真。つばの広い帽子をかぶり、うちわであおぎながら立っている)

話し手みなさん、こんにちは。今日は南の島に来ています。

話し手聞こえますか、この波の音。(波の音が流れる)

話し手潮風が気持ちいいですね。(扇風機の風で、シャツのすそがゆれる)

(海の写真が、ゆっくり下にずれ始める。話し手は気づかない)

話し手空も海も、どこまでも青くて……

(海の写真がすっかり落ち、部屋干しのタオルが並んだ部屋が見える)

(話し手がうしろを振り返り、無言で前に向き直る)

話し手……こちらの島は、タオルがよく乾きそうです。

(前を向いたまま、うしろに手を伸ばして写真を引き上げるしぐさ。海の写真が元に戻る)

話し手以上、南の島からお伝えしました。

演じる人は、「どこまでも青くて」と言い終わったら2つ数えてから振り返ります。引き上げるしぐさは大きく、ゆっくり行い、その手の動きに合わせて海の写真を元の位置に戻しましょう。

よくある質問

緑の布がないときは、何で代わりになりますか?

無地でつやのない、明るい緑のものなら代わりになることがあります。緑の模造紙を何枚かつないで壁に貼る方法もあります。暗い緑や、柄の入ったものは抜けにくいので、試し撮りで確かめてから使いましょう。

スマホの編集アプリでも合成できますか?

スマホの編集アプリにも、クロマキーの機能を持つものが多くあります。ただ、無料の範囲では使えないこともあります。撮影の前に、試し撮りの映像で合成できるかを確かめておくと安心です。

部屋が狭くて、布から離れて立てません。

布から離れられないときは、布を照らすライトを少し強くして、人物の影を薄くしましょう。上半身だけを映し、腕を体の前で動かすようにすると、影が布に落ちにくくなります。

縁が少しちらつきます。笑いの動画なら気にしなくていいですか?

短い動画なら、少しのちらつきは気にならないことも多いです。ただ、ちらつきが目立つと見る人の目がそちらに向き、ボケのひと言が届きにくくなります。直しきれないときは、人物に白い縁取りを付けるなどして、わざと切り抜きらしく見せるのも1つの方法です。

まとめ

  • 合成の笑いは「ありえない背景」と「まじめな演技」のずれで作る
  • 布はしわなく張り、人物は布から1メートル以上離れて、布と人物を別々に照らす
  • 緑の服、光る素材、透けるもの、細かいしま模様は避ける
  • カメラは固定し、背景の写真と高さ・光の向き・視線の先をそろえる
  • 本番の前に、試し撮りを1本合成して確かめる
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