送別会で送る側が話す挨拶は、「ねぎらい→思い出のエピソード1つ→はなむけの言葉」の3つで組み立て、1〜2分にまとめるのが基本です。はなむけとは、新しい場所へ向かう人に贈る、励ましの言葉のことです。笑いを入れるなら、本人の口ぐせや仕事ぶりを題材にして、1か所だけにします。
この記事では、上司・同僚・後輩の立場別にそのまま使える例文と、ユーモアを入れた例、30秒で話せる短めの版を紹介します。
送る側の挨拶は「ねぎらい→エピソード→はなむけ」で組み立てる
送る側の代表の挨拶は、送られる人の挨拶や花束の贈呈の前に入ることが多いです。会の主役は送られる人なので、自分の話は控えめにして、本人のことを中心に話します。
| パート | 話すこと | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 1. ねぎらい | 名乗り、これまでの仕事へのお礼とねぎらい | 2〜3文 |
| 2. エピソード | 本人の人柄が分かる思い出を1つ | 3〜5文 |
| 3. はなむけ | 新しい場所での活躍を願う言葉と、結びのお礼 | 2〜3文 |
エピソードは、「その人に助けられたこと」「その人らしい口ぐせや習慣」「一緒に乗りきった仕事」の3つから探すと見つかります。思い出がたくさんあっても、話すのは1つにしぼりましょう。1つの場面をくわしく話すほうが、本人の人柄はよく伝わります。
はなむけの言葉は、送る理由で変える
同じ送別会でも、退職か異動かで、ふさわしい言葉が変わります。結びの一文は、次の表から選ぶと迷いません。
| 送る理由 | はなむけの言葉の例 |
|---|---|
| 転職・独立 | 新しい道でのご活躍を、ここにいる全員で応援しています |
| 異動・転勤 | 同じ会社の仲間として、これからもよろしくお願いします |
| 定年退職 | 長い間のお勤め、本当にお疲れさまでした。これからはご自分の時間を楽しんでください |
| 家庭の事情での退職 | 落ち着いたら、また顔を見せてください。みんな待っています |
送別会全体の流れや、挨拶をする人の順番の決め方は、「歓送迎会の進行表と挨拶の順番」にまとめています。
原稿を書く前に、幹事や本人に近い人に確かめること
- 自分の持ち時間と、何番目に話すか
- 退職や異動の理由を、どこまで話してよいか
- 新しい部署や会社の名前を、みんなの前で言ってよいか
- 花束や記念品を渡す役も頼まれているか
立場別の例文
〇〇には送られる人の名前を、△△には自分の名前を入れてください。年数や部署名、エピソードの中身は、本人に合わせて書きかえて使います。
上司から、異動する部下へ(約1分半)
営業二課の課長の△△です。
〇〇さん、3年間、本当にお疲れさまでした。
〇〇さんが来てから、うちの課の報告書は、見違えるほど読みやすくなりました。
新人のころ、私が赤ペンを入れた書類を、〇〇さんは全部ノートに貼って見返していたそうです。
その積み重ねが、今では課のみんなのお手本になっています。
来月からは、〇〇支社の企画部で新しい仕事が始まります。
〇〇さんなら、どこへ行っても、まわりの人に頼りにされることと思います。
同じ会社の仲間として、これからもよろしくお願いします。
皆さん、〇〇さんの新しい職場でのご活躍を願って、大きな拍手をお願いします。
上司から、転職する部下へ(約1分)
転職で退職する人を送るときは、次の会社の名前や、辞める理由にはふれません。本人がこれまでにしてくれたことと、これからへの応援だけで組み立てます。
〇〇さん、4年間ありがとうございました。
〇〇さんは、お客さまからの問い合わせに、必ずその日のうちに返事をする人でした。
「〇〇さんが担当なら安心」というお客さまの声を、私は何度も聞いてきました。
その誠実さは、どこへ行っても〇〇さんの大きな力になるはずです。
新しい道でのご活躍を、ここにいる全員で応援しています。
同僚から、退職する同期へ(約1分半)
〇〇さんと同じ年に入社した、△△です。
〇〇さん、7年間お疲れさまでした。
入社してすぐの研修で、私は同じ班の〇〇さんに、毎日のように助けてもらいました。
発表の前の晩、資料が仕上がらずに困っていた私に、「半分やるよ」と言って、遅くまで付き合ってくれたことを今でも覚えています。
〇〇さんは、いつも自分の仕事より先に、まわりの困りごとに気づく人でした。
新しい職場でも、きっと同じように頼りにされると思います。
たまには、こちらにも顔を見せてください。
〇〇さんのこれからが、楽しいことでいっぱいになりますように。本当にありがとう。
後輩から、定年退職する先輩へ(約1分半)
総務部の△△です。〇〇さん、長い間お疲れさまでした。
私が入社したとき、最初に仕事を教えてくださったのが〇〇さんでした。
「分からないことは、分からないと言えばいい。それがいちばんの近道だよ」。
