友人代表スピーチで笑いが起きるエピソードは、「意外な一面」「具体的な場面」「本人も笑える話」の3つがそろった話です。思い出をいくつも並べるより、この3つに当てはまる場面を1つだけ選ぶほうが、会場は笑い、本人の人柄もよく伝わります。
この記事では、笑いが起きる話の条件と避ける話、思い出のメモから候補を探す手順を紹介します。選んだ話を笑いの型に当てはめる書き方も、直す前・直したあとの例で説明します。
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笑いが起きるエピソードの3つの条件
結婚式の会場には、本人をよく知る友人から、初めて会う親族まで、いろいろな人がいます。誰が聞いても笑えて、人柄も伝わる話には、次の3つの共通点があります。
| 条件 | 確かめ方 | 例 |
|---|---|---|
| 意外な一面 | 「周りからは〇〇と思われているけど、実は〇〇」と1文で言えるか | 会議では穏やかなのに、実家の猫と話すときだけ声が高くなる |
| 具体的な場面 | いつ・どこで・本人が何と言ったかまで思い出せるか | 説明書を読む理由が「書いた人に悪いから」 |
| 本人も笑える話 | 本人が自分から人に話したことがあるか | 年賀状の1枚は、毎年自分あて |
意外な一面:会場が知っている顔とのずれ
笑いは「思っていたのと違う」ときに起きます。会場の多くの人が知っている本人の顔と、友人だけが知っている顔の差が、そのまま笑いになります。意外な一面を伝える言い方の例は、「面白い友人代表スピーチの作り方」でも紹介しています。
具体的な場面:セリフと数字まで思い出せる話
「面白い人です」と言っても、会場は笑えません。いつ、どこで、本人が何と言ったかまで話せると、聞く人の頭に場面が浮かび、そこで笑いが起きます。本人のセリフか数字を1つ入れられる話を選びましょう。
本人も笑える話:本人が自分から話している話
いちばん大事なのが、本人が会場で聞いて、一緒に笑える話かどうかです。本人が飲み会などで自分から話している話なら、まず安心です。笑いのあとに「だから、こんな良いところがある」とつなげられる話なら、ほめ言葉にもなります。
2つしかそろわないときは
意外な一面がない話でも、本人のセリフや数字を使えば笑いは作れます(あとで紹介する型2と型3)。具体的な場面が思い出せない話は、共通の友人に「あのとき、何て言ってたっけ」と聞いてみましょう。本人が笑えない話だけは、ほかの2つがそろっていても使いません。
笑いにしない話と、代わりにできる話
仲間内では鉄板の話でも、結婚式では笑いにしないほうがよい話があります。避けたい話は、次のように「代わりにできる話」に置きかえると、思い出を生かせます。
| 避けたい話 | 避けたい理由 | 代わりにできる話 |
|---|---|---|
| 昔の恋愛の話 | 本人や親族が気まずくなる | 結婚相手を紹介されたときの話 |
| お酒での失敗 | 親族や上司の前で印象が下がる | 一緒に食事をしたときの本人の気づかい |
| 見た目や体型の話 | 本人も家族も傷つく | 服や持ち物へのこだわり |
| 本人がまだ気にしている失敗 | 本人が笑えない | 二人で一緒にした、小さな失敗 |
| 仲間内のあだ名や合言葉 | 多くの人に意味が伝わらない | 誰にでも分かる言葉に直した出来事 |
迷う話は、入れないのがいちばん安全です。お祝いの席で避けたい話題と言葉は「結婚式スピーチのマナーと忌み言葉の言い換え」でも確かめられます。
思い出のメモから候補を探す手順
いきなり原稿を書き始めると、最初に浮かんだ話で決めてしまいがちです。先に思い出を書き出し、3つの条件でしぼると、笑いの起きる話が見つかります。
- 10分で、思い出を10個書き出す(1行で、いつ・どこで・何があったか)
- 浮かばないときは、下の5つの質問の答えをメモする
- 1つずつ、3つの条件に○か×をつける
- ○が3つそろった話から1つ選び、本人に題名だけ確かめる
- 使わなかった話は、自己紹介の一言に回す
思い出が浮かばないときは、次の質問が手がかりになります。
- 本人の口ぐせや、よくやることは何か
- 周りの印象と、あなたが知っている顔が違うところはどこか
- 本人がこだわっていること、むきになったことは何か
- 一緒に笑った出来事で、今思い出しても笑えるのは何か
- 結婚相手と一緒にいるとき、本人はどんな顔をしているか
メモの例:新婦の大学の友人の場合
書き出した思い出に○×をつけると、次のようになります。3つの条件がそろったのは2つで、セリフまで思い出せる3を選びました。
| 思い出 | 意外な一面 | 具体的な場面 | 本人も笑える | 使うか |
|---|---|---|---|---|
| 1. 試験前、ノートを人数分コピーして配っていた | × | ○ | ○ | 人柄の話として、短く使う |
| 2. 旅行の宿で、浴衣のたたみ方を調べてから片づけていた | ○ | ○ | ○ | 候補 |
| 3. 電動歯ブラシの説明書を、付箋を貼りながら読んでいた | ○ | ○ | ○ | これに決める |
| 4. 学生時代の恋人との話 | ― | ○ | × | 使わない |
| 5. 卒業旅行で寝坊して、飛行機に乗りそこねた | ○ | ○ | まだ気にしている | 本人に聞いてから |
本人には「題名」だけ確かめる
話してよいかは、前もって本人に確かめておきます。中身まで話すと当日の笑いが減るので、題名だけ伝えるのがコツです。
スピーチで、大学のときの「説明書の話」をしてもいい?