この言葉に、私はこれまで何度も救われてきました。
部署のみんなが「〇〇さんの引き出し」と呼んでいた手書きのメモには、どんな質問の答えも載っていました。
これからは、楽しみにされていた山歩きを、思いきり楽しんでください。
教えていただいたことは、私たちがしっかり引き継いでいきます。
本当にありがとうございました。
定年退職する人を送るときは、年齢にふれる冗談は入れません。「長い間」「〇年間」のように、勤めた年月をたたえる言い方にしましょう。
ユーモアの入れ方
送別会の挨拶に笑いを入れるなら、題材は「本人の口ぐせや習慣」か「残される自分たちの自虐」にします。どちらも、本人への感謝につなげやすい題材です。
| 笑いの型 | 一言の例 |
|---|---|
| 口ぐせを引用する | 〇〇さんの「とりあえず、お茶にしよう」に、何度救われたか分かりません |
| 大げさに言う | 〇〇さんの異動を聞いて、課の観葉植物まで元気をなくしています |
| 残される側の自虐 | 〇〇さんが毎朝開けていた窓は、明日から私が開けます。たぶん3日で忘れます |
| 呼び名を使う | 「困ったときの〇〇さん」という言葉が、明日から使えなくなります |
笑いは、エピソードのところに1か所だけ入れ、最後はまじめなお礼で締めます。笑いのあとのまじめな一言は、会場によく届きます。
同じチームの△△です。〇〇さん、4年間ありがとうございました。
〇〇さんの口ぐせは、「とりあえず、お茶にしよう」でした。
締め切りに追われて、チームの空気がぴりぴりしているときほど、この一言が出てきます。
不思議なことに、お茶を飲んだあとは、仕事が前より早く進むんです。
明日から誰がお茶にしてくれるのか、チーム全員が少し不安に思っています。
新しい部署でも、きっとすぐに、お茶の時間が始まると思います。
これからも、困ったときは相談させてください。本当にありがとうございました。
「これで静かになります」「やっと席が空きます」のような冗談は、言った側に悪気がなくても、本人や周りの人を傷つけることがあります。皮肉に聞こえる笑いは使わないようにしましょう。
30秒で話せる短めの版
挨拶の時間が短いときや、花束・寄せ書きを渡すときは、お礼とはなむけだけを伝えれば十分です。
〇〇さん、5年間本当にお疲れさまでした。
〇〇さんのていねいな仕事ぶりに、課の全員が助けられてきました。
新しい職場でも、〇〇さんらしく、のびのびと力を発揮してください。
ありがとうございました。
〇〇さん、今まで本当にありがとうございました。新しい場所でも、応援しています。
課のみんなからの寄せ書きです。全員が「〇〇さんに助けられた話」を書きました。
帰りの電車で、ゆっくり読んでください。
送別会で、挨拶のほかにクイズや動画などの出し物をしたいときは、「送別会の出し物10選」が参考になります。
送る側の挨拶で避けたい話題
送る側の挨拶は、送られる人だけでなく、残る人も聞いています。次の話題は、仲がよくても入れないようにしましょう。
| 避けたい話題 | 避ける理由 |
|---|---|
| 退職の理由や、転職先の会社名・待遇 | 本人が話していないことを、みんなの前で明かしてしまう |
| 「辞めるなんて残念」などの引き止め | 本人が決めたことを否定することになる |
| 会社や上司への不満 | 残る人が聞いて、気まずくなる |
| 本人の大きな失敗談 | 送り出す日に、恥をかかせてしまう |
| 年齢・見た目・結婚や出産などの私生活 | 冗談のつもりでも、人を傷つける |
| 自分の思い出話や自慢 | 主役が自分になってしまう |
よくある質問
送られる人が何人かいるときは、どうすればいいですか?
1人ずつ名前を呼び、それぞれに一言ずつお礼とはなむけを伝えます。大事なのは、全員に同じくらいの長さで話すことです。順番は、入社した順や五十音順など、誰が聞いても公平な並べ方にしましょう。
話している途中で泣いてしまいそうです。
泣いてしまっても大丈夫です。言葉に詰まったら、ひと呼吸おいて原稿を見ましょう。結びの「ありがとうございました」だけは、顔を上げて本人に向けて言うと、気持ちが伝わります。
原稿を見ながら話してもいいですか?
かまいません。送別会は職場の仲間の集まりなので、カードやメモを見ても失礼にはなりません。ただし、最初の呼びかけと最後のお礼は、本人の顔を見て言いましょう。
まとめ
- 送る側の挨拶は「ねぎらい→エピソード1つ→はなむけ」で1〜2分にまとめる
- はなむけの言葉は、退職・異動・定年など送る理由に合わせて選ぶ
- 笑いは1か所だけにして、題材は口ぐせや自分たちの自虐にする
- 退職理由や転職先、私生活の話は入れない
- 時間がないときは、30秒版でお礼とはなむけだけを伝える
送られる側として挨拶をする人は、「送別会の挨拶(送られる側)例文」を読んでおくと、当日の流れがつかめます。