恥ずかしい話ではないから安心してね。中身は当日のお楽しみで。
本人が少しでも迷ったら、その話はやめて、次の候補に移りましょう。子どもの頃からの付き合いなら、親族も知っている思い出が強い候補になります。幼なじみならではの選び方は「幼なじみの友人代表スピーチ例文」にまとめています。
エピソードを笑いの型に当てはめる(直す前・直したあと)
選んだ話は、そのまま書くと「いい話」で終わりがちです。次の3つの型のどれかに当てはめると、笑いの場所がはっきりします。どの型が合うかは、話の種類で決まります。
| 話の種類 | 合う型 |
|---|---|
| 周りの評価と違う顔を見た話 | 型1:いつもの顔を先に言う |
| 本人が少しずれたことを言った話 | 型2:本人のセリフで場面を終える |
| 回数や量が多い話 | 型3:数字を1つだけ使う |
型1:意外な一面は、先に「いつもの顔」を言う
〇〇くんは、会社ではとても穏やかな人です。でも、家族思いのかわいい一面もあります。
〇〇くんは、会議ではどんな質問にも、穏やかに答える人です。声の高さも、ずっと同じです。
(半拍おく)
その〇〇くんの声が、2段階高くなる相手がいます。実家の猫です。
大切なものには、声まで変わるほどやさしくなれる人です。
いつもの顔を先に言うのが、笑いのための前フリ(前置き)です。前フリがあるから、意外な顔との差で笑いが起きます。
型2:本人のセリフで場面を終える
〇〇さんは、何でもていねいな人です。説明書もきちんと読みます。
新しく買った電動歯ブラシの説明書を、〇〇さんは付箋を貼りながら読んでいました。
理由を聞くと、真顔でひと言。
(半拍おく)
「説明書を書いた人に、悪いから」。
セリフのあとに説明を足さないのがコツです。「真顔で」のように、言ったときの様子をひと言添えると、笑いが大きくなります。
型3:数字を1つだけ使う
〇〇くんは昔から筆まめで、年賀状をたくさん書く人です。
〇〇くんは、年賀状を毎年120枚、手書きで書きます。
そのうち1枚は、毎年、自分の家に届きます。
(半拍おく)
自分あての1枚には、来年の目標が書いてあるそうです。
数字は、聞いた人が驚く大きさのものを1つだけ使います。数字が続くと、計算の話に聞こえてしまいます。
笑いのあとは、人柄で締める
笑いだけで終えると、「面白い人」という印象で止まってしまいます。笑いの一文のあとに「〇〇な人です」と人柄を言い、はなむけの言葉につなげましょう。型1の「声まで変わるほどやさしくなれる人です」が、その形です。
1分半のエピソードの段落にまとめる
3分のスピーチなら、エピソードは全体の半分、1分半(450字ほど)が目安です。次の順に並べると、笑いから人柄まで1つの段落にまとまります。
- 場面を1文で言う(いつ・どこで)
- 本人の言葉や行動を書く
- 型に当てはめた笑いの一文を置く
- 「今思うと」「だから」で、人柄につなぐ
- はなむけにつながる一文で終える
〇〇さんは、大学のころから、何をするにもていねいな人でした。
2年生の春、〇〇さんの部屋に遊びに行くと、〇〇さんが机に向かって、何かを熱心に読んでいました。
新しく買った、電動歯ブラシの説明書です。
しかも、付箋を貼りながら読んでいました。
理由を聞くと、〇〇さんは真顔でひと言。
「説明書を書いた人に、悪いから」。
(笑いが静まるのを待つ)
そのときは二人で大笑いしましたが、今思うと、あれが〇〇さんらしさでした。
人がかけた手間に、ちゃんと気づける人なんです。
お弁当を作ってくれたお母さんにも、資料を用意してくれた先輩にも、〇〇さんは毎回、ひと言お礼を伝えていました。
新郎の〇〇さん、〇〇さんはきっと、〇〇さんの毎日のちょっとした手間にも、気づいてくれる人です。
書いてみて長くなったときは、1の場面の説明を短くし、3の笑いの一文と4の人柄は残します。この段落の前後に、お祝い・自己紹介と、はなむけ・結びをつなげれば、3分のスピーチになります。全体の組み立てと全文の例文は「友人代表スピーチの例文」で、笑いの量ごとに紹介しています。
選んだ話でスベりたくないときは
候補は出たけれど、どれなら会場で笑ってもらえるか判断できない、という人もいるはずです。そんなときは、思い出のメモを人に見てもらう方法もあります。
よくある質問
面白い思い出が1つも浮かびません。
笑いは、本人のひと言1つで足ります。大きな事件を探すより、「本人がよく言うこと」「こだわっていること」を書き出してみましょう。結婚相手に「〇〇のどんなところが好き?」と聞くと、友人も知らない意外な一面が出てくることもあります。
話したいエピソードが2つあって選べません。
人柄がよく伝わるほうを1つ選び、もう1つは自己紹介の一言に回しましょう。「毎年、同じ花火大会に出かけていた仲です」のように1文に縮めれば、両方の思い出を入れられます。
少し話を盛ってもいいですか?
数字を丸めたり、言い方を少し大げさにしたりする程度なら大丈夫です。ただし、なかった出来事は作らないようにしましょう。本人や会場の友人が「そんなことあった?」という顔をすると、笑いが止まってしまいます。
まとめ
- 笑いが起きるエピソードは、「意外な一面」「具体的な場面」「本人も笑える話」の3つがそろった話
- 昔の恋愛・お酒の失敗・見た目の話・内輪の話は、笑いにしない
- 思い出を10個書き出し、3つの条件で○×をつけてしぼる
- 選んだ話は「いつもの顔」「本人のセリフ」「数字」の型に当てはめて書く
- 笑いのあとは人柄で締め、はなむけにつなげる






